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●あらためてリニア実験線の残土

 思うところがあり、改めてリニア山梨実験線の基本的なことを調べています。

 まず「残土」。

 今後建設されるリニア中央新幹線の工事においては、約5700万立米の建設発生土(残土)の排出が予測され、このうち、その処分地が示されたのは全体の2割台でしかありません。その2割台にしても、具体的に地名が上がっている以下については・・

★静岡県の南アルプス。大井川源流部の燕沢(つばくろさわ)に360万立米が集約する案をJR東海は提示していますが、高さ70メートル(20階建てのビルに相当)、幅300メートル、長さ500メートルといった巨大高層ビル群のような規模に残土を積み上げることに対して、静岡市では、まだJR東海と有識者との話し合いが結論を迎えていない状況です。
 (たとえば、こちらを参照

★山梨県早川町では、南アルプスから排出される残土326万立米を、町北部に建設予定の隣町への「連絡道路」や「登山者用駐車場」にしようとしていますが、その連絡道路は建設すら始まっていない。

 等々の理由で、残土の活用事例の見通しがほとんどない状況です。
 具体的に話がまとまりつつあるのは、愛知県瀬戸市の愛知県珪砂鉱業協同組合の珪砂(ガラスの原料)の採掘場跡(通称:グランドキャニオン)への残土搬入くらいでしょうか。
 グランドキャニオンでは、過去の採掘で1000万立米以上もの大穴が開いていて、それを埋め戻さねばならない決まりになっているため、残土を何とかしたいJR東海との利害関係が一致しやすい場所であります。

●そもそも実験線での残土の排出量は? 約500万立米。

 さて、山梨県のリニア実験線では、残土がどう活用されたのか?
 これは案外詳しい情報が出ておりません。

 よく引き合いに出されるのは、笛吹市境川にある残土埋め立て地です。ここは実験線の延伸部分の残土のうち160万立米が運ばれ、谷間の土地を平坦に変えました。

笛吹市境川残土埋め立て地


 ところが、その他のデータがなかなか出てきません。

★実験線全体ではいったいどれくらいの量の残土が出てきたのか?

 私はこれを山梨県リニア推進課に尋ねてみました。でも「わからない」とのことです。
 おそらく、実験線の事業主体のJR東海か建設主体の「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が知っているので尋ねてみてはと助言されました。
 なるほど。ただ、両組織からその回答にどれだけの時間がかかるのかわからないので、とりあえず手持ちの資料などをあさってみると、この数字が出てきました。

 約500万立米

 この数字は、1991年5月7日、社会党(当時)の長谷百合子衆議院議員の質問主意書「リニアモーターカー山梨実験線にかかわる諸問題に関する質問主意書」のなかの

実験線は約八割がトンネルですが、トンネルの規模、残土の量、残土の処分方法について明らかにして下さい

 との質問に対して

 5月31日の答弁書で

「トンネルの規模は本数でみると14本、総延長でみると約35キロメートルであり、トンネル工事により発生する残土の量は約500万立方メートルと見込まれている。残土の処分方法については、日本鉄道建設公団、山梨県及び地元市町村の間で調整を行いつつ、宅地、田畑等の造成に活用していくことを計画しているところである」

 との回答で得られたものです。

 もちろん、この質問と答弁から導き出された数字は、実験線の工事中である1991年における「予測値」です。
 ただし、トンネルの総延長の約35キロは実際そうなったことから、この残土の量もあながち実際とはかけ離れたものではないと考えてもいいかと思います。

 さて、私が注目したのは

▲JR東海が、「環境影響評価書・山梨県版」などで、実験線の残土利用について

「当社の山梨リニア実験線工事における建設発生土の利用実績としては、当事業内での再利用の他に、土地区画整理事業、宅地造成、農地整備、宅地化が可能な平坦地の造成、運動施設・防災施設の造成、採石場の跡埋め事業及び農地・林地の平坦化の造成等がある。山梨リニア実験線工事で発生した建設発生土の内、これらのように再利用及び有効利用されたものは 9 割程度になる

 と描いていることです。

 残土の9割の有効利用?

 残土が500万立米なら、450万立米が有効利用されたことになる。

 ところが、上記「境川」では160万立米(32%)の残土が谷を埋めただけで、何の有効利用もされていません。
 元々は、約1000人が住むための宅地造成ということで谷を埋めたが、計画はとん挫。

 リニア推進課によると、2013年時点の電話取材では「活用方法は何も決まっていません」。そして、つい昨日、2017年4月12日の電話取材によれば

「一般廃棄物を処理する広域組合が、焼却灰を覆土するための土を保管したり、JR東海がリニア建設のための資材置き場に使っていますが、どちらも『一時的』な利用で、恒久的な活用策はまだありません

 ということでした。

 つまり、実質「塩漬け」されているのは事実なのに、JR東海は評価書では「宅地造成、農地整備、宅地化が可能な平坦地の造成」と、「平坦地の造成」だけを取り上げて有効利用としているようです。

 大月市でも、残土を使い土地を平坦にし、、やはり宅地造成を見込んでいたけど、市中心部から離れた山間の土地ではやはり計画はとん挫し、今はごみ焼却炉が建設されているだけ

 ただし、ここでJR東海を叩くのではなく、あくまでも、では、実験線の残土を具体的に何に有効利用したのかの「具体的事業名」とその土地に要した残土の量を知りたい。
 その数値を抑えているからこそ、JR東海は「9割」との数字を出したわけです。

 もっとも、残土の約3割を占める境川の土地が有効利用されていない事実だけをとっても、「9割の有効利用」は事実ではないと判りますが。


★2015年8月1日に、国土交通省鉄道局長・藤田耕三氏が発表した「中央新幹線と日本の鉄道」というデータによれば、実験線での残土活用については以下のように書かれています。

 ▼山梨リニア実験線における有効利用の事例
  ・宅地造成(笛吹市,158万立米)
  ・農地整備(都留市,55万立米)
  ・スボーツ・レクリエーション施設(鳴沢村,15万立米)等

 笛吹市の宅地造成は計画がとん挫したのですよ!


●じつはもう一つ、実験線について残土以外で調べてみたいことがあります。先方がいつ電話に出てくれるかですが、もしかしたら新たな事実かもしれないので、その結果はまた後日。

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