取材しても、記事にできる情報は1割未満。しかし捨てた9割にも、伝えられるべきものがあります。ボツになった企画も数知れず。そんなネタを紹介します。なお、本ブログの文章と写真の無断転載はお断りします。ご利用希望者合はご一報下さい。
プロフィール

樫田秀樹

Author:樫田秀樹
フリージャーナリストです。今まで書いた記事を整理したHP「樫田秀樹の記録部屋」と併せておつきあいください。なお、本ブログの文章と写真の無断利用はお断りいたします。使用されたい方はご一報ください。

ブンブンエコライト
ブンブン回すだけで充電できる懐中電灯。たった97グラム!
電気不要・8年間カートリッジ交換不要の浄水器
カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
11 | 2016/12 | 01
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
全記事表示リンク
この記事にリンクを貼る

Designed by Shibata

40種類の柄、15種類のカラーから自分好みに選べる、オリジナル フルジップパーカ
バケツ洗濯機KJ-950
これは便利!雑巾や軍手、スニーカーなどがきれいに!
携帯用洗面器
旅行に便利。空気で膨らむ洗面器。
ランドリーポッド
電気不要の洗濯機。災害時の備えに。
電球型ポケットライト
財布や名刺入れにも入る薄型ライト。厚さ3ミリ
LEDダイナモランタン
手回し充電もソーラー充電もOK。部屋のインテリアにも。
LEDキャンドル
LEDだけど炎がゆらぐ。癒される。息の吹きかけでオン・オフができる。
折り畳みヘルメット
サイズ調整可の折り畳み防災ヘルメット
タタメットズキン
サイズ調整できる折り畳み防災ヘルメット+ずきん。落下物にも炎にも強い!
パッカブルブーツ
折り畳める長靴。色も選べます
アンチボトル
折り畳めるウォーターバッグ。500mlなので、何度でも使えるペットボトルとして重宝する。色は7色。
浄水機能ペットボトル
カーボン製フィルターが水道水をおいしい水に変える。385ml。色は3色。
 12月中旬から先日まで、安~い原稿料ばかりの執筆に取り組んでおり、自転車操業の繰り返し。最近、ちょっと一息つけるところまで来ました。
 いろいろなことも取材していたのですが、本日は、12月上旬に取材した「石木ダム」のことを。

●行政代執行

 成田空港の三里塚闘争での行政代執行。その乱暴なやり方を90年代に運輸大臣は正式に謝罪しました。
 とはいえ、それで行政代執行がなくなったわけではなく、昨年の夏でしたか、九州の自動車縦断道計画で、ミカン畑を守るために20年も収用を拒んだ農家の畑が行政代執行の対象となり、自治体職員が男性農家を作業小屋から引きずり出し、チェンソーでミカンの木々を切る光景がテレビ報道されました。
 私は、今の時代にまだこんなことが通用するのかと驚きましたが、では、行政代執行が迫る事例は他にもないかと調べて、まず関心をもったのが、長崎県が計画する「石木ダム」計画です。

●八ッ場ダムと石木ダム

 石木ダム計画を知った時は、驚きました。
 群馬県の八ッ場ダム計画は全国的に知られているのに、それと同じような計画がほとんどまったく知られないまま推進されているからです。

 八ッ場ダム計画がもちあがったのは1952年。当初は、都市部への「利水」や「治水」が目的でしたが、その実効性が疑問視されると、「発電」と「河川流量」の維持が目的に加わります。

 対して、長崎県が企業者たる石木ダム計画がもちあがったのは62年。当初は、佐世保市への「工業用水」供給が目的。しかし、企業誘致に失敗すると、長崎県と佐世保市が出してきた目的が「市の水不足解消」と「治水」。

 ただし、石木ダム計画において、他のダム計画と一線を画するのは、建設予定地の一つ、東彼杵郡川棚町川原(こうばる)地区にまだ地権者たる住民13世帯(約60人)が住んでいることです。
 それなのに、昨年夏、建設予定地の一部が「強制収用」(名義が住民から国へと変わった)されました。

川原全景←川原地区。美しい。夏はホタルが乱舞することで「ホタルの里」とも呼ばれている。ほたる祭りには県内外から500人以上が来訪する。


 ところが、ここで驚くのは、その残った13世帯が「ダム計画を中止させる」という目的ど同時に、「ダムはできっこない」との自信をもっていることです。これは、過去40年間の闘いで、県や市に、勝ってはいないけど、負けてもいないからです。

反対の櫓


 たとえば、1982年4月、ダム絶対反対の態度を変えようとしない住民に業を煮やした長崎県は、強制測量を実施すべく、1週間で750人の機動隊を投入しました。ところが、機動隊に殴られても蹴られても、住民は必死の座り込みをやめず、とうとう、強制測量をさせなかったのです。

 このことはある月刊誌やネットニュースなどに流すので、詳細は書けませんが、機動隊が来た時に7歳だったある住民は、13年3月22日、九州地方整備局が石木ダム事業認定のために開催した公聴会で以下の公述をしています。

僕が7歳の時に強制測量がありました。濃紺の服をまとった機動隊がやってきて怖かった。僕らの土地に杭を打ちにやってきた。僕らはただただ怖くて怖くて、でも、大人は杭を打たせまいと必死で、この土地を、僕らを守ろうと立ち向かっていた。じいちゃん、ばあちゃんは道路に座り込み、道を開けようとはしなかった。そんな大人たちの姿を見て、僕たちも、自然と、手をつなぎ、震える手に力を入れて、帰れ、帰れと叫び続けた

 小学校や中学校の子どもたちも1週間、学校を休んで、老若男女で闘った。60年代の成田空港・三里塚闘争で起こったことがここでも起きていたのです。

 他にも、以下のことが起きています。

●10年3月、県は付け替え道路工事に着手。反対同盟は支援者とともに工事用道路入り口を座り込みで4カ月封鎖

●14年8月、県が付け替え道路工事を着工しようとするが、住民の抗議行動は続く。そこで県は、住民23人に対して、長崎地裁佐世保支部へ「通行妨害禁止仮処分命令申立」を行う。翌15年3月24日、23人のうちの16人(多くが男性)に対して仮処分決定が出された。以後、仮処分を受けた人たちは取り付け道路付近での抗議行動はできなくなる。


●14年9月、県は地権者4世帯の田畑を県収用委員会へ収用裁決申請。15年8月、強制収用される


 と読めば、現場は悲惨なことになっていると思われそうですが、今回取材をして新鮮だったのは、その逆でした。現場は元気に溢れています。


●工事車両進入を阻む女性陣

仮処分が出た以上、取り付け道路周辺での男性住民の抗議行動はできませんが、昨年5月から、近くにテントを構え、雨の日も風の日も暑い日でも、女性陣だけによる連日の座り込みが続いています。テントのなかには石木ダムに関する資料や、支援者からの差し入れが豊富で、昼食の時は「私ら、食べてばっかりや。ブロイラー状態やなあ」と笑い合う。

女性陣座り込みボカシ ← 取り付け道路建設予定地近くでは、連日、女性陣が座り込む。まさしく、長崎県の辺野古だ。

「こんなに暮らしやすいところはありません。それを権力の力で無理やりにやろうとする。確かに多くの人が立ち退きましたが、まだ60人も済んでいるという事実は重いですよ。その生活を奪うのは県の恥。ダムなんてできっこありませんよ」

 女性陣は、顔を出していたがために身元が特定されて仮処分を受けた男性陣の二の舞にはなるまいと、帽子をかぶりマスクをして座り込みを続けています。

絶対反対の鉢巻き


●監視小屋を作った男性陣

 また、その仮処分で取りつけ道路建設予定地の周辺で活動できない男性陣はどうしているかというと、やはり動いています。たとえば、昨年12月7日、私が取材したその日に、なんと強制収用された土地の上で監視小屋を建設していました。

監視小屋


 (元)地主の石丸勇さんは「私たちは絶対にこの土地を離れない。強制収用といっても名義が変わっただけ。私の土地であることは間違いない。こういう建物作ったら、県は行政代執行などで強制解体を考えるかもしれないけど、もし、それをやったら最後です。県の汚点となる。だから、私は、行政代執行はないと思います」との自信をもっています。

 その監視小屋の前には、石丸さんの自給用の田んぼ2反が広がりますが、これも強制収用されました。でも

「来年も作付します」

石丸さんの田んぼ←強制収用された田んぼの前に立つ石丸勇さん


●「諦めない」「徹底してやる」

 住民と支援者の闘いは、徹底した非暴力、かつ実力主義です。
 昨年9月30日の午前2時
 業を煮やした県は、なんとその時間に取り付け道路建設予定地への5台の重機の搬入を開始しました。
 しかし、そんな真夜中に重機を運ぶから、川原よりも下流に住む支援者の人が、道路からの地響きで「まさか」と車列を追い、それが取り付け道路建設予定地に入ったことで、即座に住民に電話。電話はあっという間に、13世帯に広がり、現場には約40人の住民が集まり、抗議の結果、これら重機の撤収させたのです。

 強制収用はあと2回されるとされていますが、つい先日も、それを審理する長崎県収用委員会の審理開催を、開催前に委員が会場に入れないように住民らが阻止。

 この行動への受け止め方は人それぞれですが、少なくとも、「諦めない」「徹底してやる」という基本姿勢は買いたいです。

 私は今、リニア中央新幹線やスーパー堤防計画などをときおり取材しておりますが、どの問題にせよ、結局は、住民が「黙っていないぞ」との姿勢と行動を見せ続けることは極めて大切だと感じています。
 だが、リニアでは、地域によっては「そんなおとなしい運動ではなめられるだけですよ」と思わず言いたくなる運動もあります。
 仮に、リニアの沿川用地確保のために、都県が強制収用や行政代執行を使うとしても、諦めないで徹底してやれるかです。

 ただ、石木ダムにしてもリニアにしても、どちらにも共通しているのは、「説明会」はあるけれど、事業者と住民、それに加えて、有識者、自治体、国などが一堂に会しての公開討論会がないままに推進されていることです。

 それがないから、住民はここまで闘わざるを得なくなっている。

 ともあれ、石木ダムについては、一回こっきりの取材ではすまなくなりそうです。でも取材経費がなあ…。その金があれば、まずリニア優先でやるしかない今の懐事情です。


●こうばるつうしん

 私の貴重な情報源に「こうばるつうしん」があります。
 これは、石丸さんの娘さんの穂積さんは体調がすぐれないために、座り込み行動には参加できないのですが、「では、そんな私がいったい何ができるのか」と始めた、得意のイラストを活かしての情報発信です。

石丸穂積さん←石丸穂積さん


 現場の座り込みは県内の人たちとの輪を確実に結びつけていますが、穂積さんが紙媒体(集落で配布する)やネットを活用しての情報発信は外の世界とをつないでくれます。

 特に、難しいダム問題をじつに平易に漫画で表した「こうばるつうしん」(連載中)は必見で、こういった「解かりやすい視覚化」がどの運動にも必要なんだなと認識させられました。こうばるつうしんは以下のサイトで見ることができます。

https://note.mu/ishimaruhozumi/m/m7e5e98bb3880

 このページではそのなかの「こうばる通信7」を置きます。

こうばるつうしん7



●裁判
 最後に、川原の住民ら110人は昨年11月30日、国を相手取り、土地収用法に基づく事業認定の取り消しを求めての「行政訴訟」を長崎地裁起こしました。
 加えて、2月2日には、やはり長崎地裁に、取り付け道路の工事差し止めを求める仮処分である「民事訴訟」も起こします。こちらの申立人は、書類に、住所、氏名、押印、そして1万円があれば誰でも提訴できるとのこと。

 石木ダム問題も展開が早くなってきています。注視しなければ。

←川原の住民、支援者、弁護士など関係者が綴った石木ダム問題を著した一冊。これを読めば、石木ダム問題の経緯や基本情報は把握できる。

↓ ブログランキングへの応援クリックを2つお願いいたします。



blogram投票ボタン

↓ 拍手もお願いいたします
関連記事
スポンサーサイト
2016/01/20 15:58 石木ダム TB(0) コメント(1)
コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016/01/23 09:02   [ 編集 ]















 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/tb.php/459-a92644ba
リニア取材のカンパのお願い
 リニア中央新幹線の取材範囲は、東京都から愛知県までと広範囲で、多大な取材経費を要することから、数十組もいる会うべき人たち・組織の多くに会えないでいます。また、リニアに関する記事を書こうにも、ほとんどの雑誌はJR東海が広告主であるため、記事を掲載できず、取材するほどに資金力が落ちる状態が続いています。今後は、再び単行本の発行を目指しますが、私のリニア中央新幹線に関する取材へのご寄付をお願いできないでしょうか?  カンパをしてくださった方には ★ブログに記事を掲載する際のお知らせ。 ★雑誌に記事を載せる場合の、掲載誌送付。 ★単行本を出した際の、一冊謹呈。  など、せめてもの特典を用意いたします。  なお、いただいたカンパは以下の用途に限定します。 ★取材地までの往復交通費。 ★取材地での宿泊費。 ★リニア中央新幹線に係る資料代。  食費は自己負担としますが、使用明細は公開します。  ご協力いただける方は以下の口座への入金をお願いいたします。  みずほ銀行・虎ノ門支店・普通・1502881 カシダヒデキ  ご入金に際し、ご住所や連絡先などを教えていただけたら助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
必要か、リニア新幹線
リニア中央新幹線の問題点を『環境性』『技術性』『採算性』の3点から理論的、実証的に解説した一冊。リニア計画の入門書。
リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」
リニア中央新幹線を巡る問題を語らせては、その理論に一部のすきも見せない橋山禮治郎氏の第2弾。このままでは,リニア計画とJR東海という会社は共倒れになることを、感情ではなく、豊富なデータを駆使して予測している。必読の書。
自爆営業
国会で問題にされても一向に改まらない郵便局の自爆営業。年賀状1万枚、かもめーる700枚、ふるさと小包便30個等々のノルマはほぼ達成不可能だから、ほとんどの職員が自腹で買い取る。昇進をちらつかせるパワハラや機能しない労組。いったい何がどうなっているのか?他業種の自腹買取も描いている。
アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。