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●絶滅危惧種がいる

 昨日の続きです。

 牧馬には、国の天然記念物であるギフチョウの地域固有種(絶滅危惧種)が棲息しています。
 さらには、神奈川県の希少種に指定されている「ナガレタゴガエル」という冬に繁殖するとても珍しいカエルがいます。

 相模原市緑区の佐藤文男さんが2014年1月から、リニアのトンネル掘削ルートの直上の複数の沢を調査したところ、A川においては、14年1~2月に125匹。15年1月~2月に90匹を確認しています。それまでその地域にはいないと思われていたのだから、ある意味、大発見です。
 調査地を含めた7河川(10本の沢)の真下や近くをリニアのトンネルが掘削され、水枯れが起こると、住民の水やカエルの生息が心配されるところです。

 だが、このカエル。JR東海の出した環境影響評価書には、「評価書資料編」でわずかに2回出てくるだけ。
 一つ目が「文献調査」での存在が確認されている、と記載されているだけ。
 二つ目が、「現地調査により確認された両生類の重要種は2科3種であった。現地で確認された両生類の重要種とその選定基準は表19-3-2-4に示すとおりである」として、

 『アズマヒキガエル』『ツチガエル』『ナダレタゴガエル』

 の名前が出ているだけ。もちろん、希少種だから乱獲を防ぐために場所の特定をしないのは当然としても、それをどう保護するかの記述はいっさい無し。

 そういえば、13年秋から14年初頭(2月だったかな)の5回にかけてリニア計画を審査した神奈川県環境影響評価審査会を私は4回傍聴したが、このカエルは話題にのぼらなかったと記憶してます。そもそも、佐藤さんの調査自体が14年初頭からだったからそれも当然です。
 その審査会では、同じ相模原市で50haもの車両基地のできる緑区鳥屋で、カエルの保護のためにビオトープを造るというJR東海の計画は披露されたけど(未だに具体案は上がっていない)、県や相模原市はこのナダレタゴガエルをどう保護するのか。

 佐藤さんの調査ではこういうことも指摘されています。
「土砂が流出したり、コンクリート片が捨てられている場所では生息を確認できなかった」

 非常口からの残土の搬出で、このカエルがきちんと保護されるのか、県に質問してみる価値はあるかと思います。

●「環境大臣の意見」や条例を活用しよう

 以下は、「残土」について、極めてお役所的な説明なので、読みたくない人はここで読み終わって構いません。

 まず、環境大臣(石原伸晃)はリニア計画への大臣意見(昨年6月)でこう書いています。

2.6 廃棄物等
(1)発生土
① 発生抑制、現場利用の徹底
 省略。
② 発生土置場の選定要件
 新たに仮置場の設置場所を選定する場合については、自然植生、湿地、希少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等、動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い区域、土砂の流出があった場合に近傍河川の汚濁のおそれがある区域等を回避すること
 また、登山道等のレクリエーション利用の場や施設、住民の生活の場から見えない場所を選定するよう配慮するとともに、設置した際には修景等を行い、自然景観を整備すること。
③ 発生土の運搬
 省略
④ 発生土置場の適切な管理
 発生土置場での発生土の管理について、濁水の発生防止や土砂の流出防止その他周辺環境に影響を及ぼさないよう、発生土置場ごとに管理計画を作成した上で、適切に管理すること
 また、発生土の管理計画の作成に当たっては、内容について関係地方公共団体と協議し、また、住民への説明や意見の聴取等の関与の機会を確保すること

 簡単に書けば、②にあるように「自然度の高い区域」には残土を捨てるなという意見です。さらには、残土の管理計画の作成には住民への説明や意見の聴取が必要とまで書いています。
 牧馬の沢は十分に自然度が高い。環境大臣の意見は、本ブログでも書いたように、環境大臣意見は、環境省職員曰く、それなりの指導力をもったものです。
 JR東海はほとんど何も回答しないであろうから、住民は、県や市に直接問い合わせてみるべきです。


●「県知事の意見」も利用しよう
 また、この3カ月前、黒岩・神奈川県知事はリニアの環境影響評価準備書に以下の意見書を出しています。


オ 発生土置き場等については、次のとおり対応すること。

(ア) 発生土置き場等について、現状では具体的な計画がなく、そのため調査・予測・評価が全く記載されていない。新たに発生土の保管場所及び処分場を建設する必要が生じた場合、神奈川県「土砂の適正処理に関する条例」の対象となる規模のものについては、工事に当たり、適切な調査・予測・評価を行い、事後調査のほか、モニタリング調査についても、その結果を自主的に適切なタイミングで公表すること。

 このなかにある「土砂の適正処理に関する条例」は以下のサイトで確認できます。

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f4331/

 書いてあることは、

★処理計画の作成
 建設工事又はストックヤードの区域から500立方メートル以上の土砂を搬出する場合は、あらかじめ土砂の搬出にかかる計画を作成し、知事に届け出る必要があります。
 手続については、「届出・申請の手引(土砂の搬出編)」 をご覧のうえ、土木事務所・治水事務所に提出してください。

★土砂埋立の許可
 2,000平方メートル以上の埋立、盛土その他土地への土砂の堆積を行う場合は、知事の許可が必要です。
 手続については、「届出・申請の手引(土砂埋立行為編)」をご覧のうえ、土木事務所・治水事務所にご相談ください。
 ※ 市町によっては、2,000平方メートル未満でも許可が必要な場合がありますので、詳しくは市町の窓口にお問い合わせください。

★土砂搬入禁止区域の指定

 埋立、盛土その他土地への土砂の堆積が継続されることにより、人の身体、生命、財産を害するおそれのある場合、知事はその土地及び周辺の区域を土砂搬入禁止区域に指定し、一定期間土砂の搬入を禁止することができます。


このページに関するお問い合わせ先
県土整備局 事業管理部 建設リサイクル課
建設リサイクルグループ
電話 045-285-3203


★さらに、相模原市には市の「土砂等の埋立て等の規制について」という条例があり、これは、
 ★土砂等の埋立て等を行う事業区域の面積が500平方メートル以上
 ★土砂等の埋立て等の高さが1メートル以上、かつ、搬入土量が500立方メートル以上

 の事業が対象です。つまり市の許可が必要となります。

 藤野地区は、
 津久井地域環境課 
住所:〒252-5172 緑区中野633 津久井総合事務所本館2階
電話:042-780-1404 ファクス:042-784-7474

 が担当となります。
 また市条例のHPは、http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kankyo/019632.html をご覧ください。


 つまり、JR東海がこれら県や市の許可を得ないうちには何もできないということです。
 だからこそ、前回のブログで登場した不動産業者の「このあたりの土地は残土置き場になることが決まった」というのはあり得ない話なのです。住民への説明と意見の聴取も求められておりますし。

 また、JR東海の作成した「環境影響評価書」には、牧馬のマの字も出てきません。
 
 牧馬だけではなく、相模原市の山間部におけるリニア計画路線周辺においての、「どの場所」で水位の低下や水質の変化があるのかの具体的記述は一切ありません。わずかに、

「破砕帯や土被りの小さい箇所の周辺の一部においては、地下水の水位への影響の可能性はある。」

 と書かれているだけです。その「一部」とはどこなのか?

 私としては、地域住民は、暖簾に腕押しのJR東海だけではなく、県や市の担当部署にこれら疑問をぶつける方がまだ情報が出てくるかもしれないし、かつ、住民の総意を見せることが少しは抑止力として機能するのではと思っています。

 地方自治が問われている問題でもあります。

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