取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
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樫田秀樹

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●フリージャーナリストはつらいよ、その2

 先日、ある週刊誌(仮に週刊A)に「貴誌には、今のままの条件ではもう書きません」と伝えました。
 週刊Aは、毎週、社会問題、政治問題、環境問題、人権問題と正面からガツンと特集を組み、読者からの評判もなかなかいい媒体です。
 私は1989年からフリージャーナリストをしていますが、以来、取材を基にした執筆だけで食べています。しかし、発表の媒体が徐々になくなっていきました。休刊した雑誌だけでも、講談社の月刊「現代」、朝日新聞社の「朝日ジャーナル」、読売新聞社の「週刊読売」、集英社の「月刊プレイボーイ」等々がありました。
 加えて、週刊誌や月刊誌の売り上げが落ちるにつれ、どの雑誌もできるだけ多くの記事を入れようとする結果、それまで4~5ページ載せてくれた標準掲載ページが2~3ページとなる、高齢者のために文字を大きくする(文字数が減る)、雑誌によっては基本的に経費が出なくなるなどの条件に変わるなど、ますます条件は厳しくなっています。
 そこで採るべき方法はただ一つで、土日も夜もひたすら働くことしかありません。私はここ何年間、テレビでプロ野球の試合を見たこともなければ、友人と飲みに行くことも激減しています。
 それでも自分の伝えたいことを多くの人に伝えてくれる媒体に書くことは必要でありました。しかし、もう限界だと思いました。

 週刊Aは、原稿料がだいたい3万円前後。
 私の取材は、9割がた、私が出した企画が通ってから、取材経費を出してもらい取材に出るというものですが、週刊Aは、どちらかというと、向こうから「書いてほしい」との依頼が多いです。年に6回くらいは書かせてもらったでしょうか。
 しかし、仮に、1泊か2泊を要する取材なら、事前の資料集め、取材後の事後情報収集、下書き、編集部とのやり取り、清書と、印刷に回るまでざっと4,5日はかかる計算です。
 5日かけて3万円。
 原稿料には以下の三つがあります。

1.生活に余裕のできる原稿料。
2.なんとか食いつなげる原稿料。
3.やればやるほどに赤字になる原稿料。

 週刊Aは「3」です。
 そして、週刊Aに留まらず、環境問題や社会問題をタブーなしとして掲載する媒体はそこそこにあるのですが、じつは、そういった問題に敏感な雑誌ほど、ライターへの支払いは安すぎる。 週刊Aに留まらず、市民運動では有名な週刊Bもやはり、そうです。
 問題は、それら媒体が、自分たちが内包するブラック企業的な側面を実感していないことです。

 私は、週刊Aに「ギャラを倍に上げるか、掲載ページ数を増やさない限り、もう書きません」と担当編集者に伝えたら、編集者からは、記事を組むときは、編集部よりもっと上の部署が全体の予算を組み、そこから制作に必要な経費(旅費、デザイン会社への支払いなど)が確定し、ライターへの支払いはその残った額で払うとの制度になっている、との説明がありました。つまり、原稿料は「引き算」で決まっていたことが分かりました。
 ブラック企業では、社員への人件費は「節減すべき経費」です。
 出版社にしても、外部ライターへの原稿料は、やはり「経費」の一つに過ぎないのです。
 しかし少なくとも、人権や社会正義を訴える媒体であれば、媒体を支える外部ライターの原稿料も「最低でもこれだけ払う」という予算を組み、全体の予算を工夫すべきですが、その意思がない以上、週刊Aと関わるのはよそうと決めました。

 雑誌が売れない時代に、わがままをいうなとの声も聞こえてきそうです。だが引っかかるのが、売れない売れないと言いながらも、出版社の社員にはベースアップがあるのに、外部のライターには実質の賃下げを強いていることです。
 ただ、日本の風土なのか、こういったお金にまつわることは、編集部からも説明がないし、ライター側も「尋ねてはいけない」といった一種の奥ゆかしさでもって、説明を求めません。
 これもよくない。今後は安い原稿料には「安い。それでは生きていけません」と声をあげるしかないと思っています。

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2017/04/15 11:11 未分類 TB(0) コメント(0)
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