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●岐阜県のリニアルート、245Km地点での放射線測定

 愛知県の「春日井リニアを問う会」の川本正彦代表から、4月上旬に実施したという、リニアルートの245Km地点(品川駅から245Km)での放射線測定の結果が送られてきました。

 川本さんは、データに信頼性をもたせるために、この調査を過去何度と実施しております。また、岐阜県在住で核開発に反対する運動を展開する市民団体「多治見を放射能から守ろう!市民の会」の井上敏夫代表も、リニアルートが決定した2013年には早くも同地点で測定を行っています。

 その結果の概要を2年前、私が整理したのが以下の表です。単位は毎時マイクロシーベルト。
 使用した機器は、アメリカ製のInspector。地点②、③、④はウラン鉱床地帯です。

岐阜県245Km地点 3回測定

 2年前の測定を取材した時の記事はこちらをご覧ください


●今回の測定結果

 で、今年4月9日、川本さんは再度計測を実施しました。
 その結果は以下の通りです。
 ただし、今回はInspector機は使用しておりません。
 そこで、ルート上の値とウラン鉱床地帯上での値とを比較するために、2年前と今回とで使用した、Inspectorではない測定器の値も公開しております。

岐阜県245Km地点 180409測定
 
 これを見て分かるのは、Inspectorではない測定器でも、やはりルート上の値のほうがウラン鉱床地帯上の値よりも高いということです。
 
 じつは、ある情報ルートでは、岐阜県ではすでに「ウラン残土が出た」との話も私の元には届いておりますが、こういう2次情報、3次情報はすぐに信じることは避けます。
 でも、245Km地点の地下に「何かがある」との推察は外れてはいないと思います。何があるのか。
 これは、市民団体が心配しているだけではなく、岐阜県の有識者も心配していることです。

 それについては、『リニア、ウラン残土が出てきたらどうするのか? → 「出てくることを前提にしていません」』と題したブログで紹介しております。ご参照ください。
 
 JR東海、岐阜県、国には本気の調査を望むところです。
●事業認可後に行ったウラン分析のためのボーリング調査は1地点の2回のみ

 最後に、この岐阜県作成の図の説明を。

ウラン分析のボーリング 2016年7月公表01 ウラン分析のボーリング 2016年7月公表02

 上の図はJR東海がどこで、ウラン分析のためのボーリング調査を行ったかの図です。
 『拡大1』と『拡大2』とありますが、「拡大2」は、「拡大1」の図にある「約3Km」の左側に位置します。「拡大1」の図の「凡例」で覆われている箇所です。この「拡大2」に245Km地点があります。
 この図が2016年7月に公表されました。

ウラン分析のためのボーリング2017年6月公表

 この図は、2017年6月に公表。

 点線はリニアルート。
 この一帯で掘削工事で発生する残土は、拡大図にある「南垣外非常口」から排出されます。その非常口の掘削が始まっているのは(本線トンネルの掘削は3年後)、前回の本ブログで伝えた通りです。

 当初「リニアルートはウラン鉱床を外れている」と主張していたJR東海ですが、岐阜県環境影響審査会などの指摘も受けてか、ウラン鉱床ではないが地質が似ている地帯とのことで、「約3Km」の地点でのボーリング調査を実施ます。

 ところが、その調査結果を描いた「2017年6月」公表『ウラン鉱床に比較的近い地域及び地質が類似している地域における地質状況について(平成28年度調査分)』と、その前年の「2016年7月」公表前年に発表した同名の資料を見ると、以下のことがひも解けます。


★「3Km幅」において、ウラン分析をするボーリング調査は3カ所
★「3Km幅」外においては、ウラン分析をするボーリング調査は1カ所

これを時系列で整理すると

 ★2012年1月19日(検査のための試料採取日) ⑧地点(245km地点)
 ★2013年1月8日(分析する会社の試料受付日) ⑤地点(南垣外非常口に近い場所)
 ★2015年12月25日(試料採取日) ③地点(南垣内非常口かそれに非常に近い場所)
   (上記3地点の地点番号は「2016年7月」公表版による)
 ★2016年10月17日(試料採取日) ①地点(南垣内非常口かそれに非常に近い場所)
  (この地点番号は「2017年6月」公表版による)

 JR東海はこの地域で「11本のボーリング」を実施しておりますが、そのうち「ウラン分析をする」地点は3地点(4回)でしかありません。
 そして、最初の二つは、公にはリニアのルートが確定していない時期での調査です。
 
 つまり、2014年10月の事業認可後にJR東海がウラン分析のためのボーリング調査をしたのは2地点(ほぼ同地点)。

 これも以前ブログに書いたけど、思った以上に反響がなかったのが、JR東海がじつは2012年や2013年1月という、まだリニアルートが確定していない時点で、まさしく川本さんたちが測定した245Km地点や非常口予定地近くでボーリング調査を行っていたという事実です。記事はこちら

 なぜ、ルート確定前に、まさしく今の確定ルート上でのピンポイントの調査が可能なのか。
 そのなぞ解きをする時間はありませんが、2016年と17年に公表された報告書では、ウラン濃度は低いので問題なしとの報告が上がっています。
 だがそれならそれで、なぜJR東海は、2012年と2013年にすでにウランの有無の調査をしていた事実を一般住民に説明してこなかったのか?(もししていたとしたら、この文節は後日削除します)

 細かな点でいくつかの疑問を覚える事案です。

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●岐阜県瑞浪市、非常口の残土運搬が始まった。

 いつもは、自分自身の記録を書き留めるこのブログですが、今回は、岐阜県在住のジャーナリスト、井澤宏明さんの書いた現地レポートを紹介します。
 岐阜県の瑞浪市で非常口(資材搬入口であり営業時の避難口。この完成後に本線のトンネルを掘削する)の掘削が始まりました。それを地元がどう受け止めているかのレポートです。
 人様のレポートですので、私のコメントは入れません。
 
 ただ、最低限の事実を基本情報として共有すれば、井澤さんのレポートをより深く読み取ることができます。以下、ご参照ください。
 
★基本事項
 岐阜県の東濃地区は日本最大級のウラン鉱床地帯で、JR東海は、リニアのルートは、この一帯の地下にある数々のウラン鉱床を避けていると説明する。
だが2016年2月の市民団体の調査では、リニアルートの真上での放射線の測定値こそ、近くにあるウラン鉱床地帯よりも高い値が出た。
 心配されるのは、そのトンネル工事でウラン残土が出てきた場合だ。ところが問題は、仮置き場はあるにせよ、ウラン残土をどこで恒久処分するかがまだ決まっていないこと。
 それが決まってからの着工であるはずなのに、決まらないまま、非常口の掘削が始まった。その掘削で発生する約130万立米の残土のうち約100万立米を近くの耕作放棄地で処分(積む?)する予定だ。そこに残土を運ぶための空中ベルトコンベヤーが完成した。


● 以下、井澤さんのレポートです。
 また、最近l、愛知県の市民団体「春日井リニアを問う会」の代表、川本正彦さんがここを訪れた時の写真を何枚か送ってくれました。その写真も随所に配置します。


ーーここからーー

●掘削前夜、変わる風景

 リニア中央新幹線を巡る談合事件の捜査が東京地検特捜部により行われています。日本を代表する大手ゼネコン4社がトンネルや駅などの建設工事を受注調整して分け合ったとされるこの事件の根底にあるのは、建設の必要性をあいまいにしたまま9兆円という巨費を投じてしゃにむに突き進むリニア事業のゆがんだ姿です。沿線の住民が作る団体「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」は昨年末、「独禁法違反という犯罪性の強い工事を続行することは決して認められない。JR東海はリニアの工事をいったん中止すべきだ」という声明を出しました。が、きょうも工事は続いています。


空中に巨大コンベヤー

 岐阜県内初のリニア工事が一昨年末に始まった瑞浪市日吉町を1月末、久々に訪ねました。「そろそろ掘削工事が始まるらしい」と住民から連絡をいただいたからです。
 品川―名古屋間286キロのうち86%がトンネルのリニア。工事中はトンネルの掘削口となり、完成後は緊急時の避難口となる「非常口」が地上数キロ置きにつくられます。
 日吉町の南垣外地区にも1か所が予定されています。非常口から約400メートルの長さの斜坑を掘り、そこからリニア本線となる日吉トンネル(7.4キロ)を東西に掘り進めます。着工から1年をかけて非常口工事現場や残土置き場の整備が行われてきました。


生活道路や農地を横切り、建設された巨大コンベヤー

 低い山々に囲まれた緩やかな谷間に広がる南垣外地区。その風景はしばらく見ぬ間に一変していました。高さ約20メートル、ジェットコースターのような巨大なベルトコンベヤーが生活道路を横切り、空を切り裂くように見下ろしています。

山梨実験線の高架橋を思わせるベルトコンベアー←空中ベルトコンベヤー(川本さん撮影)

 コンベヤーは非常口予定地から残土置き場まで約2キロも続き、谷全体がすっぽりと工場の内部か採石場になってしまったかのよう。人家の軒先から10メートルも離れていないところもあり、「これが動き始めたら住民は堪らないな」と重苦しい気持ちになります。

整備中の発生土処分地←整備中の発生土処分地(川本さん撮影)

 まだ掘削が始まっていないのにもかかわらず、辻々には交通誘導員が立っています。タンクローリーなどと出くわすたび、わずかに道幅が広くなった所で待たなければなりません。脱輪しそうな狭い道をバックさせられることも。
 コンベヤーは、非常口から掘り出した残土約130万立方メートルの8割強を、耕作放棄地に整備した置き場に運び上げます。JR東海によると、掘削は今年度内を目途に始め、3年間続きます。当初、残土はダンプで運ぶ計画でしたが、工事車両の通行が1日最大460台という想定に住民が強い不安を訴えた結果、コンベヤーを使うことで車両を160台まで減らすことになりました。


消えたコジュケイ

 南垣外地区では、リニア建設に伴う人家の立ち退きなどがないこともあって、工事に強く反対する声は上がってきませんでした。沿線各地で難航している残土の置き場が近くに確保出来たことも着工を早める一因となりました。自治会のメンバーは、建設中の生活への影響を少しでも減らそうと、JR東海や工事を請け負う清水建設などと話し合い、歩道設置などを実現してきました。
 それでも、穏やかだった農村の環境が変わることは避けられません。

南垣外 民家の裏にベルトコンベヤー←民家のすぐ裏を通るベルトコンベヤー(井澤さん撮影)

「(工事のない)日曜日が待ち遠しい」。非常口予定地の近くに住む女性はつぶやきます。リニア工事が始まり、車両や重機の音、樹木伐採の音などさまざまな雑音が耳に入るようになりましたが、「ノイローゼになっちゃうで、気にしないようにしてる」といいます。


人家に迫るコンベヤー。住民の暮らしは守られるのだろうか

 庭先に来ていたコジュケイのつがいが姿を見せなくなり、これまでは田んぼのあぜ道までしか出てこなかったキジが庭に現れるようになりました。工事により、すみかを追われたようです。「今年はウグイスが鳴くだろうか」。こんなことを心配しなければならなくなりました。

南垣外工事ヤード←南垣内工事ヤード。住居のすぐ近くだ。(川本さん撮影)

 目に見える変化だけではありません。掘削が始まれば、この連載でも触れたように、この地域では、ウランを掘り出す可能性があります。放射線を出し肺がんを引き起こすラドンが空中に放出される危険性と隣り合わせの工事です。
 住民の男性に掘削直前の心情を問うと、「丁寧な仕事をやってほしいだけです」と言葉を絞り出しました。

処分地の前の道路脇に石碑←処分地の前の道路に石碑(川本さん撮影)


ーーここまでーー

 コメントは書かないと書きましたが、一つだけ。
 私も2年前、まだ工事の始まっていないとき、この現場を訪れましたが、住民は間違いなく来る工事に不安を覚えていました。だが、その不安の発露は「心配」や「懸念」であり、できるだけ住民に迷惑をかけない工事を「お願い」するという、いわば、ほかの地域とほぼ同じ対応で来ているようです。
 私は反対運動をやれとは言いません。だが、「心配」や「懸念」を表明するだけでは、決して相手と「対峙」することにはならないということが分かってきました。
 井澤さんは、ウラン残土が排出する可能性がある以上、放射能問題に詳しいスペシャリストの元に住民数人を連れて行ったことがありますが、それでも、住民の方向性に大きな変化は現れませんでした。
 住民は責められない。特に集落という小さい世界に住む以上、正面から事業者と対峙するのは難しいこともあります。そこで、外の組織との交流がどれだけあるのかが、今後、リニアでもほかの大型公共事業でも課題となるところです。

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●計画路線から外れても、地下水は地下でつながっている。
 リニア計画において、どの地域でも心配されているのが「地下水の枯渇」です。
 品川・名古屋の286Kmのうち86%の246Kmでトンネルが建設されるのだから、実験線周辺の河川の枯渇が事実として残った以上、今後の工事においてその周辺住民が心配するのは当然といえましょう。

●心配する座間市

 地下水枯渇を恐れるのは、リニア計画沿線上の自治体や住民だけではありません。
 神奈川県座間市でも相当に気をもんでいる。
 座間市は、リニアが通り中間駅も建設される相模原市に隣接する自治体。
 私はその怖れを初めて耳にしたのは、2013年10月上旬に相模原市で開催されたJR東海の「準備書」説明会においてです。

 JR東海の説明に対して、会場で手を挙げた座間市の住民が「相模原市と隣接する座間市はその水供給の85%が地下水です。リニア工事において、座間市の地下水位が下がったり枯渇する可能性はないのか」とJR東海に質問したのです。
 これに対して、JR東海は「影響は小さいと予測します」「事後調査もやります」といった回答をしていたと記憶しております。

 以下、座間市とJR東海とのやりとりを整理しました。

★2014年5月22日  平成26年度第1回「地下水採取審査委員会」会議
 地下水への影響を市も問題視しJR東海が「環境影響評価書」を発表した2014年4月の翌月の5月22日には、有識者からなる「平成26年度第1回地下水採取審査委員会会議」を実施しました。
 そこで話し合われたことは
評価書は情報が依然として不十分
▼評価書には、相模原地区での地下水データが4地点しか示されていない。座間市の涵養域では、相模原台地を横断する6Kmの区間について、少なくとも300~500mごとののデータが必要。
▼砂礫層の透水係数は通常、毎秒10の-3乗~10の-4乗メートルなのに、評価書では10の-5乗メートルと桁が違うのは疑問。
工事中に地下水位の変動が生じるのに、評価書では、構造物の完成後の落ち着いた状態での地下水位を示している。これでは地下水流動阻害についての情報は不十分。
▼相模原市での中間駅は「深層に建設すべき」。そうすれば、トンネルは相模原市と座間市の主帯水層である相模層群を通過しない。

★6月9日  「委員会」から遠藤三紀夫市長への建議。
 この会議により、6月9日、委員会は上記問題点をクリアするために、「座間市での水解析、工事中の地下水流の計算、そしてトンネルの深層での建設など」をJR東海に要望するよう遠藤市長に建議します。

★6月18日  市長からJR東海・柘植康英社長への質問
 この建議を受け、市長はその内容を文書でJR東海に伝えたうえで「貴社の見解を伺います」との質問を投げています。
 そして、そこには一筆「7月18日までに文書にて御回答くださいますようお願いいたします」と記しています。

●文書での回答はいたしておりません

 これに対して、JR東海は以下のように回答したのです。

★7月18日  JR東海・中央新幹線推進本部・中央新幹線建設部・環境保全統括部の内田吉彦部長から市長への回答
 これまでも環境影響評価の内容についてご質問いただいた際には、面談や電話にて説明させていただいており、文書での回答はいたしておりません。今回の内容についてのご担当の窓口に面談の上説明をさせていただきたいと考えております。
(といった内容については文書で回答している)

★同日  口頭での説明
  実際、同じ7月18日、神奈川県のJR東海環境保全事務所の社員が来庁し、口頭回答。市は聞き取った内容を書面に起こします。ごく簡単にまとめれば

▼地下水の解析範囲の南端(座間市に近い側)では、構造物(駅やトンネル)を建設してもしなくても、その地下水位の差はほぼゼロ。したがって、以南を解析する必要はない。
▼深層地下水の帯水層は傾斜があるので、地下水はトンネルの周囲を回り込むため、地下水位への影響は小さい
▼適切な工法で十分に遮水するので、トンネルが深くなる方向に地下水が流出する可能性はない
▼漏水の可能性は低い以上、モニタリングは必要ない

 といった内容です。

 この回答に対して、市長は、「回答には理解いたしかねる部分がある」として「回答の疑問点について」と題した文書を、再度、JR東海・柘植社長に提出。

★7月29日  遠藤市長から柘植社長への照会
 当市といたしましては、今回は座間市地下水採取審査委員会委員長からの建議を受け、座間市長から貴社の代表取締役社長宛に文書で紹介したもので同様に取り扱われるべきものと考えておりますが、貴社の考えを改めて伺います。文書回答できない理由が他にもあればご説明願います。

★8月8日  内田部長から市長への回答
 環境影響評価に必要な内容は評価書に記載してあるものと考えており、改めて文書での回答をすることはいたしておりません 今回のご質問内容についても、貴市ご担当の窓口に面談のうえ説明させていただきました。


 そして、JR東海のこれら回答を受け、8月21日に第2回「地下水採取審査委員会」会議が開催されるのですが、そこでは、JR東海の回答を「到底満足できるものではない」として、各委員から多くの疑問や意見が提示されました。いくつか列挙します。

▼環境影響評価に示されている透水係数はばらつきが大きく、上総層群に至っては最大値と最小値で6桁も異なっている。ばらつきが大きい場合、リスク管理の観点から最大値を用いて計算する(中略)必要があり、単純に平均値を用いるのは環境影響評価として問題。
▼解析範囲の南端付近では地下水位差がほぼゼロであるとのことだが、解析範囲の南端の境界条件を既知水頭境界として設定しているのだからそのような結果になるのは当たり前であり、説明になっていない。
▼JR武蔵野線、京都市営地下鉄東西線の事例など、工事中に地下水流動阻害の影響が最も大きくなるという知見が数多くあるにもかかわらず、「影響が大きい工事完了後」という説明は受け入れられない。
▼遮水可能な工法を採用したとしても、全く地下水が漏出しないとは考えにくい。漏出は想定範囲であり、対応を考えておくべき。漏水が起こらないのが前提ならば、過去の事例を示すべき。

 委員会は、10月3日、この内容をJR東海に問い質すべきだ遠藤市長に建議。そして10月15日に遠藤市長がまたも柘植社長に「貴社の説明内容に係る意見・要望について」との文書を提出。
 これに対するJR東海の回答はA4用紙で2枚。

★12月26日  内田部長から遠藤市長に回答

 内容は、簡単に書けば「地下水への影響は、計画路線から10Kmも離れた座間市への影響はないものと考えております」といったもの。

★2015年1月30日  第3回「地下水採取審査委員会」会議
これに対して、「地下水採取審査委員会」会議は「納得できるものではない」が、「(3か月前の2014年10月に国が事業認可をして)建設の段階に入った以上は十分なモニタリングを行ってもらう」との方向性で一致。
▼モニタリングの地点、井戸構造、測定方法等の情報を提供してもらいつつ、最低月に1回以上はその結果を提供してもらう。
▼有識者、JR東海、座間市などで構成する「地下水対策検討委員会」の設立をJR東海に要望する。

 この2点について建議を受けた遠藤市長は、2月26日、その内容を「要望」として柘植社長に文書を送付。

★3月18日  内田部長から遠藤市長への回答
 「地下水への影響は、計画路線から10Kmも離れた座間市への影響はないものと考えております」
 「非常口およびリニア地下駅付近でモニタリングを実施することで、座間市域への影響も把握できる」
 「モニタリングの調査地点、測定方法、頻度などは学識経験者の意見を受けて検討し、着工前に座間市に報告する。モニタリング結果は公表する」

★5月8日  平成27年度第1回「地下水採取審査委員会」会議
 これについて、委員会は
▼モニタリング内容の決定前に座間市が意見を述べる機会が必要だ。
▼JR東海は、着工前の詳細な調査データを提示し、当委員会が同席の上で説明会を開催すべき
▼モニタリング結果はリアルタイムで公表すべき。
▼座間市が行っている地下水モニタリングデータもJR東海に提供する。

 等々を話し合い、またも、6月2日、遠藤市長が柘植社長に「要望」として文書を提出します。
 しかし、6月22日に内田部長から遠藤市長に送付された回答は、3月18日に回答とほぼまったく同じもの。
 これに対して、当然、委員会からは不満の声が出されるわけです。

★7月24日  平成27年度第2回「地下水採取審査委員会」会議
 ▼これ以上新たなシミュレーションの実施を求めても応答がない。
 ▼必要なのは、モニタリングで異常があった場合の対策を即時的に示してもらうことだ。
 ▼JR東海は座間市に説明するというが、この時に当委員会の同席もされるべきだ。

 この建議を受けた遠藤市長がまたまた柘植社長に要望を送りますが、

★9月17日  内田部長から遠藤市長への回答
 この回答はA4用紙のわずか半分。

「モニタリングの内容については、事業者の責任において学識経験者等に意見を求めて策定します。これら内容は、事前に貴市担当部局に丁寧に説明いたします」

★11月12日  平成27年度第3回「地下水採取審査委員会」会議
 この回答に、委員はほとほと疲れたのでしょうか、以下の発言をしております。

▼「回答はほとんど前回と同じ。これ以上は何を言っても同じ文書が返ってくると思われる。重要なのはJR東海の説明に当委員会が同席して、しっかり意見を言うことである」


 で、この後、同委員会は平成28年度に一度(2017年1月30日)と平成29年度に一度(2018年2月5日)だけ開催されておりますが、ここでは、もうリニア関連の話は出てきません。座間市での地下水総合調査のコンサルに「パシフィックコンサルタンツ社」(リニア計画での神奈川県の環境アセスを請け負った会社)を決めたとの話くらいで、わずかに、2月5日にこんなやりとりがあるだけです。

委員長「リニアの関係で何か進展がありましたか?」
事務局「特にありません
。地下水に関する調査結果等については、結果がまとまり次第、JR東海から座間市に情報提供をいただけるということで調整しています」


●●私からの質問

 結局、何を質問しても同じ回答を受け取っていた市はこの状況をどう見たのか。
 私は昨年のある時期、座間市環境経済部環境政策課環境保全係に質問をしたことがあります。
 できれば、対面取材を望みましたが、議会開催時期と重なっていたので、先方の要望で文書でのやりとりとなりました。ただし、最初に電話で問い合わせたときは、担当職員は「あの対応には誠実さを感じません」と相当な不満を漏らしておりました。
 以下、判りやすいように、一問一答形式に書き表します。

質問1 貴市は、何度もJR東海に対して「モニ夕リンダ計画について当市担当部局に説朋される際には、当市担当部局朧員に加えて、座間市地下水採取審査委員会委員の同席を要望します」と要請していますが、JR東海は一度もそれに応える回答を寄せておりません。
 貴係が最後にその要望をあげたのは2015年8月17日ですが、それ以降、JR東海は何かしらの回答を寄こしたのでしょうか。
 また、文書だけではなく、電話や直接対面などでの交渉の席でどういう回答をしているのでしょうか?
回答1 その1か月後の2015年9月17日付で、「中央新幹線(品川・名古屋間)建設に係る地下水モニタリングについて(回答)」との回答文書がありました。
これ以後に電話や直接対面による交渉はありません。

質問2 JR東海に要請した「地下水対策検討委員会」設立は実現したのでしょうか?
回答2 地下水対策検討委員会の設立は実現しておりません。

質問3 JR東海は、リニア工事でも座間市の地下水水位に影響はないと結論しておりますが、この結論に貴市はどのように考えているでしょうか?
回答3 JR東海が、一連の法に従った手続き等を進めているとはいえ、座間市地下水採取審査委員会からの意見を見ても不十分さを感じております
 平成28年3月に改定した「座間市地下水保全基本計画」で地下水影響予測を行いましたが、現況と大きな差は生じませんでした。
 しかし、市民からの不安の声も多いことから、今後も監視活動を行ってまいります。

質問4 貴市として、妥協できないのは、やはり「モニタリングでの同席」ということになるのでしょうか。
回答4 モニタリング計画について、座間市地下水採取審査委員会委員の同席のうえ、説明をしていただくことが重要であると考えております。

質問5 もし、JR東海が「モニタリングの同席」を認めない場合、貴市として次に取りうる要請や手続きはどのようなものになるでしょうか?
回答5 座間市地下水採取審査委員会に検討及び助言を求めながら、市として必要な対応をしてまいります。


 おそらく、委員会や市としては、これ以上の暖簾に腕押しをするよりも、何か動きがある際に要望を出していくことになるのだと思います。

 ただ、座間市のやりとりを一読してもう少し知りたいと思うのは

▼委員会会議は公開されているが、記録を見る限り、傍聴者の人数はいつも「一人」。もちろん、こうした会議はとても地味で目立たないから、この参加の有無では計れないにしても、一般民の不安はどれほどのものなのか。
▼もし、座間市の地下水に何かしらの影響が出た場合、JR東海はどう対処するのか。
▼長野県中川村などはそうですが、文書の質問に対しては、JR東海はちゃんと文書回答している。なぜ座間市ではそれができないのか。

 といったことですが、やはり、住民の声が大きくなることが、座間市とJR東海との関係性をよくする一つの鍵なのかもしれません。
 ちょっと書きすぎました。
 本日はこのへんで。

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 3月28日。長野県大鹿村に日帰りで出かけてきました。
 「大鹿村釜沢地区第一回公開発破騒音振動テスト」に立ち会うためです。

谷口さん宅の石垣が崩れる←昨年末のトンネル発破からしばらくしてから崩れた谷口さん宅の石垣。因果関係は判らない。

 きっかけは、23日の「ストップ・リニア!訴訟」で、釜沢から東京にまで出てきた釜沢の自治会長、谷口昇さんからその情報を得たことでした。
 大鹿村はリニア中央新幹線の南アルプストンネルの西側の基点となる村。そのなか最も南アルプスに近い「釜沢」集落はまさに掘削の最前線。 今、大鹿村ではトンネル掘削には至っておりませんが、トンネルを掘るために必要な非常口(資材搬入口であり、開通後は脱出口となる)を数カ所で掘っていて、釜沢はその最前線に位置します。

 昨年末、釜沢に近い非常口で、鹿島建設JV(鹿島建設、飛島建設、フジタ)による非常口での発破(ダイナマイト)作業が行われました。3Kgのダイナマイトが坑口から30mの距離で爆発し、その数秒後には釜沢全体(12世帯)に「地震か!」と思わせる振動が走りました。

 釜沢の住民の一人、ボブ内田さん(知る人ぞ知るベテランの反骨ミュージシャン)は「年末の発破は、振動が斜面を駆け上ってくるような衝撃を覚えた」と語り、釜沢のなかでも一段と小高い斜面の中腹に住むサイモン・ピゴットさん(前自治会長。イギリス出身)は「山が崩れてくるのではと思うほどの衝撃があった」と振り返ります。
 谷口さんの自宅でも、風呂場のコンクリート床が割れたり、しばらくしてから自宅裏の石垣が崩れるなどの事象が起こりますが、 あまりの振動と轟音に、同じようなことが起きれば生活ができないと住民がJR東海に訴えたところ、その因果関係は認められなかったものの、発破の使用は一時中止されることとなりました。

谷口さん宅の風呂場床が割れる

 その後、非常口は重機での掘削が続いたようですが、作業を早めたいのか、JR東海は集落に「3月28日に発破実験をするので、その騒音や振動を体験してもらい意見をいただきたい」と通知しました。
 谷口さんもFACEBOOKに以下の情報を載せています。

――ここからーー
去年年末に一回目の発破が行われた時、釜沢地区にものすごい振動があり、上の方に住む住民が山が崩れたかと思うほどの振動があったと報告を受けました。
その後、うちでは大きな雨漏りが始まり、風呂場のコンクリートが真っ二つに割れてしまった。
この後のJRとの懇談会で訴えたところ、因果関係が…と案の定言われました。
釜沢の集落はすべて地すべり地帯に指定されています。発破の振動が地すべりにどれだけ影響するかはだれにもわかりません。だからこそ住民はそうとうな不安をもっています。
しかしJR側はどうしても発破作業をやりたいということでこの騒音テストにいたりました時間のある方は実際に聞きに来て、感想を教えてもらえたらと思っています。
村内でも地域分断が進み、釜沢地区の住民への負担がますます大きくなっています。
現在の釜沢の実情を知ってもらうためにも、来れそうだったら来て、もし自分の家の地区だったらという視点で見てほしい。
――ここまでーー

 この実験には心動きました。
 だが先日も大鹿村の隣の中川村に行ってきたばかりだし、ここでまた高速代、ガソリン代などしめて1万5000円以上の出費は痛い。他にやっていた取材の締め切りも迫っている。ところがその締め切りが三日ほど延長されたことで、思い切って出かけることにしました。

 自宅を朝4時半に出発し、大鹿村釜沢集落の集会所に着いたのは9時半。ちょうど谷口さんはじめ釜沢住民の数人、村民も数人、市民団体『飯田リニアを考える会』のメンバー、信濃毎日新聞やフリージャーナリスト数人、国際的NGOメンバーなどが三々五々集まってきました。
 そして、JR東海や鹿島JVの職員も集まり、そこで10時ちょうどの発破を待ちました。今回の発破の位置は、集会所からは坑口までは約300m、坑口から発破設置地点までは110mと、約410mの距離があるとのこと。使用する爆薬は前回と同じ3Kgのダイナマイト。

「1分前です!」「10秒前!」「5,4、3,2,1 発破!」 そして数秒後、「発破終了です」

 全員が非常口の建設現場の方向に顔を向けて、どうなるのか待っていましたが、結論から言うと、発破はかけたけど振動らしきものはありませんでした。数人が「わずかに地面の振動を感じた」程度です。

集音計 振動計←JR東海、鹿島JVは集音計や振動計をセットした。

 このとき、JR東海と鹿島JVは騒音計、振動計測器、低周波測定器などを設置していましたが、 振動は計測可能の25デシベル以下のため計測できず、低周波も40デシベル以下との説明を受けました。
 これは物理的には距離が遠くなれば音も振動も弱まるので、当然といえば当然の結果ではあります。

●JR東海と住民との話し合い
 その後、JR東海、鹿島JVと住民とで集会所で話し合いに入りました。
 住民以外は集会所には入れないので、出てきた住民とJR東海の職員から話を聞いたところ、確認できたのは以下の内容。じつは発破だけではなく、残土問題についても話し合われたのですが、それは省略。

★JR東海としては、今後「昼2回+夜2回」の1日4回ペースで発破作業をやりたい。ただし、夜の発破はまだ当分先の話。やるにしても夜の1時とか2時もありえるので、その場合は住民に事前通知する。トンネル工事自体は24時間体制。
明日からでも本格的に発破作業を再開したい
★今回の発破実験での爆薬量は3Kgだが、どの地層にあたるかで量は変える。昨年末に迂回路として建設していた道路のトンネル工事では60kgを使ったこともある。

 だが住民が不安を覚えるのは、この地域はもともと「地滑り地帯」に指定されていて、アスファルトの道路にひび割れが入るのが当たり前なほどに地面が常に動いている(だからJR東海も、前回の年末の発破作業の後、釜沢地区に5カ所の地滑り計測器を設置している)。そこに発破の振動が加われば、地滑りを加速させないかということです。

釜沢は地滑り地帯。あちこちの道路にひびが入る←釜沢集落のあちこちでは道路に亀裂が入っている。地滑り地帯である事象の一つ。
 地滑り測定器←釜沢に5カ所設置されている地滑り計測器

 谷口さんのご自宅の風呂場の床のコンクリートが割れたりしたのも、発破との因果関係は証明されていないものの、住民にすれば、不安になる要素は増えた。
 その不安を解消してもらおうというのが、JR東海や鹿島JVの今回の実験の狙いであったかもしれませんが、不安が払しょくされたとはまだまだ言えないようです。

 私を含めたフリージャーナリストはJR東海の職員に以下のことを尋ねてみました。
――今回、騒音や振動はなかったが、仮に前回のような被害が起きたら、それでも工事は進めるのですか?
「今回の実験ですべて終わりというわけではありません。もし何かしらの体感があったら言ってください。その都度火薬量を減らすなど対処します」
――爆薬量は今後も3Kgで?
「今回は柔らかい地盤なので3Kgでしたが、もし硬い岩盤などにぶつかった場合は、爆薬量を増やすなどの加減をします」
――ここは地滑り地帯です。今後、発破の影響で地滑りなどが起きる可能性は?
「ならないと思います。ただ、そうなる、そうならないといった水掛け論を避けるためにも、私たちはきちんとデータを計っているのです」

 と、ここでボブ内田さんが一言。
データで判断するんじゃなくてさ、実際に、体感的なものが怖いの、オレらは
JR「我々はあくまでも数字で被害があるかどうかを見ますので」
ボブ「数字と現実がどれだけギャップあるかが問題なんだよ」

ボブ内田さんとJR東海職員←JR東海職員に自分の意見をぶつけるボブ内田さん(左)

 どうやらこの辺りが平行線です。
 実際、私もきちんと数字を取ることはやるべきだと思います。
 ただし、その数字を一般住民が判りやすいようにかみ砕いて伝えているのかというと、谷口さん曰く「専門用語の説明ばかりされても住民は全く分からない」し、また、住民が「不安だ」と訴えれば、その気持ちに寄り添うことを最優先すべきです。
 このあたりがJR東海や鹿島JVの課題ではあります(ただ、今回お会いした職員は住民や私たちには丁寧で、質問にもきちんと答えてくれた点については感謝します)。

 これは、これから振動や爆発音があればその都度JR東海や鹿島JVに言っていくしかありませんが、JR東海の職員が言っていたように、最大で60kgのダイナマイトも使ったこともある。
 これから非常口の掘削が進むにつれて、発破を仕掛ける場所は集落から遠くなる。一方でもしその爆薬量を今回の3Kgからそのうち5Kg、10Kg、60Kgと増やした場合、住民への体感はどうなるのかは注視したい。

 さて、私は当初、この実験が各住民が各自の自宅で待機して、つまり、発破地点からそれぞれ違った位置、違った距離に住む各自が振動や爆発音をどう体感したかを持ち寄って話し合うのかと思っていたらそうではなく、全員が集会所前で待機しての実験となったのですが、やはり住民もそこは反省点と思ったらしく、実験翌日の29日。谷口さんがFacebookに以下の情報を載せました。

――ここからーー

さっそく本日発破作業開始しました。
2発ありました。
一発目は午前11時ごろ。二発目は午後5時ごろ。

一発目は昨日のテストよりはるかにはっきりきこえました。
場所は自宅。
この時火薬は3.2㎏。

二発目は自宅で音楽を聴いていましたが、はっきりボーンと感じました。火薬はなんと4.8㎏!!!!
昨日のテストで失敗したのが、(住民が体感を確認する)場所です。
この地区はけっこうぼこぼこの斜面に家が乗ってるという場所なので、場所によって響き方が全然違うっていうことを提案しそこなってしまったことです。
どうも、うちはかなり響く場所のようです。

――ここまでーー

 これは、これから振動や爆発音があればその都度JR東海や鹿島JVに言っていくしかありませんが、JR東海の職員が言っていたように、最大時で60kg(言い間違い? 6Kg?)のダイナマイトも使ったこともある。
 これから非常口の掘削が進むにつれて、発破を仕掛ける場所は集落から遠くなる。だが爆薬量を今回の3Kgからそのうち5Kg、10Kgと増やした場合、住民への体感はどうなるのかは注視したいところ。


●山梨実験線で何が起きたのか?
 と、ここで思い出すのは、リニア山梨実験線のこと。
 山梨実験線は実験線とはいいながら、将来の営業本線を兼ねるから、リニア計画(東京・名古屋)の7分の1にあたる約43Kmはすでに完成しているのですが、この実験線の建設でも発破作業が行われました。

 山梨実験線で地上部分の東端には「リニア車両基地」があります。
 そのすぐそば(直線距離で100mもない)には何軒かの家屋がありますが、このうちの2軒に2015年8月にお邪魔させていただきました。

 Sさん(女性)は染物を生業としていて、1991年にここに移住してきました。
 ところが、実験線は1989年に誘致が決まり、1990年に測量や土地買収などが行われ、Sさんは本格的な建設が始まるまさにそのときにやってきたのです。
 Sさんはこう振り返ります。

発破は1日に6回行われました。そのたびに震度3くらいの揺れを経験しました。まさか移住早々、そんな毎日を経験するとは思ってもいませんでした」

 お隣に住むMさん(男性)の自宅は、おそらく車両基地に一番近い家屋です。

リニア実験線車両基地 Mさん宅から実験線を臨む


 Mさんは長年の夢であったログハウスを建てるため、ここに土地を選び、移住してきたのが2002年頃。
 実験線は「先行区間」(18.4 Km)が1997年に開通していて、すでに工事は終わっていました。
 ところが、2007年末にJR東海が突如「リニアの品川・大阪までの建設費を自己負担して建設する」と公表。これにより、実験線も「延伸工事」が始まります。それまで実験線の東端だったリニア車両基地からさらに東へとトンネルで延伸されることになりました。
つまり、今度はMさんもダイナマイトの騒音と振動に悩まされることになるわけです。

 このときの建設会社は「大成建設」。
 発破のたびに家がガタガタ揺れ、それも真夜中でもお構いなしに行われ、Mさんは大成建設に直談判し21時以降は発破をさせないと約束させました。だが、落ち着かない生活は続いたわけです。

「そのうち、すべてのことが気になって落ち着いて生活できなくなりました。たとえば、工事関係の従業員はそのへんに煙草をポイポイ捨てるし、車の後扉も遠慮なくバタン!と音を立てて閉めるし、夜でも大声で話すし、延伸工事が完成したらしたで、今度はリニアの走行音がうるさい」

 以下、Mさんが気になったことを羅列します。

★駐車場公害
「工事には多くの下請けや孫請けが入ります。各会社がそれぞれの駐車場を確保するために、この辺り一帯の土地は一時期駐車場のために開発されてしまい、従業員たちが一斉に車で通勤するようになりました。静かな暮らしを求めてきた私が無数の車に囲まれて生活するとは思ってもいませんでした。JR東海には『従業員の送迎はバスにしろ』と訴えましたがダメでした」

★ダンプ街道
「ここには坂道もあるので、リニア工事のダンプカーがエンジンをふかしながら通行します。また、トンネルにはコンクリートを吹き付けるのですが、コンクリートを作るためのミキサー車も無数に通りました。うるさいし、空気もおいしくなくなった」

★水の汚染
「確か、トンネルから出る水をろ過するプラントもありました。ろ過した後の不純物もトラックで運んでいましたが、因果関係は判りませんが、この地区のIさんのご自宅の裏を流れる川が真っ白になりました。私の自宅では、沢水(伏流水)をろ過したものをタンクに入れて使っていたのですが、工事が進むにつれて、台所のシンクが黒くなるほどに水が変わりました。私は大成建設に『水が悪いと使えない。浄水器を使ってもフィルターの色も変わるんですよ』と訴えました」

★低周波公害
 これは私もこの目で見ました。
 リニアが走行する。そのたびに、振動はないのに、Mさんのご自宅のカーテンだけがフワと動くのです。これは気持ち悪いなあ。

リニア実験線車両基地 Mさん宅のカーテンが低周波で揺れる


★空調音公害
 車両基地からは大型空調機が設置されていますが、その排気口がMさん宅を向いている。
 最初は気にならなかったけど、Mさんの自宅を出ると、ジーーーーーという電気的な空調音が絶えずなっている。これ、ひとたび気になったらもうだめで、ずっとそのジーーーという音が耳から離れなくなります。

リニア実験線車両基地からの空調音←右端に見える大型空調機から絶えずジー音が絶えないのがストレスになる。

 Mさんは、リニアの名古屋開通予定の2027年には80歳になりますが、悩みは「その時に体が動かなくなり、老人ホームに入るためこのログハウスを売ろうとしても、こんなリニアの近くじゃ誰も買ってくれないことです。ただであげると言ってももらってもくれないかもしれません。こんなはずじゃなかったのですが」

●赤石岳
 最後に、大鹿村でとてもきれいに見えた赤石岳の写真を。
 真下ではないが、この山の下をリニアは走る。もしこれが富士山ならば国民的議論が発生するのですが、赤石岳の場合はそこまでの話題にはなりません。
 また、大鹿村と一口で言っても、同じ村民でも、釜沢の問題をよく知らない、さらには無関心な人がいるのも事実。
 これらの人にいかに自分たちの問題であるかを考えてもらうかは本当に難しいです。

大鹿村から望む赤石岳。

増補悪夢の超特急
←拙著「悪夢の超特急 リニア中央新幹線」。

リニア新幹線が不可能な7つの理由


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2018/03/30 14:38 未分類 TB(0) コメント(0)


●子ども食堂は「居場所」
 初めて「こども食堂」を取材。東京都豊島区の「椎名町こども食堂」。

椎名町こども食堂の看板 椎名町こども食堂の箸

 実際に現場に身を置いて実感として判ったのは、貧困層の子どもをサポートするというよりも、とにかく「みんなで一緒にごはんを食べよう」を実現する活動いうことだ。
 貧困層でなくても、両親とも帰りが遅いために、「孤食」にならざるを得ない子どもたちもいる。
 そして「孤食」という視点に立てば、一人暮らしの高齢者もそれに該当する。
 「椎名町こども食堂」は楽しい場所だ。
 多くの子どもが来る。親子連れも来る。少数だが、一人暮らしの高齢男性も来る。そして、老若男女が混在するスタッフは本当に仲が良く、やはりそこには『家で一人でご飯を食べるよりは』と喜々として働き、スタッフ同士の食事で談笑する高齢女性もいる。
どの人にとっても子ども食堂は「居場所」になっている。

椎名町こども食堂のスタッフ←下は大学生から上は70代までのスタッフは本当に仲が良かった。


●子どもを「直接」「間近に」見守られる活動
 
 今、全国には驚くべき数の子ども食堂がある。数百ではない。じつはこの数字、近日中に「子ども食堂ネットワーク」が厚労省などで記者発表する予定なので、正確な数字をそれに先んじてここで伝えるのは差し控えるが、単純計算すると、全国では数万人の大人(スタッフ)が数十万人の子どもを相手に活動していることになる。これはかつてない規模の住民運動だ。

椎名町こども食堂の食事風景 

椎名町こども食堂で順番を待つ子ども


 おそらくほとんどの子ども食堂は、「子どもの6人に一人」が貧困に置かれているとの情報に、居ても立っても居られなくなって、住民が自主的に始めた。
 だが、「子ども食堂」は子どもたちを取り囲む社会環境を知る入り口になることで、多くの大人たちの意識を「貧困だけの問題ではない」と向上させている。
 たとえば、塾に行きたくても行けない子どもがいる。じゃあ、ついでに勉強もみてあげよう。
 たとえば、子ども食堂で仲が良くなるうちに、子どもから悩みを打ち明けられる。これで学校でのいじめを解決した事例もある。
 たとえば、子どもの保護者であるシングルマザーからも相談を受ける。そこで福祉の手続きへと導いたこともある。
 たとえば、子どもの親が外国籍で日本語が上手ではないため、やるべき行政手続きをしていないと知る。これも役所へとつないだり、大人のための日本語教室を始める等々。

椎名町こども食堂の紙芝居←椎名町こども食堂では、取材時、食後に別の住民団体が別の部屋で紙芝居を披露していた。

 これは、活動を続けるうちに、地元の民生委員、社会福祉協議会、市民団体、農家などとつながることでそういった活動の幅も増えていくのだが、肝心なことは、子ども食堂を続けていると、必ず、子どもたちと知り合いになり、その子を「間近で見守る」ことのできる大人になるということだ。
 今の時代、特に市街地において、街の大人と子どもとが同じ時間と場所を共有することはほとんどない。それが子ども食堂では可能になる。だから、放っておけなくなる。いい意味での「おせっかい」が復活する。

日本の福祉はまだまだ不十分。政府を批判するのも大切だが、そこに全エネルギーを費やすよりも、住民が地元にいる子どものために理屈抜きで動くことは大切だ。というよりも、世の中には、行政には絶対にできず、住民だからこそできることがある。
 子ども食堂が増えているのは、地域の子どものために何かしたいと思う大人が潜在的に多いことを示している。
 久しぶりに、日本は捨てたものじゃないと思い起こさせてくれた取材でした。

←「子ども食堂をつくろう!」(明石書店)。初期の子ども食堂の設立経緯、子ども食堂の作り方講座、各地の事例など、読み応え満点。

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2018/03/27 06:55 福祉 TB(0) コメント(0)
リニア取材のカンパのお願い
 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、数十組もいる会うべき人たち・組織の多くに会えないでいます。また、リニアに関する記事を書こうにも、ほとんどの雑誌はJR東海が広告主であるため、記事を掲載できず、取材するほどに資金力が落ちる状態が続いています。今後は、再び単行本の発行を目指しますが、私のリニア中央新幹線に関する取材へのご寄付をお願いできないでしょうか?  カンパをしてくださった方には ★ブログに記事を掲載する際のお知らせ。 ★雑誌に記事を載せる場合の、掲載誌送付。 ★単行本を出した際の、一冊謹呈。  など、せめてもの特典を用意いたします。  なお、いただいたカンパは以下の用途に限定します。 ★取材地までの往復交通費。 ★取材地での宿泊費。 ★リニア中央新幹線に係る資料代。  食費は自己負担としますが、使用明細は公開します。  ご協力いただける方は以下の口座への入金をお願いいたします。  みずほ銀行・虎ノ門支店・普通・1502881 カシダヒデキ  ご入金に際し、ご住所や連絡先などを教えていただけたら助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
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スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。