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●土地トラスト始まる

 JR東海のリニア計画による土地収用に抵抗するため、2015年7月、山梨県中央市で立ち木トラストが始まったことはすでに伝えました。
 そして、今月、リニア車両基地が建設される予定地である神奈川県相模原市緑区鳥屋(とや)で、同じ目的で土地トラストが始まりました。広さは約4000平米。これを11人で分割してのトラストとなります。

土地トラストの森←約4000平米あるAさんの森。後姿がAさん。

 地主はもちろん鳥屋の住民で、実名を出すことも顔写真を出すことも了解してくれていますが、とりあえず、一人の闘いではないので、今回のブログではどちらも伏せます。 とりあえず「Aさん」とでもしておきます。

 鳥屋には11の地区があり、そのうち、谷戸(やと)地区が車両基地により三つに分断されるのは以前も書いた通りです。
 そして、車両基地が土地収用の対象とするのは谷戸だけではなく、ほかの地区にも及んでいます。Aさんの所有する山地は、車両基地というよりは、車両基地に至る少し手前の引き込み線にかかります。

山の上からの車両基地予定地 ←山の上から見下ろした谷戸地区。赤い線が最大幅350メートルの車両基地の両端をおおざっぱに描いたもの。

 
 Aさんは、ここでトラスト運動を始めることを少なくとも去年の時点から意識していました。

「リニア計画には百害あっても一利もないからです。この地区の山を壊す、沢をなくす、地域を分断する。メリットは何も感じられません」

Aさんが、リニアについてアクションを起こしたのは今回が初めてではありません。


●始まりは説明会

 Aさんがリニア計画を初めて知ったのは、2013年9月。JR東海の「環境影響評価準備書」、すなわち、2年弱の環境アセスの結果をまとめ、今後どういう方針の工事をやるかをやや具体的にまとめた報告書が縦覧されてからです。

 じつは、鳥屋の住民が「鳥屋に車両基地ができる」と知ったのはこの時が初めてです。まさに寝耳に水。
 それまでは、噂話として鳥屋の北に位置する「青野原」地区が車両基地の候補地ではないかと言われてきましたが、実際は、青野原では反対運動が起きたため、JR東海が準備書の縦覧までに鳥屋の住民には何も知らせずに、鳥屋をひそかに測量していたようです。

 このことは私のブログ2014年11月15日の記事 でも書きましたが、

 鳥屋では、2012年になってから、鳥谷の森の上空を、パイロットの顔が見えるほどの低さで、ヘリコプターが何度も飛来するようになり、さらに何かの腕章をした人や役所の人間ぽい人が頻繁に森に出入りするようになりました。
 森の入り口に住むMさんは、自然とそれらの人たちを目にすることになり、ある日、その不審かから、「おじさん、何をやってんの?」と尋ねたところ、

「生物調査です」「がけ崩れの調査です」 

 などの回答が返ってきました。
 確証はありません。だがおそらく、2012年というJR東海がまさしく環境アセスをやっていた時期であることから、これは鳥屋を車両基地にするのが可能かの調査だったと思われます。 

 当然、鳥屋、とくにそのなかの谷戸地区は集落のど真ん中が車両基地に造成されるために地域が三つに分断される(立ち退き対象外+立ち退き対象+立ち退き対象外)ことから、全住民が関心を持たざるを得ない問題として位置づけられます。

 谷戸以外の地区でも、いくつかの地区では車両基地建設予定地にひっかかるために、関心を持つ人が現れます。Aさんもその一人。

 Aさんが、この問題を放置できないと意識したのは、JR東海の住民説明会に参加してからのことです。

「縦覧といっても、全部で数十センチもある分厚いものでしょう。だから読み切れない。自然と、住民説明会に出席するわけです。ところが、そのとき、勉強している住民はいろいろな疑問を出すのに、それに対するJR東海の回答があまりにも不誠実なことに、とんでもないことだ、何かをしなければと思った次第です」


●道路測定

 そして、私のブログにも書いたことですが、Aさんが今もやるせなさそうに語るのは

「鳥屋の住民はおとなしすぎる」

 ということでした。
 たとえば、谷戸では自治会館前に「車両基地 絶対反対」との看板が設置されるものの、内実は絶対反対ではありません。
 それくらい強い不安を抱いているということではありますが、ほとんどの住民が具体的行動にうって出ていないのが現状です。

 また、外部の私も不思議に思うのは、鳥屋では鳥屋小学校と中学校が隣接しているのですが、車両基地は鳥屋小学校のすぐ真裏に高さ30メートルの壁となって建設される予定です。
 この小学校と中学校の前を走る県道64号線は鳥屋の幹線道路の一つであります。つまり、当然、工事用車両もここを多く走る。



 国道64号線は、車両基地のほぼ真ん中も貫通する予定ですが、その貫通地点の両端における工事用車両の予測通過台数が、JR東海の評価書では、

 一日最大で 504台 と出ています。

 環境アセス時点では大型車両は「311台」走っているという数字が出ているので、単純計算をするとリニア工事が始まると、大型車両はリニアのも一般のも合わせて、一日最大で「815台」と約2.7倍に増えます。

 そして、Aさんが抱く思いは「なぜ、生徒たちの父兄は、これだけの工事車両が増えることに対して声を上げないのか。そういう住民風土なのかもしれません。お上のやることには逆らうなと」ということです。

 この評価は、まさしく、他の住民の方からも私が以前に聞いたことです。

 そこでAさんが始めたのが、では、工事用車両が通過する道路が本当に工事に耐えうる道なのかとの調査です。

 Aさんは、県道64号線(黄色く塗った道路)と県道513号線(ピンクに塗った道路)の8カ所で、その道路幅(側溝も含む)の測定を開始。

車幅調査地点 車幅調査結果



 大型車両の車幅は248センチ。これを双方向からやってくる2台が、仮に神業で0センチですれ違うとすれば、496センチが必要になります。

 そして測定した道路幅からどれだけの余裕があるかを数値で示したのです。

 その結果、6地点において余裕は1メートル未満であることが判明しました。しかも、これは、2台が0センチですれ違った場合です。実際は50センチから1メートルくらいの間隔をあけてすれ違うし、なおかつ、人が一人歩いているだけで幅60センチは取られます。

 つまり、道路を拡幅しない限りは、工事用車両は絶対に通行ができない。

 なおかつ、鳥屋地区では未だに中心線測量が始まっていないとAさんは説明します。

 道路を拡幅するにしても、まずは設計が必要だし、そこが私有地であれば、用地交渉も必要だし、交渉が済んでも測量も行わねばなりません。 
 また仮に拡幅できたとしても、交通量が激増する生活環境がどう変わるのか。これを問うために、Aさんは昨年11月、地区の文化祭で、ここでも写真で紹介した道路幅測定地点やその計算を示した表などをリニア工事の資料として展示しました。

 だが、それで地元で熱い議論が始まったかと言えば、そうではなかったようです。おとなしいのです。


●水源の森協定、契約に至らず

 Aさんは現在も土台や柱が江戸時代のままという家に住んでいますが、代々受け継いだ山も所有してます。この山は、終戦直後は、食料の供給源としての畑だったそうですが、じき、木が必要になるとのことでスギやヒノキの植林を手掛けることになります。しかし、ここでも御多分に漏れず安い外材に押され、育てても育てても赤字になるだけの状況に、間伐も枝打ちもできないままに山は暗くなる一方です。
 そこでAさんは数年前に、神奈川県に「この山を『水源協定林』として契約できないだろうか」と相談にいきます。

 神奈川県では、手入れの行き届かない森林に対して、水源かん養機能を図るために、県(または市町村、森林組合等)が森林所有者と森林の整備を目的として契約をする事業があります。
 その一つが、「水源協整備定林」であり、これは、所有者から土地を借りて県が森林整備を行うというもの。しかも、面積に応じた賃借料が毎年支払われるので、地主にとっては悪い話ではありません。

 鳥屋は神奈川県の水がめでもある宮ケ瀬ダムのすぐ近くに位置することから、大切な水源地であることは間違いなく、Aさんはこの話がすぐにでもまとまると予想していました。
 ところが、Aさんの土地の地下をリニアが通過するかもしれないと知った県は、契約を締結しないことをAさんに告げます。
 つまりは、リニアが地下を通過することで、水源の涵養機能は失われる可能性が高い以上、協定は結べないし、逆に言えば、協定を結べば、水源を枯渇させる恐れのあるリニア計画の推進にブレーキがかかる。おそらく、県は後者の理由を意識したのでしょう。


●私は測量には応じない
 
 このように、住民の生活や水源保護よりもリニア計画が重視される現状に、Aさんはついに「では、トラストで土地を守る」と決めたのです。
 トラストの話は昨年から、リニア問題に取り組む市民団体「リニア新幹線を考える相模原連絡会」と話し合い、連絡会の11人がトラスト参加に同意し、Aさんの土地に11人の地上権が設定されたのは今年4月12日。

 目的は「権利を主張することで、用地買収を防ぎ、少しでも事業の遅延を図り、世論に訴えること」になりますが、それ以前に、JR東海などが測量のお願いに来ても、Aさんは「断る」ことを決めています。

 となると、強制測量→用地買収を担う神奈川県による買収交渉→当然11人は断る→県収用委員会での審議→強制収用決定→・・このあとは、なんともわかりません。

 長崎県の石木ダム建設予定地も一部は強制収容されましたが、住民はめげずに強制収容された土地の上に、逆に県の動きを監視する監視小屋を建ててしまうなど徹底的に闘っていますが、鳥屋でそこまでできるかは未知数です。すべては、関係者の話し合いによるところです。

 これは鳥屋に限った話ではなく、リニア計画沿線のほとんどの地域に言えることですが、リニア計画に懸念を抱きながら態度をはっきりさせない住民がとても多いことは事実です。村八分が怖い、国のやることだから仕方がない、他の県や地区では賛成しているのにうちらだけで反対できない(これは誤認識)等々の理由で、誰かが「推進だ」、誰かが「反対だ」と言わない限りは、そのどちらでもない態度で、打開策として、JR東海が環境に影響を与えない工事をしてくれれば、というほぼあり得ない要請を出している地区があるのが現状です。

何日もかけて作成した調査資料 ← Aさんが何日もかけて作成した調査資料

 そのなかで、当該地の住民で「反対」という明確な態度を表明したAさんの今後を注視していきます。

←拙著「悪夢の超特急」。来春には続編を出そうと思っています。

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