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●日陰補償。野菜は補償されず。果樹のみ。

 前々回のブログで、家屋への日陰への補償について書きましたが、日陰による補償には「果樹」にもあります。

 だが「野菜」にはありません。
 野菜は、それぞれの種類の生育期間が2,3ヵ月と短期間。特に、夏期は太陽高度が高いため、日照阻害の影響は低いと考えられているために、補償から除外されているのです。

 また、雨宮さんの地区ではほぼ全戸が果樹農家であり、野菜は自家用に栽培していることも補償の対象外の理由とされているようです。

 ともあれ、笛吹市では、果樹の日陰補償は90筆(54名)が対象となりました。

 これは基本的な考えとしては、『実験線建設前の収穫量』と『建設後の収穫量』で売上が何%落ちたかで計算できます。
 だが、実験線の建設を担った「鉄道建設・運輸施設支援整備機構」の調査はそうではなかったようです。

「私は昔、農薬の試験に携わっていたこともあるので、その辺のことはわかるんです。まず、基本中の基本は『成木』を比較調査することです。前もって、各農家の10アール当たりの収穫量を割り出し、実験線の建設でできた日陰でそれが何%落ちたかを確認すべきです。具体的には、日陰での実の大きさ・糖度・酸度を調査すべきなのに、実施したのは大きさだけです。
 その調査にしても、機構は、地区にある観光農園のなかの『苗木』で調査しました。比較するものがないから、結局はJAに出荷するときの平均単価をもちだしてきて補償をしたようです。この地区では2、3軒です。私は果樹には日陰被害はありません」(雨宮さん)

 機構は、各地での整備新幹線の建設も経験しているだけに、補償については経験の蓄積があります。

「でも、そのデータを示さないのです。調査の仕方も杜撰に思えたので、こちらから立ち合いを要望しましたが、実現しませんでした」


●反省点

 ただし、農家の側にも問題がないわけではなかったと雨宮さんは訴えます。
 まず、ほとんどの農家が、自分の畑での10アール当たりの年次収量などの記録をつけていなかった。だから、機構が「平均単価』を持ち出してきても反証のしようがなく、言い値を呑むしかなかった。

 そして、当時も、様々な環境問題が予測されていたわけですが(水枯れ、残土、電磁波、日照等々)、ほとんどの住民が、1990年に機構が作成した『山梨実験線環境影響調査報告書』を読んでいなかったことです。
 環境影響評価法が成立したのが1997年なので、その7年前に機構は、それに準ずる報告書を作っていたことになります。
 そのごく一部は、おそらくそれと思われる実験線周辺の各地での水枯れの可能性を予測していたページなどが、リニア中央新幹線の「環境影響評価準備書」や「環境影響評価書」でも見ることができますが、そういえば、その全体を私は見たことがありません。

棚の入沢の予測←おそらく、1990年に作成された調査報告書の一部。リニア中央新幹線の評価書に記載されている。ここでは「棚の入沢」など、実際の水枯れを予測している。

 雨宮さんが言うには「当時、それは山梨県庁に行けば閲覧できた。でも、わざわざそれをする人はいなかった」とのことです。

 つまり、この地区の反省点としては、
★戸別訪問に応じた。
★実験線の計画への根本的な学習が浅かった。
★機構と渡り合えるだけの数字を持ち合わせていた農家がいなかった。

 等々ということになります。
 もっとも、「私たちの生活ペースをはるかに上回る速さで、リニア計画がやってきて、いつの間にか建設が始まって、気づけば終わっていた」ということですから、春から秋にかけては朝から夜まで仕事に追われる農家には、機構と対峙する余裕もなかったのでしょう。逆にいえば、そういう農家の実情に合わせてゆったりとした説明が何度でもあってもよかったのではと思うしかありません。


●山梨実験線環境影響調査報告書はどこにあるのか?

 ちなみに、雨宮さんの話を聞いて思ったのは、「そういえば、山梨実験線環境影響調査報告書を見ていなかった」ということです。
 雨宮さんによれば、山梨県庁では閲覧できたとのことなので、まだ所蔵されているのかもしれない。確認してみよう。

 というのは、雨宮さんが主張するように「私たちは、『実験線はあくまでも実験線』との説明しか受けていない。つまり、『実験線が将来の営業本線を兼ねる』との説明は受けていない」ということであれば、

★現在、営業本線の一部となった実験線の環境アセスは、その「山梨実験線環境影響調査報告書」で十分な内容なのか?
★仮に十分にしても、少なくとも、7年後の1997年に成立した環境影響評価法には則っていない。
★この報告書は、なぜリニア中央新幹線の環境アセスの過程で公開されていないのか?(私が見逃しているだけ?)
★十分か不十分かは別にしても、実験線が営業本線を兼ねるのは事実なのだから、実験線の42・8キロ(初期18・4キロ+後期24・4キロ)の区間については正式な環境アセスが必要なのではないのか。
★また、少なくとも、この報告書の予測が当たり、水枯れが起きたのに、その原因や今後の具体的な防止策が評価書には記載されていない。

 つまり、実験線の区間に関しては、アセスなしで、国交大臣が事業認可してしまった・・・という解釈もあり得る。

 いやいや、書きたいことは次々と出てきますが、憶測の領域に入るわけにはいかないので、とりあえず、この報告書が山梨県庁にあるかを確認してみます。

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2015/11/23 04:10   [ 編集 ]















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