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3月上旬に、長野県の阿智村と松川町で取材をしてきました。
その概況を何回かに分けてレポートします。

●阿智村の現在の概況

 長野県阿智村には、非常口が建設予定ですが、ここから排出される残土(約71万立米)をどこに運ぶかが未定です。
 阿智村の村長は、かつて飯田商工会議所のリニア推進の部署の要職を務めていたとかで、リニア推進派とも呼ばれます。ただし、単なる人事配置でその要職に就いていたのか、個人としてリニア推進なのかは何とも測りかねるところです。
 ともあれ、仮に村長が推進派だとしても、阿智村では今、JR東海が残土埋立てをそうやすやすとはできない状況であることもまた事実です。

 阿智村での残土問題の概略をごく簡潔に整理すると以下のようになります。

★非常口は阿智村清内路地区の住民の生活道路である村道「1-20号線」(いちのにじゅうごうせん)沿いに建設される。非常口予定地の地名は「萩の平」。
★「1-20号線」は黒川という小さな川沿いに走っている。
★「1-20号線」の下流側の出口は国道256号線にぶつかる。
★阿智村の国道256号線には村随一の稼ぎ頭「昼神温泉郷」がある。
★「1-20号線」沿いには地元の人たちの畑が点在している。高齢者のなかにはここを歩いて畑通いする人もいる。この道は狭い。軽自動車同士でもすれ違えない。片側がほぼ垂直の山肌、もう片側が川に落ちる急斜面。残土を運ぶダンプはここを1日最大230台走る。
★国道256号線も、「1-20号線」から出てきたダンプなどと合わせ、一日最大920台が通る。

萩の平地図←黒川も1-20号線も実際はクネクネしている。

1-20号線は狭い←1-20号線は本当に狭い。しかも拡幅工事はおよそ無理なのでは。


●それぞれの思惑
 以上の概況に対して、関係者のそれぞれの思惑は以下の通りです。

★村、そして昼神温泉
 村一番の稼ぎ頭の昼神温泉街への道路となる国道256号線に一日920台ものダンプに走られては、観光客の減少、イメージダウンにつながりかねないので、256号線を走るのは避けてもらいたい。
★「1-20号線」周辺の住民や、黒川周辺で畑作を営む住民
 現在交通量の極めて少ない生活道路に一日230台のダンプに走られては困る。

 つまり、この意思を尊重するなら、JR東海は「1-20号線」も「256号線」も使えないことになる。
 そして、16年2月4日、本ブログでも紹介したように、「阿智村社会環境アセスメント委員会報告書」が、自主アセスの結果を出すに至るのですが、その「報告骨子」は11あります。その概要だけ書けば、

▲「1-20号線」に代わる「代替路」の検討や残土運搬ダンプを「大幅に削減」すること、等を村や村議はJR東海と協議すること。
「1-20号線」にガードレールの設置や拡幅などが求められる。
▲実効性のある環境保全協定をJR東海との間で締結すること。

 これは、深読みすれば、JR東海の着工へのハードルを高くしたとも読めます。なぜなら、「1-20号線」の拡幅やガードレール設置は、現場を見たらわかりますが、ほぼ無理だからです。いや、やろうと思えば、山肌を大幅に削ればできないこともないですが、それだけで何年もかかる大工事になるから、JR東海はやらないでしょう。
 そこで、今、持ち上がっているのが、萩の平の上流部に残土を埋める(積む)方策です。もちろん一つの案であり、これについては現在、JR東海が調査中。この3月で中間報告を出すようです。
 
 まず、今回は、上記、「阿智村社会環境アセスメント委員会報告書」が出された後、村の「阿智村リニア対策委員会」とJR東海とでどういうやりとりがあったかを整理します。
 リニア対策委員会とは、村議3人、農業委員、商工会長などから組織される、リニアに関してJR東海との窓口となっている組織です。
とはいえ、対策委員会からの質問は多岐にわたるので、そのうち、「住民理解」と「残土処分」「工事用道路」に絞って整理します。

●「阿智村リニア対策委員会」とJR東海のQ&A

■その1 住民理解について
 対策委員会は、JR東海が長野県大鹿村で行った言動を問題視し、以下の質問をしています(概要)。

2016年7月12日 対策委員会→JR東海への「質問書」

▲質問①-1 2014年10月22日、阿智村リニア対策委員会、同年11月12日、阿智村中央公民館での住民説明会で(JR東海は)「地元の理解・合意が得られなければリニア工事は着工できない」と説明されました。
しかし、2016年4月27日大鹿村説明会では、「住民の理解、合意ができたかどうかはJR 東海が判断する」と発言されたとあります。
 阿智村住民は「地元住民の理解、合意ができなければ JR 東海は工事着工しない」と考えていますが、それに相違ありませんか。
▲質問①-3 「住民の理解や合意」は事業者、説明者である貴社ではなく「事業による影響が予測され、事業者より説明を受ける側である住民の認識、判断によるもの」と私達は理解しています。2016年4月27日の大鹿村説明会でのご発言について説明下さい。また、住民からの合意が得られたとの判断する基準をお示し下さい。



★8月29日 JR東海から対策委員会への回答

▼①-1 地元の住民の方々にご説明し、ご理解を頂きながら進めていく方針に変わりはありません。
▼①-3 地元の住民の方々にご説朋し、ご理解を頂きながら進めてい<⽅針に変わりはありませんが、計画を進めていくにあたって責任を持つのは、事業者である弊社だと認識しております



★10月7日 対策委員会→JR東海への「質問書」(No.2)

▲質問①(1)  「地元の住民の方々にご説明し、ご理解を頂きながら進めていく方針に変わりはありません」と回答されていますが、改めて、住民の理解、合意は何をもって判断されるのか具体的にお示しください

▲質問①(2) 『計画を進めていくにあたって貢任を持つのは、事業者である弊社だと認識しております』と回答されています。また、9⽉13⽇に⼤鹿村で⾏われた⼯事説朋会で『⼯事の説朋に対する質間が多く、やった意味があった。理解を進めていただくことができたと感じている』と貴社から発言されています。⼯事計画遂⾏の貢任は当然事業者が持つことと認識していますが、合意ができたかを判断するのはあくまで住⺠側にあると思いますがいかがでしようか。また、住⺠合意が得られたとの判断基準について改めてお⽰し下さい。



★12月5日 JR東海からの回答

▼①(1)(2)  地元の⽅々と具体的な話し合いを積み重ねてい<過程における皆様からの意⾒を踏まえ、 地域の方々の合意が得られるよう努めてまいります。



★2017年2月3日  対策委員会→JR東海への「質問書」(No.3)

▲質問① 工事着工合意と住⺠理解のためのルールについて
リニア工事の着工については、村と貴社との文書のやりとりをもって合意するものと考えています。そのために貴社の事業、工事説朋や回答書等に対する住⺠の皆さんの意⾒を広く聞く中で対策委員会では、協定書等文書の原案作りを進めているところです。この原案を元に村は議会と協議の上、最終判断をすることになります。住⺠に対し⼯事の事業主である貴社の説朋貢任は当然必要なことだと考えますが、当該地区との懇談会や説朋会の開催のルールについてお⽰し下さい。

――ここまでーー

 3回目の質問は先月ということもあり、まだJR東海からの回答は現時点(3月11日)ではありません。
それでも、このやりとりを読んでいると、JR東海は阿智村においても、大鹿村でしたのと同じように、住民の意向を軽視している姿勢がみてとれます。
 3回目の回答についても、阿智村の村民の何人もが「先が思いやられる」と言うように、おそらくはJR東海からは具体性のない回答が返ってくるだけかと思います。一方、村リニア対策委員会からは、この点において毅然たる姿勢を感じます。


■その2 発生土の処理や道路工事について
 
これについては、ごくごく簡単に整理します(詳しく書けばとても長くなる)。

 対策委員会は、
「発生土運搬のリスク軽減のために、村道1-20 号線、黒川上流域での発生土置き場(仮置き、本置き場)の可能性の再検討、再調査をお願いしたい。1-20号線の全線2車線化も必要かと考えますが、貴社の考えをお示し下さい」

 と要請し、それに対して、JR東海は

「上流域の調査は2016年11月から着手し、2017年3月末までに結果を取りまとめる」

「2⾞線化及び歩道設置には、移転が必要となる家屋も出て、その他の場所でも⼤規模なエ事が必要となり、⻑期間の通⾏⽌めの必要が出てくることから、現実的ではない。また⼤規模な⼟地の改変等も必要なため、環境への影響も⼤きく、困難と判断いたしました」

 と回答しています。
 だったら、どうして南アルプスにトンネルを掘るんだと突っ込みたくもなりますが、それはさておき、まともに考えたら「1-20号線も使えない」かつ「国道256号線も使えない」となるのですが、JR東海があっさりと引き下がるはずもなく、住民の何人かが「こうなるのでは」と推測しているのが・・。

「黒川の上流部に、一部でも残土の仮置き場を作る。同時に、1-20号線の全線2車線化は無理でも、一部2車線化や待機所の工事はする。そうすることで、1-20号線の通行を可能にして、同時に、国道256号線を通るダンプの台数を少なくするのでは」

 との推測ですが、ともあれ、上流部調査の中間報告はこの3月末までには出るようなので、その結果を関係者は待っているのが現状です。その結果次第で、次の出方を決めると。


●JR東海は何を説明したのか?

 「1-20号線」があるのは、阿智村について書いた前回のブログでも説明しましたが、村で唯一人口増をみている「清内路」という地区です。
 11月7日、ここでJR東海が説明会を開催しました。
 簡単に書くと「黒川上流部の調査をさせてほしい」ということです。そして、この説明会を開催したことで、JR東海は上記リニア対策委員会に「上流部の調査を行う」と報告し、実際に11月22日から調査を開始しました。

 参加者は、JR側が、「鉄道・運輸施設整備支援機構」(工事の発注元になるという説明)から課長以下3名、JR東海から課長以下3名の計6名。
阿智村側では、副村長、役場のリニア対策係、議会のリニア特別委員会正副委員長、リニア対策委員会正副委員長、清内路自治会リニア対応代表者会と村道Ⅰ-20号地権者の会から代表及び各会員が参加。
 これに参加した人がそのときの質疑応答をまとめてくれていたので、それを公開します。

Q:村道の使用は、大型重機搬入については致し方ないとしても、残土搬出について使用を認めたわけではない。苦渋の選択として、上流域に残土の仮置きができないかの調査をするように要望書が出されたわけであるが、阿智村地籍に限らずお願いしているがどうなのか?(樫田補足:黒川上流部はやがて飯田市の地籍になる)
A:阿智村内に限っての調査の予定。
Q:飯田市も含めて調査対象にしてほしいと県にもお願いしている。
A:飯田市には打診しているが、答えを待っていると調査に入るタイミングが遅れてしまう。とりあえず先に阿智村内の調査を始めたい。
Q:飯田市の部分が遅れたとしても、飯田市からOKが出た時点で調査対象地域に含めるべきで、調査結果に反映させてもらいたい。

Q:村道Ⅰ-20号以外の代替道路の可能性もまだあきらめてはいない。以前の事業説明会で調査結果から不可能と報告があったが、具体的にどこを誰がどのような形で調査したのか?
A:実際に現地には行きました。公道から見える範囲での目視と、地形図・航空写真を用いての確認によって、現実的に難しいという結果になりました。
Q:あなたたちは全く現地の地形を理解していないし、こちらだってあてずっぽうに言っているわけではない。実際に可能性があるのではないかという場所を示したのに、調査のやり方がいい加減じゃないか。
A:・・・(答えに窮して沈黙)
Q:もう一度きちんと調査をするべきだ。

Q:村から要望書が出されて調査に来るわけだが、こちらが望んでいるわけではない。調査をしてもいいよ、というだけのことでそこを勘違いしないように。道路の二車線化など誰も望んでいるわけではない。そんなものなくても私たちは幸せに暮らしている。あなたたちが来なければ、そんなものは必要ないのである。
A:こちらが工事をお願いする立場であることは十分に承知しております。
Q:雪が降る前に調査と言っているが、冬季の実情をきちんと把握した方がいい。積雪があり、凍結した状態をちゃんと見に来なさい。頭で考えているのと実際は全く違う。
A:村道の調査は冬季から春にかけて行うので実情をきちんと把握したい。

Q:大鹿村のようなやり方は到底容認できない。住民理解が進んだと勝手に判断されるようでは、信頼関係は築けない。阿智村で同じことをしないように。
A:大鹿でのことについては偏った報道がされてしまい残念ですが、我々としましても丁寧なご説明を繰り返して進めてまいりました・・・云々(言い訳に終始)。

 リニア対策委員会にしても、一般村民にしても、共通しているのは「JR東海が大鹿村でやったやり方は絶対に承服できない」ということです。
 だが課題は、じゃあ、どうやってその民意をJR東海に納得させるかです。
 JR東海は確かに「住民が理解したかどうかはJR東海が判断する」との、それまでの約束を反故にする発言をして、実際に起工式にまで踏み切ったわけですが、ただし、同時に「住民説明会でのやりとり、大鹿村リニア対策委員会での話し合い、工事事務所大鹿分室での住民の話し合いなどを総合的に判断する」とも言っていました。これはあながち否定されるべき発言ではありません。
 工事事務所は平日の朝から夕方まで開いていて、住民なら誰でも行けて、意見を述べるなり質問をすることができる。だが、平日の昼間では仕事をしている人は行けないということもありますが、工事事務所で頻繁にリニアに反対する住民や不安に思う住民が訪れていたかといえば、それほど数は多くなく、かつ、固定メンバーに限られていたようなのです。
 だからJR東海に「反対者は少ない」との材料を与えてしまうことにもなる。とはいえ、その逆の推進派の住民も積極的に工事事務所を訪れていたわけではないので、総合的に考えれば、「住民の理解を得た」と判断するのはじつに早急だった言わざるを得ませんが。

 で、繰り返しますが、説明会以外の日常において、自分たちの民意をどう伝えるのか?
 これは、リニアに限らず、環境問題や社会問題に直面している住民たちの大きな課題です。

 これは以前ブログに書いたことですが、私が以前賃貸マンションに住んでいた時に、突然、私の天井のすぐ上に携帯電話基地局が設置される計画がもちあがり、私は町内会の力も借りて反対運動を展開しました。ところが、このとき、KDDIの下請けの「きんでん」という会社が、地域の各戸を回り、KDDIには「計画に賛成の声は確かになかったが、説明を聞いていただいたので、計画は理解されたと認識した」とのトンデモ報告をあげたのです。この報告を基にKDDIは工事を強行。だが、この手法は、じつはKDDIに限らず、全国のあちこちで使われている手口です。
 私の反省点は、「窓口を一本化すべきだった」こと、そして、「事業推進者を適当にあしらうのではなく、反対なら反対、理解していないのなら理解していないと、合意していないのなら合意していないとの意思をはっきりと、日常的に、示すべきだった」ことです。
 日常的に民意をどう示していくのか。 
 次回は、上記、Q&Aのレポートを寄せてくれた住民も含め、阿智村の住民の意志はどうなっているのかについて、簡単に報告します。

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●大鹿村の保安林解除への異議申立書

 本ブログは、基本的に、自分の目で見て、耳で聞いたことだけを材料に書くことを心がけております。
 ただし、緊急性を要するものはその限りではありません。

 昨年11月1日、長野県大鹿村で南アルプス(長野県側)トンネル工事の起工式が執り行われたことは本ブログでも書きましたが、実際にトンネルを掘るためには、掘るための重機や資材などを現場に送り込む非常口(斜坑)をまず建設する必要があります。
 大鹿村では、その非常口予定地がある個人が所有していた山地であるのですが、JR東海は、この山地に対して保安林解除をかける手続きに入っています。

 しかし、その保安林解除には「意義意見書」を送ることができます。
 意義意見書を集めるため、大鹿村在住の宗像充さんが緊急アピールを出しました。以下、転載します。


<転送/拡散願い>

 いつもお世話になっています。宗像です。
 大鹿では保安林解除の手続きが進んでいて異議申し立ての準備を今しています。
 すいませんが、以下、MLへの転載、サイト紹介等お願いできますでしょうか。
 
 いつもお願いばかりで恐縮です。


 リニア失敗の早期実現を願う全国のみなさん!

【大鹿村でのリニアトンネル保安林解除の異議申し立てのお願い】

 大鹿村ではリニア南アルプストンネル掘削にあたって、現在保安林解除の手続きが進んでいます。

大鹿村 保安林解除への伐採←当該地では伐採が進んでいる(写真提供:宗像充氏)

 現在予定告示がなされ3月21日(火)までに異議申し立てができます。

 村内の住民に呼びかけ異議意見書の提出の準備を進めていますが、「直接の利害関係者」の範囲を国と県が限定的にしか認めなければ、異議の意見が門前払いされることにもなりかねません。(過去、解除の不法性を争った行政訴訟では、原告適格は1km以内の地権者・住民との判例があります)

 そこで、村内外を問わず、多くの方から異議意見書を届けていただき、今回の保安林解除が、多くの人の生活や生命財産に
かかわるものであることを林野庁や長野県に示し、審査を厳正にさせる必要があります。

 もちろん、解除手続きとともに長野県側からの南アルプストンネルの掘削が進むわけです。

 ぜひ、ご協力をよろしくお願いします。

 提出にあたって、若干書類の用意が必要です。
 お手数ですが、以下の書き方について確認ください。

【異議申し立ての書き方】

■書式と必要なもの
別紙にあります(地番を埋めてあります)。
別紙も必要なので切り離したらそのまま活用ください。

大鹿村 意義意見書


 日付、住所、氏名、印 を満たして異議申し立ての内容と理由を書いて完成です。
 内容、理由等は書式に「別紙に記載」と書いて自身で作成しても大丈夫です。
 法人の場合は、名称及び代表者の氏名が必要です。

例)
・土砂災害の危険が高まる
・洪水の危険が高まる
・森を切られると周囲の環境が壊れる
・住民の安全が、営利目的のリニア新幹線事業で損なわれるべきではない
・森を切られ南アルプスにトンネルを掘られれば国立公園としての
価値を損ない不利益を受ける
……などなど

*「直接の利害関係を有する者であることを証する書類」を示す必要があります
権限を有している書類、登記事項、証明書などが例示されていますが、
予定個所と自分との関係を記した書類、写真など工夫して示しておきましょう。


■必要部数
異義意見書、図面(裏面のもの)、証明書類を同じものを、2通用意ください


■締め切り
2017年3月21日(火)必着

■提出先
1 3月16日までに下記の住所までにお届け下されば、
翌17日に会で長野県に持参します

399-3502
長野県下伊那郡大鹿村大河原2208 
宗像方 大鹿リニアを止める実行委員会
*ご不明な点はお問い合わせください
TEL 0265-39-2067(宗像)

2 直接持参・郵送する場合
長野県下伊那地方事務所林務課
〒395-0034 飯田市追手町2-678
代表連絡先 電話番号:0265-23-1111 ファックス:0265-53-0404



知っていますか?
災害防止の森がリニアで切られます

林野庁は2月16日に保安林解除のための予定告示をし、
大鹿村上蔵の小渋開発の背面にある立木(大河原4850の5、裏面に地図)
0.0257ヘクタール(2.57アール)の伐採を表明しました。
伐採後にリニア南アルプストンネルの坑口ができます。

保安林は伐採を制限し森林保全を目的にした森、
今回の個所は土砂流出防止が指定の目的です。
一帯は土砂災害特別警戒区域(急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、
建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が
生じるおそれがあると認められる区域で、
特定の開発行為に対する許可制、建築物の構造規制等が行われます)
にも指定されています。

森を切って本当に大丈夫なんでしょうか。


Q 伐採されても問題はない?

 伐採個所は信濃宮の下方に位置する上蔵地区の急斜面です。
上蔵地区は鳥倉山が崩壊して流れ出た土砂の上に集落が発達した場所で、
今もゆっくりと地面が動いています。豪雨時には土石流や地滑りの恐れがあり、
大部分が土砂災害警戒区域に指定されています。
その斜面の舌端で保安林が指定されているのは、付近の地盤が弱いからです。
伐採予定地の下方には建物があります。
JR東海は濁水処理設備や重金属対応判定のための
残土の仮置き場を作っています。
斜面が伐採でいっそう弱くなって崩れれば、
流れ出た土によって川がせき止められ、
下流域の市場から落合にかけて、土石流の被害が生じる原因にもなります。

Q保安林解除予定地の対岸にはトビガスがあります……

 上蔵地区の川沿いの田んぼや上蔵集落の大河原城跡は
現在よりも広かったと言います。
ところが、トビガスが崩壊して流れ出た土砂に押されて
川が上蔵集落側に蛇行し、田んぼや斜面の上の台地が削り取られました。
削り取られてできた斜面が伐採で弱くなれば、
上蔵集落はもっと削り取られていくかもしれません。

Q 何かできることはありますか?

 予定告示後30日以内(3月21日まで)に国(県が宛先)に対して
異議申し立てをすることができます。
国が直接の利害関係者からの異議申し立てと認めれば、
公開の聴取会で直接意見を述べることができます。

Q だれが意見を出せますか?

伐採地周辺の住民・地権者は直接伐採の影響を受けかねません。
また上蔵地区や下流域の在住・在勤者は、
述べたように伐採によって資産や生活が脅かされる危険があります。
自分が直接の利害関係者だと示すには書類(地図や登記関係、写真など)
が必要ですが、国立公園である南アルプスへのトンネルの掘削によって、
みんなの共有財産が損なわれると考えれば、
誰でもが直接の利害関係者となりえます。

Q やってもリニア工事は止まらないのでは?

 工事が止まるかどうかと安全性を確保するかどうかは本来別の問題です。
JRのスケジュールに合わせて住民の安全性が損なわれるべきではありません。
被害が生じた後に異議を申し立てても遅いのです。
異議申し立てを考慮するかどうかはたしかに国が決めることですが、
異議が考慮され、代替措置が取られたり
伐採面積が小さくなったりすることもあります。
実際に被害が出れば豊洲の問題の石原元知事のように、
解除にかかわった責任者は後々責任を問われることにもなります。
村議会には、保安林の申請や解除にあたって
周辺や影響が及ぶ可能性のある住民や自治会の同意を得るようにと、
陳情も出ています。

Q これからいったいどうなるのでしょう?

 私たちはリニア計画に反対していますが、
賛成の人の生活が脅かされていいとは思っていません。
多くの意見が国や県に寄せられれば、
住民の安全にいっそう配慮せざるをえなくなります。
一部の人に犠牲を強い、将来の住民の生活を危険にさらして
リニアを完成させても、みんなに歓迎されるものとはなりません。
保安林の解除は釜沢でも続きます。
計画への賛否問わず、感じた不安や疑問をきちんと表明し、
届けるべきときに届けることが、住民のためにも事業者のためにもなります。

☑大鹿リニアを止める実行委員会
TEL 0265-39-2067(宗像) メール munakatami@gmail.com

ーー転載終了ーー

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●集団移転が迫る土地、神奈川県相模原市緑区鳥屋の谷戸地区はどうなる?

 リニア計画において、車両基地は2つ作られます。一つは、岐阜県中津川市。もう一つが、神奈川県相模原市緑区鳥屋(とや)の谷戸(やと)地区。
 谷戸の世帯数はわずかに50世帯前後。
 ここが、自分たちの土地に車両基地(長さ2キロ、最大幅350メートル、高さ30メートル)が建設されることを知ったのは、2013年9月。JR東海が公表した「環境影響評価準備書」で初めてその事実を知ったのです。事前にその連絡はなし
 ただし、振り返ればその兆候はあったようです。
 JR東海が環境アセスをしている真っ最中の2012年、谷戸にも、何かの腕章をした身元不明の作業員が頻繁に森に出入りするようになりました。不審に思った住民が「おじさん、何やってんの?」と尋ねると、「生物調査です」「がけ崩れの調査です」といった回答が返ってきたそうです。
 同じころ、鳥谷の森の上空を、パイロットの顔が見えるほどの低さで、ヘリコプターが何度も飛来していたそうです。

 ともあれ、準備書で、故郷が車両基地に潰されることを知った住民たちには青天の霹靂。
 
 まもなく、谷戸の自治会館前には「車両基地絶対反対」の立て看板ができます。
 当初、リニアに関する市民団体は「反対住民が出た!」と機関誌のニュースにしたものですが、実際のところ、谷戸の住民のほとんどにその気持ちはありませんでした。

絶対反対

 元自治会長さんに話を聞いたことがありますが、彼はこう言ったのです。
「確かに望ましい計画ではありません。かといって、このような巨大事業を振り払う力もない。でも自分たちの生活は最低限守ろう。絶対反対とは、それくらいの『強い気持ち』でコトに臨もうとの姿勢を表した言葉です」

 また、同時に説明してくれたのが「ここの人たちは昔から、お上の意向に逆らわない。おとなしくて従順なんです。闘うという選択肢はなかったですね」。

 ここ数年の経緯は省略しますが、これから、谷戸地区が辿るであろう将来像について簡単に書きます。
 車両基地は、谷戸のすべてを潰すわけではありません。谷戸を直角に横切るため、谷戸は3つに分断されます。立ち退く地域、その両側にある立ち退く必要性がない地域。
 ここでは分かりやすいよう、A地区(立ち退き対象外の2軒)、B地区(立ち退き対象の30軒未満)、C地区(立ち退き対象外の16軒)としておきましょう。

山の上からの車両基地予定地←赤い線が車両基地の大雑把な幅。左の線の左側がA地区、挟まれるのがB地区、右側がC地区。

鳥屋車両基地鳥瞰図←車両基地完成予想CG。ここでも、左からABC地区になる。

 そして、谷戸自治会は、せめて地域分断を防ぐため、立ち退く必要がない地域も含めての「全戸集団移転」をJR東海に要請していました。この担当窓口になったのが「谷戸リニア対策協議会」ですが、ここが

●昨年12月中旬  JR東海から回答を聞く。それによると、A地区は2軒だけだが、ビオトープ(人工生物空間。リニア工事で失われる動植物をある数カ所に移設して、新たな生態系をつくる)を設置することで、その2軒も移転対象にする。B地区は神奈川県が用地交渉と補償の窓口になる。C地区の16軒は移転対象外になる。

●12月26日  対策協議会、谷戸の自治会館で住民にこの回答を知らせる。C地区が集団移転から外れることで、住民はその回答の「不了承」を決める。
 ただし、「その16軒のために、回答拒否することもないのではないのか」との意見も出た(これは、すでに地域分断の兆しともいえる発言だ)。

●1月16日  対策協議会にJR東海から説明がある。C地区については、個別に対応する。つまり、集団移転するか、残るか、この際、違う土地に移転するかの意向を聞く。

●1月28日  対策協議会、住民にその内容を知らせる。住民は、JR東海の提案を了承する。

●2月25日  JR東海の住民説明会。というはずだったが、JR東海の社員3人は冒頭のあいさつに来ただけ。「今回の谷戸の動きには、ありがとうございます」と。

 集団移転はまだ決まったわけではありません。
 ただ、その方向性が出てしまい、この地区の地域性(おかみには逆らうな)を鑑みれば、今から強く反対する人もそうそう現れないのではと予測されます。
 とはいえ、私がこういう情報を知りえたのは、谷戸にもこの計画に強い懸念を覚えている方が複数名いるからです。ただし、それぞれの立場が弱い。女性であること(大切なことは男が決める。といった風土)、借家人であること、等々の理由で、表立って発言できないという事情を抱えています。

 ともあれ、いただいた資料から今後の予定を整理すると以下のようになります。

●3月  C地区の世帯にJR東海と神奈川県が個別に面会
 ★意向調査(集団移転するか、残るか、個別に違う土地に移転するか)
 ★用地測量の同意

●春から初夏 B地区の世帯にJR東海と神奈川県が個別に面会
 ★意向調査(集団移転するか、個別に違う土地に移転するか)
 ★用地測量の同意
 ★立ち入りに同意した世帯から用地測量の開始。

●初夏から夏  集団移転先に関する自治会とJR東海・神奈川県との打ち合わせ開始。
 ★集団移転先の選定
 ★候補地の地権者への接触

●夏から初秋  用地測量の完了した場所から境界立会を開始。

●初秋前後
 ★教会の確定した世帯から物件(建物等)調査開始。
 ★集団移転先の基本計画策定開始


●ちょっと待て。ここがわからない。
 とはいえ、これをざっと読んでわからない点がいくつかあります。

1.そもそも集団移転の希望で始まった今回の経緯だが、集団移転の候補地は?
★決まっていない。←情報提供者

2.JR東海や県の補償はどういうもの。同じ規模の家屋を補償する? 時価で不動産評価する? 後者なら、長く住んでいる人ほど、家屋の時価は安く、また地代も田舎ゆえに安く、補償金を手にしても、新しい土地で、今と同程度の暮らしが保証されるのか?
★どちらの補償かも決まっていない。←情報提供者
★今回の情報提供者によれば「このへんの人たちは、そういった不動産評価額といった基本情報すら知らない」

3.ビオトープが建設されるA地区はわずかに2軒。ここは本来立ち退き対象外だが、ここにビオトープを設置することで、この2軒を立ち退き対象にする。つまり集団移転に加えることができる。
 ただし、ビオトープは事業地ではないことから、これで立ち退いても、税制上の優遇はないかもしれない。この点をJR東海は税務署に確認・要請するという。ただ、いつはっきりするのか?

★わからない。←情報提供者
 この2軒のうちの1軒は葛藤しているという。集団移転に加わるべきか。加われば、地域付き合いは続く。だが愛する土地を離れることになる。
 もし移住をしないと決めたとすれば、おそらくJR東海、そして自治会は、「せっかくビオトープにして移住できるようにしたのに、今更移転しないはないだろう」との反応を示すことでしょう。

 それにしても、まずは自分たちがどういう土地に移転するのかの確認をするのかが第一かと私なら思いますが、酷い土地にだけは行かないよう祈るばかりです。

●大型公共事業での常套手段=戸別訪問
 私が何度か谷戸を訪ねるうちに、直接、間接に耳にした「俺は車両基地は反対だ」「なぜ俺がここを出るのか」「この歳で今更よそで住みたくない」といった声は切実です。ただ、自治会では膝を割って住民同士で話し合ったことはほとんどないようです。
 むしろ、逆らっても仕方ないんだから、「普通の事業なら受け入れないこと(集団移転)を、JR東海は受け入れた。JR東海を信じましょう」との意見もあるようです。

 こういう土地柄のなかで、一番まずいと思うのは、いただいた資料の最後に「詳細や移転までの全体の流れについてはJRが各世帯に面会する際に説明」と書かれてあること。つまり、地区の問題であれば、地区全体として話し合うべきなのに、JR東海はこれを「戸別訪問」でやろうとしているのです。
 これは、各戸撃破するには、開発者側には最良の手口です。補償額にしても、よくあるパターンは「早く出れば、それだけいい補償金がもらえる」とか「お宅には特別に上積みします」といったもの。もちろん、これが谷戸でも繰り返されるのかとは断言しませんが。
 ただ少なくとも、地区の問題であれば、戸別訪問は避け、山梨県富士川町のように窓口を一本化して、住民の誰にも公平な扱いがされるよう努めることが望ましいはず。


●鳥屋トラストの地、今月の作業 

 鳥屋は11の地区で成り立っていて、車両基地で多くの立ち退きが起こるのは谷戸ですが、他にも対象となる方は他地区にも数人います。
 その一人は、渡戸地区の栗原晟さん。とはいえ正確には、栗原さんの家屋が収用されるということではなく、所有する山林の地下をリニアが通過するかもしれないということですが。
 栗原さんが土地トラストを昨年4月に開始したことは本ブログで書いた通りです。

土地トラスト地の整備。栗原さん←昨年12月の第一回作業。右が栗原さん。

 さて、鳥屋の風土のなかで、栗原さんは「作ってはいけないものには反対する」との超然たる姿勢で一人立ち上がったのですが、その結果、栗原さんが村八分に遭っているのか?
 遭っていません。トラストのことを話題にされることもありませんが、いつものように暮らしています。
 このことからも、栗原さんは谷戸の住民が自分たちの意志に従って立ち上がれば・・との思いもあるようですが、ここではそれは書きません。
 ただし、谷戸ではない地区で、もしかしたらもう一人、トラストをするかもしれない・・とだけは書いておきます。

 おそらく、谷戸の住民の方々にはまだまだ基本的な情報が行き渡っていないのかもしれません。車両基地ができたら、自然環境が、社会環境がどれだけ変わるということも、手にできる補償金でもいざ引っ越したら、今までより狭い家で暮らす可能性があることも。
 もちろん、この際、集落を出て、病院や施設がある街で暮らそうというのも一つの選択肢です。
 ただ、選択肢の選択にはまず基本情報があってのことだと思います。

 土地トラストの森では、毎月、大人も子どもも楽しめる場所「トラストの森カフェ」にしようと、森の整備作業が行われていますが、今月は3月20日(月・祝)9:00~16:00(小雨決行)。予備日は3月21日。
 檜の間伐、皮むき、造材、チェンソーを使っての板引きなどが行われる予定。
 集合場所:鳥屋 渡戸(わたど)自治会館
 持ち物:昼食と飲み物
 服装:山の作業ができる服装、足元は長靴がベスト。
申込先: 042-689-2142(河内) 090-8116-8088(松本)

 4月になると、山ビルが発生するので、この3月で整備作業はしばらくお休みかもしれません。

増補悪夢の超特急
←拙著「悪夢の超特急 リニア中央新幹線」。

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 2月6日にも書いた、福島県郡山市の特定NPO法人「FUKUSHIMAいのちの水」の活動。

 ブログはこちら

 その後、1泊2日の本取材に伺い、長時間いろいろとお話を伺いました。
 これについて書いた記事が、3月7日発売の週刊女性に掲載予定です。

 今回判ったのは、団体名は「いのちの水」に象徴されるように、確かに「水」をメインに配布していますが、目指すのはもっと広い活動です。

 なぜ水を無償配布するのか。それも、一回当たりで市価5000円以上にもなる半端じゃない量です。それが毎週火曜日と土曜日にある。
 一つには、母親たちが求める「安全な水」を届けること。
 そして、水を届けることで、家計を楽にすること。です。

水を受け取る母←赤い服を着たボランティアが次々と配布物資を車に運ぶ。

 つまり、この活動がなかったら、子どもや家族への安全な水を心がける母親たちは月に2万円くらいも水にお金を使っていたのです。 「いのちの水」代表の坪井永人さんは「その浮いたお金で、食べ物、そして県外での保養活動など、とにかく、子どもを守るために使ってほしい」と願っています。

サンタになる1←坪井永人代表。サンタは無償の愛を届ける象徴的な存在。だから真夏でも配布日にはこの格好。

 いのちの水が目指すのは、「水」に加え、廉価で安全な「衣食住」の提供です。

 「衣」に関しては、全国から古着を集めていて、それを毎月のように、30リットルのビニール袋に500円で詰め放題のフリーマーケットを開催。そして、この売上金は、シリア難民のために活用されています。
 「食」に関しては、今後は、水同様、賞味期限切れ前の食べ物を回してもらうシステムを作ること。
 そして「住」に関しては、なんといっても子どもたちに必要な保養施設の運営を構想しています。これは夢物語ではなく、福島県内でも放射能汚染の薄い場所で、ある方法を通じて(まだ企業秘密)、保養のための施設を設置することを構想中。

 これらのことをやるのは、坪井代表のひとえに「子どもたちを決して見捨てない」との思いからです。

 ただし、もっと広い範囲でもっと多くの人を支援するためには、自分たちだけではなく、むしろ国や自治体が同様の活動を展開すべきだと主張しております。確かにそうだ。

●母たちの声

 水の配給も2011年5月からだから、じつに6年近くが経つ。

 震災直後から郡山市では上水道の安全性をアピールし、また今現在も市の水道からはセシウムは不検出(1Kg当たり1ベクレル未満)なのですが、原発爆発直後の、科学者たちの「ただちに健康に影響はない」のフレーズに言いくるめられてきた母親たちは、容易に地元の水道を信じることができないのも事実です。

 もしかしたら、水道水は安全なのかもしれない。だが、不安を払拭できない母親たち。
 坪井さんは「お母さんたちが『不安』と思う。それだけで被害です。その不安に寄り添うことこそが求められているのに、それを軽視するのが科学者であり政府です」と言いますが、その通りだと思います。

 母親たちは「命の水」で「安心」も手に入れいているのです。

 水を受け取りに来た市民が書く自由帳があります。その一部を紹介します。

母たちの言葉1 母たちの言葉2 母たちの言葉3 母たちの言葉4 母たちの言葉5

 まもなく3月11日。私たちは本当に福島の子どもたちとお母さんたちのことを忘れてしまうのでしょうか。

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2017/03/03 23:13 福島原発 TB(0) コメント(0)


●またもするどい裁判長

 2月24日、「ストップリニア!訴訟」の第3回口頭弁論が開催されました。
 法廷は、いつも通り、東京地裁で一番広い103号法廷。傍聴席98席。
 この98席を求めて、152人が並びました。私はまたも当たり券を引き、これで3回連続の当たりです。

リニア裁判第3回地裁前デモ


 この日の口頭弁論で、報告すべき点は2つです。

1.裁判長からの鋭い指摘

 まず、前回の裁判で、裁判長から「鉄道事業法に定めている、鉄道事業に必要な「経営性」「安全性」「計画性」について考慮しないままでも、全幹法だけでこのリニア事業を進めていくのか」との質問が被告の国に出されたわけですが、これに対しては、被告は準備書面で「全幹法1~8条の規定で鉄道事業法の要件を充足していれば足りる」と回答しております。
 そこで、今回、裁判長は以下の質問を被告に投げました。

工事実施計画の認可(事業認可)の前に、(2011年5月20日の)営業主体・建設主体の指名という段階と、(5月26日の)整備計画の決定という段階がありますが、それぞれの段階での判断がもし違法であれば、それが承継され、最終的に工事実施計画の認可も取り消し事由になるという判断枠組みでいいですか?

 リニア計画は、とても大雑把に書くと、

①2011年5月20日  国土交通省に設置された交通政策審議会・中央新幹線小委員会の審議を経て、「中央新幹線はリニア方式で」「ルートは南アルプスを貫くCルートで」と決まり、国はJR東海をその「建設主体」と「営業主体」に指名。

②2011年5月26日  その「整備計画」が決定され

③2011年5月27日  国はJR東海に対して、リニアの建設指示を出す。建設指示とは、工事しろということではなく、工事に必要な手続きに入れということ。つまり、まずは環境アセスからやりなさいということです。

③2014年10月17日  その環境アセスの結果を審査した国土交通省がリニア事業を認可する。これで、JR東海は着工が可能となりました。

 との手続きを踏んでいます。

 裁判長は、①か②か③での判断が違法であれば、④もまた違法になると判断していいのか? と国に尋ねたということです。

 これに対して、被告は

「建設指示については、工事実施計画の認可とは別の処分となる。基本的には、違法性の継承は認められないと考える。ただちに工事実施計画の認可の違法にはならない」

 すろと、すぐさま裁判長は

「そこがポイント。そこをまとめてください。そこを曖昧にしたままだと進められない

被告「次回期日までには明らかにしたい」

裁判長「早めにお立場を固めてください」


 裁判のあとの記者会見で、中心弁護士の関島保雄弁護士は「裁判長は鋭い質問をした。要は、今回の事業認可の前に建設指示をしている。法律論として、事業認可の前段階の建設指示や手続きに違法があれば(十分な安全性の議論がなされていなければ)、今回の事業認可手続きの違法性につながるんですか、どうですか? と裁判官が釈明した。これは一つの争点になります」と今後の進展への深い関心を示しました。

 また、記者会見のあと、参議院議員会館の報告集会へとタクシーで移動したわけですが、たまたま同じタクシーに乗った関島弁護士は「今回の法律論は、国の準備書面では曖昧にされていた。ところが、あの裁判官はそこをきちんと読みこみ、はっきりしてと指示した。見ているところは見ている裁判長だ。的確に質問している」とその丁寧な仕事を評価していました。

 本ブログでも、今回の裁判長、古田孝夫裁判長が、かつて岡山地裁に在籍していた時に、アスベスト被害者が労働基準監督署による労災不認定処分の取り消しを求めた訴訟で、原告が勝訴したことを書いていますが、関島弁護士によれば、その裁判は古田裁判長が赴任する前は、どちらに転ぶか分からないぐちゃぐちゃの展開をしていたようですが、古田裁判長が赴任するや、論点が整理され、短期間で判決を出したそうです。
 勝訴か敗訴とかではなく、互いの資料をとてもよく読み込む裁判官として知られているようです。


2.岐阜県住民からの意見陳述
 12月の第2回裁判では、リニア車両基地が建設される予定の神奈川県相模原市緑区鳥屋の住民、栗原晟さんが意見陳述をしましたが、今回は、岐阜県土岐市の住民、和田悦子さんが、ウラン鉱床にぶつかるかもしれないリニア工事についての懸念を示す意見陳述をしました。
 リニアとウラン鉱床との問題については、本ブログでも何回か書いていますので、ここでは繰り返しません。

リニア裁判第3回記者会見←岐阜県の住民、和田悦子さん。土岐市議会議員でもある。東京地裁での記者会見において。右にいるのが関島保雄弁護士。

 以下、和田さんの意見陳述をスキャナから読み取ったものをそのまま転載します。


 原告和田悦子が意見陳述します。
 私は岐阜県土岐市泉が丘町に居住しております。12年前に隣市、瑞浪市日吉町の古民家を手に入れました。自然豊かなこの土地で農業をして余生を過ごしたいと思いコツコツと手作りでリフォームをしております。ところがその北西約300メートルの南垣外地区の地下にJR東海のリニア中央新幹線と非常口が建設されるということを聞き、とても驚きました。自然を壊してまで、東京名古屋間を40分で走るそんな早い乗り物を作る価値がどこにあるのか私にはわかりません。
 この地域は大小のウラン鉱床が点在しています。「春日井リニアを問う会」が2016年2月と3月に、3回にわたり東濃ウラン鉱床周辺の「放射線量調査」を行った結果、「リニアルート品川から245キロ地点の(御嵩町)で非常に高い測定値が認められました。
 私の古民家の近くにも宿洞ウラン鉱床がありますので、近辺の「放射線量」を測ってみました。地上から1mの所で平均毎時0.13~0.15マイクロシーベルトもありました。日によって計測値は変わりますが、他地区より高い数値ですので、地下深くを掘削すれば、放射線量の高いウラン残土が排出されるのではないかと危倶しております。
 JR東海はリニアの路線を設定するにあたって、「ウラン鉱床を回避した」と準備書には書いていました。しかし、それはJR東海自身がウランの有無を調査したものによるのではなく、既存の文献を参考にして作り上げた路線計画であることがわかりました。その文献は独立行政法人日本原子力研究開発機構(旧動燃)のものであります。あるジャーナリストがその日本原子力開発機構の職員にウランの有無を問いただしたところ「実際には掘ってみないことにはわからない」と答えたということです。私はその職員の言われた通りだと思います。文献上でウラン鉱床を回避したと言われても、実際にはウランを含んだ残土が出てくる危険があると思います。
 東濃地区のリニア問題を取り組んでいる団体「リニアを考える岐阜県民ネットワーク」が、JR東海に対して、2015年10月と2016年4月に、岐阜県内のルート上のウランの存在を確かめるためのボーリング調査をするように要請しました。それに対して、JR東海は「花崗岩による天然由来の放射能数値であり問題ない」と回答をしました。岐阜県はJR東海に対して、「事業者として、独自でウラン鉱床の有無を調べる責任があるのではないか」との意見を出しました。それに対してJR東海は、2016年7月25日に、瑞浪市日吉町の3キロ区間付近で、僅か11本のボーリンク調査を行っただけです。また、JR東海の評価書において、「万一、放射線量が比較的高い掘削土が確認された場合は、掘削土を覆土することにより敷地境界線における放射線量を管理値以下に低減させるとともに、速水シートなどを用いて雨水などの侵入を防止させることとする」としています。驚きました。覆土や速水シートを使うなど、そんな安易な方法しか対策をもっていないのでしょうか。ウランを掘削してしまえば、ラドンガスが発生します。ラドンガスは肺ガンを引き起こす一因になりうることが確認されています。
 地中にはこのほかにもカドニウム、水銀、亜鉛なども出土する可能性があります。2003年には東海環状線自動車道工事の掘削工事において、隣接している可児市久々利地区で黄鉄鉱という重金属が出土し、近隣の米農家は当時、耕作をやめなければいけない事態となりました。
 つい、今年の2月初めには、リニア日吉トンネル南垣外工区の工事で環境基準の4.2倍のヒ素と1.9倍のフッ素、1.4倍のホウ素が検出されたと報道されました。
 地元市民は大きな不安を抱えています。今後、どんな計測器で、どのようなプロセスを経て土壌の測定をしているのかを説明してほしい。また、市民による測定や見学もさせてほしいと要望しています。
 また、このヒ素などの問題に続いて、2月8日の新聞では、本件工事の施工業者が土砂災害のおそれのある区域で無許可で工事を行っていたことがわかり、岐阜県は業者に文書で是正を指導したことが報道されました。無許可であることを認識していたとのこと。許せない行為です。JR東海は市民の不安を払拭するべく情報公開をし、最善を尽くしてほしいと思います。
 加えて、井戸水が枯れた場合の補償に関してもJR東海から具体的な回答はありません。井戸は田舎で暮らす者にとってはお金には替えられない大切なものです。
 そもそも、JR東海は一企業の事業だと公言しておりました。「ペイできない」とも言っていましたので、おかしいとは思っていましたが、国から3兆円の融資を受けるようです。今後、何か事があった時は、福島原発事故対策費用やもんじゅ廃炉の多大な経費と同じように、結局、国民がツケを背負っていくことになるのでしょうか。
 私たち人間は、衣食住すべての面で、大地の恵みを受けています。今では宅地は自分の物のように思っていますが、昔は、決まった所有者は無く、自分がこの世にいる間、大地の神様より借りているものと考えられ「地の神様」を祀ったそうです。私は地中を深く掘り起こし、勝手に自然破壊することは神様の怒りに触れるのではないかと正直思っています。
 自然を壊すことは、人間をも壊していくことにつながります。本当の豊かさは自然環境をどれだけ残していけるかであると私は思います。脚本家の倉本聰さんは「日本は敗戦からただひたすら走ってきた。ブレーキもバックギアもなく、ゴールのないマラソンを欲望のままに走っているのではないか。哲学がなく、無反省な進歩をしている」と今の日本を心配しています。
 私達は未来を生きる子供たちのため、ブレーキをかけ、今後日本がどうあるべきかを真剣に考えなければいけない時が来ていると思います。このJR東海の見切り発車ともいえるリニア中央新幹線工事を一度立ち止まっていただきたいと思い、意見をのべさせていただきました。
 以上です。


●今後の日程

 いずれも103号法廷14時半からで、4月28日、6月23日、9月8日、11月24日、1月19日からです。原告弁護団としては、リニアが通る1都6県からそれぞれ一人を意見陳述させたい意向。4月28日が山梨実験線の被害について、6月23日が長野県での被害についての意見陳述が行われる予定です。
 じつは、こうやって何回も意見陳述を行うことを、通常、裁判所は嫌うらしいのですが、今回の裁判長はそのへんには抵抗はないようです。
 やはり長丁場になるかなと想像しています。 

 報告集会では、沿線住民の一人が「各地からの意見陳述を行うだけで相当の時間が取られる。そうこうしている間に工事は進む。裁判のスピードアップはできないものか」といった趣旨の発言がなされました。
 これに対し、弁護団は、「大型事業に対する裁判は、多くの場合、工事が9割がた進んでからの提訴となっているが、リニアはまだ本格着工前なので、時間的な余裕はまだある。まず論点を出し切る」と説明。

 確かに、1都6県からの意見陳述を、一回の裁判で一つずつやれば、それだけで来年1月までかかるわけです。
 もっとも、裁判は公判がすべてではなく、互いの準備書面の提出や、それを裁判官が読み込み吟味することも必要なわけです。

 それでも、私などは、一回の裁判で2つくらいの意見陳述ができないものかと考えてしまいますが…。
 ただ、このあたりは素人は口を挟まないのが賢明です。

渓流9条の会リニアよりシニア←釣り人の目線から環境問題に取り組む「渓流9条の会」の会員も裁判を傍聴。3月20日14時から東京都練馬区の石神井公園区民交流センターで「釣りと環境シンポジウム」を開催。原発事故による渓流魚への影響や、リニア計画の魚への影響などを報告する。右にいるリニア弁護団の山下潤弁護士も同会の会員。

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 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、数十組もいる会うべき人たち・組織の多くに会えないでいます。また、リニアに関する記事を書こうにも、ほとんどの雑誌はJR東海が広告主であるため、記事を掲載できず、取材するほどに資金力が落ちる状態が続いています。今後は、再び単行本の発行を目指しますが、私のリニア中央新幹線に関する取材へのご寄付をお願いできないでしょうか?  カンパをしてくださった方には ★ブログに記事を掲載する際のお知らせ。 ★雑誌に記事を載せる場合の、掲載誌送付。 ★単行本を出した際の、一冊謹呈。  など、せめてもの特典を用意いたします。  なお、いただいたカンパは以下の用途に限定します。 ★取材地までの往復交通費。 ★取材地での宿泊費。 ★リニア中央新幹線に係る資料代。  食費は自己負担としますが、使用明細は公開します。  ご協力いただける方は以下の口座への入金をお願いいたします。  みずほ銀行・虎ノ門支店・普通・1502881 カシダヒデキ  ご入金に際し、ご住所や連絡先などを教えていただけたら助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
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アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。