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●早川・芦安連絡道路の建設が1割だけ始まる。

もう4月の時点での新聞報道ですが・・

 山梨県早川町。
 山梨県側で南アルプスを掘削する起点となる町です。ここからは約329万立米の残土が排出され、評価書によると、その半分に当たる160万立米が町北部と南アルプス市とを結ぶ県道「早川・芦安連絡道路」の建設に使われます。

早川・芦安連絡道路 ←このイラストでいえば、オレンジ色の線が『早川・芦安連絡道路』です。


 つまり、この道路建設が始まらない限り、トンネル掘削も始められない。

 この件、4月1日の山梨日日新聞は以下のように報道しています(概要)。

「山梨県は、4月をめどに着工を決めた。道路の盛り土区間には、11月ごろから残土の運搬が始まる予定。4キロの道路のうち、早川町内の約400メートルの区間で、リニア残土約120万立方メートルを使って盛り土をする。盛り土工事に関する費用約67億円はJR東海が全額負担する。県は4月をめどに、木の伐採など準備工事を始める。今後は約3.5キロのトンネル区間の詳細設計などを進め、総事業費や完成時期を検討する。また、残土を載せたトラックが通る南アルプス公園線は、橋の補強工事も実施する」

 やや、もやもやが残る報道内容だったので、県道路整備課に尋ねてみました。

ーー1月に電話したときは、「測量をしているところ」とのご回答でした。もう測量は終わったのですか?
「はい、終わりました?」

ーー予定ルートに民有地はなかったのですか?
「一件だけありました。補償金を払って用地買収させていただきました」

ーー以前の情報なら、「早川・芦安連絡道路」の事業費は80億円の想定でした。しかし、今回は、早川町側の400メートル区間だけで67億円となっております。残り3・6キロの南アルプス市側の測量と設計と予算はどうなっているのですか?
「じつは、芦安側で予定していたトンネル出口が当初の計画通りにいかないことが判明しました。そこで今、トンネル出口の設計変更をしなければなりません。ですので、測量もまた一から始めていて、どれくらいの事業費がかかるのかも調査中です」

 400メートルの盛土区間で67億円。
 その9倍の3・6キロのトンネル区間ではいくらになるのか。おそらく、合計で80億円を超える? 
 当初は、80億円のうち、県はJR東海の30億円負担を望んでいたようですが、どういう話し合いだったのか、早川側の67億円についてはJR東海の全額負担となりました。

 ともあれ、11月から120万立米の残土が搬入されるにしても、山梨県全体で排出される676万立米の2割。残り8割は、120万立米を搬出している間に順次決めていくのかな。JR東海もこのあたりは全力で急ぐはずですが、そもそも、もしこれが国の公共事業であれば、国が残土の最終処分地を指定して事業にゴーサインが出ますが、民間事業のリニアではそうはならなかった。

 結局最後まで「残土処分については、都県を窓口にします」だけで手続きを乗り切り、事業認可を受けた。
 民間事業であれ、こういった大型事業に対しては、残土処分を確定させてからの事業認可を考えるべきと思うところです。


●拡幅はしません

 どうしても気になるのが、残土を早川・芦安連絡道路の建設予定地に運ぶにしても、そのルートは県道37号線しかありません。この道が北上するほどに細くなる。

早川町の狭い道


 現在、砂防ダム建設などに携わるダンプカーは、無線交信しながら県道の一部膨らんでいる待機所で停車して相手をやり過ごすことで交互通行を可能にしているのです。

 それを今後、一日最大時で930台(往復)ものダンプカーが残土運搬のために走る。

 県道路整備部道路管理課によれば、37号線は、14トン規制しかない22の橋梁を補強するだけで、拡幅の予定は「ありません」といいます。あの狭い道を一日930台ものダンプ通行は可能なのか。
 早川町北部の閑静な山間地には数軒からなる温泉街がありますが、ある旅館の主人はこう憤っています。
37号線を拡幅しなければ、一日中ダンプの渋滞が続き、この静かな環境を目当てに逗留するお客様はもう来てくれない。今、温泉旅館の経営者数人で対策協議会を開催するよう村に要請していますが、まったく相手にされません。このままでは死活問題です

 この早川町には、リニア問題に取り組む住民組織はない。個人的にひそかに外部に向かって声をあげる人はいるが、横のつながりも細い。外部の市民団体も、サポートに入ろうにも入れない。

 以前も書きましたが、早川町は、子育て世代にはありがたい自治体です。教科書はもちろん無料ですが、中学校までの、その教材費、給食費、修学旅行費、医療費はすべて無料。
 その一方、JR東海が事業認可前に開催した住民説明会については町の広報では一切周知しなかった。住民が計画の概要を知ったのは、事業認可後の事業説明会。もう今更声をあげようにもあげられないという背景もあったようです。

 南アルプスの対岸にある長野県大鹿村では、全村的な住民運動はやはりないにせよ、立ち上がっている個人や組織はあるし、道路の拡幅についてはJR東海と幾度もやりとりを交わし、実際、今、拡幅は始まっております。外部の市民団体や地方議員、国会議員も幾度も訪問している。

 今のままでは、どんなに深刻な被害(騒音、振動、排気ガス、粉塵、はたまた交通事故)が起こっても、それでも早川町民は黙っているのかな・・?

 ある意味、不安を覚える地区ではあります。

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●4年ぶりの「棚の入沢」

6月3日、4年ぶりに、山梨県上野原市秋山の「棚の入沢」に出かけました。
 ここは、リニア山梨実験線でのトンネル工事による「水枯れ」の象徴的な場所の一つです。

 リニア実験線は、1989年に山梨県に誘致が決まると、翌年から工事が始まり、まずは18・4キロという短いコースで1997年から走行実験を開始。その後、2007年にJR東海が「東京・大阪までを自己資金で建設する」と表明し、翌年から実験線の延伸工事が始まります。
 そのトンネル工事の影響で枯れた一つが「棚の入沢」でした。地元の人の話によると、枯れたのは2010年か11年。
 水が減ったのではなく、一滴も流れなくなったのです。
 私がそれを撮影したのが2013年。その時の写真がこれ。

棚の入沢枯れる

 今回の撮影が、これです。

棚の入沢1 170603

ちなみに、どちらの写真にも写っているのが、私をガイドしてくれた地元の有馬孔志さん。有馬さんは仕事の傍ら音楽活動もしているのですが、たまたま、そのプロモーションビデオの撮影で、枯れる前に棚の入沢を訪れていました。ご本にの許可をいただいたので、そのビデオも公開します。水が豊かな頃の沢の様子が分かります。



 今回、4年ぶりに現地を訪れると、やはり枯れたままでした。
 正確に書けば、上流にある滝ではまだ少しの水流はありますが、かつては、大人が上から飛び込むことができた、つまり深さ2メートルくらいはあった滝つぼは今、深さ数十センチといったところでしょうか。その滝つぼから水は下流へと下るのですが、これが40~50メートルも行くと徐々に細くなり、ついには砂に吸い込まれるように水流が途絶えます。
 梅雨になると多少は流量が戻るときもあるようですが、尺サイズが泳いでいたイワナやヤマメはもう一匹もいません。

 ついでに、上野原市周辺に数カ所ある非常口の一つにも行きました。ここも4年前に訪れた場所です。しかし、4年前は非常口のトンネル入り口に小さなプレハブ事務所があり、一人だけ女性が駐在していましたが、今はそのプレハブもなく、トンネルに近づけないよう、非常口周辺はフェンスに覆われ、そのゲートには鍵がかけられています。

上野原市非常口4 170603 上野原市非常口2 170603 ← 上野原市の非常口。トンネル脇に設置された黒いホースはトンネル内の湧水を輩出している。

 4年前、トンネル内部から入り口まで延びていた黒いホース(直径30~40センチくらい)からトンネル内の湧水がゴーという轟音とともに排水溝に落とされていましたが、今回はトンネル入り口まで行けないのでその様子が確認できません。
 と思ったら、そこから数十メートル離れた沢にまでその黒いホースが地下経由で敷かれていて、その排水の様子を見ることができました。延伸工事からそろそろ10年が経つのに、まだ湧水は止まらない。

上野原市非常口1 170603

●天川も相変わらず

 さらに足を伸ばして笛吹市の1級河川「天川」を視察。
 こちらもリニアのトンネル工事(写真はリニアのフード)で水が枯れたのですが、JR東海はトンネル内での湧水を汲み上げて川に戻しています。

天川170603


●実験線での「水資源」の減衰や枯渇の予測

 1990年、JR東海は、独自のアセスで、山梨実験線環境影響調査報告書を出しますが、そこには水枯れについて以下の予測がされています。
 
ア.境川村から御坂町にかけての甲府盆地東南部
(ア) 竹居から上黒駒にかけてのトンネル
 亀裂が発達していることから、地下水位の低下が予測され、路線周辺の井戸等の一部に影響があることが予測される。

イ.御坂町から大月市笹子町にかけての地区
(ア)上黒駒から奥野沢にかけてのトンネル
 追分から奥の沢にかけての地質は、小仏層群からなる。追分付近では、基盤は揉まれていると考えられる。トンネル掘削に伴う地下水位の低下により狩屋野川の流量が影響を受け減少すると予測される。

ウ.大月市笹子町から都留市小形山にかけての地区
(ア)奥野沢から丸田沢にかけてのトンネル
 この区間の地質は、小仏層群からなるが、割れ目も発達し、年度化している。トンネル掘削に伴う地下水位の低下により、奥野沢、穴沢、及び、日影沢の流量が影響を受け減少すると予測される。

(イ)丸田沢から中谷にかけてのトンネル
 この区間の地質は、透水性も小さい。路線が近ケ塚沢の下を横断したり、小形山の沢近傍を通るが、降雨量に左右される沢であることと、付け替えが可能なことなどから、影響はほとんどないものと考えられる。

エ.都留市小形山から朝日曽雌にかけての地区
(ア)九鬼から大平にかけてのトンネル
 地質は御坂層群。固結度もよく、透水性も小さいため、影響はほとんどないと考えられる。
(イ)大平から朝日曽雌にかけてのトンネル
 (ア)と同じ理由で、影響はほとんどないと考えられる。

オ.都留市朝日曽雌から南都留群秋山村にかけての地区
(ア)朝日曽雌から大ノ入川にかけてのトンネル
 地質は御坂層群。全体的には地質は良好だが、付近に秋山川断層の影響が想定されるため、秋山川沿いは基盤が風化していることが考えられ、棚の入沢が影響を受けることが予測される。
(イ)大ノ入川から安寺沢にかけてのトンネル
 (ア)と同じ理由で、暮ヶ沢が影響を受けることが予想される。


 ★このほとんどが予想的中したのです。さらに、上記 エの(ア)「九鬼から大平にかけてのトンネル」については、予測が外れ、1994年、大月市の朝日小沢の沢が枯れました


●今回の環境アセスの予測でも「影響はある」

 で、今回のリニア建設にあたり、JR東海は、実験線部分でのアセスはもう行わずに、新たに建設する区間でのアセスを実施しました。
 その結果、地下水の水位については以下のように予測しています(評価書本編8-2-3)。


③水位への影響

(a)神奈川県境から実験線東端まで(丹沢山地)
 以上の地質等の状況から、山岳トンネルにおける掘削に伴い切羽やトンネル側面
に露出した岩盤の微小な亀製や割れ目から地下水が坑内に滲出するが、トンネル内
に湧出する地下水はトンネル周辺の限られた範囲に留まり、それ以外の深層の地下
水や浅層の地下水への影響は小さいと考えられる。一部において断層付近の
破砕帯等、地質が脆弱な部分を通過することがあり、状況によっては工事中に集中
的な湧水が発生する可能性がある。これに対しては安全性、施工性の観点から必要
に応じて先進ポーリング等を実施することで予めその性状を確認し、トンネル内へ
の湧水量を低減させるための補助工法を用いる等の措置を講ずるものの、破砕帯等
の周辺の一部においては、地下水の水位への影響の可能性はあるものと考えられる。

(b)戸川から早川まで(巨摩山地)

以上の地質等の状況から、山岳トンネルにおける掘削に伴い切羽やトンネル側面
に露出した岩盤の微小な亀製や割れ目から地下水が坑内に滲出するが、トンネル内
に湧出する地下水はトンネル周辺の限られた範囲に留まり、それ以外の深層の地下
水や浅層の地下水への影響は小さいと考えられる。一部において断層付近の
破砕帯等、地質が脆弱な部分を通過することがあり、状況によっては工事中に集中
的な湧水が発生する可能性がある。これに対しては安全性、施工性の観点から必要
に応じて先進ポーリング等を実施することで予めその性状を確認し、トンネル内へ
の湧水量を低減させるための補助に法を用いる等の措置を講ずるものの、破砕帯等
の周辺の一部においては、地下水の水位への影響の可能性はあるものと考えられる。

(c)早川から静岡県境まで(赤石山脈)

以上の地質等の状況から、山岳トンネルにおける掘削に伴い切羽やトンネル側面
に露出した岩盤の微小な亀製や割れ目から地下水が坑内に滲出するが、トンネル内
に湧出する地下水はトンネル周辺の限られた範囲に留まり、それ以外の深層の地下
水や浅層の地下水への影響は小さいと考えられる。一部において断層付近の
破砕帯等、地質が脆弱な部分を通過することがあり、状況によっては工事中に集中
的な湧水が発生する可能性がある。これに対しては安全性、施工性の観点から必要
に応じて先進ポーリング等を実施することで予めその性状を確認し、トンネル内へ
の湧水量を低減させるための補助に法を用いる等の措置を講ずるものの、破砕帯等
の周辺の一部においては、地下水の水位への影響の可能性はあるものと考えられる。



 読まなくてもわかります。3つともコピペです
 とはいえ、おなじみの「影響は小さいと予測する」ではなく、破砕帯での水位への「影響の可能性はある」と書いている。つまり、山梨県全域の随所で水資源の枯渇の可能性があるということです。
 でも、ここには、「山梨実験線環境影響調査報告書」で書かれていたような具体的な地名が書かれていない。どこが枯れるんだ!?
 
 地下水の水質、水位についてどこで現地調査したかは、評価書では以下の12カ所となっております。

 ★上野原市 「秋山安寺沢」(井戸など2カ所)
 ★富士川町 「小室」と「仙洞田」(穂積簡易水道水源)、「上高下」(上高下簡易水道水源)、「十谷」(井戸と湧水の2カ所)
 ★早川町  「湯島」(湧水)、「新倉」(湧水、新倉簡易水道水源、中洲簡易水道水源など4か所)

 ここに記載された簡易水道や井戸の近くに破砕帯があれば、枯れてしまうのか。
 確かに、早川町の「新倉」は破砕帯で名の知られているところではあります。リニア非常口の建設地でもありますが。
 山梨県での破砕帯の分布マップなどはあとで調べてみましょう。

 それにしても、なぜ、上野原市、富士見町、早川町の1市2町だけの調査なのか。この1市2町以外の水源については、評価書ではまったく触れられていない。
 甲府市、中央市、南アルプス市の水資源はなぜ予測もされなかったのか。

 大月市、都留市、笛吹市も然り。でも、こちらは、環境影響評価法がまだない時代のJR東海の独自アセスで十分で、もうやる必要がないとのことです。でも、これが今後の裁判で、裁判所がどう判断するのかも注視したいところです。

 「枯れる」と予想されたところは高い確率で「枯れた」。今後の工事でもそうなる・・?
 山梨県のリニアルート周辺で簡易水道を使っている集落の皆さんは、このことをご存じなのだろうか。

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●第4回口頭弁論の開催。今回は山梨県からの報告

4月28日14時半。
 東京地裁で「ストップ・リニア!訴訟」の第4回口頭弁論が開かれました。

公判前行動2


 今回、原告側から意見陳述に立ったのは、山梨県の笛吹市会議員の野澤今朝幸氏と甲府市上曽根町の住民、平川一星氏です。

 ご存知の通り、山梨県は1997年からリニアの走行実験が始まっていて、その沿線周辺では、水枯れ、騒音、日陰などの問題が起こっています。つまり、同じことが今後の営業本線でも起こることを示唆してくれる存在です。


●野澤さんの意見陳述

 詳しくはここに張り付けた「意見陳述書」を読んでいただくとして、その概要を書けば、野澤さんが地元に住んでいるからこそ、自分の目で見てきた、トンネル掘削による異常出水(場所によっては毎分30トン)、水枯れ、日陰問題等々を画像投影することで視覚的に訴えました。

野澤1 野澤2 野澤3 野澤4

 そして、野澤さんが強調したのは、JR東海が山梨実験線においては環境アセスを実施していない事実です。


●実験線でアセスが行われていない

 ちょっと時系列で整理しましょう。

1989年 山梨県にリニア実験線の誘致が決まる。
1990年7月 JR東海が「山梨リニア実験線 環境影響調査報告書」という独自の環境アセスの報告書を公表。この時点で、まだ「環境影響評価法」はなかった。
 この「山梨リニア実験線 環境影響調査報告書」については、本ブログのこちらこちらで簡単な報告をしております。
  
1997年4月 実験線で走行実験が開始。実験距離は18・4キロ。
1997年6月 環境影響評価法の成立
1999年 同法の全面施行
2007年 JR東海が「リニア中央新幹線を自己資金で建設する」と公表。
2008年 JR東海、実験線の延伸工事を開始。
2013年 24・4キロの延伸工事終了。実験線の距離は42・8キロになる。

 こうして見ると

 1999年に環境影響評価法(いわゆるアセス法)が全面施行されたので、1990年から建設が始まった山梨実験線の第一期区間の18・4キロは環境アセスを受けていないのは当然だが、この区間が将来の営業本線を兼ねることでのリニア計画に国交省が「建設指示」を出したのは2011年5月。だが、そこで改めての「環境アセス法」によるアセスは行わなかった。
 また、実験線の第二期区間となる24・4キロの区間の建設は、環境アセス法が施行された1999年よりあとの、2008年から始まったのに、これもアセスを受けていない。
 これは、「山梨リニア実験線 環境影響調査報告書」が42・8キロを調査範囲としていたため。(予算の関係で、42・8キロの全面建設はできなかったために、実験は当初18・4キロのみで繰り返していた)

 そして、こう主張する人がいます。
「JR東海の環境影響評価書には、実験線の区間の評価が載っているよ。アセスやったんじゃないの」と。

 なるほど。
 でも、それは、「山梨リニア実験線 環境影響調査報告書」のコピペなのです。
 評価書の山梨版・資料編にはこう記載されています。

「8-4-3 トンネル工事実施時の水資源に対する対応の基本的な考え方
 山梨リニア実験線区間での影響検討と、本評価書における予測は、ともに水文・地質学的検討を基本に定性的に行っており、水収支解析を実施し定量的に予測している南アルプス区間を除き予測の考え方に基本的に違いはない」

 つまり、環境アセスの手法は1990年代の実験線の自主アセスの手法と同じであるから、同じことを繰り返す必要はない、との説明になります。

公判前行動1


●平川一星さんの意見陳述

 これも貼り付けておきます。

平川1 平川2 平川3 平川4

 これまで何人かの方がこの裁判で意見陳述をされましたが、今回の平川さんの陳述は力強いものでした。
 その内容は陳述書に書かれてありますが、特に強調されていたのが、

★本来は、環境アセスをした上で、事後調査をやるのが本筋なのに、JR東海は、アセスそのものが杜撰なうえに、評価書や住民説明会では事後調査をするからと約束しておきながら、その事後調査も行わない。これは不適切な対応だ。

 ということです。

 また、閉廷後の記者会見において、平川さんのこの問題への取り組みの姿勢については、多くの人に知ってほしいと思いました。

野澤さんと平川さん←左が野澤さん、右が平川さん。

 平川さんは以前は東京都練馬区で公務員(会社員?)をしていましたが、それをやめて住みやすさを求め、2013年12月に甲府市上曽根町にUターン移住しました。513戸、1375人の町です。
 2013年12月と言えば、ちょうどJR東海が環境影響評価書を出した9月から3カ月たったときです。
 そして、すぐに、自宅のすぐ裏手に高さ40メートルのリニア高架が走ることを知り、いてもたってもいられなくなります。

 しかも、上曽根町の高架の走行部分については、なぜか、他地区のようにフードがかぶせられず「防音壁」が設置される、つまり天井部分が開放されるので、騒音の発生は明白です。

 ところが、問題の一つは、当の住民たちがリニア走行で被る被害を実感していないことでした。
 そこで、平川さんは地域の人たちに問題を知ってもらう活動を開始します。

 ▲地域にある5つの自治会に理解してもらうに要した時間は1年! 平川さんは日中は忙しい農作業をこなし、夜の時間を利用して、JR東海の環境影響評価書を読みこなし、住民への説明に腐心しました。
 たとえば、評価書に書かれてあった、実際に上曽根町が被る77デシベルという騒音を、「騒音学習会」の場で、住民の前で、鉄の板をグラインダーで切って再現することで「えー、これでは我慢できない」との実感を住民に抱いてもらうといった、地道な努力を重ねたのです。

 その結果が5つの自治会がまとまっての今年4月4日の県とJR東海への共同行動です。

 以下、NHK甲府局の報道内容です。 

「リニア中央新幹線が地区を通過する計画の甲府市の住民が高架橋に防音フードを設置するなどの騒音対策をJR東海に働きかけるよう、県に要請しました。
要請を行ったのは、リニア中央新幹線の高架橋が地区を通過する計画の甲府市上曽根町文珠地区の住民6人です。
一行は、県庁を訪れ文珠自治会会長がリニア推進課の依田誠二課長に要請書を手渡しました。
このなかで会長は『地区の全世帯にあたる95世帯にアンケートしたところ騒音に対する不安が多く寄せられた』と話しました」

 この内容が示す通り、これは、リニア反対ではなく、「フートを設置せよ」との要請です。

 じつは平川さんは、行政代執行を受けようとも、自分は最後まで地域に留まると決めていますが、他の方々には農業の跡継ぎもいないことから、自分の代で農業はおしまい、ならば補償金をもらうのも選択肢の一つだと考えもあるようです。

「私の本意とは違いますが、まず一致できるところは一致してやります」

 ただ、平川さんたちの今後の活動次第では、補償金云々を抜きにしても闘い抜く住民が少数ながら現れてくるかもしれません。


●今回の裁判長の指摘

 裁判のなかで、原告側の関島保雄弁護士が、

関島弁護士


「JR東海から準備書面が出たが、従来から主張していますが、リニア計画での施設、内容があいまいなまま、不十分な環境アセスになっている。JR東海としては、今、評価書に出ているもの以上の具体的な施設などを提起する気がないような主張です。でも、元々、どういう施設ができるのか? たとえば、神奈川県相模原市鳥屋に建設予定の車両基地にしてもきちんとした図面が出ていない。施設の位置関係が出てこない。そういう基本的なものを、JR東海は『こういうものを作る予定だ』ときちんと出すべきです」

 と主張しました。すると、これに続いて、古田孝夫裁判長が

「どういう施設がどういう場所にできるかは、原告適格の問題にも絡むし、どういう被害が起こるかの前提でもある。そもそも、どういう場所にどういう施設を造るものとして事業認可されたのか? それが国から明らかにするのはどうでしょう?」

 と問うた
のです。すると被告の国は、

「それができるかどうかも含めて、持ち帰り検討したい」
 
 これには、傍聴席から嘲笑が起こり、裁判長も苦笑しながらこう返しました。

「できるかどうかと言われても、認可されているのですから…」

被告「施設を地図に落として…」

裁判長「ああ、それでいいです。それにしても認可の判断をされたのですから、資料はあるはず」

被告「次回期日までにできるかはお約束はできませんので、ご了承ください」

 これは、記者会見でも、裁判報告集会でも、関島弁護士が「車両基地はすべて点線で境界線が描かれ、非常口も○で書かれているだけで、正確な位置も大きさも示されていない。そういうものが事業認可された。我々はそこを指摘していたが、今回、裁判長はそこを被告の国に質した」とそれなりの評価をしていました。

 それにしても、設計図などの資料はあるはずなのだから、すぐにでも出せるはずなのに、なぜ出し渋るのか。
 この裁判、予断を許しません。

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●突然の非常口掘削

 昨日、長野県大鹿村のリニア・トンネル工事の最前線に位置する「釜沢」集落(9世帯)の自治会長の谷口昇さんと、住民のTMさんから相次いで、Facebookに投稿がありました。

 突然、非常口の掘削が始まったとの内容です。

 谷口さんによると、釜沢にある仮残土置き場がいっぱになるまでということだから、長くは続かないかもしれませんが、それにしても、いきなりだな。

 以下、お二人からの投稿をほぼそのまま転載します。


●谷口昇さんの投稿

とうとう
突然
JR東海がトンネル掘削を開始した!!
大鹿村役場リニア対策室に確認をとったら、JRからは昨日(26日)の夕方5時過ぎに連絡が来たそうです。

住民には、昨日の8時に拡幅工事などの通行止め連絡などの鹿島JVが発信しているメールに(一部掘削)とだけ書かれていました。
これはいままでの流れで行くと、住民を故意に欺いた。
とうとう本性を出してきた


●TMさんの投稿

 NO リニア!!!
 とんでもないことが起こっていた。今日から、非常口トンネル掘削開始しているという、新聞社の取材でわかった。
 えっ、えっ?!!!どういうこと?
 既にヤードの造成で、毎日、工事音が響いてる。それだけでも、どこかでフラストレーションがたまっていく。先週、ある団体のリニア現地視察に同行させてもらって、現場まで行ったのだが、入り口は立ち入り禁止のガードがされていて、現場の職員が応対してくれたが、頑として、規則であり、JRからの達しで、中に入ることはできないと、意向はJRに伝えますと見せてはもらえなかった。どのように工事が進んでいるのか、誰だって知りたい、コソコソしないで、堂々とやればいいじゃないか~
 
 そして、今日連絡を受けた直後、鹿島JVの訪問があった。今日、非常口トンネルの工事に向けての祈願祭をやったという、挨拶だった。
「掘削してるんですか?~工事が遅れてるので、仮にです。~残土問題もはっきりしてないのに~いや、そこに置ける範囲だけです。本格的工事は3年後です~仮にだろうが、告知なかったですよね~いや、昨日のメールにて告知してます」

 毎日、鹿島JVからメールが入ってくる、現在、県道赤石公園線の拡幅工事に関しての通行止め等の状況を知らせてくる→こんな感じで毎日コピペしたような同じ文章で、祈願祭をやるなどとも書かれてない→
『日ごろは大変ご不便をおかけしております。本日の作業は予定通り終了いたしました。報告遅くなりすみません。明日4月27日は
県道では8時~17時の間で時間帯通行止めにて工事を行います。引き続き、通行止めという形はとらせていただきますが、多少お待ちいただければ、通行いただけるようにいたします。また、事前にこの時間帯に通行したいと予告いただければ、よりスムーズに通行いただけます。明日は、除山ヤードでは 切盛土工・場所打ち杭工・坑口付(一部掘削)開始を 県道工事(赤石荘下) では 場所打ち杭打設を行います。
・除山ヤード・県道工事で行う場所打ち杭工ですが、削孔に伴う大きな音が発生します。
・除山ヤードでの作業に伴い、大型車が10台(往復)走行する予定です。
 擦れ違いの際、ご不便をおかけいたします。
 なお、中部電力さんの明日の作業は迂回路区間2で行いますが、通行止めとなる作業はございません。
 ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします』

 よく見ると、坑口付(一部掘削)開始という言葉が挿入されていた。こんなの告知というか!
 本坑掘削となれば、仮だろうが、ちゃんとした文書、説明会を持って告知というのではないですか!
 そういえば、最近、やたら大型車がヤードに向けて往来している。こういう大型車を通すための拡幅工事であるはずなのに、何度も遭遇して、ひやっとすることしばしば。工事を進めたいがための、ごり押し状態だ。 この件もJVに人に伝えると、自分たちはJRの指示によってやってるだけで、ご意見はJRに伝えます、と。(多分伝わらない)

 自治会長が役場の担当に問い合わせた。掘削の件は、昨日の夕方になっての連絡だったそうだ。村も呑まれてますね。住民側に立った凛とした態度で対応してほしい、無理か~

ーーここまでーー

 簡単に書くと、今回の突然の掘削は、釜沢住民にも、村にも直前まで伝えていなかったということです。

 このなかで、鹿島JVが「本格着工は3年後です」と述べていますが、正確に3年後なのかどうかはおいておいて、少なくとも現時点での本格掘削はありえない。 なぜなら、長野県内には残土を置く場所が決まっていないからです。
 
 釜沢の仮残土置き場がいっぱいになるまでの間、本置場を決めるにしても、そんな時間はないでしょう。

 釜沢自治会長の谷口さんに確認してみると、仮残土置き場は10数万立米しか置けない。

 なぜ、これほどまでに急ぐのか。何が何でも2027年にこだわっているから? 考えられるのは「パフォーマンス」であることです。もう始まったよ、もう後戻りできないよ・・と。

 ところで、一口に「非常口」とはいえ、都市部のように山のない場所では、地面から垂直に掘り進む「立坑」、斜め下へと掘り進む「斜坑」、そして山間部では山肌を利用する「横坑」がありますが、横坑は実質トンネルです。
 たとえば、山梨県のリニア実験線での横坑が下の写真です。2013年の撮影です。

山梨実験線非常口

 そこの担当者は「この500メートル奥にリニア本線があります」と説明しましたが、気になったのが、このトンネルの右端に設置された黒いホース。ここからは、トンネル内で湧き出る地下水が放水されていたのですが、ビデオで撮ればよかったと思うほど、轟音を立てるレベルの勢いの水流でした。

山梨実験線非常口の異常出水

山梨県実験線での異常出水



 普通の山でも水がどんどん抜けていく。

 南アルプスでもどうなるのか。
 本当にJR東海が釜沢の住民に説明するように「水脈を断ち切っても、水の流れはトンネルの脇を通っていくから、水枯れは起こらない」なのかな。

 本日は、「ストップ!リニア訴訟」の第4回口頭弁論があります。
 おそらく、釜沢からもどなたかが来ているはずなので、より詳しく話を聞きたいと思います。

増補悪夢の超特急
←拙著「悪夢の超特急 リニア中央新幹線」。

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●リニアで登山者の聖地・南アルプスを壊さないで! 記者会見

 4月10日、「リニアを考える登山者の会」の主催で上記会合が開かれました。
 これについては、リニア関連のサイトのあちこちですでに報道されているので、今回はそれに甘えます。
 この集会のとき、隣に座っていた「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」共同代表の天野捷一さんが、すぐにレポートを作成したので、それを以下に共有いたします。

170410南アルプスを壊さないで

この日の報告の目玉となったのは、短期間で「南アルプスを壊さないで」を求める署名が3912筆も集まったことです。組織的動員もなく、これだけの数が集まるのはそうないことらしい。

登山者の会プラカード


●本格着工はまだまだ先。だが大鹿村では既に実害が出ている。

 記者会見のあと、私は、大鹿村からやってきた宗像充・前島久美夫妻から短時間話を聞きました。いくつか確かめたかったことがあるからです。
 前島久美さんは大鹿村で生まれ育ち、一時期東京やニューヨークで暮らした後、自分の村でいろいろなチャレンジができると、現在、実家の旅館業を手伝い、かつ、持続可能な地域社会を村で実現するためのグループ『大鹿の100年先を育む会』のメンバーとしても活動し、そのなかに「リニア検証部」を設置し、リニアの問題の勉強と情報発信を続けている。また、『大鹿の100年先を育む会』として、村の各界が集ってリニア問題を話し合う「リニア対策委員会」にも加わり、その審議に関わってきた。
 

 本ブログでも何度か書いているように、リニアの本格的着工(トンネル掘削)はまだ先の話です。

 ただ、測量やら資材や機器類の搬入やら宿舎の建設やらで、工事車両が走り始めているのは事実。それが一日何台かはわからないにしても、すでに実害が起きているのだろうか?

前島久美さん


 この質問に久美さんは

「あります」と答えました。

「場所によってはダンプが通るすぐ両脇に民家があります。そういうところでは、すでに粉塵で洗濯物が外に干せず、家が振動することも起きています」

 
●迂回路予定地となる前島家の土地はどうなるのか?

 そして、私がもう一つ知りたかったのは、以下のことです。

 JR東海の予測によれば、大鹿村では一日最大で1736台もの工事用車両(主に残土運搬車両)が村を走るのですが、住民からは絶対に保育園や小学校の前だけは通るなとの強い要望が出されています。

 そこで、JR東海は小渋川左岸に迂回路を建設してそれを乗り切ろうと計画しています。

 ところが、その迂回路予定地には前島家の土地があり、この件に関しての交渉担当は前島家では久美さんということになっています。

小渋川左岸←小渋川左岸の歩道

 前島家が驚いたのは昨年10月。

 JR東海が村と交わした工事に関する確認書のなかに、迂回路建設については「地権者と締結する」と書かれていたことです。
 前島家には事前に何の相談もありません。前島家が、馬鹿にしているのかと思うのは当然のことでした。

 もちろん、久美さんに、迂回路のために土地を提供する意思はありません。ただ、私が心配するのは、JR東海から、村から、そして住民から「あなたが土地を提供しないから迂回路ができない。だから、ダンプは小学校や保育園の前を通るしかなくなったじゃないか!」との不満をぶつけられないかです。

 だがこの件に関して、久美さんは土地を提供するつもりはありません。

「なぜなら、本格着工されていない今ですら、既に実害が出ているんですよ。そんな状態で土地を提供する意味がありません」

 元々、迂回路は、河川敷のなかに道路を造るのではとの案が有力視されていました。
 だが、もし前島家がこのままNOを言い続けるのであれば、そちらにまたシフトするかもしれません。

 久美さんが言った言葉で気になるのは「着工されてから、もう『反対』と言えない空気が村にある」ということ。
 田舎の場合は確かにそれはある。

 前島家と村のやりとり2←前島久美さんと大鹿村の村長とがこの件で交わしている文書の一部。村長の手紙からは何が何でも前島家の土地が欲しい気持ちが伺える。

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