取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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●「ストップ・リニア!訴訟」第7回口頭弁論

 2017年11月24日。
 表題の通り、リニア裁判の第7回口頭弁論が開催されました。

裁判前ミニ集会

 今回の意見陳述は「愛知県」からのお二人。川本正彦さんと大沼淳一さんです。

★川本正彦さん
本ブログでも何度か登場。
 2016年2月。岐阜県東農地区。日本最大級のウラン鉱床が地下にあるわけですが、ここをリニアが通る。だがJR東海は「ルートはウラン鉱床にはぶつからない」と主張。そこで川本さんら市民団体が、そのリニアルート上で放射線量の測定を行った結果、周囲のウラン鉱床地帯よりも高い値を記録した・・との事実は、私のブログでも過去最高の訪問者数を記録しました。

そのブログはこちらです。

 川本さんの意見陳述は以下。

▲亜炭鉱跡を通過することの危険性
 川本さんが住む春日井市では100年以上前から、家庭用燃料となる亜炭が採掘されていた。その採掘跡は今、地下を碁盤の目のような空洞となって残っている。その所々が今でも陥没する。記録されているだけでも35カ所。
 2015年2月にはリニアルートから50メートル地点で深さ2メートル、直径2メートルの陥没が起きた。
 そういう亜炭鉱の坑道の地下11メートルをリニアは走る。
 川本さんは、リニア通過時の振動で坑道内の水が抜けての陥没を恐れている。
 対して、JR東海は「シールド工法で施工するため地盤沈下は発生しない」として環境アセスを実施していない。

 
▲JRの住民対応
 また、これは多くの地域で上がっている声ですが、JR東海の住民への対応についても川本さんは言及しました。

「私たちはJR東海に住民の生活環境を守るために「深夜3時までの工事はやめてください」、「リニア路線3キロ幅の井戸水の状況を調査してください」、「環境保全協定を自治体、住民と締結してください」など30項目の申し入れと協議をおこないました。(中略)真摯な回答はありませんでした」

裁判後記者会見171124-2←左端が大沼さん、隣が川本さん


●大沼淳一さん
 私は、リニアに限らず、住民が大型開発問題と対峙する場合に必要なのは、感情とは無関係の「データ」だと思います。「事実」といってもいいでしょう。
  「1+1=2」を違うという人は、開発賛成派にも反対派にもいません。誰もが頷かざるを得ない「データ」を可能な限り集まることも闘いの一つです。
(もっとも、そのデータのごまかしや、雑な計算はあってはならないことです)

 意見陳述をしたもう一人の大沼淳一さんは元・愛知県環境調査センターの主任研究員で、水汚染の調査に携わっていた人です。陳述内容は「意見陳述書」を見てもらうとして、大沼さんは、事実だけを語りました。

★過去に、犬山市池野、楽田、羽黒地区においてカドミウム汚染米が発生。大沼さんらは、近くの採石場の水や泥水の採取、岩石を粉砕しての溶出検査などを行い

 ▲岩石中の成分が水と空気の酸素に反応 → 硫酸を生成 → 重金属を溶解

 といった事実を突き止めました。

 つまり、地中にある重金属は土の外(空気や水)に出ると、周囲を汚染するとの事実です。
 
 その象徴的な事件が14年前の久々利水系での魚の大量死滅事件。

▲水質汚染の恐れ
 隣の岐阜県では、2003年、河川のマスやアマゴ約1000匹を死なせる事件が発生。
 原因は、東海環状自動車道の建設工事で発生した建設残土から強度の酸性の浸出水が河川に流入したこと。残土に含まれていたカドミウムなどの重金属が汚染源だった。
 問題は、この残土は今、岐阜県可児市が富士カントリー(ゴルフ場?)から借りている土地に約100万立米もの堆積物として置かれたが、いまだに重金属の浸出水が止まらないことだ。

 大沼さんは「あと何十年続くかわからない」と記者会見でも主張しました。

 現在、それら汚染水は調整池に溜まると、ポンプアップされて水処理プラントで処理され、処理水が下流に放流される・・・という手続きを取っているのだが、問題は、これがいつまで続くのかということだ。
 国土交通省に、住民が要望する残土全量撤去に応じるつもりはなし。

 大沼さんが強調したのは、それら重金属を含む土壌が出たのは「美濃帯」という地層から。この美濃帯、岐阜県と愛知県とのリニアルート上に散在していること。だから

美濃帯は掘ってはいけません

ちなみに、JR東海の環境影響評価書(愛知県)には土壌汚染について以下のことが書かれています。

 スクリーニング試験結果より2点でほう素のスクリーニング基準値を満足していないことが確認されたが、溶出量試験結果が指定基準を下回っていることから、土壌汚染対策における土壌溶出量の指定基準を満足している。溶出量試験では1地点でフッ素の土壌溶出量が指定基準を満足していないことが確認された。含有量試験結果は、全地点において指定基準を下回っている。また、酸性化可能性試験結果から2地点で当該地質の長期的な溶出可能性があることが確認された。
(スクリーニング、含有量試験、再生化可能性試験などの定義については書けば長くなるので割愛)


●●報告集会
 今回の裁判後のシンポジウム「リニアのためのトンネルに関わる調査は妥当か?」は面白いものでした。シンポジウムのパネリストである二人の科学者の話もまた「事実」のみで語られていたからです。

裁判後のシンポジウム171124
 
●上岡直見さん(環境経済研究所代表)の発言から
 ▲リニアで通勤の嘘
 「リニアは1時間で最大1万人しか運べません。仮に東京・名古屋のリニア全席を通勤に利用しても、東京23区の通勤者のたった0.4%を占めるだけです」
●徳竹真人さん(環境地盤研究所所長)の発言から
「本日のテーマ「リニアのためのトンネルに関わる調査は妥当か?」への答えは一言です。わかりません。データがないからです」
「通常の地盤調査では、絶対に高圧線の近くでやるな、と電力会社から言われています。でも、JR東海はそれをやっている」

高圧線近くで地盤検査

 と・・・、このお二人のお話を書けば、このブログ際限なく長くなるので、これ以上のことは、訴訟事務局が作成したニュースレターを添付します。

訴訟ニュース7-1 訴訟ニュース7-2


●●全幹法は違法か否か
 今回の裁判では、原告側は、「JR東海はリニア建設には、より細かな規定がある鉄道事業法を適用すべきだった。全幹法の適用は違法だ」と訴えています。
 対して、裁判所は、それにこだわる必要はないのではないのかとの姿勢を見せています。
 以前も書いたように、裁判長は資料を熱心に読み込む態度を有していると思いますが、この点においては、全幹法であれ鉄道事業法であれ、鉄道建設に必要な中身をカバーしているかどうかを審査して違法性を問うかと予想されていますが、原稿側はあくまでも「全幹法の適用では、鉄道事業法で定めている鉄道の安全対策や環境保全などがカバーされないので、そこはゆずれないようです。

 古田孝夫裁判長については本ブログでも何度かそのまっとうな姿勢を評価しております。
 一方、リニアとは関係のない市民団体には古田裁判長を支持しない人たちもいます。たとえば、シリアに取材に行こうとしたフリージャーナリストのパスポートを外務省が強制返納を命じた事に対し、このジャーナリストが命令の取り消しを求めた裁判の裁判長が古田裁判長でした。判決は「原告の生命・身体の安全を優先して保護しようとした外務大臣の判断が不当であるとはいえない」として、返納命令は適法、原告の訴えを却下したのです。

 願うのは、原告、被告双方の資料をよく読みこなしたうえで、合理性のある判決を出してほしいとのことです。

 次回口頭弁論は、1月19日14時半から。

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←拙著「悪夢の超特急 リニア中央新幹線」。

リニア新幹線が不可能な7つの理由


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●リニアの騒音問題

11月11日、山梨県中央市で「人も自然も苦しめるリニア講演会」と題したシンポジウムが開催されました。
 主催は「山梨リニア沿線住民の会」

 これを取材しようと思ったのには、おおざっぱには二つの理由があります。

1.リニア中央新幹線については、
★現行の問題(水枯れや手続きのずさんさ、活用できない残土など)や
★今後の問題(立ち退きやウラン残土など)
 などがほぼ論議されていますが、まだまだ議論を深めるべき問題も残っています。
その一つが、営業本線においては「16両編成」+「1時間で往復10~16回の走行」となることで、どれだけの騒音問題に発展するのかです。これが講演で話し合われる。

2.今後の用地買収において、現時点では絶対に応じない人たちが数人参加するから。

 といったところです。

 11月11日。山梨県中央市の玉穂生涯学習館にはおよそ100人の市民が参加。

 品川・名古屋286キロ区間のうち86%はトンネル。残り14%の約40キロの明かり区間のうち、27キロが山梨県に集中しています。
 基本的に、明かり区間においては、JR東海はルートを土管のような「防音フード」ですっぽり覆って防音対策を施します。

リニア明かり区間のフード←山梨県での防音フード

 ところが、山梨県ではその明かり区間の所々で、リニア走行の見学や写真撮影をしたい観光客のために天井部分を開ける「防音壁」を設置します。
 ちなみに、これはもちろん山梨県だけではなく、神奈川県でも岐阜県でも数か所で同様の「防音壁」措置がなされるようです(目的は、観光というよりも、超高速走行で生じる風圧を逃がすためとか経費削減が推定されている)。

 さて、一般市民が騒音に悩まずに暮らせるよう、騒音規制法においては、おおざっぱには昼間は55デシベル、夜間が45デシベルを上限とすることが定められています。

騒音規制法

ところが、リニア計画においては、路線から片側400メートル(両側で800メートル)の範囲において70から75デシベルまでが認められています。
 この件について、「山梨リニア沿線住民の会」は2016年12月と2017年9月、山梨県森林環境部大気水質保全課に以下の要望書を提出しています(概要)。
「騒音の基準が、70デシベルという極めて高い数値は私たちの健全な日常や生体を必ず破壊する。70デシベルを国の基準という理由で適用するのはなぜなのですか」

 これに対する回答が
「騒音環境基準は鉄道騒音には適用しないものとされています。全国の新幹線鉄道に対して適用されているのは『新幹線鉄道騒音に係る環境基準』であり、リニア中央新幹線にも適用されます」
 というものです。
 それが、70~75デシベルという値です。

 講演会では、その70デシベルがどれほどの音なのかを体感してもらうための騒音発生体験も行われました。

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72.3デシベル←発生実験では72デシベルだった

 それにしても、400メートル離れていても70デシベルとは、線路のすぐ近くでは何デシベルになるのか?

 会場からは数人の挙手があり、いろいろな意見や質問を発言していましたが、印象深かった発言者がいました。
山梨県笛吹市にはそれこそ観光目的で作られた「リニアが見える丘公園」があります。これは眼下を走る約1キロ(?)の明かり区間を防音壁にすることで、公園からリニア走行を見学できるというもの(結果は惨憺たるものだそうです。私も数回訪れたが、いつもほとんど人がいない)。
 ここで気になるのは、橋脚のすぐそばに結構な数の(約100軒)家々があること。いつも、これら住民は騒音や日陰をどう思っているのだろうかと気にかけておりました。

リニアが見える丘公園から走行実験リニアが見える丘公園からの眺め。すぐ近くに多くの人家がある。

 今回の講演会では、会場からの発言者に、そこの住民がいらしていたのです。仮にAさん。
 Aさんの自宅は、線路からはおよそ100メートル離れていて、実験車両の速度は、終点に近いこともあり時速150~200キロなので、騒音レベルもおよそ50デシベルとそれほどうるさくはない(ただし線路のすぐ脇の家はわからない)。
 そこで、AさんはJR東海に「名古屋までの営業が始まると時速500キロでここを通過します。いったいどれくらいの騒音になるのですか?」と尋ねたところ「いやあ、基準値内ですよ」との回答があったそうです。
 さらに、Aさんは「防音壁から防音フードに代えたら何デシベル落ちるのか?」と質問したら、これには具体的に「15デシベル落ちます」と回答。
 Aさんたち住民は当初、同地区での通行を地下走行にすべしと訴えることも考えたようですが、JR東海の当初プランに従わざるを得なかったようです。

「私たちには何の情報もなかった。外からの支援もなかった」

 この言葉には考えさせられます。
 地域に根差す住民たちを支える外部の市民運動の課題であるからです。

 報告会への参加者はほかにも、「ストップ・リニア!訴訟」で意見陳述を行った平川一星さん(自治会で70デシベルの騒音発生実験をして危機意識を共有し、自治会として「フード設置」を決議させた)や、JR東海の説明会を「あまりにもずさんなので、なかったことにしてほしい」と表明し、その後一切の話し合いを拒否している、南アルプス市の宮沢地区・戸田地区の住民、また、長野県飯田市のリニア駅周辺に在住で「立ち退かない」と決めている住民もパネルディスカッションを行いましたが、それは、またの報告とさせてください。

171111中央市シンポ1パネルディスカッション。詳細は近いうちに。

リニア新幹線が不可能な7つの理由


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●明日、11月7日から、山梨県早川町で残土運搬が始まる。

 山梨県早川町。
 南アルプスの山梨県側のトンネル掘削の最前線です。
 以前も書いたように、ここから掘り出される建設残土は約329万立米。まず120万立米が町の最北部に運ばれ、早川町と隣の南アルプス市とを結ぶ「早川・芦安連絡道路」の建設の一部に使われますが、その残土搬出がいよいよ明日7日から始まるようです。

 11月3日。その詳細を尋ねるため、山梨県で旅館業を営むAさんの元を訪ねました。

奈良田温泉のいろり←Aさんのいろりで話す。

 早川町のことは本ブログで何度も書いていますが、情報を整理すると以下のようになります。

●トンネル掘削では約329万立米の残土が発生する。
●うち120万立米がこの11月から、町北部に建設予定の県道「早川・芦安連絡道路」建設のために搬出される。
●だが、掘削現場から「連絡道路」予定地まで残土を運ぶ県道37号線は北に行くほどに細くなり、一日数百台ものダンプの相互通行は無理。しかし、県には「拡幅」の予定はない。14トン規制しかない22カ所の橋の補強だけは行う
●早川町では、数年後に、残土運搬のダンプが県道を1日930台(往復)を走ることになる。37号線沿いの旅館にとっては、閑静な山間地のイメージが崩れ、物理的に観光客の車も渋滞に巻き込まれるため、観光業の死活問題となる。旅館の主たちは、町に対して、対策を訴えてきた。
●やはりというか、JR東海は、残土運搬ルートの一部を県道37号線に加え、県道37号線と平行に流れる「早川」の河川敷のなかに運搬ルートを作る。舗装道路は無理なので、砂利を敷き詰め、それを固める工事になるようだ。
●だが、河川敷ルートから再び県道37号線に上がる途上には、残土運搬で観光業への影響が甚大になることを恐れるAさんの土地がある。Aさんは、自分の土地を使うならば、町やJR東海に対していくつかの「要望」をのんでもらうことを要求している。

 さらに詳しい話を聞くためにAさんのもとを訪れたわけですが、その内容は以下のようになります。


●ルート概要

★JR東海の計画では、残土運搬ダンプは、掘削地から県道37号線を通って北上する。だが、町北部の奈良田温泉地区の数百メートル手前で河川敷に降りて、奈良田温泉地区を過ぎて「奈良田橋」の手前で再び県道37号線にあがる。その、河川敷から県道37号線に上がるところにAさんの土地がある。

早川町河川敷ルート1-1←赤い点線が、JR東海が示した河川敷ルート。真ん中の黒丸から左が奈良田温泉街。Aさんらは、もっと温泉街からルートを離せと要求している。青い線が早川。右端の赤い楕円がAさんの土地。ここから再び県道37号線に上がる。

★Aさんの土地を通って再び県道37号線に上がって北上すると、一般車両が通れない「開運隧道」(入口に鍵がかかっている)を通り、そこを抜けたところで、再び河川敷に降りて、そのまま建設現場に到着する。

早川町開運隧道←地元住民以外は鍵を持てない開運隧道。残土運搬車はここを通った後・・(写真はgoogle earth)

 早川町河川敷ルート2開運隧道を抜け、しばらく県道37号線を走り、右の③の地点から再び河川敷に降りる。そして
早川・芦安連絡道路の早川町部分←早川・芦安連絡道路の早川町側に到着。ここに120万立米を埋める。だが、橋の建設にそもそも谷の埋め立てが必要なのかの疑問は残る。


●Aさんの条件

★Aさんは、個人的にはリニア計画に同意をしていません。だが、早川町北部と南アルプス市とをわずか4キロ(設計変更で5キロから4キロになった)でむすぶ「早川・芦安連絡道路」は、Aさんだけではなく、町の悲願だった。というのは、現在、南アルプス市から早川町北部に行くには、「V」の字ようなルートしかなく、1時間半もかかるのだが、連絡道路はこの「V」の字の二つの頂点を直線で結ぶことで、アクセスを飛躍的に便利にする。

 だからこそ、Aさんはリニア計画に反対ができなくなってしまった。、

「私も、この地区の一員として、連絡道路の実現を何十年も陳情してきました。だから、それがリニアの残土で作られるといっても、今さら反対できないんです」(Aさん)

★だが、Aさんは、河川敷から37号線に戻るルートの土地をもっている。今のAさんができるのは、自分たち観光業への影響が極力出ないルート設定をJR東海と町に要求することだった。すなわち

 河川敷ルートは、旅館がある側の河川敷ではなく、河川敷のギリギリ向こう側を通ること
 
★JR東海はこの要望を受け入れる方針とのこと。(まだ契約書はかわしてはいない)
 河川敷での道路建設は12月から始まるようです。


●残土運搬始まる

 ただし

★リニア工事での残土運搬は「11月7日」から開始される。当初は一日数十台の規模なので、河川敷道路が完成しなくても県道37号線だけを使うようだ。
 奈良田温泉街から県道37号線を北に向かうと、すぐに開運隧道に着くが、ここから先は一般車の通行は不可能。トンネル入り口には鍵のかかっているゲートがあるからだ。地元住民だけが鍵をもっている(私がそこから先の写真を撮れたのも、Aさんが同行してくれたから)。
 
 さて、Aさんは、JR東海にも町にも深い不信を抱いています。

 1.JR東海への不信

★10月にJR東海の山梨工事事務所の担当課長ら3人が、現場の環境を概観するため、Aさんの宿に泊まった。Aさんは、町で 行われた住民説明会でもそうだったが「観光業に対する影響にいろいろな意見があるが、いったいどう捉えているのか」と問いただした。
「その影響をどう判断するのかが難しいのです」(JR東海)
ーーJR東海だってホテルも運営しているでしょ。そのすぐ近くが車列や騒音や砂ぼこりだらけになったら困るでしょ」
 この質問に対しては、「ニヤニヤ笑っているだけでした」(Aさん)

 2.町への不信

 本ブログでは、旅館業経営者からの「環境の激変で経営が傾くぞ。どうするのか」との訴えに、町長が「俺が何とかする。倒産したら町費で補償するから」と答えたことを書いたことがありますが、町は今でも、観光業への影響は「ない」と表明しています。
 そこで、Aさんは、町長にも役場の幹部にも、「まず、観光影響調査班を設置して、リニア工事が観光業にどれほどの影響を与えるのかを調査せよ」と何度も訴え、これが今、実現しそうなところにまで来ています。
 調査してほしい主要ポイントは二つ。

1.観光客からどういう意見があるかを拾うこと。
2.観光客が、閑静な山間地ということで来てみたら、ダンプ街道に幻滅し、それをSNSなどで拡散したら大変なことになる。ネット情報を随時チェックせよ。

 ただし、町が、どういうメンバー構成でこれを組織するかは未定。
 役場の職員や推進派の経済団体メンバーだけで構成したら結果は見えているので、Aさんは、外からの有識者、一般公募の町民などを入れることを望んではいるようです。

「この調査をやってもらわないことには、リニア工事で被害を被っても、私には反論することができない」


●なぜ11月7日からの残土運搬が可能なのか?

 残土運搬が11月7日から始まると書きました。
 ところが一点、不思議なことがあります。それは、本ブログで以前も書いたことですが、残土運搬を可能にするため、山梨県は県道37号線で14トン規制しかない22の橋梁の補強工事を行います。
 ところが、この補強工事は終わっていません。正確には、始まっていない橋梁もある(こっちが多数?)。
 だのに、なぜ残土運搬ダンプが通行できるのか? 

早川町14トン規制

 そこで、早川町の県道37号線を管轄する「山梨県峡南建設事務所身延道路課」に電話をしてみました。以下の回答です。

「確かに早川町では22の橋梁の補強が終わっていません。しかし、事業者が『特殊車両通行許可』を山梨県道路管理課に申請します。それを受けた県は、大型ダンプであれ、『速度を落とす』『一台一台通行する』などを守れば、橋の強度は保たれるといったことを検討します。その結果、許可を出しました」

 とはいえ、もともと、早川町のあの狭い道では速度を出しようがないし、あの短い橋では数珠繋ぎ走行もあり得ないわけで、そういう条件下でも初めから14トン規制であったわけです。
 何か腑に落ちませんが、県がそれで認めたというのであれば、JR東海のダンプは走るしかない・・ということです。

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 来月(2017年11月)、いよいよ、南アルプストンネルの山梨県側の掘削地である早川町から、町北部と南アルプス市とを結ぶ「早川・芦安連絡道路」(長さ約5キロ)の建設のため、建設残土が運ばれます。
 約120万立米が運ばれますが、一日に何台のダンプが走行するのかはいずれ確認します。

 ところで、ふと思いました。

 2013年の「環境影響評価準備書」の時点から、JR東海のリニア事業で排出される5680万立米の残土のうち、処分が想定されているのはその2割に過ぎないと言われていました。
 
 山梨県に限っても、今年4月、JR東海は「現時点では、山梨県で排出される残土の2割しか処分できない」と公表しましたが、そういえば、そういう計算を私はしたことがなかった。

 ということで、評価書やその後の報道などで知りえた数字を足して、5680万で割ってみました。

残土活用先一覧

 確かに計算のしようによっては2割台になりますが、それは、JR東海側の素案も入れての数字であることが分かります。つまり、残土を出す側、受ける側双方の合意が取れている残土活用先は、じつは2割未満ということです。

 数字はうそをつきません。
 数字を極めるだけでも、2027年開通は難しいとの結論を導きだすことは可能です。
 そう考えると、残土に限らず、評価書を読み解くことはけっこう大切な作業ですが、リニア計画に難色を示す住民団体でもそれを怠っているところはけっこうある。そういう組織に共通しているのは「感情」です。
 
 感情よりも、正確なデータを出すほうが、JR東海との対峙には大切かと思います。
 ちなみに、上記の数字で、事実誤認などありましたら、どうぞ指摘してくださいませ。

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 久しぶりのブログです。家族の見舞いに時間を取られていますが、さすがに最低限は稼がねばならない現実もあるわけで、少ない自分の時間でもやりくりをしようと気持ちを立て直しています。、
 
 来月の2017年11月から、リニア工事の南アルプストンネル(山梨県側)で排出される建設残土がいよいよ運搬される予定です。
 運ぶ量は約120万立米。山梨県全体で排出されるリニア残土676万立米の2割に過ぎないので、。残り8割をどうするかですが、JR東海にしても2027年という竣工時期が決まっているだけに、大急ぎでどこかに目星をつけているはずです。

 それはともかく、11月から残土が運搬されることは、早川町について触れた本ブログの記事 に書いてあります。

 そして、これは何度も書いていますが、あの細い県道37号線をどうやって一日最大時で往復930台ものダンプが走れるのかが本当に疑問です。

早川町の狭い道早川町の北部。リニア残土を運ぶにはこの狭い道しかない。対面交通は無理。だが片方が垂直の山肌だから拡幅もできない。

 ただし、それをクリアする方法が一つだけあります。あくまでも可能性の一つとして、本ブログでは、「リニア、残土運搬車は河川敷を走るか」との記事も書いております。

 ただし、これを書いたときは、河川敷ルートはあくまでも可能性の一つであり、こちら側の推測でもあり、その推測が外れることもアリとは思っていました。

河川敷道路早川町北部。写真の河川敷に白く伸びているのは舗装道路。国交省工事事務所によれば「上流の砂防ダムに行くための道」というのだが。

●Aさんからの連絡。「河川敷を走ります」

 ところが本日、早川町であるご商売を営まれているAさんから連絡が。
 その要点は

★先日、JRの責任者、工事関係者、町役場の三者が残土運搬に関する説明をしに来た。

★それによると、ルートの一部は、河川敷にバイパスを造って通行する。

 おお、やっぱりそう来たのか。ただし、上の写真と同じルートかはわかりません。

そして、バイパスから県道に上がる場所の土地は、Aさんのものだった。(だから説明に来た)

 Aさんが心配するのは、早川町の静かな環境を望んで温泉や観光にやってくる旅行者は数多いのに、そこに一日数百台ものダンプの渋滞が起こったら、商売あがったりは目に見えている。
 ところが、Aさんは、以前から町にはリニア工事による観光への影響などを調査せよと同業者とともに要請しているのに、町が無策でいることです。

ーー影響調査はしないのですか?
「・・・」
ーーもし、観光客が、いざ来てみたらダンプだらけの環境に怒って、SNSなどで「行かないほうがいい」と拡散したら死活問題だ。対処策はあるのか?
「・・・」

 やってきた3者はAさんの質問には何も答えられなかったそうです。

 なので、Aさんとしては、自分の土地を使わせるわけにはいかない。どうしても使うのであればと、ある「要望」を出したそうですが、それは今返事待ちだそうです。
 これはメールでいただいた情報なので、その要望が何かまでは確認できませんでした。
 
 そういう微妙な情報はやはり現地に行って膝を突き合わせるしかありません。
 とはいえ、私の住む神奈川県の隣の県とはいえ、早川町は遠い。片道3時間かかるし、高速料金、ガソリン代、途中の食事代などを計算すれば、1万円以上はかかります。ない財布を絞って行くしかないか。
 
 あと気になるのは、南アルプスの掘削現場であるこの早川町にはどの市民団体も支援に入っていないことです。
 もちろん、早川町にリニアに関する住民組織があるかといえば、ない。だから市民団体も入るには入れないのです。
 ただし、リニア計画に不満や危機感を抱く住民は点在している。 市民団体が、このAさんのような方々と、まずは水面下で話し合うのは、必要かもしれません。

 今後の可能性は以下の3つでしょうか?

★Aさんが土地使用を認めないから、狭いままの県道37号線で渋滞しながらの残土運搬が始まる。
★Aさんの要望を聞き入れ、環境や生活への影響調査を実施する→町、JR、観光業者などが話し合う→何かしらの合意をする。
★Aさんの土地を「強制収容」(名義を個人から国のものにする)して、JR東海が使う。

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リニア取材のカンパのお願い
 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、数十組もいる会うべき人たち・組織の多くに会えないでいます。また、リニアに関する記事を書こうにも、ほとんどの雑誌はJR東海が広告主であるため、記事を掲載できず、取材するほどに資金力が落ちる状態が続いています。今後は、再び単行本の発行を目指しますが、私のリニア中央新幹線に関する取材へのご寄付をお願いできないでしょうか?  カンパをしてくださった方には ★ブログに記事を掲載する際のお知らせ。 ★雑誌に記事を載せる場合の、掲載誌送付。 ★単行本を出した際の、一冊謹呈。  など、せめてもの特典を用意いたします。  なお、いただいたカンパは以下の用途に限定します。 ★取材地までの往復交通費。 ★取材地での宿泊費。 ★リニア中央新幹線に係る資料代。  食費は自己負担としますが、使用明細は公開します。  ご協力いただける方は以下の口座への入金をお願いいたします。  みずほ銀行・虎ノ門支店・普通・1502881 カシダヒデキ  ご入金に際し、ご住所や連絡先などを教えていただけたら助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
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必要か、リニア新幹線
リニア中央新幹線の問題点を『環境性』『技術性』『採算性』の3点から理論的、実証的に解説した一冊。リニア計画の入門書。
リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」
リニア中央新幹線を巡る問題を語らせては、その理論に一部のすきも見せない橋山禮治郎氏の第2弾。このままでは,リニア計画とJR東海という会社は共倒れになることを、感情ではなく、豊富なデータを駆使して予測している。必読の書。
自爆営業
国会で問題にされても一向に改まらない郵便局の自爆営業。年賀状1万枚、かもめーる700枚、ふるさと小包便30個等々のノルマはほぼ達成不可能だから、ほとんどの職員が自腹で買い取る。昇進をちらつかせるパワハラや機能しない労組。いったい何がどうなっているのか?他業種の自腹買取も描いている。
アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。