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●山梨県でも住民が動く

 5月17日、山梨県甲府市で講演をしました。そこで何を話したかではなく、講演の第3部での「各地からの報告」で聞いた、市民団体や個人の取り組み、そして、その4日前の5月13日に訪ねた山梨県中央市の市民団体から伺った話を書きたいと思います。

 リニア関連の市民団体のネットでの情報発信が弱いということもありますが、現在、インターネットで確認できるリニアを巡る状況は、実際起こっていることの半分にも届きません(地域によりますが)。ところが、そのインターネットの世界では、ネットで見られる情報だけでリニア問題が分析されがちです。限られた情報だけで判断を下しがちな傾向はじつはどの社会問題や環境問題にもつきものとはいえ、私は戒めたいと思います。実際、現地に足を運ぶことで初めてわかることの方がまだまだ多く、出費は痛いですが、こまめに足を運ぶ次第です。

●「中央市リニア対策市民の会」の設立
 5月10日頃、中央市で上記の市民団体が設立されました。代表世話人は内田学さん。
 中央市は市とはいっても、2006年に2町1村が合併してできた新しい自治体ということもあるのか、だだっ広い街です。
 
「つまり田舎の集まりです。だからリニアのことを快く思わない人たちはあちこちにいたんだろうけど、それぞれが、『オレの他に誰もリニアを問題視していないのかな』と思っていたんです。自分もその一人。また、リニア市民ネットの存在も知りませんでした。もっと早く知っていればよかった。でも、そんな人ばかり。だから地元では市民運動にならなかった」(内田さん)

中央市リニア対策市民の会←市民の会の集まり

 会設立のきっかけはいろいろありますが、その一つに、昨年のJR東海による事業説明会で内田さんが質問したときに、合いの手で「そのとおりだ!」と叫ぶ数人の市民がいたことです。

「ああ、オレ一人じゃなかったと嬉しかった。それで今の会のメンバーと知り合ったんです」

 初めは内輪的な会合を重ね、中央市の市民として物申していこうと、今年5月に会の設立に至ったということです。

 私は山梨県を何度か訪れていますが、いつも思うのは、ある意味、リニアの本丸だからこそ、反対の声を出しにくい、出したら村八分になるとの怖れを抱く人が多いということでした。実際、2009年に設立されたリニア市民ネット以来、山梨県では住民運動はほぼゼロ。だが遅まきながら、一歩を踏み出そうという人たちが現れたと言えます。

●畑が潰される

 内田さんは中央市の在住ですが、リニア中間駅ができる甲府市大津町は目と鼻の先。また中央市には「保守基地」も建設されます。内田さんが個人的に関心を寄せるのは、なんといっても、自身が所有する桑畑の一部にリニア本線が通ることです。

 品川から名古屋まで286キロのうち86%がトンネルのリニア中央新幹線ですが、山梨県はそのわずかな地上部分の多くが集まる県です(地上部40キロのうち山梨だけで27キロを走る)。つまり、中央市においては、リニアは内田さんの畑だけではなく、多くの家屋と畑を通る、正確には、多くの家屋と畑を収用して事業を進めることになります。

 中央市において深刻なのは、新山梨環状道路という高架式の自動車専用道路が街を走っているのですが、リニアはこの環状線の数十メートル横を平行するように走る計画になっていることです。つまり、リニアは多くの家屋と畑を立ち退かせるという問題に加え、環状道路とリニアとに挟まれる場合は家屋は立ち退かなくても済むものの、日照権と眺望の両方を極めて劣悪にさせるという問題を起こすのです。

 中央市の布施第5自治会は200世帯以上もが暮らす地区ですが、このうちの約50世帯がリニアの走行ルートに引っかかります。住民の一人の山口武文さん(71)がこの計画を知ったのは13年9月。つまり、JR東海が環境影響評価準備書を出してからです。
 山口さんは、準備書説明会で「じつに迷惑です。住民の生活の場の目の前を通る。電磁波や日照権の問題に不安を抱えている」と発言しましたが、その回答はいつもの通りで「影響は小さいと予測しております」。

 山口さんの畑も一部がリニア工事のために収用されるとのことです。

中央市リニア通過←灰色がリニアルートにすべて覆われる家屋(つまり移転対象)、オレンジ色が、家屋や畑の一部がかかる世帯、黄色が対象外。写真の上部を水平に走るのが自動車専用道路の環状道路(青い斜線を入れている)。右端真ん中から左下に走るのがリニア(赤い斜線)。左端のオレンジ色の家屋が山口さんの家。
リニア中央市通過2

「私の自宅も環状道路の近くです。環状道路は高さが15メートルくらいはありますが、ここの北側が悲惨です。日陰になるため、雪が凍結したままで解けないんです。とくに、去年2014年の豪雪ではいつまでも雪が残りました。今度はリニアでしょう。となると、土地の下落は確実ですよ。固定資産税はそのままなのだから、迷惑な話です」
 
 準備書説明会でも事業説明会でも、納得のいく説明を得られなかったとして、JR東海に地区での個別説明会を要請した。果たして、今年2月16日19時からJR東海による説明会が自治会内で開催されたが、これには、リニアが通る予定の50戸のうち22戸が参加した。JR東海は24時まで説明を続けたが、「何も得るものはなかった」(山口さん)。

 山口さんも今、「中央市リニア対策市民の会」に参画しています。

●他地区での動き
 話を伺うと、中央市だけではない。近隣の自治体でも住民が立ち上がっています。以下、5月17日の交付集会での各地からの報告とも併せていくつか紹介します。
 
★南アルプス市
 リニアの走行ルートは、市在住の野口治孝さんの自宅の柱2本にかかり、庭は全部かかってしまう。
 近所には、庭が全部取られるが自宅は残る人もいる。しかし、工事期間は工事のために自宅への出入りができなくなる・・とJR東海は説明しているようです。
 野口さんたち住民が納得できないのは、事業説明会でのマニュアルに従うだけのJR東海の丁寧ではない説明に加え、ただの一言も「住民の皆さんのご理解を得てから始めさせていただきます」との言葉がなかったこと。野口さんが住む戸田地区ではJR東海に対して「この説明会はなかったことにしていただきたい」と宣言。以後、説明会はまだ開催されていません。
 
★富士川町
 南アルプス市の隣の富士川町。
 ここでは、4地区の自治会がリニア計画への抗議文書に147筆を集め、それを直接JR東海に提出。これまで市民団体が省庁や役所に署名を提出したことはあったが、JR東海に直接手渡したのは初めてかもしれません。
 そのとき住民が「抗議書を受け取ったという受取証を書いてほしい」と要請したところ、JR東海はこれを拒否。
 だが、JR東海にすれば住民から直接署名が届けられた事実に慌てた様子だったとのことです。

 町の小林地区には、昔からの民家が多く、高齢者が屋敷を維持していますが、ここをリニアが通過する予定です。
 そこで今後の土地や家屋の買収で注意されるべきは、買収を担当する山梨県の戸別訪問です。戸別訪問は公共事業ではよく使われる手口で、これで、特に補償額を釣り上げるなどのニンジンをぶら下げ、金に困っている人や金が必要な人の心を折る。
 だが富士川町は、戸別訪問では解決につながらないので、「誰か窓口にならないか」と提案。これに応えたのが有泉實さん(84歳)です。というのは、有泉さんの敷地のど真ん中をリニアは通ることにもなるのに、事業説明会での説明があまりにも納得できるものではなかったからです。
「私が窓口になります」
 と有泉さんは住民の前で公約。以後、JR東海は有泉さんに電話したり、畑にいるときに話しかけたりしていますが、具体的な話には進展していません。
 有泉さん自身は、市民団体「リニア中央新幹線沿線住民懇話会」の代表世話人にも就任しています。
 富士川町はJR東海にはやりにくい土地となっているようです。


●突然の測量通知
 正式な工事はまだ先の話。だが、それに必要な作業はすでに始まっています。長野県大鹿村でのボーリング調査もそうですが、各地で実施されつつある中心線測量もそうです。
 4月下旬、中央市の4地区において、この中心線測量を「5月中旬から実施します」とのお知らせの投函がありました。内田さんたちはJR東海の杜撰な事業説明会に対して、説明会を再度開催すべきだと要請していただけに、その要請への回答もないのに、いきなりの測量実施の通知に驚きます。
 そこで5月15日、JR東海の環境保全事務所に「住民懇話会」とともに抗議書を提出に行きました。
 対応に出た職員に内田さんはこう言いました。

ーーまず名刺をください。
「ウチでは名刺をお渡ししません」

 そして抗議書を読み上げ、それを渡した後

ーーこの抗議書を受け取ったという受領証をください。
「渡すシステムがございません」

 その後、中心線測量が実施されたのかは確認してみたいと思います。


●理論的に闘おう
 今、市民の会などが検討しているのが、ホームページやブログの立ち上げること。
 そして、問題の整理です。
 確かに、説明会での説明の杜撰さや対応のまずさを責めることもできますが、向こうが「きちんとやっています」と言ってしまえばそれだけで終わってしまうかもしれません。
 
 そこで、今市民の会がやろうとしているのは、アセスの不備を整理することです。
 たとえば、山梨県を流れる大柳川。
 この下をリニアはトンネル走行するのですが、なんとJR東海はその環境アセスを行っていません。

 また、甲府盆地には、笛吹川と釜無川という二つの河川をリニアは横切るのですが、そこに橋脚ができることで、橋脚工事で発生するコンクリートのアクが地下水に入り、笛吹川と釜無川に挟まれた地域での水質汚染が起こるかも確認したいと内田さんは強調します。

アセスをしていない笛吹川+釜無川流域←内田さんの手書き。右を流れる笛吹川と左を流れる釜無川。それを横切る線がリニア走行ルート。地下水の流れは二つの川の合流点方向に動いているようで、もしリニアの橋脚ができた場合の水位や水質の変化は検証されていない。

 確かに、JR東海が作成した「環境影響評価書」によれば、8-2-4の「水資源」にも、8-2-3の「地下水の水質及び水位」にもこの地域のことは記載されていません。いや、よく見れば、記載されているのは、上野原市、富士川町、早川町の三つだけ。ということは、南アルプス市や中央市ではこれらの調査は行われなかったということです。

●立ち木トラスト
 これはすべての木に購入者の名を記した札をかけてからの記者発表になるようなので、差しさわりのない範囲で書くと、中央市のある農家は畑の一部をリニアが通ることに反対し、市民団体「リニア市民ネット」の協力を得て、畑にある木々380本を利用しての立ち木トラストを開始しました。

立ち木トラスト予定地←この桑畑をリニアは通過する。そうはさせまいと始めた立ち木トラストはあっという間に380本のオーナーが決まった。これから一人一人の名前が入った札が掛けられる。

 すると! 記者会見もまだなのに、あっという間にすべての木に新しいオーナーが決まってしまいました。
 これを聞いた南アルプスのある住民も「うちの畑にも木がある。やってみたい」とその気を見せています。
 他にも一坪共有運動もありますが、これも脈がある場所があるかもしれないとのこと。

 リニア沿線を歩いてて思うのは、多くの人が「リニアには来てもらいたくない」と思っていながら、「でも国家事業には抗えない」といった妙な諦めをしていることです。確かに法的には着工は決まりましたが、闘わない限り、どうなるかは誰にも言えません。

 少なくとも、立ち木トラストのために木を提供した地主さんは「絶対にリニアを通さない」との強い意志をもっていました。
 大切なのは、いろいろな地域の人たちが「他の地域でも闘っている。自分たちもできる」との思いを共有することです。
 今のリニア沿線の諦めの連鎖を、諦めない人たちの連携につなぐ作業はいくらでも可能です。

 さて、今回の「市民の会」もそうですが、今、リニア問題に取り組もうといろいろな市民団体が立ち上がっています。
 甲府の集会のわずか三日後、東京で山男・山女、そして釣り男たちが立ち上がった集会が開催されました。
 それは次回!
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