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 ようやくテレビでも連日のようにその言葉が聞かれるようになった「マイナンバー」。
 年金情報の不正アクセスによる漏えいにより、「マイナンバーだって大丈夫か?」との疑念が沸き起こっているのがその原因です。

 マイナンバーとは簡単に言えば、国民背番号です。
 基本的なことは、以前も当ブログで書いたので、そちらを見てください。

 これは、国によって運用範囲や運用基準は違うのですが、国民背番号制度を敷いて、個人情報が「大丈夫ではなくなった」代表格はアメリカと韓国です。
 手口は3つ。

★不正アクセス
★内部犯行
★成りすまし  です。


●韓国の事例

 韓国では、1962年から「住民登録番号」という国民背番号を導入しました。
 これは元々は、北朝鮮からのスパイと一般国民を明確に区別するために導入されたものです。それがいつの間にか、「官」部門での利用が始まり、ついには「民」部門、すなわちクレジット情報や銀行口座にも紐づけされ、なんでもありの状態になっています。

 韓国では、07年から15年1月までの間で2億数千万件もの不正アクセスと内部からの情報流出が発生しています。

 クレジットカードの番号も住民登録番号で一元化しているのですが、14年1月、クレジット会社や銀行口座関連の個人情報約1億400万件が流出し、預金の無事を確認しようと顧客が銀行に殺到。そのなかには、パク・クネ大統領のものと思われるの情報もあったのです。
 日本でも昨年、通信教育を手掛ける㈱ベネッセの関連社員が金目的で900万件の個人情報を流しましたが、韓国でも「内部犯行」でこのような事件が起こりました。
 つまり、どんなに情報漏えい防止のシステムを作ったとして、内部の人間が故意に情報を取りだし売りさばくのは止められないのです。


●アメリカの事例
 
アメリカでも1936年「社会保障番号」が導入されましたが、90年代後半のパソコン時代に入ってから成りすまし犯罪が多発。
 その数、06~08年の3年間で1170万件! 被害額は円換算で約2兆円。

 たとえばこういう事例です。
 悪人Aが、Bさんの個人情報(氏名や番号など)を入手。そしてBさんに成りすまして正規職員として不法就労する(非正規職は低給与なので)。そして課税庁(日本の国税)への申告時期に退職。当然、税申告はしない。しかし、実際のBさんは課税庁に税申告するから、課税庁は、Aの会社から送られてきた「Bの支払調書」と、本物のBの税申告書の内容が一致しないことに気づき、犯罪が発覚。しかし、AはあくまでもBとして働いていたので、身元が特定できない。

 また、多重債務を負っている親が、わが子の番号を使ってクレジットカードを作っては、支払不能を繰り返し、当の子どもは成人してクレジットカードに申込む段階で初めて自分の信用歴が汚れているのに気付く。

 また、アメリカでは、社会保障番号の機能に、低所得者への給付金支給があるのですが、それも横取りされている。その数、2011年の一年間だけでで94万件。
 たとえば以下の手口です。

 悪人が、他人の社会保障番号を勤め先の給与ファイルなどからかすめ取ったり、闇サイトなどから入手し、本人に成りすまし、低所得者層への税金還付や給付金を求めて役所に出向き虚偽申告をする。


●日本では?

 日本がここまでのスケールで「内部犯行」や『なりすまし』が横行するのかはわかりませんが、一つだけ言えるのは、情報を盗んでの犯罪は防げないどころか増えるということです。

 2016年1月から運用が開始されるマイナンバーですが、「個人番号カード」のなかに入る個人情報は、「氏名、住所、生年月日、性別」の基本4情報と顔写真、そして個人番号だけ。つまり、個人の具体的な、所得、年金、納税額、貯金額、病歴、治療歴などがそのカードに詰まっているわけではありません。
 それぞれの情報はそれぞれの担当機関(たとえば、納税額なら国税事務所)のコンピュータのなかに入っているのですが、個人番号でこれらのシステムにアクセスすることは可能です。

 また、マイナンバーで、関係者が危惧する一つは、自分の個人情報がどう使われたかをパソコンで確認できる「マイポータル」制度(17年1月から運用)。

 内閣府は「マイナンバーでは、個人情報は国が一括管理せず、市町村、税務署、健康保険組合、日本年金機構などで分散管理する。情報がすべて漏れることはない」と説明します。
 管理する側はそうでも、マイポータルを使う個人は自分の情報をすべて閲覧できるわけです。
 そこで、こんな犯罪が予測されています。

 IT弱者である高齢者や障がい者の自宅にタブレットなどを持ち込み、『代わりに役所の諸々の手続きをやってあげますよ』とだまし、個人番号を教えてもらいその人のマイポータルにアクセスして、個人情報をごまんと盗む。

 特に、2018年からは任意で新規の貯金口座にはマイナンバーとの紐づけが策定されていて、それが2021年からは義務となる予定で、さらに、マイナンバーでは、オンラインバンキングも実現するかもしれず、そうなると、IT弱者から金をかすめ取る詐欺はある程度の確率で発生すると関係者は見ています。

 私は、内閣官房運営のマイナンバー専用のコールセンターに、「情報漏えいは防げるのか」と質問してみました。

 回答は以下の通りです。

「マイナンバーでは、漏えいを起こせば、その個人や法人は最大で懲役4年以下か200万円以下の刑事罰を受けます。相当の抑止力になります」

――不可抗力の不正アクセスや一部職員の悪意でも、会社は罰則を受けるのですか?

「不可抗力なら問われません」

――どうやって会社は不可抗力と証明するのでしょう?

「その証明ができなければ捜査機関が判断します」

 どうやら、マイナンバーのように「おいしい」情報は、防ぐよりも、漏えいが起きたときの事後対策の構築が企業には現実的になりそうだ・・・と私は思ったものです。

 問題はまだまだあるのですが、本日は、とりあえずこのへんで。

←今、日本でもっとも判りやすいマイナンバーの解説書。今年3月に発行されたばかりです。

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2015/06/06 23:49 マイナンバー TB(1) コメント(1)
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