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樫田秀樹

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●集団移転が迫る土地、神奈川県相模原市緑区鳥屋の谷戸地区はどうなる?

 リニア計画において、車両基地は2つ作られます。一つは、岐阜県中津川市。もう一つが、神奈川県相模原市緑区鳥屋(とや)の谷戸(やと)地区。
 谷戸の世帯数はわずかに50世帯前後。
 ここが、自分たちの土地に車両基地(長さ2キロ、最大幅350メートル、高さ30メートル)が建設されることを知ったのは、2013年9月。JR東海が公表した「環境影響評価準備書」で初めてその事実を知ったのです。事前にその連絡はなし
 ただし、振り返ればその兆候はあったようです。
 JR東海が環境アセスをしている真っ最中の2012年、谷戸にも、何かの腕章をした身元不明の作業員が頻繁に森に出入りするようになりました。不審に思った住民が「おじさん、何やってんの?」と尋ねると、「生物調査です」「がけ崩れの調査です」といった回答が返ってきたそうです。
 同じころ、鳥谷の森の上空を、パイロットの顔が見えるほどの低さで、ヘリコプターが何度も飛来していたそうです。

 ともあれ、準備書で、故郷が車両基地に潰されることを知った住民たちには青天の霹靂。
 
 まもなく、谷戸の自治会館前には「車両基地絶対反対」の立て看板ができます。
 当初、リニアに関する市民団体は「反対住民が出た!」と機関誌のニュースにしたものですが、実際のところ、谷戸の住民のほとんどにその気持ちはありませんでした。

絶対反対

 元自治会長さんに話を聞いたことがありますが、彼はこう言ったのです。
「確かに望ましい計画ではありません。かといって、このような巨大事業を振り払う力もない。でも自分たちの生活は最低限守ろう。絶対反対とは、それくらいの『強い気持ち』でコトに臨もうとの姿勢を表した言葉です」

 また、同時に説明してくれたのが「ここの人たちは昔から、お上の意向に逆らわない。おとなしくて従順なんです。闘うという選択肢はなかったですね」。

 ここ数年の経緯は省略しますが、これから、谷戸地区が辿るであろう将来像について簡単に書きます。
 車両基地は、谷戸のすべてを潰すわけではありません。谷戸を直角に横切るため、谷戸は3つに分断されます。立ち退く地域、その両側にある立ち退く必要性がない地域。
 ここでは分かりやすいよう、A地区(立ち退き対象外の2軒)、B地区(立ち退き対象の30軒未満)、C地区(立ち退き対象外の16軒)としておきましょう。

山の上からの車両基地予定地←赤い線が車両基地の大雑把な幅。左の線の左側がA地区、挟まれるのがB地区、右側がC地区。

鳥屋車両基地鳥瞰図←車両基地完成予想CG。ここでも、左からABC地区になる。

 そして、谷戸自治会は、せめて地域分断を防ぐため、立ち退く必要がない地域も含めての「全戸集団移転」をJR東海に要請していました。この担当窓口になったのが「谷戸リニア対策協議会」ですが、ここが

●昨年12月中旬  JR東海から回答を聞く。それによると、A地区は2軒だけだが、ビオトープ(人工生物空間。リニア工事で失われる動植物をある数カ所に移設して、新たな生態系をつくる)を設置することで、その2軒も移転対象にする。B地区は神奈川県が用地交渉と補償の窓口になる。C地区の16軒は移転対象外になる。

●12月26日  対策協議会、谷戸の自治会館で住民にこの回答を知らせる。C地区が集団移転から外れることで、住民はその回答の「不了承」を決める。
 ただし、「その16軒のために、回答拒否することもないのではないのか」との意見も出た(これは、すでに地域分断の兆しともいえる発言だ)。

●1月16日  対策協議会にJR東海から説明がある。C地区については、個別に対応する。つまり、集団移転するか、残るか、この際、違う土地に移転するかの意向を聞く。

●1月28日  対策協議会、住民にその内容を知らせる。住民は、JR東海の提案を了承する。

●2月25日  JR東海の住民説明会。というはずだったが、JR東海の社員3人は冒頭のあいさつに来ただけ。「今回の谷戸の動きには、ありがとうございます」と。

 集団移転はまだ決まったわけではありません。
 ただ、その方向性が出てしまい、この地区の地域性(おかみには逆らうな)を鑑みれば、今から強く反対する人もそうそう現れないのではと予測されます。
 とはいえ、私がこういう情報を知りえたのは、谷戸にもこの計画に強い懸念を覚えている方が複数名いるからです。ただし、それぞれの立場が弱い。女性であること(大切なことは男が決める。といった風土)、借家人であること、等々の理由で、表立って発言できないという事情を抱えています。

 ともあれ、いただいた資料から今後の予定を整理すると以下のようになります。

●3月  C地区の世帯にJR東海と神奈川県が個別に面会
 ★意向調査(集団移転するか、残るか、個別に違う土地に移転するか)
 ★用地測量の同意

●春から初夏 B地区の世帯にJR東海と神奈川県が個別に面会
 ★意向調査(集団移転するか、個別に違う土地に移転するか)
 ★用地測量の同意
 ★立ち入りに同意した世帯から用地測量の開始。

●初夏から夏  集団移転先に関する自治会とJR東海・神奈川県との打ち合わせ開始。
 ★集団移転先の選定
 ★候補地の地権者への接触

●夏から初秋  用地測量の完了した場所から境界立会を開始。

●初秋前後
 ★教会の確定した世帯から物件(建物等)調査開始。
 ★集団移転先の基本計画策定開始


●ちょっと待て。ここがわからない。
 とはいえ、これをざっと読んでわからない点がいくつかあります。

1.そもそも集団移転の希望で始まった今回の経緯だが、集団移転の候補地は?
★決まっていない。←情報提供者

2.JR東海や県の補償はどういうもの。同じ規模の家屋を補償する? 時価で不動産評価する? 後者なら、長く住んでいる人ほど、家屋の時価は安く、また地代も田舎ゆえに安く、補償金を手にしても、新しい土地で、今と同程度の暮らしが保証されるのか?
★どちらの補償かも決まっていない。←情報提供者
★今回の情報提供者によれば「このへんの人たちは、そういった不動産評価額といった基本情報すら知らない」

3.ビオトープが建設されるA地区はわずかに2軒。ここは本来立ち退き対象外だが、ここにビオトープを設置することで、この2軒を立ち退き対象にする。つまり集団移転に加えることができる。
 ただし、ビオトープは事業地ではないことから、これで立ち退いても、税制上の優遇はないかもしれない。この点をJR東海は税務署に確認・要請するという。ただ、いつはっきりするのか?

★わからない。←情報提供者
 この2軒のうちの1軒は葛藤しているという。集団移転に加わるべきか。加われば、地域付き合いは続く。だが愛する土地を離れることになる。
 もし移住をしないと決めたとすれば、おそらくJR東海、そして自治会は、「せっかくビオトープにして移住できるようにしたのに、今更移転しないはないだろう」との反応を示すことでしょう。

 それにしても、まずは自分たちがどういう土地に移転するのかの確認をするのかが第一かと私なら思いますが、酷い土地にだけは行かないよう祈るばかりです。

●大型公共事業での常套手段=戸別訪問
 私が何度か谷戸を訪ねるうちに、直接、間接に耳にした「俺は車両基地は反対だ」「なぜ俺がここを出るのか」「この歳で今更よそで住みたくない」といった声は切実です。ただ、自治会では膝を割って住民同士で話し合ったことはほとんどないようです。
 むしろ、逆らっても仕方ないんだから、「普通の事業なら受け入れないこと(集団移転)を、JR東海は受け入れた。JR東海を信じましょう」との意見もあるようです。

 こういう土地柄のなかで、一番まずいと思うのは、いただいた資料の最後に「詳細や移転までの全体の流れについてはJRが各世帯に面会する際に説明」と書かれてあること。つまり、地区の問題であれば、地区全体として話し合うべきなのに、JR東海はこれを「戸別訪問」でやろうとしているのです。
 これは、各戸撃破するには、開発者側には最良の手口です。補償額にしても、よくあるパターンは「早く出れば、それだけいい補償金がもらえる」とか「お宅には特別に上積みします」といったもの。もちろん、これが谷戸でも繰り返されるのかとは断言しませんが。
 ただ少なくとも、地区の問題であれば、戸別訪問は避け、山梨県富士川町のように窓口を一本化して、住民の誰にも公平な扱いがされるよう努めることが望ましいはず。


●鳥屋トラストの地、今月の作業 

 鳥屋は11の地区で成り立っていて、車両基地で多くの立ち退きが起こるのは谷戸ですが、他にも対象となる方は他地区にも数人います。
 その一人は、渡戸地区の栗原晟さん。とはいえ正確には、栗原さんの家屋が収用されるということではなく、所有する山林の地下をリニアが通過するかもしれないということですが。
 栗原さんが土地トラストを昨年4月に開始したことは本ブログで書いた通りです。

土地トラスト地の整備。栗原さん←昨年12月の第一回作業。右が栗原さん。

 さて、鳥屋の風土のなかで、栗原さんは「作ってはいけないものには反対する」との超然たる姿勢で一人立ち上がったのですが、その結果、栗原さんが村八分に遭っているのか?
 遭っていません。トラストのことを話題にされることもありませんが、いつものように暮らしています。
 このことからも、栗原さんは谷戸の住民が自分たちの意志に従って立ち上がれば・・との思いもあるようですが、ここではそれは書きません。
 ただし、谷戸ではない地区で、もしかしたらもう一人、トラストをするかもしれない・・とだけは書いておきます。

 おそらく、谷戸の住民の方々にはまだまだ基本的な情報が行き渡っていないのかもしれません。車両基地ができたら、自然環境が、社会環境がどれだけ変わるということも、手にできる補償金でもいざ引っ越したら、今までより狭い家で暮らす可能性があることも。
 もちろん、この際、集落を出て、病院や施設がある街で暮らそうというのも一つの選択肢です。
 ただ、選択肢の選択にはまず基本情報があってのことだと思います。

 土地トラストの森では、毎月、大人も子どもも楽しめる場所「トラストの森カフェ」にしようと、森の整備作業が行われていますが、今月は3月20日(月・祝)9:00~16:00(小雨決行)。予備日は3月21日。
 檜の間伐、皮むき、造材、チェンソーを使っての板引きなどが行われる予定。
 集合場所:鳥屋 渡戸(わたど)自治会館
 持ち物:昼食と飲み物
 服装:山の作業ができる服装、足元は長靴がベスト。
申込先: 042-689-2142(河内) 090-8116-8088(松本)

 4月になると、山ビルが発生するので、この3月で整備作業はしばらくお休みかもしれません。

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1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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