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●測定されていた245キロ地点のウラン濃度

 リニア新幹線を考える愛知連絡会の川本さんから、JR東海のデータが送られてきました。

 市民団体が今年2月に、リニア予定ルートの品川から245キロ地点で放射線測定を行い、高い放射線値を記録したことは本ブログでも書きましたが(こちらです)、JR東海もその245キロ地点でウラン濃度を測定していたとのデータです。

 これを見ると、データは二つある。つまり、JR東海は同一地点で2つの試料を採取したということです。
 その日付は、どちらも2012年1月19日。これは、前年(2011年)の秋に環境影響評価方法書の住民説明会が終わり、環境アセスに着手した直後のタイミングです。

ウラン濃度結果1 ウラン濃度結果2

 これは2枚とも調査位置が⑧となっています。
 そこに書かれている緯度と経度でgoogle earthで調べてみると、そこは、確かに2月に市民団体が調査をした245キロ地点でした(下の写真)。

245Km地点写真

 まず、ここで浮かぶ素朴な疑問は・・

★疑問1  方法書の時点では、JR東海が示したリニアルートは幅3キロであり、環境アセスを通じて具体的ルートを絞り込むとのことでした。しかし、この2012年3月のデータは、環境アセスが始まったばかりのころであるにもかかわらず、2013年9月の準備書で公表されたルートのまさに真上で測定されたものです。
 すでにルートは決まっていた? そして、なぜこの12年3月の調査のことは周知されていないのか? それとも単なる日付の誤り?

  データには「総掘進長」が75.0mと記されています。これは、深さ75メートルのボーリングをしたということ?
 ともあれ、この2つの「濃度計量証明書」が発行されたのは同年3月7日と3月9日で

 3月7日には、そのウラン濃度は、試料1グラムにつき、2.0μg(マイクログラム)という数値が出て、
 3月9日では、5.7μgという数値が出ています。(μはマイクロ。100万分の1)


 そして、JR東海が岐阜県に提出した「岐阜県内月吉鉱床北側の約3Km区間における発生土等の管理示方書」(平成28年9月)によると、こう定義をしています。

 3.発生土の管理
   発生土については、ウラン濃度を分析する。
  1) 管理値
   発生土のウラン濃度が77μg/g(ウランによる放射能強度:1Bq/g)以下とする。


 つまり、試料1グラムあたり77μgのウラン濃度であれば管理をしないということです。

★疑問2 この「77μg」とは、おそらくは「ウランによる放射能強度:1Bq/g」から換算された数字ですが、なぜ「1Bq/g」が基準となるのか?

 これらデータをJR東海が岐阜県に提出したのは7月25日ですが、これを審査した岐阜県環境影響評価審査会(永瀬久光会長)は古田肇知事に「中央新幹線事業におけるウラン含有土壌に関する措置について」と題した意見書を8月17日に送っています。
 そこにはこう書かれています。

「ウラン濃度が1Bq/g以下であっても、発生土置き場に大量に敷き詰められた場合にはラドンの影響が明らかではないため、発生土置き場におけるラドン濃度等の把握及び管理を含めた対応方法を示すこと」


●ウラン残土の山をどう管理する?

 ついでに書けば、この示方書では、ウラン残土のベクレル(Bq)には言及していて、「370Bq/g」を超過している場合は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉等の規制に関する法律」に基づき、届け出をすることと」と書かれています。

★疑問3  となると、管理値1Bq/g以上、370Bq/g未満のウラン残土はどう処理するのか?
 でも、この答えはすでに示方書に書かれていました。以下の二つを実施するようです。
  1.「管理値超過連絡体制表」に従って連絡をする。
   ・まず、JR東海中央新幹線岐阜工事事務所(0573-85-6825)に連絡。
   ・次いで、同事務所が以下の3者に連絡。
    1 岐阜県環境生活部環境管理課(058-272-8232)
    2 瑞浪市役所総務部企画政策課(0572-68-2111)
    3 地元自治会
  2.対象の発生土に覆土(30センチ)と遮水シート等を実施。

 これで、対応完了です。ところが、この覆土と遮水シート処理をいつまで続けるかの記述はない…。まあ、人形峠も50年以上もウラン残土を野積みしたままだから、おそらくそうなるのでしょう。

★疑問4  その人形峠では「シーベルト」での管理が行われています。
 人形峠では半世紀以上も前に掘り出したウラン残土が未だに20カ所以上で、ちょっとした小山となって置かれたままです。「放射線管理値の年間1ミリシーベルトを下回らない限り、他にもっていきようがないのです」(職員の話)。
 一方、JR東海が掘り出すかもしれないウラン残土では、「1Bq/g」が基準になります。シーベルト管理はしないのでしょうか?

●ウラン鉱床の定義は?

 さて、そもそも「ウラン鉱床」の定義は何でしょうか。
 JR東海と市民団体との交渉の記録を見ると、それを具体的に表す言葉がいくつか出てきます。

 たとえば、JR東海は、「ウラン鉱床は、花崗岩と『土岐夾炭累層(とききょうたんるいそう)』という地層とにサンドイッチされている場合に存在する」(要約)と主張しますが、確かにそれは学術的には正しく、つまり、花崗岩が露出している地域ではウラン鉱床が存在する理由がないとして、リニアルートには「ウラン鉱床は存在しない」との判断でボーリング調査をしてこなかったわけです。
 また、あるときは、「ウラン238が0.58%以上(占める地層を)をウラン鉱床と呼ぶ」(16年6月15日。岐阜県環境保全事務所での市民団体への回答)とも明言しています。
 ところが、今回、川本さんが送ってくれたJR東海が作成した地図によると、鉱床は「U3O8 0.01%以上」と書かれている。

★疑問5  U3O8とはウランの化合物である「8酸化ウラン」(いわゆるイエローケーキ)のことであり、なぜそれが鉱床の定義に使われるのか? ただし、これは単なる「酸化ウラン」のこと? であるなら、話はまだ分かりますが、その場合の化学式はU02です。


●いつボーリングを行ったのか?

 JR東海は、岐阜県ではほとんどウラン鉱床探索のためのボーリング調査を行っておりません。
 主に、旧動燃(現・日本原子力研究開発機構)が過去に1400本のボーリング調査をした結果の文献を基にしているだけです。

ウラン鉱床調査図←245キロ地点は⑧。確かにウラン濃度の調査もされたことになっている。いつ? 岐阜県ウラン調査2←JR東海がウラン探査をするといっている3キロ区間。すでに2個所ボーリングがされている。いつ?

 これは今年(2016年)7月に、JR東海が岐阜県に提出した資料ですが、これを見ると、旧動燃は、ウランのありそうな場所を中心にボーリング調査を行っていたことがわかります。

  同時に、リニアルートでは未だにボーリング調査がほとんど行われていないこともわかります。それは前述のように、JR東海が「ウラン鉱床が存在しようがない」との確信をもっているからです。

 ただし、ウラン鉱床ができる条件は13パターンあり、その1パターンである「花崗岩と土岐夾炭累層にサンドイッチされている」だけでの判断は完全ではないし、それがウラン鉱床であろうがなかろうが、ウランが存在する以上、残土として排出されることは危険性をはらむため、有識者や市民団体は「リニアルート上でのボーリング調査をすべきだ」と訴えても、その可能性があるとする「3キロ区間」(品川駅から239Km130m付近から242Km000mまで)だけでボーリング調査をするとJR東海は回答しています。

 ところが、今回送ってもらったデータを見ると、JR東海は、ウラン分析を有するボーリング調査を、「3キロ区間」においては2個所、「3キロ区間外」では245キロ地点で行っています。計3か所。
 2016年3月30日の衆議院国土交通委員会での本村伸子議員(共産党)の質問に対して、国土交通省の藤田耕三鉄道局長は「二十七年度(2015年度)後半にボーリングが一本行われているというふうに承知をしております。その結果につきましては、現在、ウラン分析法を用いてウラン濃度を測定、分析しているところというふうに承知をしております」と回答しています。
 ということは、今年(2016年)3月末以降に追加ボーリングをしたということになります。


 こうして整理すれば、ここで出てきた数字だけでも
▲ウラン残土の管理値は、ウラン濃度が77μg/g(ウランによる放射能強度:1Bq/g)と記されている。
▲届け出をするのは法に則り「370Bq/g」を超過している場合。
▲「ウラン238が0.58%以上(占める地層を)をウラン鉱床と呼ぶ」
▲ウラン鉱床は「U3O8(8酸化ウランが)0.01%以上」の土壌ともとれる記載がある。

新しい数字を見るほど混乱しそうです。おそらくこういう数値で説明をされても、たいていの人は何を質問していいかもわからないままに説明終了となるような気がします。

 とはいえ、これら疑問には、単に、私に知識がないだけの疑問が多い。どなたか教えていただければと。

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