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前回の続きです。

●「2」富津市
 川崎市で発生するリニア残土の行く先にはいくつかの可能性が示されていますが、ほぼ間違いないのは、千葉県富津市です。
 というのは、富津市会議員も、千葉の市民団体も、そして私も富津市役所に電話を入れて、その情報を確認しているからです。

 ただし、掴んだ情報は三者三様でありまして、「もう7月末にはリニア残土が来る」、「業者はもう市に必要書類を提出している」というものから、「まだ書類は出されていない」まで幅があるので、これ、といった情報を一般のみなさまに示すのはもう少し後のことです。
 それでも、三者が共通して掴んだ情報は、富津市の山砂採石業者の「千葉開発」がJR東海のリニア残土を受け入れる意向をもっていることです。

 ということで、前回のブログで書いた鋸南町の視察の後、すぐに富津市に移動しました。
 
 今回の視察には、千葉県で長年残土問題に取り組んでいる「小櫃川の水を守る会」の佐々木悠二代表が同行してくれました。
 佐々木さんは採石業者や産廃業者、そして残土処理業者とは対峙する関係にありますが、感心するのは

 敵対するのではなく、理を詰めて話し合う姿勢で臨んでいることです。

 今回、私たちは千葉開発の操業敷地内に入れましたが、それも佐々木さんが段取りをしてくれたからです。佐々木さん曰く「彼らとは長年の信頼関係がありますから」。

 実際、今回の私たちを受け入れてくれた千葉開発の3人の職員の方々の態度は友好的なものでした。
 ただし、写真撮影だけはご遠慮願いますとのことで、今回それに従いました。なので、ここで現場の写真をお見せすることはできません。

千葉開発の視察←今回の視察者たち

千葉開発google earth←千葉開発の操業エリア。google earthから。けっこう広い敷地を有しています。


●「JR東海の残土? まだ何も決まっていません」
 ところが、いざ話を「JR東海のリニア工事の残土が・・」とっても、千葉開発は「いや、こちらもまだ何も決まっておりません」、「そういう話を役所にしていません」と自分たちとはまだ無関係といった話ぶりでした。
 それを聞いた佐々木さんは、「あれえ~、おかしいなあ。確かに確認しているんだけどなあ」と声をあげても、千葉開発の職員は「何も話が来ていません」とのことで、リニア残土を受け入れるかの話はできませんでした。

 さて、この千葉開発もそうですが、千葉県ではかつて、首都圏の大型事業に合わせるように(羽田空港拡張、海の埋立て住宅造成等々)、採石業者が山を削っては山砂をせっせと首都圏に売ってきました。

 私は横浜市居住ですが、横浜市での市民の憩いの場所である「海の公園」ではちょっとした海水浴や潮干狩りができますが、その広大な人工海浜を造成するのに使ったのが千葉県富津市の浅間(せんげん)山の砂です。
 110万立米という東京ドーム一杯分にも相当する膨大な山砂を使い、1979年にオープンしました。

 つまり、海の公園もそうですが、都心部での開発のために相当の山砂が千葉県では採取され、その結果、千葉県の山々は姿を消し、平らな地面となりました。ところが、本来はそこを緑化して自然に戻す・・決まりになっているものを、山砂採取業者はそれはせずに、今度は、他都県の大型事業で発生した残土をそこに積み上げることを始めたのです。
 山砂を売って収益を上げ、今度は残土を受け入れて収益を上げることを選んだわけです。 

 ともあれ、残土山が完成したら、今後こそ緑化をしておしまいということになるようです。だが佐々木さんの説明によると、「栄養のない残土にいくら植林をしたって、これまでうまくいった事例は千葉県では一例もない」とのことです。

採石業者の植林←千葉県のある採石業者の植林地。しかし、木はなかなか育たない。栄養が乏しいからだ。

 千葉開発でも、県に事業申請を出すのですが、今回は、今年1月から2020年1月までの3年間で110万立米の残土を受け入れることになっています。
 会社の方針としては

・残土のみ受け入れる(汚染土壌、改良土などは受け入れない)
・最大傾斜30度の勾配で、階段状に残土を積み上げ、将来的には植林して森林に戻す。
・1本あたり4平米の面積で植林する。
・残土からの浸出水が外部に漏れないよう貯水池を設置しているが、3カ月に1度、水質検査を行う。検査項目は市の基準に沿った26から28項目。これまで基準値以上の値が出たことはない。

 また、受け入れた残土の土壌検査も行っているようですが、「5000立米で1件」の頻度とのこと。ちなみに、22トントラックで約7立米を積めるようなので、これで換算すれば、1140台で1台といった割合での検査になります。

●何が問題視されるのか? 
 おそらく、高い確率で富津市こリニア残土は来ます。
 とはいえ、それ自体は何ら違法性のある行為ではありません。
 では、リニアに関わる市民団体は何を問題視すべきなのか。

 合法行為とはいえ、汚染土壌を受け入れたり(鋸南町の場合)、大量の残土を積み上げることでの「崩落」や「地下水汚染と」、そして周辺がダンプ街道化することについては、千葉県の住民団体や市民団体が対処することです。

 たとえば、佐々木さんのお住まいは君津市にありますが、この君津市では、手掘りによる伝統的な地下水汲み上げ工法「上総掘り」で、数百件(数千軒?)もの家庭が地下300メートル前後から地下水をくみ上げています。

上総掘りの井戸←君津市にある、上総掘りで造られた井戸。24時間365日、水がコンコンと湧きあがる。とてもおいしい水。君津市では農家は天候で農作業に一喜一憂する心配はない。

 ところが、その水源地の一つが、千葉開発の残土埋め立て地であることに、佐々木さんは関心を示しています(佐々木さんのご自宅でも上総掘りによる水を庭に流し、夏はホタルが飛ぶ)。だから、佐々木さんたち地元の市民団体は、地元の環境を守るために活動するわけです。
 
 いろいろと新たな情報を得た今回の視察ではありましたが、リニアに関わる市民団体が、では今後何をするのかはまさしく課題です。
 最後に、今回快く視察を受け入れてくださった千葉開発さんには厚くお礼申し上げます。

 ←「ああダンプ街道」と「山が消えたーー残土・産廃戦争」。千葉県で山砂採取と残土受け入れによって、地域の環境と暮らしがどう変わったのかを克明に記録した必読の2冊です。

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