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樫田秀樹

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●たった2週間の仮放免…

 8月13日。
 東日本入国管理センター(茨城県牛久市。以下、牛久入管)から仮放免(一時的に収容を解く措置)された二人の外国人が記者会見を開いた。
 デニズさん(トルコ出身のクルド人)
 サファリ・ディマン・ヘイダーさん(イラン人)

短期仮放免者の記者会見

 牛久入管では「かつてない」事態が起きている。
「生きてここから出るか、死ぬか」といった死を賭したハンストが5月から続いている。
●多くのハンスト者が体重の激減、吐血、昏睡などを経験し、体調不良に陥っている。
●その結果、6月あたりから仮放免を勝ち取るハンスト者が現れているが、その仮放免期間はわずかに1~2週間。
 そして! それを更新するために東京入管(東京都品川区)に出頭すると、不許可が告げられ、即日で牛久入管に戻される再収用が続いている。

1.デニズさん
 私が牛久入管でもっとも多く面会取材してきたデニズさん(トルコ出身のクルド人)は、じつに3年2カ月もの長期間にわたって収容されてきたが、彼も6月からハンストに参加した。毎日水だけを飲み、体重は減り続け、医務室脇の静養室で横たわることもたびたびだ。
 だがデニズさんにもついに仮放免許可が出ることになる。
 ここで牛久入管がデニズさんに、仮放免を出す条件としてあげたのは

★ハンストを中止すること。
★血液検査を受けること。

 デニズさんはこの指示に従った。
 そして普通の食事をして仮放免を待っていると、5月に最初にハンストを始めたイラン人で、7月に2週間だけの仮放免で外に出たシャーラムさんが、その更新が不許可となり即日で牛久入管に戻ってきた。

 記者会見のなかでデニズさんはこう証言した。

「私はそれに驚かなかった。というのは、職員から『仮放免の人たちは戻ってくる可能性があるよ』と聞かされていたからです」

 デニズさんは8月2日に仮放免されるが、やはり自身の仮放免延長が認められないのではと怖れている。難民認定申請中の人物に対して3年2カ月も収容し、わずか2週間の仮放免ののちに、再収用する?

 その不安から、デニズさんは記者会見中に涙した。


泣くデニズさん

 記者会見にデニズさんの弁護士として出席した大橋毅さんも「入管関連の問題に携わって25、6年になるが、今回の『短期仮放免+再収用』はかつてないことです」と明言した。

 仮放免中にやってはいけないことは二つある。
「就労」と「許可なき移動」だ。
 だが最初にハンストをしたイラン人のシャーラムさんはこれを遵守したのに仮放免更新が不許可となったのだ。
 それに続く短期仮放免者も一様に更新が不許可となり、牛久入管に続々と戻されている。
 デニズさんの仮放免更新手続きは8月16日朝9時。私以上に本人がもっとも不安を抱えている。


2.サファリさん
 サファリさんもデニズさんとほぼ同じ3年1カ月も収容されていた。そして今回のハンストで、何度も吐血や昏睡を経験し、体重が15Kgも落ち、仮放免後の今も、摂食障害に陥っていて食べても食べても体重は増えるどころか減っている。
 サファリさんは7月31日に仮放免されるが、そのとき、職員から以下のことを言われた。
「今回の仮放免は2週間だけど、逃げないで帰ってきてね」
 つまり今回の仮放免は初めから再収用することが決まっている措置としか言いようがない。
 サファリさんの仮放免更新手続きは、これを書いている数時間後の8月14日の午前9時頃だ。
 また収容されるのか、またあの外の景色も見えない施設に入るのか、また6畳間に4~5人で暮らす生活を始めるのか。
 7月31日の仮放免は喜べなかった。むしろ、常に不安に襲われ、サファリさんは仮放免後、精神科を訪れると「抑うつ状態」との診断を受けた。
 加えて、仮放免翌日の8月1日、サファリさんは数年前から申請していた難民認定申請の結果を受けたーー不許可。
 このタイミングは何なのか。堂々と彼を再収用するための準備なのか?
 
 仮放免後の今もサファリさんは不安に襲われていて、会見中に涙した。

泣くサファリさん

 私は記者会見のあと、サファリさんと話した。
――入管は、被収容者を極限の状態に置くことを続けることで、被収容者から『母国に還ります』と言うのを待っているのでしょうか?
「その通りだと思います。でも私は1991年、23歳で来日して以来、人生の半分以上を日本で過ごし、生活の土台も日本にあり、今イランに帰っても家も知人もほとんどなく、迫害の恐れもあります。帰れないんです」
――失礼ですが、もし明日の更新手続きが不許可となった場合、牛久に戻ることになりますが、ハンストにはもう関わらないのですか?
「いえ、私はすぐにハンストをやります! それしか私のとるべき道はないんです。生きてあそこを出るか、死ぬかのどちらかです」

 悲しきながら、メディアも議員も一般国民も、多くがこう言うのだろう。
「そうはいっても、彼らはオーバーステイなんだろ。仕方ないよ」と。
 実際、私はその言葉の前に、幾度、編集者たちから企画ボツにされたことだろう。
 印象でモノを語るな。せめて、想像しろ。なぜ、彼らがオーバーステイになったのか。なぜ母国を出てきたのか。
 もちろんなかには、初めから金稼ぎ目的の偽難民はいる。そういう人たちにはお国に還ってもらうのは否定しない。だがすべての外国人がそういう人間ではない。

 明日8月14日、そして16日の朝9時、サファリさんとデニズさんは仮放免更新に臨む。
 二人の望みは、できるだけ多くの人に東京入管(品川駅港南口から『品99』系統バスで『東京入国管理局前』下車。頻発)に集まってほしいことだ。
 世間が騒げば状況は変わるからだ。

●ちなみに、デニズさんは3年2カ月の間、30回ほど懲罰房に入っているが、それはガラス窓を軽くたたいて担当職員を呼んだ、デニズさんの体をしつこくボディチェックする職員に「やめてください」とその体に軽く触れた・・といったことでの懲罰だ。本当だとすればあり得ない話だ。
 ただ、今回はそこに話は割けないので、またいつか。

 最後に、デニズさんの日本人妻からの手紙だけ添付します。

deniz妻の手紙01 deniz妻の手紙02 deniz妻の手紙03 deniz妻の手紙04







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2019/08/13 23:45 人権 TB(0) コメント(1)
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