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●住民の理解は関係ない?

 4月27日。
 長野県大鹿村で、JR東海による道路改良等の住民説明会が開催されたようです。
 大鹿村と言えば、一日最大で1736台もの工事用車両が10年間も通行するという悩ましい問題を抱えている場所です。この説明会に私は参加しませんでしたが、村会議員の川本明代さんのブログ『「美しい村」の議員日記』によると、工事用車両が通るための道路改良などの説明があり、多くの村民が質問の手を挙げたようです。

 気になったのは、JR東海が前々から村民の前で約束していた「地元の理解が得られなければ着工できない」という言葉の、「理解」や「合意」を「誰がどう判断するのか」といった質問に対する、JR東海の沢田部長の返答。
 こう書かれています。

「地元の方の理解を得ないと工事はなかなか進まないということは、ずっとそう思っている。理解とか合意はどういったものかと聞かれるが、こうなったら理解が得られたとか、合意が得られたとか、数で決まるものでもないし多数決で決まるものでもない。事業者が責任を持って判断させていただくつもりだ。どう判断するかと言えば、説明会でどんな話が出るか、リニア対策委員会でのやりとり、分室を構えて地元の方といろいろな話をさせていただいているので、そこでのやりとりなど、いろいろなところでの話し合いや意見を踏まえて判断していくと考えている。その考えに変わりない」

 なんだ、これは。
 では、住民がいくら「納得できない」「反対」と言っても、結局は、JR東海が決めるということです。


●「ご理解」で思い出すこと

 「理解」という言葉で私が思い出すのは、私自身が経験した「携帯電話基地局」の建設を巡っての話です。

 これは、こちらのブログに書きましたが、概要だけ取り出せば、

 当時、5階建て賃貸マンションの5階に住んでいた私の部屋の真上、つまり、1メートル上に、携帯電話基地局が建設されることが決まりました。住民には何の相談もなかったので、私は早速、マンション住民、マンションが位置する町会の住民から「建設反対」の署名を集め、それを、KDDIの子会社である「きんでん」に提出。
 
 これに焦った「きんでん」の社員は、すぐに町会とマンションを回り、戸別訪問。このとき、「工事に賛成」と言った人はまったくのゼロ。
 まずは説明会をと私たちは要請しました。

 ところが、工事業者がやってきて工事が始まる。

 私はすぐに「きんでん」の黒田氏(担当者)に電話を入れ、「なぜ工事が始まるのか」を問い詰めました。

 すると黒田氏はこう回答したのです。

「地区を回り、確かに建設に賛成の声はありませんでしたが、説明を聞いていただいたので計画が了承されたと捉えました。KDDIには『住民の理解を得ました』と報告しました」

 ひどい。
 でも、携帯電話基地局の建設に苦しむほかの地区の方に話を聞いても、やはり同様の手口が使われているようです。

 どんな状況でも屁理屈を使えば「理解」になります。

 遅まきながら、私たちが反省したのは

★戸別訪問は受けない。窓口を誰か一人に一本化すべきだった。
★仮に戸別訪問を受けても、はっきりと「反対です」「納得できない」と伝えるべきだった。「はいはい、わかりました」とか「まあ、話だけ聞いておきます」とか「お帰りください」では、相手にすれば「話は聞いてもらえた」という理屈の形成の材料を与えることになる。

 これは、大鹿村だけの課題ではないですが、相手に「私たちは絶対に納得していない」との民意を伝えるのなら、相手の訪問を待つのではなく、相手の事務所などにこちらから訪ね「納得していない」と伝えることも考えてもいいかと思います。

 沢田部長も、その発言を読み返せば、

「どう判断するかと言えば、説明会でどんな話が出るか、リニア対策委員会でのやりとり、分室を構えて地元の方といろいろな話をさせていただいているので、そこでのやりとりなど、いろいろなところでの話し合いや意見を踏まえて判断していく」

 と言っています。
 説明会はJR東海の開催を待つしかない。でも、一般住民が一度に質問をぶつけることができる。
 リニア対策委員会では、委員しか発言できない。でも逆に言えば、委員は意見をぶつけられる。
 分室での話は、土日祝日以外は、住民はいつでも行ける。これを使わない手はない。


●石木ダムの「反対」の意思表示

 石木ダム事務所前座り込み

 この写真は、「西風に吹かれて」というブログに掲載されていたものですが、長崎県で計画されている巨大ダム、石木ダムに反対するために、その工事事務所前の空き地に住民が連日座り込んで「反対」の意を示すために横断幕を広げています。
 この行動は少なくとも、計画に「理解」も「同意」もしていることにはなりません。どんな屁理屈を作っても「理解」にはなりません。
(このほかにも取り付け道路脇での座り込み、強制収容された土地で敢えて県を監視する監視小屋の建設、裁判などいろいろやっていますし)

 向こうが話し合いに応じなくても、こうやって「反対」「納得していない」を示す方法もあります。

 石木ダム建設予定地で建設反対を訴える住民に県の内外から連日多くの支援者が訪れる理由は、極めて明快です。方向性がぶれていないからです。
 また、住民も住民で、「めちゃくちゃな行政代執行でもない限り、自分たちが絶対反対の態度を固持していれば『ダム計画は止まる』」と本気で信じている。

 私はリニア計画には「推進」の考えがあっても「反対」の考えがあってもいいと思います。
 そして、推進なら推進でそれを具現化するための活動を、反対なら反対で、計画中止に追い込むだけの具体的行動をとってこそ、その考えは実を結ぶのに、リニアの場合は、反対と思っているのに、具体的な日常的な反対行動を取る人はまだ少ないように思います。
 
 とはいえ、石木ダムの場合は、「住民」は全員顔見知りだからまとまることができる。
 でも、リニアの場合の「住民」は1都6県にまたがり、一つ一つの自治体、自治会、町会でも様々な意見があり、一つにまとまりにくいという背景があるのも事実。石木ダムと簡単に比較することはできません。

 ともあれ、JR東海に勝手な「理解解釈」をされぬためには、こちらは「絶対に納得していない」との民意を日常的に見せる必要があるのではと感じております。

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