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●工事が始まらない静岡県
 
 リニア中央新幹線の計画沿線(東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知)では、リニア建設に向けての工事が始まっています。
 とはいえ、最近始まったばかりの山梨県での南アルプストンネル掘削を除けば、本丸であるトンネル掘削にはまだ時間がかかりそうです。
 そして、1都6県のなかでも静岡県ではまだ工事が始まっておりません。
 これは一つには、JR東海が静岡市とも静岡県とも協議を続けていることがあげられます。

 私はリニア関係の取材で静岡にはほんの数回足を伸ばしたことがありますが、やはり素人ながら「大丈夫か?」と思ったのが、大井川源流部の「燕(つばくろ)沢」に静岡県での建設発生土(残土)360万立米(東京ドームの約3倍分)を積むという計画です。
 高さ70メートル、最大幅300メートル、 長さ500メートル。
 高さ20階建てのビルがサッカー場15面分の広さで立ち並ぶことを想像すれば、感覚としては「大丈夫か?」との疑問を持ちますが、大切なのは、これが科学的に大丈夫なので、ここは専門家の意見を重視したいところです。

燕 360万立米の残土が置かれる?←燕沢。立ち木の後ろに大井川の水面が見える。

 以前も本ブログで書いたことですが、静岡市とJR東海との協議で、専門家から「それだけの巨大な残土山にもし土石流などがぶつかると崩れる恐れがある。人工物であるなら絶対に崩れない建設が必要だ」との趣旨の意見が出されたとき、JR東海は「どんな災害にも崩れない、ということこそ非科学的です」と返したのです。
 確かにそうかもしれません。だがそれは、JR東海が崩れる可能性があると言ったということです。

●そもそもの疑問 ーーこれが残土「活用」と言えるのか?ーー
 ただ、それが崩れるか崩れない改善に、果たして、残土を積むことが残土の有効活用と言えるのかこそを議論しなくてはと思います。
 というのは、法律上、残土は「廃棄物」ではなく「資源」だからです。つまり、「活用」しなければならない。
 これについての議論は静岡市でも静岡県でもJR東海との協議の場であったのかは、もう一度全記録を読み直して確認したいところ。

 素人ながら、私はその疑問から始まって、先月、静岡県に対して、以下の質問を投げてみました。特に法的な側面から、ここに残土を置くことがどうやったら許可されるかについてです。
 質問する部署は多岐にわたるので、ここでは、静岡県の交通基盤部に骨を折っていただき、各部署から私の質問を集約していただきました。ありがとうございました。


●質問1 残土の定義について
 法律上、残土は「廃棄物」ではなく「資源」です。つまり活用しなければならないものです。
 しかるに、JR東海の計画の一つである、360 万立米もの残土を燕沢に積み上げる行為は、なにをもって「活用」だと位置づけられるのでしょうか? JR東海からはその点においてどのような説明を受けていらっしゃるでしょうか? 県はその説明に納得していらっしゃるのでしょうか。

★回答1 平成 29 年1月にJR東海から提出された事後調査報告書には、燕沢を中心として発生土置き場を計画すると記載がありますが、詳細な計画は示されていません。
 工事着手前にJR東海から県に提出される、施工計画や環境保全計画等において、環境への影響を確認することとなります。
(樫田注:これは『再生資源利用計画』や『再生資源利用促進計画』なども含むかと思います)

●質問2 河川区域について
 燕沢はそもそも「河川区域」に該当するのでしょうか?と言いますのは、JR東海は「残土は河川区域外に置く」と表明しているからです。
 しかし、河川法第6条1項には、民有地や国有地との境界が曖昧であれ、「河川の流水が継続して存する土地・・」と定義されておりますが、大井川と隣接する燕沢(私も現地に行ったことがあります)はこれに該当しないのでしょうか?
 そもそも、「誰が」燕沢を「河川区域」であるか否かを判断するのでしょうか?

★回答2 河川法第6条では「河川区域」を次のように規定しています。
①河川の流水が継続して存する土地及び地形、草木の生茂の状況その他その状況が河川の流水が継続して存する土地に類する状況を呈している土地(河岸の土地を含み、洪水その他異常な天然現象により一時的に当該状況を呈している土地を除く)の区域
②河川管理施設の敷地である土地の区域
③堤外の土地(政令で定めるこれに類する土地及び政令で定める遊水地を含む。第三項において同じ)の区域のうち、第一号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定した区域

大井川と隣接する燕沢の一部は①に該当し、静岡県が現地の状況に基づき判断しています。
なお、静岡県中央新幹線環境保全連絡会議で JR 東海が示した資料によれば、「JR東海が発生土を置こうとする範囲」については、河川区域外となります。

●質問3 燕沢について
 JR東海が残土を置こうとする燕沢は、そもそも100%「特種東海製紙」の土地なのでしょうか? 境界線は確定しているのでしょうか?

★回答3 静岡県中央新幹線環境保全連絡会議で JR 東海が示した資料によれば、「JR東海が発生土を置こうとする範囲」は、大井川の河川敷(官地)ではなく、特種東海製紙の土地(民地)と静岡市管理の林道(官地)になります。
「JR東海が発生土を置こうとする燕沢」の周辺における大井川の河川敷(官地)と民地との境界は確定しています。

●質問4、5 省略(あまりにも素人の質問内容なので)

●質問6 森林法の適用は?
 仮に「河川法」の適用外だとしても、「森林法第10条2項」は適用されるでしょうか?
10条2項では「開発行為をしようとする者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない」と定めています。
県としてはこちらの適用も睨んでいるところでしょうか?

10 条2項2には

都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、これを許可しなければならない。
一 当該開発行為をする森林の現に有する土地に関する災害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。

と定められております。

★回答6  森林法第 10 条の2第1項に規定する地域森林計画の対象となっている民有林において開発行為(政令で定める規模をこえるもの)をする場合は、森林法が適用されます。
ただし、同項のただし書きの規定により、第3号「森林の土地の保全に著しい支障を及ぼすおそれが少なく、かつ、公益性が高いと認められる事業で農林水産省令で定めるものの施行として行なう場合」は、この限りでないとされています。
なお、当県では、森林法第 10 条の2第1項の許可に関する事務ついては、地方自治法第 252 条の 17 の2第1項の規定に基づき、静岡県事務処理の特例に関する条例を定め、静岡市が処理することとしています。


●再質問1  森林法第 10 条の2第1項について
(1)「おそれが少なく」とは誰が判断するのでしょうか?
(2)「公益性が高いと認められる」とは誰が判断するのでしょうか?
(3)「農林水産省令で定める」とは、どのような手続きを経て農林水産省が省令を出すに至るのでしょうか?

●再回答1 森林法第 10 条の2第1項第3号「森林の土地の保全に著しい支障を及ぼすおそれが少なく、かつ、公益性が高いと認められる事業で農林水産省令で定めるものの施行として行なう場合」の事業については、森林法施行規則(農林省令第 54 号)で次のとおり定められています。

森林法施行規則
(開発行為の許可を要しない事業)
第五条 法第 10 条の2第1項第3号の農林水産省令で定める事業は、次の各号のいずれかに該当するものに関する事業とする。
一 鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)による鉄道事業者又は索道事業者がその鉄道事業又は索道事業で一般の需要に応ずるものの用に供する施設(以下省略)


●●素人なりに整理してみると、JR東海の説明通り、残土を置くのが「河川区域外」ならば、河川法は適用されない
 残る森林法にしても、同法第 10 条の2第1項のただし書き「森林の土地の保全に著しい支障を及ぼすおそれが少なく、かつ、公益性が高いと認められる事業で農林水産省令で定めるものの施行として行なう場合は、この限りでない」とされてしまえば、残土置き場は許可なく建設されることになってしまうのか?
 
 そこはもう少し詳しく県に尋ねてみますが、農林水産省がどういう形で絡んでくるのか絡んでこないのかも今一つ判りません。
また、農林水産省令で定める事業は、「鉄道事業法による鉄道事業者」がその鉄道事業で一般の需要に応ずるものの用に供する施設を建設する事業ということですが、そもそも全幹法でのリニア計画なのだから、JR東海はこれには該当しなくなるのでしょうか? となると、やはりこの事案は開発行為の許可を要するということになる?

 回答をもらうたびに新たな質問点が次々と出てきますが、私の質問が素人レベルである限り、県とのやりとりを延々と繰り返すより、ここはいったん専門家である弁護士さんたちに、河川法や森林法がどう適用されるか、されないかなどの整理を頼みました。
 その情報が来てから、新たに県に問い合わせをしてみようと考えております。

●国土交通大臣の意見
 ついでに。
 思い出すに、2014年7月、国土交通大臣からJR東海のリニア計画への(環境影響評価書への)意見が出されたわけですが、そのなかで、残土置き場については以下のように記述されております。

② 発生土置場の選定要件
今後、新たに仮置場の設置場所を選定する場合については、自然植生、湿地、希少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等、動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い区域、土砂の流出があった場合に近傍河川の汚濁のおそれがある区域等を回避すること。
また、登山道等のレクリエーション利用の場や施設、住民の生活の場から見えない場所を選定するよう配慮するとともに、設置した際には修景等を行い、自然景観を整備すること。

 しかるに、JR東海が残土を置こうとする燕沢には登山道(人も車も通れる)があるわけで、燕沢に残土を置くのは、大臣意見にそぐわないように思います。だが国交省は、私の取材に対して「事業認可にあたり、大臣意見を守らなければならないとの定めはないのです。事業認可に必要なのは全幹法に適合しているかどうかです」と回答しているから、JR東海も国交省もここは重視していない。

残土置き場予想図←JR東海が作成したとても分かりにくい、残土を積んだ後の燕沢のビフォー・アフター。

 また、県とのやりとりで判ったことがもう一つ。
 以前、静岡市に電話取材したところ、市は「JR東海が残土を燕沢に置くことに関して、市としては河川法も森林法も適用できる権限はありません。できるのは林道使用許可を出せる条例の適用だけです」と言っていたのですが、今回の県の回答によると、市が森林法を適用するということです。
 このあたりは市に再確認してみましょう。

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●リニア高架につきまとう2つの問題

 3月6日。山梨県笛吹市に行きました。
 笛吹市には「リニアが見える丘公園」があり、高台の公園からは、リニア実験線のなかでも防音フードで覆われていない1.6Kmの直線走行コースを走るリニアを見ることができます。

リニアが見える丘公園から1

 公園の東屋にはリニア走行モニターが設置されていて、リニアが今どこを走っているかを確認できます。

リニアが見える丘公園に設置されているモニタ

 だがこのフードのない区間には軌道近くにそこそこに民家があります。私が気になるのは2点。

1. 騒音は?
2. 日陰は?

リニアが見える丘公園から2


●基本背景
 実験線は1989年に山梨県への誘致が決まり、1990年から建設開始。そして、走行実験が始まったのが1997年。
 だが建設費のこともあり、実験線の全線開通はならず、18.4Kmでのスタートでした。延伸工事が始まったのは2008年。そして2013年8月29日に全線の42.8Kmが開通します。
 笛吹市の当該区間は延伸区間です。

●問題視されなかった騒音問題
 だが「リニアが見える丘公園」のある竹居地区では、延伸工事についてそれほどの反対運動はなかった。かといって、推進運動もなかった。いってみれば何も情報がなかったので、住民は何の判断もできなかった。
 竹居地区住民のFさんは、「JR東海も地区に説明には来ましたが、何も情報がなかったので、地区としては『作ってみないとわからない』といった、どちらかというと『やむを得ない』との判断でした」と振り返ります。
 ただ、Fさんが覚えているのは、JR東海が「この地区の騒音は65デシベルになります」との数字でした。というのは、Fさんはおそらく騒音が問題になると判断して、「どれくらいうるさくなるのか?」とJRに問い質したからです。
 ただし、地区住民の多くは騒音よりもどちらかといえば電磁波に関心があったようで、Fさんの質問はそれほど関心を呼ばなかったそうです。

●補償30年
 これは以前も、山梨県笛吹市御坂町上黒駒の住民の事例で書きましたが、リニアの高架建設では必ず日照問題が起こります。その場合、事業者は日陰となる家屋の住民に対して補償金を支払わねばなりません。その制度の詳しくはその時のブログを読み返していただきたいですが、補償期間は最長30年と決まっております。
 その補償がやはり竹居地区でもありました。
 つまり、日陰の対象となる住民は30年分の補償金をもらった(月額にすればそれほどたいした金額ではありません)。つまり、お金をもらったことで、その後は声をあげられなくなった。
 リニアの軌道から近いことで、日照障害を受ける家は、同時に騒音被害も受ける家でもあります。

●騒音
 では今、竹居地区での騒音問題はどうなっているのか?
 Fさんの自宅は軌道から100m以上離れているので、それほどの騒音はありません。
 軌道に近い住民は、いざ延伸工事が完成して走行実験が始まってみると、やはりうるさく感じているようですが、前述のように補償金をもらっているため「今さら声は出せない」とのことです。
 ただ「うるさい」といっても、人によっては静かな音でも、違う人には騒音に聞こえる場合もある。
 そこで、Fさんは2月下旬から、実験線周辺での騒音の実測を開始しました。
 笛吹市役所が無料で貸し出している騒音計を使い、今、時間さえあれば、あちこちで測定を繰り返しています。
 その結果が以下の表ですが、これでわかるのは、一般的に「うるさい」との指針となる70デシベルを超えるのは、リニアが最高速度500キロで走行時です。

Fさんの騒音実測表

 表では最も高い値を記録したのは、「センター南土手外」(軌道から10m)での96.9デシベル。センターとは、山梨県リニア実験センターのことです。ここには軌道の近くの小山に階段で登れる展望台のような場所があり、そこのことです。
 そのほかにも、「道の駅つる」での80デシベル(距離102m)を記録。
 また、表の下の「初狩北側」では距離170mで55デシベルを記録していますが、これは防音フードがあっての数値です。
 とはいえ、地元、竹居地区での測定はこれからとのこと。ただし、竹居地区に属している、リニアが見える丘公園の西門(軌道から20m)では時速170Kmという低速でも65デシベルを記録しています。

また、竹居地区の西に隣接する八代地区こそが、軌道近くに民家が密集しているのですが、隣の地区の住民がそこにノコノコ出かけて行って、騒音計を手に何十分も待機するのはなかなか憚るものがあるそうです。
  それを聞いたとき、私なら外部の人間だからできると思いました。また近いうちに、どこかから騒音計を借りて出かけることにします。

●JR東海こそが定点観測すべき
 だが本来は、FさんがしていることはJR東海こそがすべきことです。つまり、観測地点を決めて、週に一度でも定点観測することです。そうしてデータを積み上げてこそ、これからリニアの軌道建設する地区の住民への説明ができる。

 これをFさんはJR東海に問い質したことがあります。
「騒音の定点観測はやらないのですか?」
「定点調査はやりません」
「実際の測定はしているのですか?」
「しています」
「どこで?」
「…」
「そのデータをいただけませんか?」
「差し上げられません」
 唯一JR東海がFさんに提出したのが、環境影響評価書に書いた騒音の「予測値」です。
 実測値でない以上、データへの信頼度は弱いですが、それでも。3.5mの防音壁でも75デシベル以上が当たり前にあるのは興味深い。

JR東海騒音予測結果

●もっとうるさくなる
 今、Fさんが懸念するのは、もしこれで営業本線が開通した場合です。
 というのは、竹居地区を走行する区間は、実験線においては端に近いので、時速500kmでは走行していないから。
 私がリニアが見える丘公園から、走行するリニア車両を撮影していたら、やはりリニアを見学に来ていた1家3人(ほかに観光客はいなかった)が東屋のモニターを見て「今、235Km!」と確認していたように、スピードを落とす区間です。
 つまり、もし名古屋まで開通してしまったら、竹居地区もリニアは時速500Kmで走行することになる。しかも、今の7両編成ではなく、おそらく16両編成で。そして、現在は1時間に約4回の実験走行を見学できますが、名古屋開通となると、往復で10本が走行することになる。
 騒音を高める要因ばかりです。
 今、Fさんが測定を繰り返すのは、丹念に集めたデータは地域住民への具体的な説得材料となるからです。
「私としては、これ以上、地区を悪化させない活動を展開したい。そのためには私一人が頑張るのではなく、区会で話をして情報を共有し、賛同者を増やす必要があります。当面はコツコツ一人で活動しますが(笑)」

 単なる印象として「うるさくなる」と言うのは簡単ですが、人は説得できません。でも数字はうそをつかないから説得の材料になる。
 岐阜県のウラン鉱床地帯で市民団体が実施した放射線測定にしても、ただ「放射能が怖い」というのではなく、具体的な数字を得たからこそ説得力をもてたのです。
 数字にこだわるのも市民運動の一つだと改めて思ったしだいです。

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●安藤ハザマの受注

 昨年12月23日の毎日新聞に以下の報道がありました。

「リニア中央新幹線を巡る談合事件で、大手の大成建設が複数の中堅ゼネコンに対し、 工事の受注を断念するよう働きかけていたとみられることが関係者への取材で分かった。 東京地検特捜部と公正取引委員会は、大成建設側が大手4社内での受注調整に基づき、 中堅ゼネコン側に圧力をかけたものとみている模様だ。
 関係者によると、中堅ゼネコンに断念を働きかけていたのは、大成建設の元常務執行役員。
 リニア工事の業者選定手続きの過程で、複数の中堅ゼネコンの幹部をそれぞれ呼び出し、 受注を断念するよう求めていたという。その中には、初対面の相手もいたとされる。
  大成建設側が断念を迫った工事の中には、「品川駅(非開削工区)」があったという。しかし、この工事の受注を希望した中堅ゼネコンは大成建設側の意向に従わず、2016年5月にJR側との契約締結に至った。」

 この下線の部分、ちょっと調べればわかります。
 この中堅ゼネコンは「安藤ハザマ」です。

●社員からの話

 たまたま安藤ハザマの社員と連絡を取り合う機会がありました。
 その社員Aさんはリニアとはまったく関係ない部署なのですが、一応、「詳しいこと知ってる?」と投げてみたら「知らない」。

 とはいえ、それは「詳しいことは知らない」ということであり、社内では、以下の情報がなにげに伝播しているようです。

「当社は最新の施工実績を掲げ、品川駅の非開削工区を受注しました。
 その際、大手から横槍があり、それに屈しなかったという話は概ね合っています。
 リニア・プロジェクトがスーパーゼネコン以外にできないかと問われれば、部分的には中堅でも参入の余地はある。
 ただ長大トンネルや地下の駅舎となると中堅ゼネコンでは手を挙げるところはあまりない。スーパーがが仕切っている世界にあえて手を出す勇気がある企業はほとんどない

 それだけスーパーゼネコンは計画段階から発注者と関与し、提案と協議を重ね、発注者の意向を熟知しているのは周知の事実です。

 大規模事業の場合、万一の瑕疵での補償に耐えられない。また、入札応募にも積算に膨大な費用がかかる。これらを勘案しスーパー以外手を出していないのが実情です。

 問題は、発注者が上記理由でスーパーゼネコン以外を望んでいないだろうとの共通認識がある。当社が受注できたのは、当社の手に負える規模であったこと、当社の施工実績がこのケースにピタリとはまり、発注者も信用してくれた、など優位性があったため敢えて飛び込んだ、ということです」

 それほど目新しい情報ではないですが、「なるほど」と思ったのが、下線の部分。
 計画の公表後に関わるのではなく、計画の時点ですでにスーパーゼネコンが関わっている。逆に言えば、、計画段階では中堅ゼネコンは関わっていない。
 これは視点を変えれば、計画段階においてスーパーゼネコンが「独占」していると見ることもできますが、ここは専門家のご意見をいただきたいところ。

 私は法の素人なので「独占禁止法」がどの時点からの独占を禁じるのかの知識がありません。あくまでも、受注の独占がダメということ? 

 あまり余計なことにエネルギーは使うべきではないので、やはりこのリニア談合の件は、たまたま小耳にはさんだことくらいの情報を整理するに留めます。

 じつは、本日、山梨県のリニア実験線の明かり区間(防音フードのない区間)での取材をしていました。
 なかなか面白いデータも入りましたが、それは近日中に。

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●リニアの談合疑惑は取材しない

 報道から受ける印象としては、今のところ,談合を認めない「大成建設」、次いで「清水建設」が悪者扱いされています。

 確かに、資料をシュレッダーで破棄した等々の情報からは「何か隠しているのでは」との印象は持たれても仕方はない。

 ただ、私は大成建設を直接取材したわけではないので、二次情報からは何のコメントも出せません。

 もっといえば、この談合疑惑に関しては、積極的に取材しません。これを本気で取材しようと思ったら、ゼネコン幹部の自宅に夜討ち朝駆けを何十日と繰り返さなければならず、本音が出てくるまでタダ働きするだけの財布の余裕が全くないし、その作業は今マスコミ数社がやっているから彼らに任せます。

 また、この談合疑惑報道があったときに思ったのが、これを機に、この数年間で様々な個人や組織からあぶりだされたリニア計画にまつわる疑問や不可解な点などが周知されればいいなということでした。
 しかし、どうやらそうはなりそうもないし、それどころか、リニア計画をめぐる問題を周知していた人たちも、この談合疑惑についての情報発信に集中しがちで、本質が徐々に見えなくなっている。

 もっとも誰がどの情報を出してもいいので、そこに文句はありません。間違った情報さえなければ。
 感情ではなく事実だけで伝えれば十分です。


●談合があったとしても談合罪は適用されない

「談合」が一つのキーワードですが、そもそも談合とは「公共工事」における、発注者の工事予定額を事前に入手し、受注者が自分の都合のいい落札額で落札することで、たとえば、入札予定額にギリギリ近い高い額で落札すれば税金の無駄遣いになる。
 そこにおいて「談合罪」が成立します。
 しかし、リニア計画は民間事業なので、談合があったとしても談合罪は成立しません。だから、東京地検は「独占禁止法」でやろうとしている。

 また、3兆円を財政投融資という公的資金で借りたにしても、利子をつけて返せば文句を言われる筋合いもないのです。
 もっとも、その融資条件が、返済期間40年のうち30年間は据え置きで、無担保というのは破格の好条件であるのは間違いありませんが。
 もし、JR東海がこの財投資金の返済ができなくなり、その穴埋めに税金補てんがあるとすれば、それはその時に問題になることです。


●行政書士Mさんの話。

 横浜市に建設業界での入札状況にとても詳しい行政書士のMさんがいます。

 Mさんは、今回の談合報道で「建設業界では多くの人がまじめに働いている。その評価を貶めるような報道にならなければいいのですが」と心配しながらも、取材に応じてくれました。
 Mさんが教えてくれたのは以下のこと。

★談合は絶対にやってはいけない。他社を排除して落札額を調整することは許されない。公共事業であれば、税金の無駄遣いになる。
★ただし、建設業界では『話し合い』は当たり前にある。たとえば、複数の工区で1社が他社より多く受注したら工期が延びるので、できるだけ均等受注に近づける話し合いはある。
 なぜなら、元受企業の下には、下請、孫請けなどが合計で数十社も数百社もいるので、どこか一つの元受が多めに受注してしまえば
 ▼工期が延びる。これは発注者も困る。
 ▼食えなくなる下請けや孫請けが出てくる。

 つまり、元請けは、どの企業も食いはぐれのないよう「差配」や「話し合い」は行ってきた。
 今回の件にしても、談合を認めない大成建設と鹿島建設にすれば、その「話し合い」程度でなぜ批判されるのかと思いがあるのでしょう・・との説明でした。

 ただ、その「話し合い」でありながら、大林組と清水建設はそれを「談合」と認めた。

 では、その「話し合い」の中身が何であったのかは知りたいところです。
 受注額を調整してまでの他社排除があったのか。そうではなく、均等受注に限っての話し合いだったのか。

 今回の談合事件でも、ある工区で、いちど大成が落札にもっとも近い位置にいながら、最後に大林組に取られた・・との報道もありますが、これも大成、大林、そして発注者のJR東海との間で何かがあったのです。

 Mさんが言うには、犯罪性のない話し合いであれ、今後はそれすらもするのが難しい時代になるということ。

 公共工事においては、「建設工事紛争審査会」という、建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図る専門家による機関が自治体に設置されていますが

、Mさんは、

「今回の談合疑惑は、単なる『話し合い』であったとしてもブラックボックスのなかで行われていた。だから疑われる。今後は、第三者機関による透明性のある『紛争未然防止委員会』のようなものを設置して、その受注過程を明らかにするのがいいかと思います。そうすれば、受注額調整のようなことも起こりません。民間事業の独自性にどこまで首を突っ込めるかですが。ただ、均等受注がなければ工事の進捗も読めなくなるので、均等受注はある意味、業界では必要とされていた措置であることは間違いありません」

 均等受注のどこまでが許され、どこからがアウトか。すべてをアウトとするのは建設業界からすれば非現実的tととらえることでしょう。
 
 ただ、今回のリニア計画における工事契約(現在22件)において、スーパーゼネコンがほぼ均等に受注しているのは、ゼネコン同士による調整なのか、JR東海も絡んだのか、そこだけは知りたいところです。

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●昨日のブログで書き忘れ。工事前の土地取得は偶然?

 昨日、リニア訴訟での口頭弁論について書きましたが、原告の伊藤清美さんが裁判後の記者会見などで語ったことで書くべきことを書いていませんでした。

 リニア計画でのリニアルートが公表されたのは2013年9月、JR東海が「環境影響評価準備書」を公開した時です。
 
 ところが、伊藤さんの居住地である川崎市麻生区には「東百合丘非常口」が建設されますが、この非常口予定地を大成建設が2012年3月に既に購入してました。 この当時は、リニアルートはまだ幅3キロのなかのどこかを通ると説明されていただけで、どこに非常口ができるかもわからなかったのです。

 また、判らないのは、大成建設が取得した非常口予定地を、2014年11月にJR東海が大成から購入しておりますが、なぜかその非常口建設を担うことになったのは「大林組」だということ。

 一部噂では、用地確保したことで『顔を売った』大成が、リニア計画での第一号工事契約となる巨大工区である「南アルプストンネル工事(山梨区)」を落札した・・との情報もありますが、まだ裏は取れておりません。
 東京地検の捜査対象になるのか?

●「坂下非常口」の計画前での購入も偶然?
 また、愛知県春日井市での「坂下非常口」も予定地が買収されたのは12年7月。
 土地を買ったのは、JR東海が100%出資の「広小路土地」という会社(12年1月設立したばかり。そして15年10月にJR東海に吸収合併)。
 これも偶然か?

坂下非常口

 私が出会った元大成建設社員の話によると、大成は10年以上も前から、とにかく鉄道事業を赤字でも受け取ってその実績を作ることに腐心していた。JR東海の子会社である「ジェイアール東海建設」にも社員を出向させていたなどの事実から、「大成はJR東海に顔を売っていたんです」とその元社員は話してくれました。

 だが、名古屋駅近くの名城非常口では、工事契約を結んだのは、ジェイアール東海建設、戸田建設、そして、なぜか取ると予定されていた大成ではなく大林組。
 
 大林組と大成建設、そしてJR東海との間でなにかしらの軋みがあったのか? じつはあったようですが、それを今ここで書くわけにはいきません。

●南アルプスでの道路建設も偶然?
 また、これは拙著「悪夢の超特急」にも書いたことですが、不思議だったのは、2014年5月に静岡県の南アルプスでの非常口予定地まで車と徒歩で行ったのですが、すでに非常口までの立派な砂利道ができていたこと。
 しかも、その道路はピタリと非常口予定地で終わっている。

新しい道路


西俣橋看板

 まだ国が事業認可を出す前だから、もちろん、JR東海は工事はできません。そして、その道路終点あたりにあった看板を見ると工事の許可受者は「特種東海製紙」という南アルプスを社有地とする一民間企業。
 だからこの会社の道路工事といえばそれまでですが、それがなぜ、予想されていた残土運搬道路と一致しているのか。なぜ、非常口予定地でピタリと終点(始点)なのか。

 ともあれ、推測の域を出ない以上、やたらめったなことは書くべきではないので、このへんで。

増補悪夢の超特急
←拙著「悪夢の超特急 リニア中央新幹線」。

リニア新幹線が不可能な7つの理由


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