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樫田秀樹

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●大鹿村の「仮」残土置き場

 リニア工事で生活破壊が起こると予測されている一つが長野県の大鹿村です。
 ここは南アルプスの西端に位置し、南アルプスのトンネル工事で発生する建設発生土の300万㎥を運び出すことも含め、一日最大で1736台もの工事用車両が村を通過します。
 8時から17時までの作業時間と仮定すると、1分間に3台以上の走行となります。また、JR東海はそれら車両を時速40キロ程度で抑えると発言していることから単純計算すると、ほぼ200メートルごとに(往路と復路を含む)車列が朝から晩まで走ることになります。
 土埃、泥はね、排気ガス、騒音、振動。これらの少なからぬ公害が10年間も続くことは、住民は隣近所への移動も難儀になり、道路脇の家ならば洗濯物も干せず、子どもも庭先で遊ぶこともできなくなることを意味します。
 そこで、JR東海は、大鹿村のなかに残土の仮置き場を設置することで、1736台を1350台に減らす案を出しています。
 ところが、今回、大鹿村を訪ねて分かったのは、場所によっては、残土は「仮」置きではなく、恒久的な「造成」のために使うということです。
 「NO!リニア連絡会」の山根沙姫さんの案内でその数カ所に行きました。

★村を流れる小渋川近くの空き地(村有地)
ここは周辺の道路より1メートルほど地面が低いので、ここに残土を運び、道路と同じ高さにまで盛り土をし、その後、何かしらの施設を建築するとのことです。

小渋川残土捨て場←写真奥に橋が見える。その下を川が流れている。

★村営グラウンド
 ここにも残土で盛り土をする。

グラウンド残土捨て場

★青木川近くの残土捨て場(非常口建設予定地のすぐ近く)
 小さい面積だが、どこかの業者が既に残土置き場にしている(再利用する気配がない…)。残土が小山状態になっているが、JR東海はここに残土を上積みする。

青木川近く残土捨て場1 青木川近く残土捨て場2←1枚目の写真。車の右にある平らな小山が、どこかの業者が使った残土捨て場。2枚目は、そこに上って撮影。

★釜沢地区の田畑

 また、村の最奥地、釜沢地区(非常口が2カ所掘られる場所)では、山根さんに紹介いただいた遠野みどりさんから「仮」置き場の場所を案内してもらいました。

田んぼ残土捨て場

 ここは民有地の田畑です。地主は何人もいますが、そのうち釜沢在住の方は一人だけのようで、その方は、リニア計画には賛同しているようです。
 ここでは、残土は「仮」のままなのか、「造成」するのかはつまびらかにはわかりませんが、釜沢には残土置き場が4カ所予定されています。

●全部で55万㎥
 村にはそういった「仮」置き場が8カ所計画されていて、それぞれに置く残土の量は非公開ですが、8カ所合計では、その量は300万㎥の約18%にあたる55万㎥になるそうです。
 でもって、1日最大の車両通行台数は1350台になる。
 「だからどうした」というのが、大概の住民の感想でしょう。生活破壊が起こることは変わりないからです。保育園や小学校の脇だけは通らないよう関係者は要請していますが、どのルートで車列が走るかは今後決まることです。

 ちなみに、村では上記田畑の買収は行われますが、人家への収用はほとんどありません。1軒だけそれが予定されているのが、村の飲食業に魚を卸している唯一の養魚池を経営している方のご自宅です。養魚池はご自宅のすぐ隣で、この土地にはリニアのための変電所が建設される予定です。
 写真撮影もしましたが、微妙な状況なので、ご自宅や養魚池の写真公開は控えます。


●中川村

 大鹿村の隣の中川村には、大鹿村から出てきた一日最大で1736台(もしくは1350台)の工事用車両がそのまま村を通過します。
 工事用車両は、今のところ、県道59号線を通り、中川村の「渡場」(どば)という交差点まで来るのは確実ですが、そこから左折して、高速道路「中央道」の松川インターまで向かうのか、それとも直進して県道18号線を通り中川村の中心地を抜けていくのかで、村民の関心度の高さは異なります。
 というのは、渡場から左折すれば、工事用車両の影響を受けるのは渡場地区の約20世帯未満と推定され、中心地を抜けていけばより多くの世帯が影響を受けるからです。これはどの工事でもそうですが、当該地から100メートル離れれば、同じ地元でも関心は薄れるものです。
 
渡場交差点←渡場交差点。写真の向こう側から、残土の運搬車列がやってくる。そのまままっすぐに行けば、村の中心地を通り、ここから向かって右に曲がれば中央道の松川インターまで向かう。

 私はこの中川村で6月28日に講演をしたのですが、その日は中川村に泊まり翌日の朝9時に曽我逸郎村長に40分ほど取材をすることができました。

曽我逸郎村長←曽我逸郎村長。

 曽我村長をお見かけしたのは、2013年10月14日の大鹿村でのJR東海による住民説明会。中川村は、リニア工事のダンプやトラックは通過するが、リニアそのものは通過しないので、JR東海は「関係市町村」ではないとして、村には環境影響評価準備書を送付もしていなければ、ましてやその住民説明会も開催していない。曽我村長は、発言の機会を求めて大鹿村の説明会にまでやってきたのです。そして、JR東海にこう質問しました。
中川村では調査なしで、やった者勝ちでよいと考えたのでしょうか。騒音予測も騒音基準70デシベルぎりぎりの69デシベルだから基準値以下だとのお話ですが、中川村では、本当に静かな素晴らしい環境の中で住民が暮らしています。静かな環境で暮らす住民に、10年以上にわたり朝から夕方までガーガー騒がしいことが、環境基準内だからオーケーというのはいかがなものか。事後調査をして、万が一想定外のことが起こった場合には、どのような対応をされるのか。工事期間中に継続的、定期的に調査をして、万が一、住民の求める基準を超えてしまった場合には、それが改善されるまで工事を止めることも約束願えるでしょうか
 このまっとうな質問に、私はその後、曽我村長に電話取材をし、その一部を拙著「悪夢の超特急」にも採用させていただきました。
 今回のインタビューは以下の内容です。

――以前、中川村でリニア工事をする場合は、JR東海は24時間リアルタイムで騒音や振動を計測し、それが村との取り決めで決まった数値を超えたら工事を中止するような要請をJR東海にあげていました。それをJR東海はどう受け止めているのですか?

「JR東海は『ちゃんとやります』『ご心配なく』とは言いますが、具体的な計画は言いません。私たちも、それをしてもらえるとの印象ももっていません。また、24時間モニターに限らず、JR東海に確認したいことはたくさんあるので、質問書を今月1日に文書で提出しました。明後日(30日)が回答期限です」

中川村からJR東海への質問 仲川村からJR東海への質問2


――JR東海は、大鹿村の住民説明会では、リニア工事によるメリットはないと回答しています。中川村でもメリットはないとお考えでしょうか?

「村議会では、『残土を活用しよう』との意見はあります。村民のなかにも、残土で『田んぼのかさ上げ』とか『谷を埋めて平坦な土地にすれば、向こう側にまっすぐ行ける』という人もいますね」

――ただ、そもそも、1736台もの大型車両を通すには、大鹿村からの道路の拡張などが言われていますが、見通しは?

「不可能とは言っていませんが、実質的には無理です。今ある県道を普通に使うしかないですね。またそれだけの車が通る以上は、排気ガスはクリーンディーゼルで抑えるのか、運転マナーをどう管理するのか、運行時間、粉じん飛散を防ぐための車両の仕様などを議論してほしいんです。今年2月、『中川村リニア中央新幹線対策協議会』が発足しましたが、ここで村民の心配や不安などを預かりまとめていきます。協議会に期限はありません」

――今後、道路測量でJR東海が交渉すべき地主は中川村には何人くらいいるのですか?

「10人いるかどうかです。ただし、私はこれは地主だけの問題ではなく、村民一般の問題だと考えています。だがJR東海は、住民とは地元自治会だと狭く考えているようです」

――そのためには、JR東海との直接交渉も考えているのでしょうか?

「いえ。私たちはきちんとした文書のやりとりを基本にしたい。というのは不毛な説明会を繰り返しても得るものがない(村では準備書説明会はなかったが、今年6月16日に「道路測量説明会」が開催されている。いつものように、質問は3問同時に質問し、再質問はできないという、住民にすれば「納得できない」ものだった)。文書ならば、中身の積み上げができますし、JR東海の回答書をインターネットで公開して他の自治体ともその内容をシェアできます。そちらのほうが有意義です」

――JR東海への印象は?

「JR東海にとって、こういった大工事や、それに伴う住民説明会や地域とのやりとりはすべて初めての話です。おそらくは社内の内規か何かに従って杓子定規に動くしかないのでしょう。結局、彼らは損をしている。住民からの疑心暗鬼を招いている。2027年開業が動かせないスケジュールとして決めているから、強行的になり、住民生活にいらん迷惑をかけることになるのです。私たちは今後も文書でのやりとりを続けていきます」
 
 この2日後に、果たして、JR東海からの回答書が村に届きました。
 こちらのサイトをご覧ください
 
 

●小渋線のトンネル

 さて、大鹿村から中川村への道路、県道59号線(小渋線)は、クネクネした細い道路が連なり、カーブミラーのある場所では対向車に道を譲るのが当たり前になっています(とはいえ、昔と比べれば、トンネルも増え、相当走りやすくなっているとのことです)。

小渋線カーブ←小渋線では、対向車線に道を譲る場所がたびたびある。ただ、通行台数が少ないので、それほどストレスにはならない。

 その回答書の最後に示されているように、JR東海は、今、ここに新たなトンネルを2本堀り(900メートルと1200メートル)、工事用車両の渋滞緩和に努めようとしています。
 だが、それによりおそらく20万㎥程度の残土が出てきます。また、生態系や地下水への影響は当然ゼロではないはずで、その調査はなされるのだろうか? 確認したいところです。

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1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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