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●「JR東海は自己満足です」

松川町からJR東海への要望書←昨日のブログで貼り忘れ。松川町がJR東海に出した要望書。ただしこれは「案」の時点での文書です。

 昨日のブログの続き。
 福与地区が2016年11月、生田区での「残土受け入れ反対表明」を提出したのには、様々な理由があります。

まず

★JR東海への不信

 昨年、福与地区では、7月30日と10月22日の2回、JR東海の説明会が開かれています。
 7月30日での説明では、あまりにも具体的な話がなかったため、不安を抱いた住民が「福与地区リニア工事対策委員会」をその日のうちに設置したのはすでに書いた通りです。

 そして、10月22日は以下のやり取りがありました。米沢さんの発言から引用します(第4回松川町リニア中央新幹線建設工事対策委員会から)。

★10 月 22 日 JR 東海による 2 回目の説明会があった。(丸ボッキ)の地権者組合の立ち入り調査の了解を受けて仮図面による説明があった。丸ボッキ地籍に入る発生土量が 30 万㎥から 36 万㎥に増えたとの説明があり、

『30 万㎥ではなかったのか?』

と質問したら、

『30 万㎥が根拠のない数字であった』

との回答だった。

 また、

『埋め立て下流部の土留めの構築物が小さいのではないか?』

『地権者への配慮で最小限にした』

『2 重 3 重の安全対策をしてほしいと町のリニア対策委員会の際にお願いしたはずである。もう少し大きいものであれば安心ではないか?』(福与区長)

『大きいものにすれば、もっと発生土が入る』

 福与区へ説明に来ているのに気持ちを逆撫でするような JR 東海の発言が多くあった。また、あと利用に関して説明できる資料はなかった。その後、福与地区リニア対策委員会を開催し「何のための説明会であったか理解できない」「受け入れに断固反対する」と委員からの意見が出たことを受け、(2016年11月に)反対の意見書を提出した。

ーーここまでーー

 米沢さんがもっとも不信を抱いたのは、福与地区に説明に来るJR東海社員が技術職であったことです。

「JR東海と言っても、やってくるのは技術屋さんだけ。彼らは技術的に『安全です』と言いますが、地域への影響を考えていない。残土を置くことだけを考えている。そこらへんで、住民と感覚が違います。技術力の具現化だけを夢見ているし、地区で説明会をやったから『住民は納得した』と表明するのは、地元の心配や声を何も考えていない。自己満足な事業推進です」

 こう評価したうえで、今後の対策として、住民が説明会に出席するのではなく、逆に、住民から「何を心配しているか」をJR東海に投げ、それに応えてもらうことも考えたいとのことです。
 ともあれ、丸ボッキはまだ測量中ということで、JR東海については、しばらくは様子見をするようです。


●生東区への質問状

 生田区のなかで、福与区がもっとも下流側に位置しています。そのため、3つの候補地のどこに残土を置こうとも、土石流などの土砂災害が起こったとき、被害に遭うのは、福与区です。

 事実、1961年(昭和36年)6月27日から伊那谷など県内で犠牲者136人が出た集中豪雨災害「三六災害(さぶろくさいがい)」を、当時高校生だった米沢さんは忘れることができません
 生田区でも、梅雨前線豪雨により学校児童は緊急帰宅。その夜間より未明にかけ全域に大災害が発生し、学校は11日間にわたる休校となり、診療所や農協、多くの家屋が破壊され、山肌は崩落し、通学道路も寸断。水田も埋まった。
残土置き場の候補地の一つ「本洞」がある長峰という地域では、地すべりで斜面が崩れ、家屋ごと流された。
「私は、そのことをよく覚えています。上流に膨大な残土を積めば、同じことが起きる恐れがある。そのときに『想定外でした』ではダメなんです。だから、今、行動しているんです」

大西山崩壊。一般社団法人 中部まちづくり協会HPから←崩壊した大鹿村の大西山。一般社団法人 中部まちづくり協会のHPから。

 ちなみに、三六災害でもっとも記憶に残るのは、6月29日、大鹿村の大西山(1741m)の山腹が崩れ落ちたことでしょう。
 高さ450m、幅300mに及ぶ320万立米(まさしく大鹿村での南アルプス掘削で排出される300万立米とほぼ同じ)の土砂が時速60kmのスピードで集落を襲った。そして、死者42人、破壊家屋39戸、埋没した水田約30余町歩という被害を出したのです。

 だからこそ、残土置き場については、自分たち抜きでの報告は避けてほしかったと米沢さんは声にするのです。

 さて、話を戻します。
 米沢さんらは、生東区の役員や町とも懇談を重ね、検証を重ね、今年(2017年)2月27日に生東地区に対して「質問状」を提出します。質問点は3つ。ほぼ内部文書になるため、撮影はできませんでしたが、以下の質問です。

1 残土置き場は残土の処分場となるのか、活用先となるのか? どういう認識なのか? 文書を見る限りでは、活用ではなく単なる処分場と捉えるしかない。

2 22号線の2車線化での活性化とは何か? 具体的な事業内容の開示を。

3 条件が満たされれば受け入れるというが、目的の妥当性や実現可能性の検討、住民の合意形成が優先されるべき。JR東海はもう丸ボッキに置くための説明会をしたいとしているが、順序として、主張としては整合性を欠く。その見識を求める。

南信州新聞の記事←福与区が生東区に質問状を出したことを伝える南信州新聞。3月1日朝刊。

これは、もしかしたら、もう返答があったかもしれません。確認してみます。


●実際はどうなっているのか?

 現在の進捗を町に尋ねてみました。
 すると、以下の回答が。

「候補地は3か所挙げてもらっているが、地の利やアクセスの良さから、JR東海は、『丸ボッキ』だけで測量をしています。丸ボッキでは4、5人の地権者が田んぼをやっています。『本洞』は数人の地権者が反対の意見書を町に提出しているので実現の可能性はないし、『つつじ山線』については何の動きもない。おそらく、丸ボッキがだめなら、JR東海は3か所すべてを諦めるはずです」

 そして、仮にJR東海が丸ボッキに残土を置くと決めたとしても、

 米沢さんが

生田区の3地区全体が丸ボッキで合意しない限り、もっと言えば、福与が反対し続ける限りは、丸ボッキが残土置き場になることはないと思います」

 と断言するように、福与地区がその意志を曲げない限りは、建設はありえないのではと町も推定しています。

 JR東海がどういう測量結果を出し、それを町と住民にどう説明するかですが、この場合の住民は「生田区」になります。
生田区には『福与』『生東』『部奈』の3地区がありますが、生東はこれからはさすがに福与を無視しての行動はできません。
 そして、JR東海のいわゆる「丁寧な」説明が同じ態度で続く限りは、福与地区からの賛同は決して得られない。

 となると、大鹿村から排出される残土の処分地が松川町では立ち消えることになります。

 豊丘村では本山地区に100万立米強の残土を置く方針が決まりましたが、それでも、大鹿村から排出される300万立米の3分の1にすぎません。

 となると、JR東海と長野県は次にどこを候補地とするのか。490万立米も置ける「本洞」案? なんともわかりません。

 最後になりますが、福与地区の住民は、別に生東区と仲違いをしたいのではなく、協力関係でモノゴトを進めたいのです。
 そのためにこそ、生東区が3つの質問にどう具体的に回答するのか、注視したいです。

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