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樫田秀樹

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 8月20日。神奈川県相模原市で「大西大通り線」について、市民と本村賢太郎市長との質疑応答が行われた。
230820リニア大西大通り線 市長質疑応答6

 相模原市では、JR橋本駅のすぐ隣にリニア神奈川県駅が建設中。2027年の完成(絶対に無理)に合わせて、市は駅周辺開発を手掛けるが、その一つが駅周辺につの道路を新設することだ。
 そのなかでもっとも長い「大西大通り線」は長さ920m。約100軒が立ち退かされることになる。そして、この新設道路は、なぜかその直下の地下20m前後を走るリニアルートでもある。
 JR東海がここを工事するためには、
★「区分地上権」という地下を利用するための権利を地権者から得る必要がある。
 だが、仮にリニア計画に反対する住民、もしくはここを離れたくない住民がいれば、「区分地上権」を設定できない。
 そして、住民が疑うのは
★立ち退くにしてもJR東海が補償金を支払う。だが、この直上に道路計画が来れば、あとは東京都が事業認可すれば、住民の立ち退きなどが容易になる。これは、リニア計画を実現するための道路計画なのでは、ということだ。

 この計画に反対する市民団体が、市長と交渉し、この日、市民と市長との対談が実現した。
 まず、そういう場に市のトップである市長が現れたことは評価したい。
 で、肝心の質疑応答だが、ほぼ全員が反対意見。そのいくつかを紹介する。

●住民1 リニア計画の上に道路を作った。リニアを作るための道路。どうせ作るなら、この道路だったら仕方ないよねというものを作ってほしい。この計画には、住民の意見が反映されていない。
230820リニア大西大通り線 市長質疑応答5

●住民2 これだけ反対が多いのに、道路計画の開業まで予定されているのはどうして。測量を始めるというが、まず鉱床でしょ。順番が逆。市は「町づくり」のためというが、町はもうできている。道路は作らなきゃダメ?
●住民3 市長に聞きたい。私は選挙の時はあなたに協力しているが、あなたもこの会議にご協力を。このルートはどう見てもおかしい。私は昭和37年(1962年)から住んでいるが、このルートのため工場も自宅もとられてしまう。新しい道路よりも、既存の道路を広げてほしい。(拍手)まだ未整備の道路もある。お金をそちらに回すべき。
●住民4 あなたは常日頃「すべての人が幸せに暮らせる暖かな相模原を」と言うが、この計画は我々を不幸の淵に追いやる。
 本当の政治家なら勇気ある撤退が必要。既存の道路を活用したらどうですか?もっと頭を使いなさいよ。税金でご飯食べているんだから。

★市長からの回答  「72万人の市民を誰一人取りこぼさない」は私のポリシー。
 4年前に市長に就任したとき、虫食い状態での道路開発だったので、令和4年3月に新道路計画を立て、21本に絞って決定。相模原市は周辺道路の計画が進んでいなかった。
 橋本駅南口に5本の道路ができる。特に大西大通りについては、その必要性も説明しなければと思う。
230820リニア大西大通り線 市長質疑応答3

●住民5 この計画、地権者がハンコを押さない限り、100年経ってもできないですよ。本村君は道路をつくる気? それとも既存の道路の活用? どっち?

★市長の回答  市の職員を中心に用地交渉をさせていただく。人生をかけての自宅購入だから、丁寧に寄り添えと言っている。
 私もまだ皆さんへの寄り添いは足りないと思う。
 ただし、大西大通りについての説明会は55回行っている。(会場から「嘘ですよ!」「そんなにやっていない」)
230820リニア大西大通り線 市長質疑応答4

●住民6(竹内安夫さん) 国交省のガイドラインは法令ではないが、法令のように重い。そこでは、道路の構想段階から住民とコミュニケーションをとることと定めている。ところが、この計画での現実は、地権者は一切知ることなく、昨年3月31日に突然の発表となった。そして、そのときの資料には、大西大通りには個別説明を行ったと書いている。私はそんな説明を受けていない! それを質問したら、6年前に話したと。そういうことは一切なかった。すると、今年5月の説明会で担当者は「個別説明会は行っていなかった」と言葉を変えた。私は驚いた。嘘を堂々と広報したということですよ。
230820リニア大西大通り線 市長質疑応答2

 ●住民7 西橋本の住民は誰一人、この道路は不要と思う。なぜ強引に作ろうとする。私たちを立ち退かせ、中途半端な道路をつくる必要はない。
 渋滞緩和のためというが、数年後もこの新しい道路も渋滞するのは目に見えている。
 市長は見えないか? 事業認可もこれからなのに、説明資料では土地売買の制限など恐喝するような脅し文句だ。

●住民8 対話が必要。でも、我々は市長のポリシーから排除されている。55回の説明会なんて嘘。対話もしていない。
 丁寧な説明というが、市の考えを丁寧に説明されても困る。我々が求めるのは対話。対話からお互いがすることが見えてくる。この道路は、住民の意見も聞かず始まっている。一度白紙に戻すべき。(拍手)
230820リニア大西大通り線 市長質疑応答1

★市長の回答 国交省のガイドラインはどんな道路にも一律的な適用ではなく、国道などの大規模道路が対象。じつは私自身も市長就任した時、市の道路計画をこれが本当に道路計画課と疑った。今回の道路については昨年6月に路線図を示した。だが確かに説明会は足りなかった。
 私は今後、説明会はすべて出て対話もする。大西大通りに関しては撤回はしないが、ご理解いただけるよう説明する。橋本駅周辺がどう変わるか分からなければ賛成もしていただけない。
 この道路計画には賛成の方もいるので。(会場から「いませんよ!」)

●竹内  国交省ガイドラインは国道だけ対象とはとんでもない。じゃ国道じゃなきゃどうでもいいんですか、冗談じゃない。
 市長に質問したい。なぜ道路計画は唐突な発表になったのですか? なぜ市民を排除するのですか?
 市には新設道路を作るための条例もガイドラインもないし、コミュニケーションも意見も無視する? 答えてください。

●住民9  私はリニアルートの直上に住む。役人が考えた街づくりは「こうだよね」とのきれいな言葉だが、要は、当事者、地権者や近隣住民の意見が反映されていない。なぜ道路策定の会議に当事者を入れなかった? 

★市長の回答 これだけ多くの方が理解をしていない。対話は足りなかったと思う。今後、膝を突き合わせてやりたい。

 と予定の1時間を30分延長して臨んだ市長は、終了後すぐにエレベーターへと向かった。
 私は廊下に市長を追いかけ「対話をするとおっしゃいましたが、その対話の間は、この計画はいったん中断するのですか?」と尋ねた。
 すると市長は「それは今会場にいる担当職員に聞いてください」とつれない返事。
 ともあれすぐ会場に戻り、担当職員に話を聞いた。で、結論は。
▲対話をしても、スケジュールは変えない。大西大通り線は、第1工区と第2工区があるが、第1工区の来年10月からの測量開始は変えない。
――でも、この道路計画、完成までに10年かかります。リニア開業予定の2027年(絶対無理)には間に合いませんよ。
▲測量と合わせ、用地交渉も来年から始ます。(つまり2027年以前に)
――しかし、第1工区が竣工してから第2工区の着工では、さらに10年かかる。じゃ、第2工区の測量や用地交渉はいつ始めるのか?
▲再来年です。(実に、たった1年遅れでの用地交渉。やはり2027年前までには第2工区の買収も終えたいのか?)
――確認したい。資料には用地交渉には「土地収用法の適用」も示唆されているが、「強制収用」(不動産の名義を個人から国に替える)や「行政代執行」を適用するのか?
▲それはやりません!(これは本気の回答だった) あくまでも丁寧に地権者と交渉します。

私は市長はそれなりに真剣に市民の声に耳を傾けたと思う。もしかしたら、市長はこれまでの住民の意見の詳細を知らされていなかったのかもしれない。となると、民意とスケジュールが決まった計画との間で、何をどう決断するのか。その推移を今後も見ていきたい。

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2023/08/22 22:39   [ 編集 ]
樫田さんの取材に感謝し61ます
相模原市長と市民との対話の取材に感謝します。市長を追いかけての取材、部下に聴いてくれと言うのは市長の本音と思います。相模原市の幹部は市長のロボットであり市長は裸の王さまかもしれません。民意を汲もうという態度がないことは、行政を司る風潮のように感じます。
2023/08/22 22:40 竹内安夫 URL [ 編集 ]















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1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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