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●都民ラスト?

 東京都議選が近づき、小池百合子知事率いる「都民ファーストの会」に注目が集まる。ところが、小池都政で目立っているのは、主に築地市場の豊洲移転問題やオリンピック問題だ。そして都内の各地に目を向けると、都民ファーストではなく、都民を蔑ろにしている「都民ラスト」とも言える状況が散見されている。そんな事例を集めた記事を今週発売の週刊SPAに掲載しました。

●1.終戦直後の道路計画の復活
――2000人以上が立ち退き予定の北区・十条銀座商店街と周辺住宅地――

 都内随一のアーケード商店街のすぐ真横に幅20メートル以上の道路(幹線並み)が計画されている。その名目は災害時の延焼を防ぐというもの。だがその効果は0・8%。しかもこの道路計画は終戦直後の復興道路計画であり、それがなぜか今蘇った。そんな復興道路の復活は都内で28カ所もあり、計画中止を求める裁判も始まっている。

十条銀座のメインルート。にぎやか。 十条銀座の脇道にも味わいのある店が並ぶ←十条銀座のメインストリート。そして脇道にある商店街。とても賑やかだが、この脇道側ではもろに道路計画にかかってしまい立ち退きを余儀なくされる。

 この道路計画について、小金井市の市民団体が昨年の都知事選で立候補者にその見解を問うアンケートを送付。小池候補は「知事に就任したら、地元から強い疑義が提起されている路線を実際に巡視し、住民とも対話する。前任者の意向を踏襲するのではなく、優先整備路線への選定が不適切と判断される路線は、大胆に見直しを進めたい」と回答。ところが知事就任直後の記者会見では、記者からの質問に「路線については、事務方(都市整備局)から詳しく聞いてまいりたい」と答え、結局、小池知事はどの現場にも姿を現していない。
 反対運動も起こらず、粛々と立ち退く地域もあるが、十条の反対は根強い。

測量お断り


●2.外環道計画
――東京23区の貴重な水源を枯渇させるか?――

 「東京外かく環状自動車道」(以下、外環道)は、国が’66年に計画した千葉県、埼玉県、東京都を環状に貫く自動車道。総工費は1兆6000億円。
練馬区にある大泉インターチェンジから南へ16kmの東名高速道路までをつなぐ部分が、大気汚染や騒音を懸念する住民の反対運動で30年間も凍結されていた。だが’03年、国が「未着工部分は大深度(深さ40m以深の地下)でやる」と表明。
今年、いよいよ地下トンネル掘削の用意が整い、2月19日、世田谷区で「シールドマシン発進式」があった。シールドマシンとはトンネルの巨大掘削機。式典会場の外では周辺住民が「外環道ファースト?」などの抗議のプラカードを上げ、会場内では小池知事が「国際競争に勝ち抜き、我が国の成長を牽引するには、人と物のスムーズな流れの確保が重要。外環道の整備事業は、その中心となる取組みで、大いに期待をしています」と挨拶した。
 だがこの計画、周辺住民なら誰もが親しむ「三宝寺池」「善福寺池」「井の頭池」といった憩いの水源をすれすれに通るため、水源枯渇が心配されている。
 この計画のために多くの人が立ち退きを余儀なくされた。

立ち退いた江戸時代からの農家。向こうに見えるが東名高速。右が外環用工事フェンス。←江戸時代から続いた農家も激変する環境に耐え切れずに泣く泣く立ち退いた。正面は東名高速道。右は外環道のための工事用フェンス。

 東名高速道路とのジャンクション予定地の近くで農業を営む池田あすえさんの農地も5分の1くらいは収用予定だが、池田さんは「売り渡す気はない」。

農地の収用に応じない池田さん。←池田さんの立っているあたりから向こうが収用される計画。

 外環道についても、昨年の都知事選で、市民団体「外環ネット」がアンケートを立候補者に送ったが、小池候補は無回答。市民団体が外環道計画の中止を求める10万人署名活動を展開していても、通過地の一つ、武蔵野市の市長が「反対住民が多い。現地視察を」と直接要請しても、小池知事は「検討する」と言っただけで、未だに姿を現さない。

●3.スーパー堤防
――江戸川区だけで完成に200年と2兆7000億円。9万人が立ち退きーー

 スーパー堤防とは、150~300mもの幅をもつ巨大堤防で、洪水が越水しても崩れないことがウリ。

スーパー堤防イメージ図

この事業は’87年に始まったが、幅数百mもの堤防建築は、川近くの住民の大規模立ち退きを伴うため、実際にこれに手を出す自治体はほとんどない。だが江戸川区は手を出した。試算では、完成までに200年と2兆7000億円を要し、区内3河川周辺から9万人を立ち退かせる。
 2015年12月には、江戸川区北小岩1丁目の約90世帯が立ち退いたが、不思議なのは、ここは区でもっとも標高が高く、かつてどの台風でも水害がなかったこと。しかも、堤防は線上につながってこそ効果を発揮するのに、隣の地区では川の近くの交番の改築や民家の新築が行われている。なんだ、これは。

工事が進む小岩1丁目。2015年撮影

 スーパー堤防は国の事業。だから土地造成は国がやる。だが、その造成地での区画整理を区は目論んでいる。つまり、国のカネでただで土地造成ができるということだ。
 今、南に1キロほど離れた篠崎1丁目が狙われていて、立ち退きを拒否する数十世帯がいるものの、すでに数百世帯が立ち退いた。スーパー堤防建設に合わせ、ここにある都立篠崎公園の高台化も同時に目論まれている。

立ち退いた家々の跡地は臨時公園に。篠崎地区。 篠崎地区。スーパー堤防反対。←篠崎地区で臨時公園になった立ち退いた家々の空き地。一方でまだ立ち退き拒否する人も多い。

 スーパー堤防事業推進に東京都は、直轄事業負担金として3分の1を負担する立場で、かつ、東京23区での土地区画整理事業の認可権者は都知事だ。
 だが、やはり小池知事の現地視察はない。市民団体は、今年の都議選に合わせ、区の都議候補にアンケートを送り、選挙の争点にしてほしいと願っている。

●4.調布駅前広場開発計画
――あわや99本すべて伐採だったーー

 調布駅の南口広場に交番を作るため、7本の樹木(シラカシなど)が突然切られたのは昨年3月3日夜。
調布市は、駅前のバスロータリー拡張と地下駐車場(1900台収容)など駅前広場の建設のため、広場の樹木99本すべてを伐採する計画だった。完成目標は’18年。市で開催する’19年のラグビーワールドカップと、’20年東京五輪のサッカー競技に間に合わせるため。

調布駅前広場

 ところがこの計画にたった一人で始まった反対運動が、次々に賛同者を生んで、今、1万6000筆の反対署名という、市は無視できない数字を突き付けられ、99本のうち約半分は残される方向が出た(確定ではない)。現在、市民と協議中。
 総工費19億円のうち、14億円は国と東京都からの補助金だ。市民団体は現在、市とのやりとりに力を傾けているが、昨年、都でも問題にしてもらおうと「都民ファーストの会」の議員を通じ民主党幹部に相談をもちかけたが「難しい」と門前払いされた。今後の都議選での動きに注目したい。

 これは詳しい記事はこちらに掲載されています。

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2017/05/19 15:03 未分類 TB(0) コメント(0)
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