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樫田秀樹

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●「ストップ・リニア!訴訟」第7回口頭弁論

 2017年11月24日。
 表題の通り、リニア裁判の第7回口頭弁論が開催されました。

裁判前ミニ集会

 今回の意見陳述は「愛知県」からのお二人。川本正彦さんと大沼淳一さんです。

★川本正彦さん
本ブログでも何度か登場。
 2016年2月。岐阜県東農地区。日本最大級のウラン鉱床が地下にあるわけですが、ここをリニアが通る。だがJR東海は「ルートはウラン鉱床にはぶつからない」と主張。そこで川本さんら市民団体が、そのリニアルート上で放射線量の測定を行った結果、周囲のウラン鉱床地帯よりも高い値を記録した・・との事実は、私のブログでも過去最高の訪問者数を記録しました。

そのブログはこちらです。

 川本さんの意見陳述は以下。

▲亜炭鉱跡を通過することの危険性
 川本さんが住む春日井市では100年以上前から、家庭用燃料となる亜炭が採掘されていた。その採掘跡は今、地下を碁盤の目のような空洞となって残っている。その所々が今でも陥没する。記録されているだけでも35カ所。
 2015年2月にはリニアルートから50メートル地点で深さ2メートル、直径2メートルの陥没が起きた。
 そういう亜炭鉱の坑道の地下11メートルをリニアは走る。
 川本さんは、リニア通過時の振動で坑道内の水が抜けての陥没を恐れている。
 対して、JR東海は「シールド工法で施工するため地盤沈下は発生しない」として環境アセスを実施していない。

 
▲JRの住民対応
 また、これは多くの地域で上がっている声ですが、JR東海の住民への対応についても川本さんは言及しました。

「私たちはJR東海に住民の生活環境を守るために「深夜3時までの工事はやめてください」、「リニア路線3キロ幅の井戸水の状況を調査してください」、「環境保全協定を自治体、住民と締結してください」など30項目の申し入れと協議をおこないました。(中略)真摯な回答はありませんでした」

裁判後記者会見171124-2←左端が大沼さん、隣が川本さん


●大沼淳一さん
 私は、リニアに限らず、住民が大型開発問題と対峙する場合に必要なのは、感情とは無関係の「データ」だと思います。「事実」といってもいいでしょう。
  「1+1=2」を違うという人は、開発賛成派にも反対派にもいません。誰もが頷かざるを得ない「データ」を可能な限り集まることも闘いの一つです。
(もっとも、そのデータのごまかしや、雑な計算はあってはならないことです)

 意見陳述をしたもう一人の大沼淳一さんは元・愛知県環境調査センターの主任研究員で、水汚染の調査に携わっていた人です。陳述内容は「意見陳述書」を見てもらうとして、大沼さんは、事実だけを語りました。

★過去に、犬山市池野、楽田、羽黒地区においてカドミウム汚染米が発生。大沼さんらは、近くの採石場の水や泥水の採取、岩石を粉砕しての溶出検査などを行い

 ▲岩石中の成分が水と空気の酸素に反応 → 硫酸を生成 → 重金属を溶解

 といった事実を突き止めました。

 つまり、地中にある重金属は土の外(空気や水)に出ると、周囲を汚染するとの事実です。
 
 その象徴的な事件が14年前の久々利水系での魚の大量死滅事件。

▲水質汚染の恐れ
 隣の岐阜県では、2003年、河川のマスやアマゴ約1000匹を死なせる事件が発生。
 原因は、東海環状自動車道の建設工事で発生した建設残土から強度の酸性の浸出水が河川に流入したこと。残土に含まれていたカドミウムなどの重金属が汚染源だった。
 問題は、この残土は今、岐阜県可児市が富士カントリー(ゴルフ場?)から借りている土地に約100万立米もの堆積物として置かれたが、いまだに重金属の浸出水が止まらないことだ。

 大沼さんは「あと何十年続くかわからない」と記者会見でも主張しました。

 現在、それら汚染水は調整池に溜まると、ポンプアップされて水処理プラントで処理され、処理水が下流に放流される・・・という手続きを取っているのだが、問題は、これがいつまで続くのかということだ。
 国土交通省に、住民が要望する残土全量撤去に応じるつもりはなし。

 大沼さんが強調したのは、それら重金属を含む土壌が出たのは「美濃帯」という地層から。この美濃帯、岐阜県と愛知県とのリニアルート上に散在していること。だから

美濃帯は掘ってはいけません

ちなみに、JR東海の環境影響評価書(愛知県)には土壌汚染について以下のことが書かれています。

 スクリーニング試験結果より2点でほう素のスクリーニング基準値を満足していないことが確認されたが、溶出量試験結果が指定基準を下回っていることから、土壌汚染対策における土壌溶出量の指定基準を満足している。溶出量試験では1地点でフッ素の土壌溶出量が指定基準を満足していないことが確認された。含有量試験結果は、全地点において指定基準を下回っている。また、酸性化可能性試験結果から2地点で当該地質の長期的な溶出可能性があることが確認された。
(スクリーニング、含有量試験、再生化可能性試験などの定義については書けば長くなるので割愛)


●●報告集会
 今回の裁判後のシンポジウム「リニアのためのトンネルに関わる調査は妥当か?」は面白いものでした。シンポジウムのパネリストである二人の科学者の話もまた「事実」のみで語られていたからです。

裁判後のシンポジウム171124
 
●上岡直見さん(環境経済研究所代表)の発言から
 ▲リニアで通勤の嘘
 「リニアは1時間で最大1万人しか運べません。仮に東京・名古屋のリニア全席を通勤に利用しても、東京23区の通勤者のたった0.4%を占めるだけです」
●徳竹真人さん(環境地盤研究所所長)の発言から
「本日のテーマ「リニアのためのトンネルに関わる調査は妥当か?」への答えは一言です。わかりません。データがないからです」
「通常の地盤調査では、絶対に高圧線の近くでやるな、と電力会社から言われています。でも、JR東海はそれをやっている」

高圧線近くで地盤検査

 と・・・、このお二人のお話を書けば、このブログ際限なく長くなるので、これ以上のことは、訴訟事務局が作成したニュースレターを添付します。

訴訟ニュース7-1 訴訟ニュース7-2


●●全幹法は違法か否か
 今回の裁判では、原告側は、「JR東海はリニア建設には、より細かな規定がある鉄道事業法を適用すべきだった。全幹法の適用は違法だ」と訴えています。
 対して、裁判所は、それにこだわる必要はないのではないのかとの姿勢を見せています。
 以前も書いたように、裁判長は資料を熱心に読み込む態度を有していると思いますが、この点においては、全幹法であれ鉄道事業法であれ、鉄道建設に必要な中身をカバーしているかどうかを審査して違法性を問うかと予想されていますが、原稿側はあくまでも「全幹法の適用では、鉄道事業法で定めている鉄道の安全対策や環境保全などがカバーされないので、そこはゆずれないようです。

 古田孝夫裁判長については本ブログでも何度かそのまっとうな姿勢を評価しております。
 一方、リニアとは関係のない市民団体には古田裁判長を支持しない人たちもいます。たとえば、シリアに取材に行こうとしたフリージャーナリストのパスポートを外務省が強制返納を命じた事に対し、このジャーナリストが命令の取り消しを求めた裁判の裁判長が古田裁判長でした。判決は「原告の生命・身体の安全を優先して保護しようとした外務大臣の判断が不当であるとはいえない」として、返納命令は適法、原告の訴えを却下したのです。

 願うのは、原告、被告双方の資料をよく読みこなしたうえで、合理性のある判決を出してほしいとのことです。

 次回口頭弁論は、1月19日14時半から。

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