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●自己破産します

 ここ最近、ご無沙汰してしまいましたが、昨年までは、けっこう奨学金問題を取材していました。これも、また再開しなければと考えています。ただし、取材経費の捻出がネックです。リニアのことも中途半端にしたくないので、この二つの取材を同時に行うのは難しいのです。

 それでも、とりあえず、関東近県でならそれほどの経費はかけずに取材ができるわけです。
 6月16日、日本弁護士連合会が主催しての「奨学金制度の現状と課題」と題したシンポジウムに出かけてきました。
 そこでは、研究者や弁護士からの報告もあり、それはそれで面白い話なのですが、基本的なことはこのブログでもすでに伝えてあるので、ここでは、実際に奨学金の返済に困窮している当事者の発言を紹介します。

 シンポジウムに登壇したのはAさん(女性)。
 Aさんは今、自己破産を考えています。裁判で決められた支払プランが到底自分の経済能力を超えているものだからです。

 Aさんは、大卒後、病気がちの父の世話をしながら、その自営業を手伝ってきました。
 ところが、そのお父さんが入院し、自営業が立ちいかなくなり、またAさん自身も腰痛のために正業に就くことができずにアルバイトで生きてきました。
 返さなければと思いつつ、日本学生支援機構から借りた奨学金の返済も滞っていました。すると昨年11月、裁判所から「奨学金の未払金と延滞金を合わせた580万円を一括で支払え」との督促が届きます。
 驚いたAさんは、機構に電話で相談すると「月に2万7000円払って欲しい」との回答を得ます。だが「今の自分には難しい」と返すと、交渉の場は裁判へと移されたのです。
 裁判所で機構側の弁護士が提示した返済プランは「毎月5,000円を2年間、次いで、2万7,000円を18年間」という、やはり難しいものでした。
 それを告げると、ここでとどめを刺しに来たのが裁判長です。
この返済額が高いとは言えない。あなたに払う意志があるかどうかです。これで納得できないなら、あとは廊下で」
 と、Aさんは裁判所の廊下で機構の弁護士と話し合うことになりますが、結局は押し切られてしまいます。文字色

●私は救われたはずなのに!

 Aさんが憤るのはその後日です。
 機構にはまったく救済措置がないわけではありません。
 たとえば、年収300万円以下の人ならば、申請すれば、奨学金の返済猶予が認められます。これは2013年度までは合計5年でしたが、14年度から10年へと一歩改正されました。
 そして、もう一つの改正は、2013年度までは、この猶予制度は延滞金のある人は利用できなかったのですが、14年度から、つまり2014年4月からは利用できるようになったのです。
「つまり昨年11月なら、延滞金があった私でもこの猶予制度は使えました。ところが、機構は、私が電話をしても裁判の席でも、そういう制度があることを教えてくれませんでした。とても残念です」
 今もアルバイトを転々としているAさん。
 残る道は自己破産しかないと考えています。もちろん、それは、自身の生活を再スタートさせるための法的手段です。

「私は、返さないと言っているんではないんです。現状では月に数千円なら返せるからとも提示しています。でも、返せないプランを強要されては、もう自己破産しかない。この絶対に無理な返済に縛られては何の人生設計もできないと思ったんです」(Aさん)

 そもそも、機構には、返せない人たちのための「免責制度」もあるのです。
 でも、たとえば、就労が無理な統合失調症になった人でも、この制度の適用を拒否された人は少なくありません。
 生活保護を受けた人でも、免責されず、とりあえず、1年ごとに猶予申請することを繰り返すだけです。
 
 私は数年前に、機構広報部に「統合失調症の方はどうなるのか」と尋ねてみたことがあります。その回答は、「まずは毎年猶予願いを出していただき、こちらも様子を何年か確認して、これは本当に無理と判断したら免除に移行します」。

――「何年か」とはどれくらいですか?
「あ、細かい規定はないんです」

――え? ではどの時点で「免除だ」と判断を?
「それも細かい規定はないんです」(苦笑い)

 こういう扱いは、生活に苦しむ人々にとっては悪夢でしかない。

 ← 日本の奨学金問題を解かり易く解説した唯一の本。


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2015/07/06 11:21 奨学金 TB(0) コメント(0)
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