取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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●あらためてリニア実験線の残土

 思うところがあり、改めてリニア山梨実験線の基本的なことを調べています。

 まず「残土」。

 今後建設されるリニア中央新幹線の工事においては、約5700万立米の建設発生土(残土)の排出が予測され、このうち、その処分地が示されたのは全体の2割台でしかありません。その2割台にしても、具体的に地名が上がっている以下については・・

★静岡県の南アルプス。大井川源流部の燕沢(つばくろさわ)に360万立米が集約する案をJR東海は提示していますが、高さ70メートル(20階建てのビルに相当)、幅300メートル、長さ500メートルといった巨大高層ビル群のような規模に残土を積み上げることに対して、静岡市では、まだJR東海と有識者との話し合いが結論を迎えていない状況です。
 (たとえば、こちらを参照

★山梨県早川町では、南アルプスから排出される残土326万立米を、町北部に建設予定の隣町への「連絡道路」や「登山者用駐車場」にしようとしていますが、その連絡道路は建設すら始まっていない。

 等々の理由で、残土の活用事例の見通しがほとんどない状況です。
 具体的に話がまとまりつつあるのは、愛知県瀬戸市の愛知県珪砂鉱業協同組合の珪砂(ガラスの原料)の採掘場跡(通称:グランドキャニオン)への残土搬入くらいでしょうか。
 グランドキャニオンでは、過去の採掘で1000万立米以上もの大穴が開いていて、それを埋め戻さねばならない決まりになっているため、残土を何とかしたいJR東海との利害関係が一致しやすい場所であります。

●そもそも実験線での残土の排出量は? 約500万立米。

 さて、山梨県のリニア実験線では、残土がどう活用されたのか?
 これは案外詳しい情報が出ておりません。

 よく引き合いに出されるのは、笛吹市境川にある残土埋め立て地です。ここは実験線の延伸部分の残土のうち160万立米が運ばれ、谷間の土地を平坦に変えました。

笛吹市境川残土埋め立て地


 ところが、その他のデータがなかなか出てきません。

★実験線全体ではいったいどれくらいの量の残土が出てきたのか?

 私はこれを山梨県リニア推進課に尋ねてみました。でも「わからない」とのことです。
 おそらく、実験線の事業主体のJR東海か建設主体の「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が知っているので尋ねてみてはと助言されました。
 なるほど。ただ、両組織からその回答にどれだけの時間がかかるのかわからないので、とりあえず手持ちの資料などをあさってみると、この数字が出てきました。

 約500万立米

 この数字は、1991年5月7日、社会党(当時)の長谷百合子衆議院議員の質問主意書「リニアモーターカー山梨実験線にかかわる諸問題に関する質問主意書」のなかの

実験線は約八割がトンネルですが、トンネルの規模、残土の量、残土の処分方法について明らかにして下さい

 との質問に対して

 5月31日の答弁書で

「トンネルの規模は本数でみると14本、総延長でみると約35キロメートルであり、トンネル工事により発生する残土の量は約500万立方メートルと見込まれている。残土の処分方法については、日本鉄道建設公団、山梨県及び地元市町村の間で調整を行いつつ、宅地、田畑等の造成に活用していくことを計画しているところである」

 との回答で得られたものです。

 もちろん、この質問と答弁から導き出された数字は、実験線の工事中である1991年における「予測値」です。
 ただし、トンネルの総延長の約35キロは実際そうなったことから、この残土の量もあながち実際とはかけ離れたものではないと考えてもいいかと思います。

 さて、私が注目したのは

▲JR東海が、「環境影響評価書・山梨県版」などで、実験線の残土利用について

「当社の山梨リニア実験線工事における建設発生土の利用実績としては、当事業内での再利用の他に、土地区画整理事業、宅地造成、農地整備、宅地化が可能な平坦地の造成、運動施設・防災施設の造成、採石場の跡埋め事業及び農地・林地の平坦化の造成等がある。山梨リニア実験線工事で発生した建設発生土の内、これらのように再利用及び有効利用されたものは 9 割程度になる

 と描いていることです。

 残土の9割の有効利用?

 残土が500万立米なら、450万立米が有効利用されたことになる。

 ところが、上記「境川」では160万立米(32%)の残土が谷を埋めただけで、何の有効利用もされていません。
 元々は、約1000人が住むための宅地造成ということで谷を埋めたが、計画はとん挫。

 リニア推進課によると、2013年時点の電話取材では「活用方法は何も決まっていません」。そして、つい昨日、2017年4月12日の電話取材によれば

「一般廃棄物を処理する広域組合が、焼却灰を覆土するための土を保管したり、JR東海がリニア建設のための資材置き場に使っていますが、どちらも『一時的』な利用で、恒久的な活用策はまだありません

 ということでした。

 つまり、実質「塩漬け」されているのは事実なのに、JR東海は評価書では「宅地造成、農地整備、宅地化が可能な平坦地の造成」と、「平坦地の造成」だけを取り上げて有効利用としているようです。

 大月市でも、残土を使い土地を平坦にし、、やはり宅地造成を見込んでいたけど、市中心部から離れた山間の土地ではやはり計画はとん挫し、今はごみ焼却炉が建設されているだけ

 ただし、ここでJR東海を叩くのではなく、あくまでも、では、実験線の残土を具体的に何に有効利用したのかの「具体的事業名」とその土地に要した残土の量を知りたい。
 その数値を抑えているからこそ、JR東海は「9割」との数字を出したわけです。

 もっとも、残土の約3割を占める境川の土地が有効利用されていない事実だけをとっても、「9割の有効利用」は事実ではないと判りますが。


★2015年8月1日に、国土交通省鉄道局長・藤田耕三氏が発表した「中央新幹線と日本の鉄道」というデータによれば、実験線での残土活用については以下のように書かれています。

 ▼山梨リニア実験線における有効利用の事例
  ・宅地造成(笛吹市,158万立米)
  ・農地整備(都留市,55万立米)
  ・スボーツ・レクリエーション施設(鳴沢村,15万立米)等

 笛吹市の宅地造成は計画がとん挫したのですよ!


●じつはもう一つ、実験線について残土以外で調べてみたいことがあります。先方がいつ電話に出てくれるかですが、もしかしたら新たな事実かもしれないので、その結果はまた後日。

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●「JR東海は自己満足です」

松川町からJR東海への要望書←昨日のブログで貼り忘れ。松川町がJR東海に出した要望書。ただしこれは「案」の時点での文書です。

 昨日のブログの続き。
 福与地区が2016年11月、生田区での「残土受け入れ反対表明」を提出したのには、様々な理由があります。

まず

★JR東海への不信

 昨年、福与地区では、7月30日と10月22日の2回、JR東海の説明会が開かれています。
 7月30日での説明では、あまりにも具体的な話がなかったため、不安を抱いた住民が「福与地区リニア工事対策委員会」をその日のうちに設置したのはすでに書いた通りです。

 そして、10月22日は以下のやり取りがありました。米沢さんの発言から引用します(第4回松川町リニア中央新幹線建設工事対策委員会から)。

★10 月 22 日 JR 東海による 2 回目の説明会があった。(丸ボッキ)の地権者組合の立ち入り調査の了解を受けて仮図面による説明があった。丸ボッキ地籍に入る発生土量が 30 万㎥から 36 万㎥に増えたとの説明があり、

『30 万㎥ではなかったのか?』

と質問したら、

『30 万㎥が根拠のない数字であった』

との回答だった。

 また、

『埋め立て下流部の土留めの構築物が小さいのではないか?』

『地権者への配慮で最小限にした』

『2 重 3 重の安全対策をしてほしいと町のリニア対策委員会の際にお願いしたはずである。もう少し大きいものであれば安心ではないか?』(福与区長)

『大きいものにすれば、もっと発生土が入る』

 福与区へ説明に来ているのに気持ちを逆撫でするような JR 東海の発言が多くあった。また、あと利用に関して説明できる資料はなかった。その後、福与地区リニア対策委員会を開催し「何のための説明会であったか理解できない」「受け入れに断固反対する」と委員からの意見が出たことを受け、(2016年11月に)反対の意見書を提出した。

ーーここまでーー

 米沢さんがもっとも不信を抱いたのは、福与地区に説明に来るJR東海社員が技術職であったことです。

「JR東海と言っても、やってくるのは技術屋さんだけ。彼らは技術的に『安全です』と言いますが、地域への影響を考えていない。残土を置くことだけを考えている。そこらへんで、住民と感覚が違います。技術力の具現化だけを夢見ているし、地区で説明会をやったから『住民は納得した』と表明するのは、地元の心配や声を何も考えていない。自己満足な事業推進です」

 こう評価したうえで、今後の対策として、住民が説明会に出席するのではなく、逆に、住民から「何を心配しているか」をJR東海に投げ、それに応えてもらうことも考えたいとのことです。
 ともあれ、丸ボッキはまだ測量中ということで、JR東海については、しばらくは様子見をするようです。


●生東区への質問状

 生田区のなかで、福与区がもっとも下流側に位置しています。そのため、3つの候補地のどこに残土を置こうとも、土石流などの土砂災害が起こったとき、被害に遭うのは、福与区です。

 事実、1961年(昭和36年)6月27日から伊那谷など県内で犠牲者136人が出た集中豪雨災害「三六災害(さぶろくさいがい)」を、当時高校生だった米沢さんは忘れることができません
 生田区でも、梅雨前線豪雨により学校児童は緊急帰宅。その夜間より未明にかけ全域に大災害が発生し、学校は11日間にわたる休校となり、診療所や農協、多くの家屋が破壊され、山肌は崩落し、通学道路も寸断。水田も埋まった。
残土置き場の候補地の一つ「本洞」がある長峰という地域では、地すべりで斜面が崩れ、家屋ごと流された。
「私は、そのことをよく覚えています。上流に膨大な残土を積めば、同じことが起きる恐れがある。そのときに『想定外でした』ではダメなんです。だから、今、行動しているんです」

大西山崩壊。一般社団法人 中部まちづくり協会HPから←崩壊した大鹿村の大西山。一般社団法人 中部まちづくり協会のHPから。

 ちなみに、三六災害でもっとも記憶に残るのは、6月29日、大鹿村の大西山(1741m)の山腹が崩れ落ちたことでしょう。
 高さ450m、幅300mに及ぶ320万立米(まさしく大鹿村での南アルプス掘削で排出される300万立米とほぼ同じ)の土砂が時速60kmのスピードで集落を襲った。そして、死者42人、破壊家屋39戸、埋没した水田約30余町歩という被害を出したのです。

 だからこそ、残土置き場については、自分たち抜きでの報告は避けてほしかったと米沢さんは声にするのです。

 さて、話を戻します。
 米沢さんらは、生東区の役員や町とも懇談を重ね、検証を重ね、今年(2017年)2月27日に生東地区に対して「質問状」を提出します。質問点は3つ。ほぼ内部文書になるため、撮影はできませんでしたが、以下の質問です。

1 残土置き場は残土の処分場となるのか、活用先となるのか? どういう認識なのか? 文書を見る限りでは、活用ではなく単なる処分場と捉えるしかない。

2 22号線の2車線化での活性化とは何か? 具体的な事業内容の開示を。

3 条件が満たされれば受け入れるというが、目的の妥当性や実現可能性の検討、住民の合意形成が優先されるべき。JR東海はもう丸ボッキに置くための説明会をしたいとしているが、順序として、主張としては整合性を欠く。その見識を求める。

南信州新聞の記事←福与区が生東区に質問状を出したことを伝える南信州新聞。3月1日朝刊。

これは、もしかしたら、もう返答があったかもしれません。確認してみます。


●実際はどうなっているのか?

 現在の進捗を町に尋ねてみました。
 すると、以下の回答が。

「候補地は3か所挙げてもらっているが、地の利やアクセスの良さから、JR東海は、『丸ボッキ』だけで測量をしています。丸ボッキでは4、5人の地権者が田んぼをやっています。『本洞』は数人の地権者が反対の意見書を町に提出しているので実現の可能性はないし、『つつじ山線』については何の動きもない。おそらく、丸ボッキがだめなら、JR東海は3か所すべてを諦めるはずです」

 そして、仮にJR東海が丸ボッキに残土を置くと決めたとしても、

 米沢さんが

生田区の3地区全体が丸ボッキで合意しない限り、もっと言えば、福与が反対し続ける限りは、丸ボッキが残土置き場になることはないと思います」

 と断言するように、福与地区がその意志を曲げない限りは、建設はありえないのではと町も推定しています。

 JR東海がどういう測量結果を出し、それを町と住民にどう説明するかですが、この場合の住民は「生田区」になります。
生田区には『福与』『生東』『部奈』の3地区がありますが、生東はこれからはさすがに福与を無視しての行動はできません。
 そして、JR東海のいわゆる「丁寧な」説明が同じ態度で続く限りは、福与地区からの賛同は決して得られない。

 となると、大鹿村から排出される残土の処分地が松川町では立ち消えることになります。

 豊丘村では本山地区に100万立米強の残土を置く方針が決まりましたが、それでも、大鹿村から排出される300万立米の3分の1にすぎません。

 となると、JR東海と長野県は次にどこを候補地とするのか。490万立米も置ける「本洞」案? なんともわかりません。

 最後になりますが、福与地区の住民は、別に生東区と仲違いをしたいのではなく、協力関係でモノゴトを進めたいのです。
 そのためにこそ、生東区が3つの質問にどう具体的に回答するのか、注視したいです。

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 前回のブログで、長野県阿智村の前半部分を書き、次は後半と考えていましたが、そうなると、同時期に訪れた松川町の報告が遅れるため、阿智村の後半はまた近いうちにということで、本日は、松川町のことを書きます。
 ただし、これも長いので、前編、後編に分けます。

●松川町生田区福与地区、「残土受け入れ反対」を表明する。

 2016年11月7日。
 松川町生田区の福与(ふくよ)地区の北原忍区長や「福与地区リニア工事対策委員会」の米沢正幸委員長ら4人が町役場を訪れました。
 町から県へ、そして県からJR東海に報告した3か所の「残土置き場」候補地について、福世地区として、残土受け入れに反対する意見書を提出したのです。

福与残土受け入れ反対


●無視をされた福与地区
 リニア工事においては、JR東海との残土処分についての窓口は各都県であり、都県は市区町村に残土置き場の候補地の有無を問い合わせ、各自治体が「ここにある」と報告するルールになっています。

★2013年5月24日
 松川町に県から「建設発生土の活用先の照会」が来る。これに対し、9月24日、町は区長会に問い合わせをする。そして、生田区から報告のあった

・丸ボッキ(最大30万立米)

 を候補地として、2014年12月11日に、JR東海に報告しました。

松川町候補地←一番上の赤い楕円が丸ボッキ。真ん中が「つつじ山線」、下が「本洞」。福与地区はこの図の左側、すなわち寺沢川という河川の下流に位置しています。

 と、ここまでは、過去の報道を読み返すと、ある程度は報道されておりますが、ここで不信感を抱いたいのが、生田区のなかの福与地区です。

 生田区は、「福与」「生東(いくとう)」「部奈(べな)」の3地区から構成されていますが、町に候補地を報告したのは「生東」地区だったのです。つまり、生田区全体としての判断ではなく、生東地区は福与地区も部奈にも何の連絡もせずに単独で町に報告をあげたということです。
 それも2回。
 一度目が、2013年10月に上記「丸ボッキ」と「本洞(ほんほら)」(最大490万立米)を、
 二度目が、2014年10月27日に「つつじ山線」(最大100万立米)についての報告を挙げています。

 ところが、この2度の報告はすべて「口頭」でなされたもので、その1年間、隣の福与地区では生東地区のそんな動きを知ることがありませんでした。一年間といえば、地区の会合も何回かあったのに、生東からリニアの議題が出されたことがないとのことです。

 生東地区が、正式に「文書」――「リニア中央新幹線工事に伴う残土受け入れに関する要望」――を町に提出するのは、前述のとおり、2014年11月21日。
 その文書の内容は(聞きかじりですが)

★残土処分地を生東区として決定をしましたので、関係機関に希望を提案していただきますようお願いいたします。生東地区としては、「狭い県道22号線の2車線化」と「地域活性化事業の推進」という条件を満たしてくれるのであれば、残土を受け入れることはやむを得ないと判断しました。

 ここに至り、福与の住民はようやく、その事実を知るのです。福与区長も「おかしいじゃないか」との疑問を生東区長に入れたのは当然のことです。4日後の11月25日、生東区長から福与区長に対して、「これこれこういう内容の文書を町に出しました」と説明する文書が入ります。
 
 そして、町から連絡を受けた県は、12月11日、「丸ボッキ」を候補地としてJR東海に情報提供し、JR東海は即座に生東地区で猛禽類調査を実施し、現在(17年3月時点)は、残土置き場の適地かを確認するための測量をしています。


●疑問だらけ

 この件はまだ決着を見ていませんが、福与地区は、関係機関への不信を拭い去ることができません。
 この点で、「福与地区リニア工事対策委員会」の米沢正幸委員長からいろいろとお話を聞くことができました。

米沢正幸委員長


 ちなみに、同委員会は16年7月30日に設立。
 この日、福与地区は、JR東海によるリニア工事説明会を開催しています。しかし、JR東海は「詳しく説明できる段階ではない」とのことで、具体的な話をしなかった。これに不安を覚えた住民らが、「リニアにきちんと対策しないとゆくゆくは大変なことになる」と、即座に、福与地区のなかの4つの自治会から二人ずつ、地区の3役、学識者、子ども会担当者など17人で委員会を設立。
 米沢さんが委員長に就任したということです。


★福与から町への疑問、町からJR東海への疑問
 2014年11月21日は、上記のように、生東区が町に候補地を伝えた日ですが、偶然、まったく同じ日に、生田区の3地区の区長が連名で(もちろん、生東区の動きなど知らずに)、町に対して「残土置き場の候補地が決まるようなら情報開示を」といった「統一要望」を出しています。
 同じ日に、生東地区からの「候補地決定」の連絡と、生田区からの「統一要望」があったことで、混合したのか、町長は県に「生田区の3地区の地区長が連名で候補地を出してくれた」と誤った報告を出します。これに福与地区はすぐさまに「違う」と声をあげますが、町はしばらくはこの見解でいたようです。
 
 しかし、この見解が、「福与地区リニア工事対策委員会」の米沢正幸委員長には疑問でした。
「なぜなら、生東区はそこに至る1年間で、口頭で町に候補地を伝えていました。町も残土置き場が生東区からの話だとわかっていたはず」

 ところが、今度はその町が、JR東海に不信感を抱きます。
 2016年8月25日。
 JR東海の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長が、大鹿村でのリニア対策委員会で、委員から「大鹿村から排出される膨大な建設残土をどこに運ぶのか?」と質問されたとき、「松川町生田地区の候補地で協議が進んでいる」と発言したのです。報道陣には「地権者との交渉は順調です」と明言。

 前述したように、松川町では「丸ボッキ」でJR東海の測量が行われています。つまり、測量が終わらない時点では、そこが残土捨て場の適地かの判断を出せないわけです。

丸ボッキ←丸ボッキ。確かに道のすぐ近くで地の利はいいし、残土をどっさりと置けそうな地形だ。


 この発言に、松川町の佐々木保・リニア対策室長は「残土置き場の話は具体的に進んでいない。『地権者との交渉は順調』な状況はない」とのコメントを、深津徹町長も「非常に強く疑念を抱き、すぐにJR東海に抗議をした」とコメントしています。
 
 ただし、以下の意見はあります。
松川町の関係者がリニア計画を討議する「松川町リニア中央新幹線建設工事対策委員会」が16年2月22日から始まり、冒頭で書いた、福与地区が11月7日に残土受け入れ反対表明を出したあとの11月29日、第4回委員会が開催され、そこで米沢さんは「地域の合意形成はどうなるのか。生東区はどのように考えているのか」との疑問を呈しています。

 これに対し、その場にいた生東区長は

「生東区に対してもJR東海からは情報が入ってこない。地権者と話ができたら説明すると言われている。地権者とどうなったかも聞いていない。地権者の何人かは、埋め立てをすれば土地が増えると思っている人もいるようだ。福与区の要望を福与区が納得してからではないと生東区としても発生土の受け入れは、賛成できない

 と発言。これは福与地区を無視しないと声明したことですが、米沢さんはさらに疑問を呈します。

「生東区長の話はびっくりした。生東区として発生土置き場候補地の情報提供がされているのに(JR東海から)生東区への情報がなく地権者組合に任されているのは不自然である。県道2車線化の計画がしっかりできて生東区がこうなっていくというストーリーがあればいいのだが、全く知らされていない、まだ決定していない、では、発生土を置くだけの議論になってしまう。そのような姿勢では、福与区も不安を感じる」

と返しています。
ちなみに、町に残土置き場の候補地を挙げたのは、当時の生東区の区長であり、丸ボッキの地権者4,5人のなかの一人であったことは書き添えておきます。
第4回委員会に出席した生東区長は16年度からの新区長で、丸ボッキの地権者ではありません。

なので、これら発言から、大鹿村でJR東海の沢田部長が報道陣に漏らした「地権者との交渉は順調」とは、うがった見方をすれば、ポロリと本音が漏れた・・ととることもできますが、断言をしてはいけません。

 この第4回委員会のあとの16年12月19日、町はJR東海に対して「説明責任を果たすよう求める」要望書を提出。そこには、住民の理解が得られなければ、残土置き場の設置に「反対との結論もあり得ることを承知のうえ、地域住民、関係機関へ説明をされたい」と明記されています。
 福与地区の意思が相当に反映されたと言えます。

後半は明日!
 ちなみに、この取材結果は発表媒体がありません。すべて持ち出しでの取材でちょっとしたお金がかかりました。本ブログの右サイドバーにもご寄付をお願いをしておりますが、ご一考いただければ幸いです。

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 月刊ZAITENは、企業への批判記事に力を入れている雑誌の一つです。

 ここが、今回、葛西敬之・JR東海名誉会長についての記事を15ページも特集しました。
 その人脈や、そのゴリ押しでもやると決めたことはやる姿勢を紹介する一方で、財務省や経団連幹部からの「リニアに3兆円も財政投融資をぶちこむのは平成の馬鹿査定だ」とか「葛西氏と安倍政権の癒着ぶりは度が過ぎている」との声も紹介されています。

 その特集記事のあとに、私が書いた、リニアに3兆円融資や、あまりにも性急な工事の進捗についての記事も5ページほど載っています。

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3月上旬に、長野県の阿智村と松川町で取材をしてきました。
その概況を何回かに分けてレポートします。

●阿智村の現在の概況

 長野県阿智村には、非常口が建設予定ですが、ここから排出される残土(約71万立米)をどこに運ぶかが未定です。
 阿智村の村長は、かつて飯田商工会議所のリニア推進の部署の要職を務めていたとかで、リニア推進派とも呼ばれます。ただし、単なる人事配置でその要職に就いていたのか、個人としてリニア推進なのかは何とも測りかねるところです。
 ともあれ、仮に村長が推進派だとしても、阿智村では今、JR東海が残土埋立てをそうやすやすとはできない状況であることもまた事実です。

 阿智村での残土問題の概略をごく簡潔に整理すると以下のようになります。

★非常口は阿智村清内路地区の住民の生活道路である村道「1-20号線」(いちのにじゅうごうせん)沿いに建設される。非常口予定地の地名は「萩の平」。
★「1-20号線」は黒川という小さな川沿いに走っている。
★「1-20号線」の下流側の出口は国道256号線にぶつかる。
★阿智村の国道256号線には村随一の稼ぎ頭「昼神温泉郷」がある。
★「1-20号線」沿いには地元の人たちの畑が点在している。高齢者のなかにはここを歩いて畑通いする人もいる。この道は狭い。軽自動車同士でもすれ違えない。片側がほぼ垂直の山肌、もう片側が川に落ちる急斜面。残土を運ぶダンプはここを1日最大230台走る。
★国道256号線も、「1-20号線」から出てきたダンプなどと合わせ、一日最大920台が通る。

萩の平地図←黒川も1-20号線も実際はクネクネしている。

1-20号線は狭い←1-20号線は本当に狭い。しかも拡幅工事はおよそ無理なのでは。


●それぞれの思惑
 以上の概況に対して、関係者のそれぞれの思惑は以下の通りです。

★村、そして昼神温泉
 村一番の稼ぎ頭の昼神温泉街への道路となる国道256号線に一日920台ものダンプに走られては、観光客の減少、イメージダウンにつながりかねないので、256号線を走るのは避けてもらいたい。
★「1-20号線」周辺の住民や、黒川周辺で畑作を営む住民
 現在交通量の極めて少ない生活道路に一日230台のダンプに走られては困る。

 つまり、この意思を尊重するなら、JR東海は「1-20号線」も「256号線」も使えないことになる。
 そして、16年2月4日、本ブログでも紹介したように、「阿智村社会環境アセスメント委員会報告書」が、自主アセスの結果を出すに至るのですが、その「報告骨子」は11あります。その概要だけ書けば、

▲「1-20号線」に代わる「代替路」の検討や残土運搬ダンプを「大幅に削減」すること、等を村や村議はJR東海と協議すること。
「1-20号線」にガードレールの設置や拡幅などが求められる。
▲実効性のある環境保全協定をJR東海との間で締結すること。

 これは、深読みすれば、JR東海の着工へのハードルを高くしたとも読めます。なぜなら、「1-20号線」の拡幅やガードレール設置は、現場を見たらわかりますが、ほぼ無理だからです。いや、やろうと思えば、山肌を大幅に削ればできないこともないですが、それだけで何年もかかる大工事になるから、JR東海はやらないでしょう。
 そこで、今、持ち上がっているのが、萩の平の上流部に残土を埋める(積む)方策です。もちろん一つの案であり、これについては現在、JR東海が調査中。この3月で中間報告を出すようです。
 
 まず、今回は、上記、「阿智村社会環境アセスメント委員会報告書」が出された後、村の「阿智村リニア対策委員会」とJR東海とでどういうやりとりがあったかを整理します。
 リニア対策委員会とは、村議3人、農業委員、商工会長などから組織される、リニアに関してJR東海との窓口となっている組織です。
とはいえ、対策委員会からの質問は多岐にわたるので、そのうち、「住民理解」と「残土処分」「工事用道路」に絞って整理します。

●「阿智村リニア対策委員会」とJR東海のQ&A

■その1 住民理解について
 対策委員会は、JR東海が長野県大鹿村で行った言動を問題視し、以下の質問をしています(概要)。

2016年7月12日 対策委員会→JR東海への「質問書」

▲質問①-1 2014年10月22日、阿智村リニア対策委員会、同年11月12日、阿智村中央公民館での住民説明会で(JR東海は)「地元の理解・合意が得られなければリニア工事は着工できない」と説明されました。
しかし、2016年4月27日大鹿村説明会では、「住民の理解、合意ができたかどうかはJR 東海が判断する」と発言されたとあります。
 阿智村住民は「地元住民の理解、合意ができなければ JR 東海は工事着工しない」と考えていますが、それに相違ありませんか。
▲質問①-3 「住民の理解や合意」は事業者、説明者である貴社ではなく「事業による影響が予測され、事業者より説明を受ける側である住民の認識、判断によるもの」と私達は理解しています。2016年4月27日の大鹿村説明会でのご発言について説明下さい。また、住民からの合意が得られたとの判断する基準をお示し下さい。



★8月29日 JR東海から対策委員会への回答

▼①-1 地元の住民の方々にご説明し、ご理解を頂きながら進めていく方針に変わりはありません。
▼①-3 地元の住民の方々にご説朋し、ご理解を頂きながら進めてい<⽅針に変わりはありませんが、計画を進めていくにあたって責任を持つのは、事業者である弊社だと認識しております



★10月7日 対策委員会→JR東海への「質問書」(No.2)

▲質問①(1)  「地元の住民の方々にご説明し、ご理解を頂きながら進めていく方針に変わりはありません」と回答されていますが、改めて、住民の理解、合意は何をもって判断されるのか具体的にお示しください

▲質問①(2) 『計画を進めていくにあたって貢任を持つのは、事業者である弊社だと認識しております』と回答されています。また、9⽉13⽇に⼤鹿村で⾏われた⼯事説朋会で『⼯事の説朋に対する質間が多く、やった意味があった。理解を進めていただくことができたと感じている』と貴社から発言されています。⼯事計画遂⾏の貢任は当然事業者が持つことと認識していますが、合意ができたかを判断するのはあくまで住⺠側にあると思いますがいかがでしようか。また、住⺠合意が得られたとの判断基準について改めてお⽰し下さい。



★12月5日 JR東海からの回答

▼①(1)(2)  地元の⽅々と具体的な話し合いを積み重ねてい<過程における皆様からの意⾒を踏まえ、 地域の方々の合意が得られるよう努めてまいります。



★2017年2月3日  対策委員会→JR東海への「質問書」(No.3)

▲質問① 工事着工合意と住⺠理解のためのルールについて
リニア工事の着工については、村と貴社との文書のやりとりをもって合意するものと考えています。そのために貴社の事業、工事説朋や回答書等に対する住⺠の皆さんの意⾒を広く聞く中で対策委員会では、協定書等文書の原案作りを進めているところです。この原案を元に村は議会と協議の上、最終判断をすることになります。住⺠に対し⼯事の事業主である貴社の説朋貢任は当然必要なことだと考えますが、当該地区との懇談会や説朋会の開催のルールについてお⽰し下さい。

――ここまでーー

 3回目の質問は先月ということもあり、まだJR東海からの回答は現時点(3月11日)ではありません。
それでも、このやりとりを読んでいると、JR東海は阿智村においても、大鹿村でしたのと同じように、住民の意向を軽視している姿勢がみてとれます。
 3回目の回答についても、阿智村の村民の何人もが「先が思いやられる」と言うように、おそらくはJR東海からは具体性のない回答が返ってくるだけかと思います。一方、村リニア対策委員会からは、この点において毅然たる姿勢を感じます。


■その2 発生土の処理や道路工事について
 
これについては、ごくごく簡単に整理します(詳しく書けばとても長くなる)。

 対策委員会は、
「発生土運搬のリスク軽減のために、村道1-20 号線、黒川上流域での発生土置き場(仮置き、本置き場)の可能性の再検討、再調査をお願いしたい。1-20号線の全線2車線化も必要かと考えますが、貴社の考えをお示し下さい」

 と要請し、それに対して、JR東海は

「上流域の調査は2016年11月から着手し、2017年3月末までに結果を取りまとめる」

「2⾞線化及び歩道設置には、移転が必要となる家屋も出て、その他の場所でも⼤規模なエ事が必要となり、⻑期間の通⾏⽌めの必要が出てくることから、現実的ではない。また⼤規模な⼟地の改変等も必要なため、環境への影響も⼤きく、困難と判断いたしました」

 と回答しています。
 だったら、どうして南アルプスにトンネルを掘るんだと突っ込みたくもなりますが、それはさておき、まともに考えたら「1-20号線も使えない」かつ「国道256号線も使えない」となるのですが、JR東海があっさりと引き下がるはずもなく、住民の何人かが「こうなるのでは」と推測しているのが・・。

「黒川の上流部に、一部でも残土の仮置き場を作る。同時に、1-20号線の全線2車線化は無理でも、一部2車線化や待機所の工事はする。そうすることで、1-20号線の通行を可能にして、同時に、国道256号線を通るダンプの台数を少なくするのでは」

 との推測ですが、ともあれ、上流部調査の中間報告はこの3月末までには出るようなので、その結果を関係者は待っているのが現状です。その結果次第で、次の出方を決めると。


●JR東海は何を説明したのか?

 「1-20号線」があるのは、阿智村について書いた前回のブログでも説明しましたが、村で唯一人口増をみている「清内路」という地区です。
 11月7日、ここでJR東海が説明会を開催しました。
 簡単に書くと「黒川上流部の調査をさせてほしい」ということです。そして、この説明会を開催したことで、JR東海は上記リニア対策委員会に「上流部の調査を行う」と報告し、実際に11月22日から調査を開始しました。

 参加者は、JR側が、「鉄道・運輸施設整備支援機構」(工事の発注元になるという説明)から課長以下3名、JR東海から課長以下3名の計6名。
阿智村側では、副村長、役場のリニア対策係、議会のリニア特別委員会正副委員長、リニア対策委員会正副委員長、清内路自治会リニア対応代表者会と村道Ⅰ-20号地権者の会から代表及び各会員が参加。
 これに参加した人がそのときの質疑応答をまとめてくれていたので、それを公開します。

Q:村道の使用は、大型重機搬入については致し方ないとしても、残土搬出について使用を認めたわけではない。苦渋の選択として、上流域に残土の仮置きができないかの調査をするように要望書が出されたわけであるが、阿智村地籍に限らずお願いしているがどうなのか?(樫田補足:黒川上流部はやがて飯田市の地籍になる)
A:阿智村内に限っての調査の予定。
Q:飯田市も含めて調査対象にしてほしいと県にもお願いしている。
A:飯田市には打診しているが、答えを待っていると調査に入るタイミングが遅れてしまう。とりあえず先に阿智村内の調査を始めたい。
Q:飯田市の部分が遅れたとしても、飯田市からOKが出た時点で調査対象地域に含めるべきで、調査結果に反映させてもらいたい。

Q:村道Ⅰ-20号以外の代替道路の可能性もまだあきらめてはいない。以前の事業説明会で調査結果から不可能と報告があったが、具体的にどこを誰がどのような形で調査したのか?
A:実際に現地には行きました。公道から見える範囲での目視と、地形図・航空写真を用いての確認によって、現実的に難しいという結果になりました。
Q:あなたたちは全く現地の地形を理解していないし、こちらだってあてずっぽうに言っているわけではない。実際に可能性があるのではないかという場所を示したのに、調査のやり方がいい加減じゃないか。
A:・・・(答えに窮して沈黙)
Q:もう一度きちんと調査をするべきだ。

Q:村から要望書が出されて調査に来るわけだが、こちらが望んでいるわけではない。調査をしてもいいよ、というだけのことでそこを勘違いしないように。道路の二車線化など誰も望んでいるわけではない。そんなものなくても私たちは幸せに暮らしている。あなたたちが来なければ、そんなものは必要ないのである。
A:こちらが工事をお願いする立場であることは十分に承知しております。
Q:雪が降る前に調査と言っているが、冬季の実情をきちんと把握した方がいい。積雪があり、凍結した状態をちゃんと見に来なさい。頭で考えているのと実際は全く違う。
A:村道の調査は冬季から春にかけて行うので実情をきちんと把握したい。

Q:大鹿村のようなやり方は到底容認できない。住民理解が進んだと勝手に判断されるようでは、信頼関係は築けない。阿智村で同じことをしないように。
A:大鹿でのことについては偏った報道がされてしまい残念ですが、我々としましても丁寧なご説明を繰り返して進めてまいりました・・・云々(言い訳に終始)。

 リニア対策委員会にしても、一般村民にしても、共通しているのは「JR東海が大鹿村でやったやり方は絶対に承服できない」ということです。
 だが課題は、じゃあ、どうやってその民意をJR東海に納得させるかです。
 JR東海は確かに「住民が理解したかどうかはJR東海が判断する」との、それまでの約束を反故にする発言をして、実際に起工式にまで踏み切ったわけですが、ただし、同時に「住民説明会でのやりとり、大鹿村リニア対策委員会での話し合い、工事事務所大鹿分室での住民の話し合いなどを総合的に判断する」とも言っていました。これはあながち否定されるべき発言ではありません。
 工事事務所は平日の朝から夕方まで開いていて、住民なら誰でも行けて、意見を述べるなり質問をすることができる。だが、平日の昼間では仕事をしている人は行けないということもありますが、工事事務所で頻繁にリニアに反対する住民や不安に思う住民が訪れていたかといえば、それほど数は多くなく、かつ、固定メンバーに限られていたようなのです。
 だからJR東海に「反対者は少ない」との材料を与えてしまうことにもなる。とはいえ、その逆の推進派の住民も積極的に工事事務所を訪れていたわけではないので、総合的に考えれば、「住民の理解を得た」と判断するのはじつに早急だった言わざるを得ませんが。

 で、繰り返しますが、説明会以外の日常において、自分たちの民意をどう伝えるのか?
 これは、リニアに限らず、環境問題や社会問題に直面している住民たちの大きな課題です。

 これは以前ブログに書いたことですが、私が以前賃貸マンションに住んでいた時に、突然、私の天井のすぐ上に携帯電話基地局が設置される計画がもちあがり、私は町内会の力も借りて反対運動を展開しました。ところが、このとき、KDDIの下請けの「きんでん」という会社が、地域の各戸を回り、KDDIには「計画に賛成の声は確かになかったが、説明を聞いていただいたので、計画は理解されたと認識した」とのトンデモ報告をあげたのです。この報告を基にKDDIは工事を強行。だが、この手法は、じつはKDDIに限らず、全国のあちこちで使われている手口です。
 私の反省点は、「窓口を一本化すべきだった」こと、そして、「事業推進者を適当にあしらうのではなく、反対なら反対、理解していないのなら理解していないと、合意していないのなら合意していないとの意思をはっきりと、日常的に、示すべきだった」ことです。
 日常的に民意をどう示していくのか。 
 次回は、上記、Q&Aのレポートを寄せてくれた住民も含め、阿智村の住民の意志はどうなっているのかについて、簡単に報告します。

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