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●国土交通委員会の傍聴

 6月2日、参議院の国土交通委員会の傍聴に行きました。
 国会の各委員会の傍聴には紹介議員が必要ですが、本日、その委員会で質問に立つ辰巳孝太郎議員(共産党)に手はずをとっていただきました。
 辰巳議員に与えられた時間は14時10分から14時30分までの20分間。

 質問は、 当ブログでも2回ほど書いていますが、

 大阪府摂津市における、JR東海の井戸掘削問題です。

 辰巳議員の質問とそれへの回答は以下の通りです(概要)。ただし、委員会へのカメラや録音機の持ち込みは禁止されていて、
メモでは一部書ききれなかった発言もあるため、不正確な箇所があるかもしれません。それは後日、議事録が公開されたときに修正します。


●辰巳「大阪府摂津市にJR東海の新幹線車両基地があります。37万平方メートルと甲子園の9倍の広さです。JR東海は1964年からここで地下水を汲み上げ、車両洗浄などに使ってきましたが、周囲の住宅地では最大で57.4センチの地盤沈下が起こりました。そこで摂津市と旧国鉄は1977年9月20日に、車両基地での汲み上げを行わないとの環境保全協定を締結しました。その後、地盤沈下はピタリとやんだのです。

地盤沈下が止んだ←地下水くみ上げを停止してから地盤沈下が収まったことを示すグラフを示す辰巳議員(写真提供:辰巳孝太郎事務所)。

 協定の第2条には、公害の発生の怖れのある施設を設置するときは、事前に市と協議すべきと定めています。第8条には、事業者は地下水の保全及び地盤環境の保全を行うため、地下水のくみ上げを行わないとされている。 

 ところが2014年9月30日、JR東海は事前通知もなしに、突然掘削を始めました。これに対して、摂津市は11月14日に協定の地位確認を求めて提訴しました。過去に地盤沈下を経験している住民からも怒りの声が出ています。人口8万5000人の市において、5月25日時点で35,411筆の反対署名が集まっています。
 国土交通省に確認いたします。地盤沈下の原因は地下水のくみ上げということでよろしいでしょうか。

★藤田鉄道局長「当時の地盤沈下の原因は承知しておりません

●辰巳「国鉄の事業で、地盤沈下が起こっていると結ばれた協定です。なぜ答えられないのですか?」

★藤田鉄道局長「昭和39年(1964年)から地盤沈下があったのは承知しているが、原因は承知しておりません」

●辰巳「1973年7月19日付けと1975年2月28日付けの旧国鉄から摂津市への『地下水くみ上げの抑制について』という文書はご存知ですか?」

★藤田鉄道局長「そういう文書があることは承知しております」、

●辰巳「なんと書いてありますか?」

★藤田鉄道局長「昭和48年(1973年)には、関係機関にも水の使用節約について極力努力するよう指導している、昭和50年には沈下対策として、工事を行い、1日1200㎥の地下水くみ上げを中止しますと」

●辰巳「地下水くみ上げが原因が前提で書かれたものですよね」

★鉄道局長「当時、どのような背景でこの文書が書かれたかは承知しておりません」

●辰巳「国鉄が書いた文書ですよ」

★鉄道局長「当時の国鉄の判断は承知しておりません

●辰巳「明らかに地下水くみ上げが原因で、国鉄が摂津市に書いた文書です。
 滅茶苦茶な話です。JR東海は、鳥飼車両基地で『井戸掘っても地盤沈下の危険性はない』と主張しています。
 JR東海の言い分は、車両基地内の掘削場所は摂津市ではなく茨木市の部分からの汲み上げであるので協定違反ではない、というもの。
 車両基地のなかで、摂津市の隣の茨木市に属する土地はたった3%しかありません。その3%で井戸を掘っているので協定に違反しないというのがJR東海の言い分です。しかし、地下水は地下でつながっているので、影響は摂津市に及ぶのは間違いない。
 私が驚いたのは、JR東海が「上水道と地下水とで(水利用の)2重系化が必要」と言っていることです。「二重系化」は、リニア建設推進を正当化するときにも使われている言葉ですが、「二重系化」のために地域が地盤沈下をしていいのか?
 JR東海は開き直って、「井戸掘削は災害対策のためでもある」とも言っています。しかし、JR東海は災害対策のためではなく、毎日地下水を750トンもくみ上げるのです。
 去年、『水循環基本法』が成立しました。流域にかかる水循環は、流域で一体的に管理されなければならないと定めていますが、この法律のなかで、地方公共団体や事業者の責務はどう規定されていますか?

★内閣官房水循環制作本部・北村事務局長「第8条に『国、地方公共団体、事業者、民間団体等、関係者は基本理念の実現を図るため、相互に連携して協力しなければならない』と書かれてあります」

●辰巳「地下水も当然、この水循環に入るわけですが、JR東海は、摂津市長からの面会要望にも『面会をするシステムがない』と断っています。国交大臣、JR東海の一連の姿勢についてどう思われますか?」

★太田国土交通大臣「現在、これは訴訟中と聞いています。詳細を私は聞いていない。訴訟中でもあるので答弁を差し控えたい

●辰巳「JR東海は丁寧な説明をしていないのは明らか。これ結局、コスト削減ではないかということなんですよ。井戸水はタダですから。リニア建設にはJR東海の自己資金で9兆円を賄いますが、あらゆるところでコストカットをするのがJR東海の方針。しかし、JR東海は、市の求めに応じず話も聞かない、丁寧な説明をしない、環境保全協定を結んでも脱法的に守らない、環境や地域社会に多大な影響を与えるリニア建設をこういう会社が進めることは許されないと思います」


●質問後

 この質問が終わると、辰巳議員はいったん退席。秘書の方が私に寄ってきて「部屋の外で辰巳議員が待っています」。
 辰巳議員は、「まさか、太田大臣からあんな空回答をもらうとは思わなかった。何かしらのコメントはもらえると思っていたのに」と半ばあきれた様子でしたが、どう見ても分が悪いJR東海の脱法的行為に委員会ではところどころで軽いどよめきがあったことに手応えも感じていたようです。
 それにしても、鉄道局長にしても、地下水くみ上げと地盤沈下の関係性を「承知していない」と答える必要性は何か。うがった見方はしたくありませんが…。

「やはり、これは委員会だけではなく、本会議でも議題にしたい。できるだけ多くの人に知ってほしい」

 ところで、私は以前から知りたかった質問を辰巳議員に投げてみました。それは、脱原発の河野太郎議員や反・集団的自衛権の村上誠一郎議員のように、自民党にあっても、一人だけでも、リニアに異を唱える議員はいないのかということです。
 だが、やはりというか、いませんでした。
 与党のなかに、まずは一人だけでもそういう議員が出てくれば話をしてみたいです。


●似たような事例

 日本では、かつて、自治体と民間業者が環境保全条例を締結したものの、民間業者がそれに違反したために訴訟を起こした事例があります。
 摂津市役所で取材したとき、職員は「福岡と新潟でそういう事例がありました」と教えてくれたのですが、調べてみると、2009年7月10日に最高裁が出した福岡の事例の判例がありました。

 これを解説したのがこちらのサイトです。

 ごく簡単に書けば、産廃の処分を巡って、「埋め立ては2003年12月31日まで」と、自治体と産廃業者とで環境保全協定を締結したが、業者がこの期限を過ぎても埋め立てを続けたために自治体が提訴し、最終的には、その主張が認められたということです。

 ここで、改めて気になったのは、摂津市との裁判において、JR東海は、その環境保全協定を「強権的に結ばされた」「紳士協定である」と主張したことです。
 上記の解説を乱読したわかったのは、紳士協定であるならば、法的拘束力はないということです。だから、何をしてもいいということになる。
 しかし、この福岡県の事例において画期的だったのは、これが「公害防止協定の法的性質について契約説を採用し、法的拘束力を認めたと解される初めての最高裁判決」であったことです。

 つまり、摂津市の裁判においても、「紳士協定」とは認められないかと思われます。

 ただし、上記解説ではこうも述べています。

「最も留意すべきなのは、協定の締結が行政による強制に基づくものであってはならないという点である。本判決も、協定の当事者である事業者が、その自由な判断で事業の廃止を決定することができるという事業者自身の処分権に基づく合意があること本件期限条項に法的拘束力を認める理由として挙げている」

 まさしくJR東海は「強権的に協定を結ばされた」と主張しているらしく、このあたりを裁判でどう展開するのか注視したいと思います。
 ただ、私は高い確率で摂津市が勝訴すると予想しますが。

●相模原市と中津川市の車両基地の水は?

 ところでふと気になりました。
 そういえば、リニアでも、神奈川県相模原市の山間部と岐阜県中津川市にリニア車両基地が建設されますが、ここでの車両洗浄の水はどうするのだろう? 評価書に書いてあったかな? ちょっと調べてみます。



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