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樫田秀樹

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●なぜウラン残土は危ないのか

 JR東海が計画するリニア中央新幹線計画。
 岐阜県東濃地区ではウラン鉱床地帯を通過するため、もしかしたら、トンネル工事でウラン鉱床やウラン濃度の高い土壌にぶつかれば、ウラン残土が排出されることになります。
 問題は、二つ。

1.トンネルの掘削工事に従事する人たちが、トンネル内で発生する気体の放射性物質のラドンを吸引しないか。ラドンは肺がんを引き起こすとWHO(世界保健機関)も認めている。

88年10月に、1957年の原子燃料公社(現在の日本原子力研究開発機構)の年報が明らかにされ、そこには、現行の鉱山保安法の規制値の1万倍の大気中ラドン3700ベクレル/リットルが、人形峠のウラン坑道で測定されたことが記載されている。
 この条件下では、2週間の坑内労働でいずれ肺がんになる人が出てくる。

2.排出されるウラン残土をどう処分するのか? 今の時代、どの自治体でも易々とは受け入れてくれない。

 ウラン残土が積まれる、もしくは埋め立てられることにいい気持がする人は誰もいないことでしょう。
しかし、ただ「危ない」というだけでは、何が危ないのかが伝わらない人には伝わらないのもまた事実です。いや、むしろ、なぜウラン残土は危ないのかは、きちんと伝えるべきです。

 私が人形峠(岡山県と鳥取県にまたがる)でのウラン残土の山を見たのは2009年です。
 これは地元の市民団体の取り計らいで、日本原子力研究開発機構が管轄するウラン残土の山の一つ、中津河(なかつごう)にある「山」を見学し、また、その敷地内に入っての放射線測定を見学できました。

残土の山2 ← 人形峠に25個程度あるウラン残土の山の一つ。中津河(なかつごう)の残土山。田んぼが隣接している。ここのコメは・・。

 市民団体の中心人物であるIさんが人形峠の問題に関心をもったのは1980年代に入ってからです。
 川釣りが好きなIさんは、ほぼ毎日、朝4時過ぎには起床して、近くの川に釣りに行くことを日課にしていました。ところが、1982年、県最北部の上斎原村(現:鏡野町)にある、吉井川水系の池河川で釣りをすると、これまで見たことがない背骨の曲がった魚を釣ることになります。

背骨の曲がったウグイ


 これはなんだ。

 Iさんが、上齋原村で操業を続けていた旧動燃(現:日本原子力研究開発機構)の人形峠事業所で1979年から始まっていた「ウラン濃縮」に注目したのは自然の成り行きでした。
 加えて、人形峠の周辺では、ウラン残土の山がいくつもできていた。

 吉井川は、まさに人形峠を源とする川。
 これらが周辺の人間の生活環境に影響を及ぼしているのか?

 Iさんが調べたのは以下のことです。


●客観的な数字

★尿中ウランの含有量が7~14倍

 岡山県公衆衛生課と県衛生研究所(当時)の職員5人が調査の結果を報告した「ウランによる環境汚染ーー岡山県のウラン鉱山周辺住民の食物及び尿中のウラン含有量」(1977年)という報告によると

・ウラン鉱山周辺(上齋原村天王地区と中津河地区)の住民の食品中のウラン量は、ウランと無関係な地区の5倍も高い
・住民の尿中ウラン含有量も7~14倍も多い

 との数値が報告されています。これは国連に報告されている。

 その原因として

・天王地区には、ウラン残土の中を流れる水が流入する池河川(上記、背骨の曲がったアマゴが釣れた川)の水を灌漑用に使っていること。

 と記載されています。


★高い放射線量

 岡山県の分析では

・ウラン残土山がある「中津河」(前出)地区では

 苔からは、ラジウムが2104ベクレル/Kg

・池河川の岩ゴケから、ラジウムが120ベクレル/Kg 検出されている。

・ウグイ(魚)からも、ウランが0.006ベクレル/Kg。ラジウムが0.085ベクレル/Kg

・他にも、精米、ホーレンソウ、白菜などからもすべてウランとラジウムが検出されている。

 これは上記のとおり、農業用水に吉井川水系の水を使ったためと推測されます。

・しかし、肺がんとの因果関係の強いラドンについては、住民からの測定要請があったにもかかわらず、岡山県は1989年まで測定をしませんでした。


★どう処分するのか?

 ウラン残土が排出される。
 それはすなわち、残土をどこかに積むか、埋め立てるということになります。
 だが問題は、野外であれば、雨が降れば、放射性物質は下へ下へと移動し、土壌、もしくは地下水を経由して河川に入る可能性があることです。
 それら河川の水を簡易水道の水源にしている人はいないのか、農業用水にしている人はいないのか。山菜を採る人はいないのか?

 産廃処分場のように、下に遮水シートを敷くのか。上にもカバーをかぶせるのか。
 いずれにしても、それだけでは周辺住民の理解は得られない。

 どこか人目につかない山間部に堆積場を作っての管理・・となるのか。

 JR東海は、今後、有識者との協議を始めるとのことですが、それら協議の内容は随時公開するべきと考えます。

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