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 「田中さんはラジオ体操をしない」

 というドキュメンタリー映画が7月2日から公開されます。これが滅茶苦茶面白いです。

 簡単なストーリーで書くと、毎朝、沖電気で全社員でやられているラジオ体操を拒んだために解雇された田中哲郎さん(63歳)の25年間に及ぶ闘いを描いたものです。

田中さん1

 少しだけ、詳しく書きましょう。
 田中さんは、1969年、沖電気工業株式会社に入社します。勤務地は八王子工場。その沖電気が、78年11月、1350名を指名解雇。

 そのうち70名が裁判を起こします。そして、毎朝、門前で不当解雇を訴えるビラまきを実施するのですが、会社はいつのまにか設置したテレビカメラで、社員の誰がビラを受け取ったかをチェック。それらの人たちを直属の上司が一人ひとり呼び出し「これからの沖電気は、仕事するかどうかではない。会社に忠誠心を示せるかで生き残れる」と「説得」。以後、ビラを受け取る人は激減します。

 そして、次に沖電気が忠誠心を試すために始めたのが「ラジオ体操」でした。

 1979年1月、ラジオ体操が、労働時間ではない始業前に始まります。
 しかし、当初は田中さんたち技術職の社員たちは不参加が多かったそうです。田中さんは最後まで参加拒否を貫き、自分の机に座り、ラジオ体操を見ているだけでした。

 そして6月、労働組合の役員選挙が行われるのですが、これに立候補した田中さんが演壇に立ったとたん、それまで候補者たちの話を聞いていた社員がサーと波が引くように会場からいなくなったそうです。結果、「会社派」の社員が当選します。
この頃から、門前でがんばる元社員への支援活動やラジオ体操拒否者が激減するのですが、「支援活動」や「拒否者」への差別が始まります。

 当初、田中さんを含めた技術者たちはラジオ体操不参加をしていましたが、じき、一人また一人と懐柔され、あるいは脅され、課長クラスの人間も「これで会社に忠誠を誓うんだ」と社員をけしかけ、ほぼ全員がラジオ体操に参加することになります。
 そして起こった差別とは、仕事を干されることでした。田中さんは、それまでのLSI設計の仕事が与えられなくなり、他社員の補助業務ばかりをやらされることになります。
 
 そして、徐々に給与が減額され、ついに1981年6月、田中さんに、遠隔地への異動命令が下ります。田中さんはこれを拒否。そして6月29日に解雇されたのです。その翌日からです。田中さんが沖電気八王子工場の前で抗議活動を始めたのは。

 初めの一年間は、仏教徒であることから、社員のなかでも宗教者ならこのおかしさをわかってくれるはずとお題目「南無妙法蓮華経」を唱えるだけでしたが、「全く効果がないことが分かりました(笑)」と本人が言うように、反応はゼロでした。

 そして2年目から、得意としていたギターで歌うことを始めます。初めはオリジナルソングはなかったのですが、今では数十曲のオリジナルの何曲かを雨の日も台風の日でも沖電気正門前で歌い続けています。

田中さん3
 歌はすべて実体験に基づいたもので、なかにはウーンと考えさせられるものもあります。

 私は、数年前に田中さんのCDを購入していたのですが、このなかで印象深い歌があります。おそらく、これが沖電気で何が起きたのかを知ることができる歌だと思います。
 歌詞の全文紹介は著作権侵害になるので、一部抜粋で紹介します。

●K君の選択
「俺は田中の同僚だった。
 仕事には自信があった。プライドも持っていた。

 首切りには反対した。踏み絵は嫌だった。ラジオ体操はしなかった。
 着席したまま体操を拒み続ける 田中が励みになっていた。

 選挙の応援しろと係長に言われた。俺は断った。
 仕事を教えて面倒見た後輩に、その日から皆の前で悪態をつかれた。
 (中略)

 課長に酒飲みに誘われた。係長にしてやろうかといわれた。
 あとは世間話とまた体操の話だった。
 親からは結婚せかされていた。給料は安すぎた。残業さえ許されていなかった。

 田中の家に酒飲みに行った。明日から体操すると言った。
 自分で決める事だと言われた。言葉は優しかった。かえって辛かった。

 時は流れた。
 人並みが信号を渡ると「歌声」が聞こえ始める。
 俺は歌声に耐えながら門をくぐり、今日も会社の人になる」


●いじめ
「なおやま君はテニスの選手
 昼休み会社のコートでボールを打つ
 ある昼休み 彼のサーブは誰も打ち返さなくなった

 打ち返してくれよ 打ち返してくれよ
 打ち返してくれよ 俺のサーブ(後略)」


 この歌詞は会社内部だけではなく、日本の社会全体を歌ったものです。会社の方針に従わないだけで何十年たっても係長にすらなれず、与えられる仕事も机の前に座るだけの閑職だけ。数人の社員から同時に行われるイジメ行為、そして、誰からも話しかけられない。

 田中さんが去った後も会社に残りラジオ体操を拒否していた人も、昇格もなくイジメられる生活に不安をもち、いつしか「オレ、ラジオ体操やるよ…」と田中さんに打ち明けに来る。人を人として扱わず、人が人としての心をなくしていく労働現場。

 「これで幸せになれるわけがない!」

 そして今日、2011年6月29日、田中さんは歌い続けて30周年を迎えました。
 たまたま本日は、沖電気の株主総会でもあり、株主でもある田中さんは、いつものように会社側に「ここがおかしいではないか」と質問をし(詳しい質問や会社からの回答は田中哲郎さんのホームページを見てください)、午後4時から八王子工場正門前で、30周年の集いを催したのでした。

 取材に来ていたのは、朝日新聞、東京新聞、そして私(週刊金曜日に掲載予定です)です。
 
 面白い話があります。

 田中さんは解雇された後、これは日本国内だけではなく、人権意識の強い欧米の人にも知ってもらいたいと、英会話教室に通います。その努力もあり、田中さんのHPは、日本語と英語の両方で管理されているのですが、数年前に、これをオーストラリア人の映画監督マリー=デロフスキーと、夫のマーク=グレゴリーがインターネットで読み、「撮影したい」と来日したのです。2006年のことです。

 そして約3ヶ月の滞在で撮影した膨大なフィルムを75分にまとめて完成
したのが「田中さんはラジオ体操をしない」です。
 この映画では、田中さんの証言を軸に、人を人として扱わない企業の実態、会社側に変節する友人、沖電気でいまもいじめを受けている友人たちのこと、昔は理解していなかったけど二十歳を過ぎてから父親の抗う姿に尊敬の念を示すようになった息子たち、そして、株主総会で暴力を受ける田中さんの様子などがリアルに描かれ、「果たして企業は人を幸せにしてくれるのか」との問いかけを私たちに投げかけ、同時に、「嫌なものには嫌と言っていい」「抗ってもいい」メッセージを発してくれています。

 ちなみに、今回の映画のエンディング曲は田中さんの息子が歌っています。いい!です。
 
 じつは私は、田中さんのことはもう10年以上も前の朝日新聞の連載コーナー「この人が読みたい」(読者が街のなかで気になった人を、朝日の記者が代わって取材するコーナー)で読んでいました。すぐに、いくつかの雑誌にこの人のことを掲載できないかを打診しましたが、反応はだいたいが「この人、ただの偏屈者じゃない?」といったもので、取材はかなわぬものとなりました。
 だからこそ、この映画を日本人ではなく、外国人が作ったという点が、いかにも皮肉です。

 映画は、7月2日、東京都新宿区の「新宿K's cinema」でロードショーが始まります。
 問い合わせは「浦安ドキュメンタリーオフィス中山」 電話070-5454-1980 FAX 047-355-8455
「スリーピン」 電話 03-5327-3771 FAX 03-5327-3772

 今日、田中さんは3曲ほどを歌いました。次にあるのがそのうちの一曲です。

●人らしく
「きれいごとでは生きてはゆけないと いじめる側にまわったあなた
 会社のなかに あなたの心の友はいますか
 オレには関わりのないことだと 見て見ぬふりをしているあなた
 会社のなかのあなたを子どもに見せることができますか

 人らしく生きよう 人らしく生きよう
 あなたはもっと優しくて あなたはもっと強い」


 映画は海外では大絶賛で、カナダ国際労働者映画祭2009グランプリを受賞しています。
 映画の予告編を置きます。



 また、じつは日本でも10年ほど前に、「ビデオプレス」という映像製作会社が田中さんについてのビデオを撮っています。以下、そのダイジェスト版です。





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2011/06/30 08:36 抗う TB(2) コメント(0)
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