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 4月25日、大阪市において、リニア中央新幹線について講演をしてきました。
 集まってくれたのは約80人。先日、東京での講演は10数人だったので、まだリニアの具体的計画も決まっていない大阪において80人も来てくれたことには驚かざるを得ませんでした。

●摂津市役所訪問
 この機会を利用して、前日の24日、大阪府の摂津市役所を尋ねました。
 本ブログでも書きましたが、昨年、JR東海を訴えて、裁判で争っている自治体です。

 ごく簡単に繰り返すと、
・摂津市の鳥飼地区には、JR東海の新幹線車両基地がある。
・1960年代から基地内から地下水をくみ上げ、車両の洗浄などに利用していたが、1972年当時で一日2000から2500トンくみ上げていたことで地盤沈下が発生。最大で46.05センチ。
・1977年。そこで、旧国鉄と「地下水をくみ上げない」との環境保全協定を締結。加えて、市内の75社とも締結。
・1999年。「環境の保全及び創造に関する条例」を施行。
 ところが、2014年に某浄水器メーカーが「鳥飼で井戸を掘りたい」と相談に来る。後日、それがJR東海への事業と知る。
 鳥飼車両基地には、じつは、3%だけ、飛び地的に、隣の自治体、茨木市の土地がある。そこで井戸を掘削するというのだ。

鳥飼車両基地イラスト図 ← たいていは、川を境に自治体も別になるのだが、茨木市は安威川を飛び越えてわずかな飛び地がある。鳥飼車両基地では、茨木市に属する面積はわずか3%。そこで掘削するので、摂津市との協定違反には当たらないというのがJR東海の主張だ。

鳥飼車両基地 ← 右が安威川。そこを超えての茨木市の飛び地があるあたり。左が鳥飼車両基地。


 摂津市は
・JR東海関西支社長に「協定を遵守せよ」との要望書を提出。
・着工すれば「法的措置も辞さない」との通告書も提出。
 しかし、JR東海は、「茨木市で掘るので、協定の適用を受けない」と連絡してきて、着工する。

・11月14日 ついに、摂津市はJR東海を提訴。

 そして、これまで2回の公判を行い、第一回目の1月30日は摂津市の森山一正市長の口頭弁論、第二回目の3月13日は弁護団の意見陳述が行われました。

 というのが最近までの経緯です。


●二重系化!

 今回の取材は、以前の電話取材でも対応していただいた生活環境部の北野人士理事です。
 いろいろな資料を見せていただきました。
 まず驚いたのが、JR東海関西支社長から森山市長に送られた文書「東海道新幹線鳥飼車両基地における井水活用にかかる摂津市からの要請書に対するご回答」にある「井戸水活用の目的」です。

 そこにはこういう見出しがありますーー日本の大動脈輸送を守るため、災害時等に備え水源を二重系化

 本文には「災害時等に強い井水システムを導入して、電力と並んで車両基地にとっての生命線の一つである水に関して、上水道との二重系化を図っておくことで、日本の大動脈輸送という社会的使命を強固に果たしていくために行うものです」と書かれています。

二重系化


 二重系化。
 これはリニアに関係する市民団体なら誰もが知っている言葉です。
 なぜ「リニア中央新幹線が必要なのか」について、JR東海はそのホームページでこう記述しています。

 「東海道新幹線は開業後48年が経過しており、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えとして、中央新幹線を早期に実現させることにより、東京・名古屋・大阪を結ぶ日本の大動脈輸送の二重系化が必要です

 まさか、摂津市において、同じような文言を目にするとは思ってもいませんでした。


●説明は尽くした
 
 こうも書かれています。

〇摂津市には十分な説明
 以上のような点につきまして、当社は摂津市の関係部門に6月以降、数回にわたり丁寧にご説明を尽くしてまいりました。しかしながら、摂津市におかれては、協定の適用範囲の解釈に関する主張を繰り返され、当社の計画(東海道新幹線の災害対策)に現段階においてもご理解いただいておらず、誠に残念であります。


 丁寧な説明・・。
 これも、リニア関連の市民団体や住民にはおなじみの言葉で、それこそを求めてきたのに、丁寧な住民説明会はほとんどなかったのが事実です。JR東海は、「住民には丁寧な説明を尽くしてきた」と自己評価しているようですが、環境大臣からも国土交通大臣からも「住民への丁寧な説明に努めよ」との意見をもらっていることは、「そうではなかった」ことが知れていることに他なりません。

 北野さんはこの件では憤りを隠せません。
「丁寧な説明と言いますが、森山市長がJR東海の関西支社長に直接会いたいと申し入れをしても、『当社にはそういうシステムはございません』と断ってくる会社ですよ。どんな大企業だって、首長が会いたいと言えばそれなりに対応してくれますよ。私の知る限り、後にも先にも、『システムがない』との理由で市長との会談を断った企業はJR東海だけです」


●市の言い分

 北野さんはこう強調します。
「JR東海は説明を尽くしたと言っています。摂津市との協定があるから着工はやめてほしいと訴えても、新幹線の社会的使命をとうとうと述べてきます。でもどんな小さな事業者にだって社会的使命はあるんです。お宅たちだけじゃおまへんと言いたい。なによりも、協定は、鳥飼地区全般に関わるものなのに、掘る場所が茨木市だから協定には縛られないとの見解は絶対におかしいです。JR東海は今回の井水揚水は地下750メートルからだから地盤沈下の心配はないと、京大の先生の知見を使っていますが、当市としては、協定違反ではないかと、協定の地位確認を求めたいのです」

 ところが第一回公判で、この協定について、JR東海はこう述べているようです。
「協定は強権的に結ばされたもの。当社とすれば、紳士協定と捉えている」

 市が提訴をするときは臨時議会の開催が必要なのですが、このJR東海を提訴するかどうかの事案については、全会派一致で賛同があったようです。
 北野さんに言わせれば「全会派一致なんて、そんなことは初めてです」。

 また、北野さんも森山市長も当初はこう思っていたようです。
「JR東海も天下の大企業なんだから、話せばわかってくれるよ」

 でも、そうではなかったことに失望感を覚えているのです。
「JR東海には、結局は真摯に相手と向き合わない、企業文化というのか、企業体質があるのでしょうね」

 また、これは私から質問をしたわけではないのですが、北野さんはなぜJR東海が協定を軽視してまで井戸掘削にこだわるかについては「リニア建設のために、コストダウンできるところはするということなんだろうと思います。JR東海が当市に支払う上水道代は年間約1億円。それが井戸水使用なら半額で済むわけですから」と考えています。

 次回、第3回公判は、大阪地裁101号法廷で、5月22日11時からです。

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