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樫田秀樹

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●リニア高架につきまとう2つの問題

 3月6日。山梨県笛吹市に行きました。
 笛吹市には「リニアが見える丘公園」があり、高台の公園からは、リニア実験線のなかでも防音フードで覆われていない1.6Kmの直線走行コースを走るリニアを見ることができます。

リニアが見える丘公園から1

 公園の東屋にはリニア走行モニターが設置されていて、リニアが今どこを走っているかを確認できます。

リニアが見える丘公園に設置されているモニタ

 だがこのフードのない区間には軌道近くにそこそこに民家があります。私が気になるのは2点。

1. 騒音は?
2. 日陰は?

リニアが見える丘公園から2


●基本背景
 実験線は1989年に山梨県への誘致が決まり、1990年から建設開始。そして、走行実験が始まったのが1997年。
 だが建設費のこともあり、実験線の全線開通はならず、18.4Kmでのスタートでした。延伸工事が始まったのは2008年。そして2013年8月29日に全線の42.8Kmが開通します。
 笛吹市の当該区間は延伸区間です。

●問題視されなかった騒音問題
 だが「リニアが見える丘公園」のある竹居地区では、延伸工事についてそれほどの反対運動はなかった。かといって、推進運動もなかった。いってみれば何も情報がなかったので、住民は何の判断もできなかった。
 竹居地区住民のFさんは、「JR東海も地区に説明には来ましたが、何も情報がなかったので、地区としては『作ってみないとわからない』といった、どちらかというと『やむを得ない』との判断でした」と振り返ります。
 ただ、Fさんが覚えているのは、JR東海が「この地区の騒音は65デシベルになります」との数字でした。というのは、Fさんはおそらく騒音が問題になると判断して、「どれくらいうるさくなるのか?」とJRに問い質したからです。
 ただし、地区住民の多くは騒音よりもどちらかといえば電磁波に関心があったようで、Fさんの質問はそれほど関心を呼ばなかったそうです。

●補償30年
 これは以前も、山梨県笛吹市御坂町上黒駒の住民の事例で書きましたが、リニアの高架建設では必ず日照問題が起こります。その場合、事業者は日陰となる家屋の住民に対して補償金を支払わねばなりません。その制度の詳しくはその時のブログを読み返していただきたいですが、補償期間は最長30年と決まっております。
 その補償がやはり竹居地区でもありました。
 つまり、日陰の対象となる住民は30年分の補償金をもらった(月額にすればそれほどたいした金額ではありません)。つまり、お金をもらったことで、その後は声をあげられなくなった。
 リニアの軌道から近いことで、日照障害を受ける家は、同時に騒音被害も受ける家でもあります。

●騒音
 では今、竹居地区での騒音問題はどうなっているのか?
 Fさんの自宅は軌道から100m以上離れているので、それほどの騒音はありません。
 軌道に近い住民は、いざ延伸工事が完成して走行実験が始まってみると、やはりうるさく感じているようですが、前述のように補償金をもらっているため「今さら声は出せない」とのことです。
 ただ「うるさい」といっても、人によっては静かな音でも、違う人には騒音に聞こえる場合もある。
 そこで、Fさんは2月下旬から、実験線周辺での騒音の実測を開始しました。
 笛吹市役所が無料で貸し出している騒音計を使い、今、時間さえあれば、あちこちで測定を繰り返しています。
 その結果が以下の表ですが、これでわかるのは、一般的に「うるさい」との指針となる70デシベルを超えるのは、リニアが最高速度500キロで走行時です。

Fさんの騒音実測表

 表では最も高い値を記録したのは、「センター南土手外」(軌道から10m)での96.9デシベル。センターとは、山梨県リニア実験センターのことです。ここには軌道の近くの小山に階段で登れる展望台のような場所があり、そこのことです。
 そのほかにも、「道の駅つる」での80デシベル(距離102m)を記録。
 また、表の下の「初狩北側」では距離170mで55デシベルを記録していますが、これは防音フードがあっての数値です。
 とはいえ、地元、竹居地区での測定はこれからとのこと。ただし、竹居地区に属している、リニアが見える丘公園の西門(軌道から20m)では時速170Kmという低速でも65デシベルを記録しています。

また、竹居地区の西に隣接する八代地区こそが、軌道近くに民家が密集しているのですが、隣の地区の住民がそこにノコノコ出かけて行って、騒音計を手に何十分も待機するのはなかなか憚るものがあるそうです。
  それを聞いたとき、私なら外部の人間だからできると思いました。また近いうちに、どこかから騒音計を借りて出かけることにします。

●JR東海こそが定点観測すべき
 だが本来は、FさんがしていることはJR東海こそがすべきことです。つまり、観測地点を決めて、週に一度でも定点観測することです。そうしてデータを積み上げてこそ、これからリニアの軌道建設する地区の住民への説明ができる。

 これをFさんはJR東海に問い質したことがあります。
「騒音の定点観測はやらないのですか?」
「定点調査はやりません」
「実際の測定はしているのですか?」
「しています」
「どこで?」
「…」
「そのデータをいただけませんか?」
「差し上げられません」
 唯一JR東海がFさんに提出したのが、環境影響評価書に書いた騒音の「予測値」です。
 実測値でない以上、データへの信頼度は弱いですが、それでも。3.5mの防音壁でも75デシベル以上が当たり前にあるのは興味深い。

JR東海騒音予測結果

●もっとうるさくなる
 今、Fさんが懸念するのは、もしこれで営業本線が開通した場合です。
 というのは、竹居地区を走行する区間は、実験線においては端に近いので、時速500kmでは走行していないから。
 私がリニアが見える丘公園から、走行するリニア車両を撮影していたら、やはりリニアを見学に来ていた1家3人(ほかに観光客はいなかった)が東屋のモニターを見て「今、235Km!」と確認していたように、スピードを落とす区間です。
 つまり、もし名古屋まで開通してしまったら、竹居地区もリニアは時速500Kmで走行することになる。しかも、今の7両編成ではなく、おそらく16両編成で。そして、現在は1時間に約4回の実験走行を見学できますが、名古屋開通となると、往復で10本が走行することになる。
 騒音を高める要因ばかりです。
 今、Fさんが測定を繰り返すのは、丹念に集めたデータは地域住民への具体的な説得材料となるからです。
「私としては、これ以上、地区を悪化させない活動を展開したい。そのためには私一人が頑張るのではなく、区会で話をして情報を共有し、賛同者を増やす必要があります。当面はコツコツ一人で活動しますが(笑)」

 単なる印象として「うるさくなる」と言うのは簡単ですが、人は説得できません。でも数字はうそをつかないから説得の材料になる。
 岐阜県のウラン鉱床地帯で市民団体が実施した放射線測定にしても、ただ「放射能が怖い」というのではなく、具体的な数字を得たからこそ説得力をもてたのです。
 数字にこだわるのも市民運動の一つだと改めて思ったしだいです。

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