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●文子おばあだけではない

 報告が1か月遅れましたが、沖縄の二人の高齢女性のことを書きます。

 9月30日。東京で、市民団体「沖縄の基地を引き取る会・東京」主催の

 「もう知らんふりはできない」
ーー沖縄の基地負担を解消することについて、語り合い、考えませんかーー

高橋教授講演

 というシンポジウムが開催され、ゲストとして招かれたのが、週2~3度は沖縄県の米軍基地キャンプ・シュワブ前で、辺野古新基地建設を止めるために闘っている、74歳と78歳の沖縄県民の二人の高齢女性でした。

 岸本セツ子さん(78歳。写真右)と知念栄子さん(74歳)。

岸本+知念

 辺野古新基地を作らせまいと頑張っていることでは、「文子おばあ」こと、87歳で座り込みを続ける島袋文子さんが有名です。
 「文子おばあ」は、あの沖縄戦を経験しているだけに、絶対に基地を止めるとの気概で辺野古に通い続ける、辺野古では闘いの象徴的な存在の一人です。

 ですが、それに加え「基地を引き取って」と訴えている住民もいたのです。


●「本土が平等に基地を引き取って」

  「沖縄の米軍基地を本土に引き取る」

 私は昨年からこのテーマを時間のある時に取材していますが、前にも書いた通り、このテーマは、平和運動や市民運動の世界でも、なかなか受け入れてもらえないようです。

 その理由は、いろいろありますが

★米軍基地をなくすことを目的に運動しているのに、本土に基地を引き取ることは、米軍基地を「移す」だけでしかない。米軍基地の固定化につながる。
★日米安保を強化するだけに過ぎない。

 といったことが主な理由のようです。

 本土(この表現は、そもそもよくありません。沖縄県とそれ以外の都道府県とが別の国であるかのような表現だからです。なので、以後「本土」とカッコつけにします)で「引き取る運動」をする市民団体は現在5つ。

 この5つの運動体にはそれぞれの方向性で「沖縄の米軍基地を引き取る」と主張しているのですが、もう一つの視点として、沖縄県に目を向ければ、少なからぬ住民が「県外移設」=「基地を引き取って」と望んでいます

 それは、2009年の民主党の鳩山政権のとき、多くの沖縄県民が強く望んでいた事実からも明らかです。
 「米軍基地を引き取る」運動は、その沖縄の声に応える運動であると言えます。

 ただ残念ながら、私は「本土」での「引き取る」市民運動には取材をしていますが、いかんせん、資金のやりくりがつかず、沖縄での「引き取って」との声を出す住民とは会ったことがありません。

 冒頭に書いた集会は、まさしくその初めの機会でありました。


●座り込みの仲間から反対される

 お二人の訴えはとても力強いものでした。
 この集会、および、沖縄県で記録されている発言とを整理して、以下のようにまとめてみました。

 岸本さんが初めて「引き取り」を意識したのは、3年ほど前のこと。
 沖縄県は全国の面積比でわずか0.6%しかないが、そこに、米軍専用施設の74%(当時。現在は70%)もが集中していること。しかも、その多くが、もともとは本土にあった基地が沖縄に移設されたものであること。
 これらの事実を知るにつれ、沖縄が背負うあまりもの負担にじわじわと疑問と怒りが沸いてきたそうです。

岸本セツ子さん1

 以後、同じ思いを抱く知念さんとともに、全国の基地負担の割合などを整理したチラシを配布することに全力を注いでいます。
 そのチラシの印刷代は「すべて私の年金をつぎ込んでいます。私は絶対に、辺野古に基地は作らせないし、県外で基地を引き取るべきだと思うんです」
 このチラシはこれまで10万枚以上も配布されてきたとのこと。

岸本さん作成チラシ
年金をつぎこむチラシこれすべて、岸本さんらが年金をつぎ込んで作ったチラシ。これまで10万枚以上も配布!


 キャンプ・シュワブ前では、連日、多くの住民や支援者が座り込み行動を展開して、辺野古新基地の建設を中止させようと頑張っているのはよく知られているところです。
 岸本さんも、知念さんも、週に2、3度は辺野古に通い、その座り込みに参加しては、機動隊のごぼう抜きで排除されるを繰り返しています。

 だが。

 岸本さんと知念さんは、同時に、キャンプ・シュワブ前で「米軍基地を本土で引き取って」との声も上げています。
 すると、同じゴボウ抜きにあう仲間から「それには反対する」との意見が出される。
 彼らの言い分は「戦争につながる基地は沖縄にはいりません。沖縄にいらない基地は、本土のどこにもいりません。基地をなくすのが唯一の方法です」というものです。
 これを語るのは、「本土」からの支援者でありますが、これに対して、岸本さんは「その言葉は、沖縄県民の口封じなんですよ!」と憤りをあらわにします。
 なぜなら、「沖縄にいらない基地」とは、その多くが元々は本土にあった基地が沖縄に移設してきたものだからです。
「どうして『本土にもっていくのが反対』と言えるのか、不思議でたまりません。国民の多くが安保を支持しているのなら、本土で公平に基地を引き取るべきです」
 
 知念さんは終戦時に1歳だったので、戦争の記憶はありませんが、「戦後のことを話せば涙が出る」と語るくらいに辛い経験をしています。

知念栄子さん1

 それは飢えであったり、人権がないに等しい日々のことです。
 知念さんには、男女18名の同級生がいますが、うち11名が戦争で親を亡くしており、その人たちは引き取ってくれた親戚からいじめられて育ち、高校にも行かせてもらえなかった。皆、爆弾の破片を探してお金にしていたということです。
 この話だけでも、沖縄が『癒しの島』などと勝手なイメージで語るのは間違っていると思い知らされます。
 知念さんもキャンプ・シュワブ前で「引き取って」と訴えていますが、「本土で女性が米兵にレイプされてもいいのか」との質問と対峙することがあると言います。
 知念さんは集会でこう話しました。
「沖縄の基地では、女性が犠牲になっています。幼女がレイプされ、草を口に入れられて声を押し殺された事例もあります。『本土』でもレイプが嫌だとの話があるが、では、沖縄の女性はレイプされてもいいんですか?と私は問いたい。『本土』で安保を支持する人が多いのなら、米軍基地を引き取るのが平等だと思います。そういう問題は、国がアメリカと話し合うってほしい。
 佐賀県がオスプレイ配備についてNOを言ったら、国は諦めました。沖縄の声を日本政府は聞くべきです」
 そして、お二人は、「本土」で引き取り運動が始まったことについて、

「沖縄は日本の一つの県。本土で引き取る運動が始まったのは『針の穴』でも嬉しい。是非、辺野古に来てください」

 と話をまとめました。
 
 やはり、岸本さんと知念さんとが辺野古に行くのに合わせて、改めて沖縄に飛ぶ必要を感じています。最低でも2泊3日で5万円くらいの予算があれば、何とかなるかな。
 でも、この問題、いつもは「平和」や「環境」などを標榜している雑誌ほど、避けます。
 
 別に、「引き取る」運動に、賛成、反対はあっていいのです。
 でも、その議論すら避けるというのは何なのだろう。

 じつは、集会では、参加者から「この問題を、月刊Sや週刊Kが掲載しないのはなぜでしょうか」との質問も出ています。言わずと知れた、『環境』『平和』『人権』などに「強い」メディアです。
 でもそういうメディアこそがこの問題を避けている。
 じつは、私もこの2誌には、引き取る運動についての企画を出しています。
 でも、やはり反応は芳しくない。なんなんだろう。

沖縄の米軍基地 「県外移設」を考える



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2017/10/30 00:04 戦争 TB(0) コメント(0)
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