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●騒音問題を解決した女子高生。

 昨今、子どもの声を巡っての近隣からの苦情で、保育施設の開園が中止や延期になる事例が相次いでいます。極端な事例では、騒音を巡っての殺人事件も年に数件発生。昨年、殺人まで行かずとも、保育園に包丁をもって「うるせえんだよ!」と乗り込む男性もいた。
 ほかにも、犬、ピアノ、ラジオ体操、花火、除夜の鐘を巡って、「うるさい!」と住民トラブルが絶えません。

 総務省・公害等調整委員会のデータによると、典型7公害(大気汚染、悪臭、水質汚染、振動、土壌汚染、地盤沈下、騒音)への苦情は2015年度で5万677件。このうち第一位が騒音の1万5674件となっています。

 原因は大雑把には二つ。まず、地域の人間関係が希薄になったことで、昔は当たり前だった生活音が、心理的な騒音となり、怒り→敵意→攻撃性へと発展すること。もう一つは、トラブルが起きた時点での問題解決にあたる仲介システムがないこと、となります。
 自治体は「ご近所同士仲良く付き合いましょう」といったリーフレットをわたすくらいで、警察は警告するだけ。苦情の9割は解決されないのです。

 ところが、これを解決するための制度を17歳の女子高生が作ってしまった。

●うるさいと思っている住民との意見交換会

 長野県松本深志(ふかし)高校では、10年ほど前から、近隣住民から、吹奏楽部、応援団、球技の球の音が「うるさい!」との苦情が入り、夏でも体育館の窓を締め、太鼓にタオルを巻き、吹奏楽部は屋外練習を自粛していました。
だが、昨年、2年生だった柳原真由さん(現在3年生)が、「私たちの音がどう思われているのか」との疑問から、まずは生徒とご近所との「意見交換会」を発案。音を出すクラブの代表らと学校に近い140軒の一軒一軒を訪ねて、学校での意見交換会を実現します。
 ここで得た収穫は、生徒側は「住民全員がクレーマーではない。少数の人だけだった」と認識できたこと。住民側は「生徒さんがここまで我慢をしていたなんて」との驚きと理解でありました。
 次いで住民から、意見交換会は決議機関ではないので、何かしらの議決ができる、学校・地域・生徒による常設の3者協議会の結成が提案されたのです。
 柳原さんはその実現にも奔走します。生徒側の組織は学校の常設機関となるため、生徒総会に協議会に入るよう打診したが、生徒会は「別組織を作るべき」と提案。結局、柳原さんは新組織を立ち上げ、生徒会で規約などを練り、生徒総会に諮って、その設立の承諾にこぎつけた。
 こう書いてしまえば簡単だけど、実際は心身ともに大変だったようです。
 
●苦情が減った
 こうして今年5月、3者協議会である「鼎談(ていだん)深志」が結成され、さっそく決まったのは、今まで締め切っていた体育館の住宅地側の窓を試験的に3カ月間開放することでした。
 今、生徒たちは深志高校新聞を地域に配布したり、学校で球技大会があるときは事前に地域を回ってその周知に努めている。すると苦情はほとんどなくなったのだ。
 騒音問題解決のヒントがここにある。すなわち、人間同士が付き合うこと、トラブルに備える組織を設置しておくこと。
じつは、この問題に関わってから、放送部員でもあった柳原さんは、コトの顛末を記録に残そうと、自分自身を軸にしたドキュメンタリー映像の撮影も同時進行で進めていました。
 するとこの映像「鼎談深志」は今年のNHK全国高校生放送コンテストのテレビドキュメンタリー部門で優勝したのです! 是非、ご高覧を。
 そして宣伝ですが、日本の騒音を巡る異常な現状、その分析、そして、深志高校の未来を見据えた取り組みについて書いた記事を、来週発売の週刊SPAに載せる予定。こちらもご購読をお願いします。



←現在、騒音問題総合研究所の代表を務める橋本典久氏の著書。騒音殺人の発生メカニズムや、時代背景の変化、騒音トラブルでの仲介を担う組織の立ち上げなどを提唱している。

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2017/09/06 21:22 未分類 TB(0) コメント(0)
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