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樫田秀樹

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●終了23時15分…

  「第5回 リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議」

 8月25日。18時に始まった会議は終了が23時15分。
 急いで駅に向かい、久しぶりに終電を乗り継いで帰宅したのは夜1時過ぎ。

200825有識者会議1

 何をそんなに話し合っていたのかというと、議題はわずかに二つ。

1. 大井川流域の現状及び水収支解析について
2. 畑薙山断層におけるトンネルの掘り方・トンネル湧水への対応について

 議事のすべては時間の都合上書けないが、概要は新聞社が伝えているので、そちらを読んでいただくとして、印象に残ったことだけを書く。詳細はまた後日。

200826中日新聞記事

●ペーパーの「座長コメント」は配られたが、座長は出てこなかった。
 前回の第4回会議までは、会議終了後の記者ブリーフィングで、国交省の江口審議官、会議座長の福岡捷二・中央大学研究開発機構教授、JR東海の宇野護副社長などが取材を受けていたが、今回、その直前に、会議の内容を整理した「座長コメント」なるものが記者に配布された。

200825座長コメント1  
200825座長コメント2

 それはそれでいいのだが、ご本人である福岡座長がブリーフィングに出席しなかった。
 前回、福岡座長は、7人の有識者の意見が分かれているのに「(大井川上流に影響があっても)、委員の皆が、中下流域の地下水への影響は大きくないとの方向性がある」と発言。だが実際は、その後「そんな同意はしていない!」と反発する委員も複数人いた。おそらくは、その反省点から今回は「委員の総意」としての「座長コメント」ペーパーを配布したのだ。
 だが、本人が出てこなかった。
 もしご本人が出てくれば、私だけではなく、当然、記者からは「前回の『全員が方向性を有した』発言をどう思うか? 撤回するのか?」などの質問がされていたはず。座長の立場ならブリーフィングには参加すべきだ。
 
●「JR東海のデータだけではなく、静岡『市』のデータも検証してみては?」
 前回、7月16日の第4回会議において、JR東海が行った、トンネル掘削現場周辺での水収支解析結果が公開された。トンネル掘削完了20年後において、周辺の水位が350m以上も下がるという、けっこう衝撃的なデータである。

リニア 地下水位350m以上下がる

 その2週間後の7月31日に、静岡県で「環境保全連絡会議」が開催され、そこでは、このJR東海のデータと一緒に、静岡『市』が同地域で調査したデータが公開された。(「平成28年度 南アルプス環境調査 結果報告書 Ⅵ 水資源調査」)

静岡市GET FLOWS解析


 ところが、この静岡市のデータは、地下水位の低下は50m前後とJR東海の予測よりも少ない一方で、影響を受ける範囲が広範囲となっているのだ。
 静岡市のは「GetFlows(統合型水循環シミュレータ)」という解析手法を使っているためだが、「連絡会議」では、この二つをどう検討すればいいのかが今後の課題とされた。

 そして、今回の有識者会議で、WEB参加した委員の大東憲二・大同大学教授が「今まではJR東海のデータだけを見てきたが、この有識者会議でも静岡市のデータを検証してみては?」と提案したのだ。
 ところが、これまた座長コメントで違和感が。
 座長コメントでは「静岡市による解析結果等を用いて、追加の検討を行うよう有識者会議からJR東海に対して指示があった」と、大東委員の提案とは違うニュアンスになっていた。
 このコメントに大東委員は同意したのか? 私がこれを質問すると国交省の江口審議官は「はい」と答えた。
 つまり、委員が静岡市のデータを検討する前に、まずJR東海がそれを検討して、有識者会議でその検討結果を伝える…ということだ。
 会議後、確かに、委員たちは別室で改めて話し合い、記者ブリーフィングのために「座長コメント」をまとめたが、ややもやもやした思いが残る。今にして浮かんだ疑問は、委員だけで話し合っていたのなら、いつ「JR東海に指示した」のだろう?

●「座長コメントは誤解を招く」。難波・静岡県副知事のコメント
 会議をオンライン傍聴していた難波副知事のコメントも「座長コメント」を評価していなかった。
「座長コメントは無理がある。誤解を招く。おそらく、前回のコメントでいろいろな意見があったから、今回こうした形にしたと思うが、後日、きちんとした議事録を作るのが普通のやり方。たとえば、ここには「主にトンネル施設の規模等を決める目的で作成された水収支解析モデルにおいて・・・」と書かれているが、こんな議論はされていない。委員の皆さんはこんなこと一言も言っていない。国交省の意図を感じる

●「ちょっとよろしいですか!」。生物多様性も話し合われるか?

 ただし、この有識者会議に意味はある。
 それは、静岡県では出てこなかった資料が、国の有識者会議においてはどんどん出てくることだ(だからこそ、静岡の関係者は憤るのだが)。
 そして、現在は、有識者会議は「中下流域の地下水への影響」と「トンネル湧水の全量戻し」の2点を話し合っているが、これに3つ目の議題が加わるかもしれない。
 それは、JR東海が「地下水位が350m以上下がる」や「その周辺の沢の流量が7割減る」などのデータを示したことで、その地域の生態系にたいへんな被害が及ぶと推定されたことだ。
 今回、静岡県の「連絡会議」の委員でもある森下祐一・静岡大学客員教授が、会議終了間際に「ちょっとよろしいですか!」と発言を求めた。
「7月31日の県の連絡会議において、上流の減流は生態系に影響出るので、『有識者会議でも議論してほしい』とのコメントがある。生物多様性の問題は、今の2テーマと同じかもっと重いテーマ。この有識者会議の事務局で取り上げてくれるかを討議してほしい」

 これに対して、江口審議官は記者ブリーフィングで「今は2テーマを話し合っているので、生物多様性の問題は何かしらのタイミングでやらねばならない」と、微妙な回答をしただけだった。

●必要な取材だが
 これまで5回の会議のうち、4回に出席しているが、昨年まではリニアについて報道もしていなかったメディアが多数訪れている現状は、ある意味喜ばしい。
 だが、自分自身のことで言えば、いつまでも部屋の中での取材ばっかりやっていてはだめだ。
 有識者会議では開催側は「静岡県民の方々に理解していただくように」とか言っているが、会議室の中にいては、その気持ちが薄れる。外に行かねば。
 そろそろ、静岡県でも住民が「リニア工事差し止め訴訟」をやることだし、水が減るかもしれないことで「困る」住民、農民、工業従事者には会わねば。
 頑張ろう。

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取材のカンパをお願いいたします
 ここ数年、この場を借りて、広範囲な取材が必要となるリニア中央新幹線の取材についての、取材費カンパをお願いしてきました。お陰様で取材費の一部を賄うことが可能になっております。本当にありがとうございます。  しかしここにきて、新たに「入管問題」という、これまた取材時間と費用は掛かるけれど、ほとんど儲からない、だけど伝えなければならない事案と2年前から関わるようになりました。当初は、リニアの取材費だけでもお願いするのは申し訳なかったのですが、入管問題も長年の勝負になると決めてから、背に腹は代えられない以上はと、こちらの事案についてもご支援を呼びかけさせていただくことになりました。リニアでも入管問題でも、ご支援者には、記事の案内やデータ送付、はたまた単行本の送付などをさせていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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