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●原科教授への取材

 「環境アセスメントとは何か」(岩波新書)という本があります。
 これを読んでから、著者の原科幸彦教授に会いたいと思いました。
 原科教授は、国際的なアセス学会、IAIA(国際影響評価学会)の会長を務めたこともあり、日本においても、国際協力機構(JICA)のアセス制度を確立するなどの活躍をするアセスの学者です。

 1時間だけお時間をいただき話を聞くことができました。

――市民団体の多くが、今回のリニアに関するJR東海のアセスが杜撰であると評価しています。
「杜撰かどうかよりも、問題とされるのは、その運用のされ方です」

ーーといいますと。
「たとえば、環境影響評価準備書では、静岡県知事や静岡市長が、残土問題に対して強い懸念を示しても、それがJR東海の評価書にはまったく反映されなかった。評価書のあとの環境大臣意見でもJR東海に厳しい意見が出されましたが、それが補正評価書ではまったく反映されない。リニア工事で排出される膨大な残土問題にも何の対応もしようとしないし、これからしようともしていない。なぜこんなことが起こるかというと、ペナルティがないからです。欧米では、司法連携しているのでペナルティがある。だから関係者からの意見や懸念は最終的には評価書に反映されます」

●機能しなかった環境影響配慮書

 私が尋ねたのは、「環境影響配慮書」のことです。
 日本ではアセス手続きは計画作手前の「環境影響配慮書」の縦覧から始まります。 これは、アセス対象とする事業にいろいろな選択肢を用意して、どの方向性での事業を選ぶかを決める作業です。

 今でこそリニア中央新幹線と呼びますが、初めは「中央新幹線」計画でした。つまり、環境影響配慮書の手続きにおいては、中央新幹線は「リニア方式」か「従来の新幹線方式」のどちらが望ましいか、そして、南アルプスを迂回するAルートとBルート、そして南アルプスを貫通するCルートのうちどのルートが最適かを関係自治体に諮ってもらうのが目的でした。
 配慮書の縦覧は2011年6月。ところが、その1か月前の5月、なんと、国土交通省が設置した「交通政策審議会」の「鉄道部会・中央新幹線小委員会」が、中央新幹線は「リニア方式+Cルート」と決定するのです。これでは配慮書の意味はありません。
 原科教授はこの動きについては「それはインチキです!」切り捨てました。

●環境大臣意見が個別事案に触れないのは妥当か?

 また、JR東海が出した環境影響評価書について、2014年6月に環境大臣が意見を出すわけですが、これは総論は厳しくても、具体的記述がとても少ない意見書でした。
 その後、市民との対談に臨んだとき、市民側は「静岡県の大井川源流部や標高2000メートルの稜線にリニア工事の残土を置くことは、静岡県知事も静岡市長も回避を求めている。意見書では計画変更をなぜ求めなかったのか」と質問しますが、環境省は以下のように回答しました。
「静岡県知事の意見書は承知しているが、環境大臣の意見は、国全体の環境行政をつかさどる立場からの意見となるので、個別事案の意見は入れなかった」。
 同様に、長野県大鹿村が、小渋川に橋梁ではなくトンネル建設を求めた事案や、岐阜県可児市が大萱地区(陶芸の聖地)でのトンネル通過を求めた事案についても、「個別事案なので記載しなかった」と回答しました。

 この「環境大臣の意見は、国全体の環境行政をつかさどる立場からの意見となるので、個別事案の意見は入れなかった」という見解は妥当なのかと問うと、教授は即座に「それはウソです! 個別の懸念に対しては、個別に応えなければなりません」と回答しました。
 これがまかり通れば、環境アセスはただのお飾りになる可能性もあるのです。
 ただし、私の認識と共通するのは「いろいろな力関係の中で、環境省としてはあの意見書を精一杯に書き上げた」ということです。
 
●圧力に弱い
 
 原科教授は、ペナルティがないことに日本の事業者は胡坐をかき、アセスメントではなく、出来レースである「アワセメント」を横行させていると指摘します。ただ、日本では、アセスを巡って事業計画の大幅な変更や事業中止に至った大規模事業が2つあります。どちらも「外圧」がらみです。

1.2005年に開催された愛知万博
 元々は、愛知県瀬戸市の「海上(かいしょ)の森」で行われる予定でしたが、大規模な環境破壊を懸念する市民団体の運動、そして、準備書の公表後の1999年に、日本野鳥の会が絶滅危惧種であるオオタカの営巣を確認したことで、計画変更を余儀なくされたのです。
 さらに、愛知万博の開催を決定した博覧会国際事務局(BIE。本部パリ)が、1999年11月、「自然環境破壊をもたらす海上の森での愛知万博の跡地利用計画(研究施設建設、住宅開発など)がBIEの理念に反する。きちんとしたアセスをやらないと博覧会はできない」とのコメントを発表したことも大転換を呼び寄せたと言えます。このBIEのコメントで、アセス手続きは延長されることになったのです。
 愛知万博の開催が決定したのは1997年ですが、その数年前から海上の森を万博計画から守ろうと訴えてきた市民団体は、「なぜ今さら、このタイミングでBIEがコメントを」との疑問は抱きつつ、海上の森が開発の手から免れることにホッとしていたのを私は今も覚えています。
 その後、愛知万博開催を巡っては、2000年5月28日、自然保護団体や市民運動家、有識者などで構成する「愛知万博検討会議」が博覧会協会のなかに設置され、会合を重ねていくことになります。やっと市民参画での万博開催の体制が整ったということです。

2.救われた藤前干潟
 愛知県の伊勢湾に残された藤前干潟。300ヘクタールのうち約47ヘクタールをゴミの最終処分場として埋め立てを名古屋市が計画。
 これに、「野鳥の聖域を守れ」「アセス準備書の内容は不十分だ」と市民が反発。そして、自分たちで、専門家の協力を得ながら自主アセスを開始。この「反対!」を言うだけではない、客観的な情報が市の審査会を動かし、準備書の記載内容が大幅に変更された。
 しかし、埋め立てを諦めず、代わりに人工干潟を造成すると主張する市に対して市民運動も根強く代替地の検討を求め、ついには超党派で国会議員が現地視察を行い、さらには、国際的なアセス学会であるIAIA(国際影響評価学会。設立1980年。約120か国からの専門家2000人弱が会員)が98年4月、ニュージーランドで開かれた世界大会で、「適切なアセスの実施を求める」勧告を出すに至り、それを受けた日本の環境庁は名古屋市の人工干潟計画を否定。そしてついには干潟の埋め立て計画は中止となるのです。
 その結果何が起こったかというと、名古屋市はごみ減量に真剣に取り組むようになり、わずか2年間で23%もの減量に成功。
 そして、藤前干潟は、上記、2005年の愛知万博において「特別会場」として披露されるのです。

 さて、決定的な力となったIAIAの勧告ですが、これには原科教授の尽力があったのです。
 以下、原科教授の著書「環境アセスメントと何か」(岩波新書)から引用します。

▲筆者は壇上に立ち、進行中の藤前干潟のアセスメントが適当に行われるようIAIAからアピールを出してもらいたいと訴えた。議論は沸騰したが、最後にこの提案は僅差で負けてしまった。この総会では、前年に日本がようやくアセスメントの法制化を行ったので、環境庁を表彰したところだった。表彰しておいてクレームをつけるのは、組織としていかがなものかというわけである。
 このときフロアから手があがった。
「ちょっと待った。組織としての立場はわかるが、われわれにはアセスメントの専門家としての責務がある。個人の判断でアピールをしよう」
 満場の拍手が起こり、当時の会長、理事、事務局長など、主要メンバー70名が勧告書にサインをしてくれた。
 筆者は帰国後、これを環境庁長官、愛知県知事、名古屋市長に提出した。新聞・テレビで報道され、この世界からのメッセージが日本政府を動かし、環境庁の背中を押した。そして、超党派の議員団が現地視察を行うに至った



●IAIAの日本開催
 そして、このIAIAの国際大会が来年(2016年)の5月8日から15日にわたり日本で開催されます。
 場所は、JR東海の本社がある、名古屋市。
 おそらく、藤前干潟や愛知万博がらみで名古屋市となったのでしょう。
 リニアのことを国際大会で取り上げるつもりはありますか? と原科教授に尋ねてみたら「話してみたいです」。
 リニアに関してはアセス手続きは終わっているので、藤前干潟のようなことは起きないにせよ、各都県の環境影響評価審査会や、静岡県知事や静岡市長の意見、環境大臣の意見をまったく反映しないで作成された評価書、補正評価書などを基に事業が推進されることがどう話し合われるのか、関心を惹かれます。
 

●学者は根性を

 日本で環境影響評価法(アセス法)が施行されたのは1999年からですが、原科教授は94年から96年にかけて放送大学で、アセス手続きには方法書を加え、アセスの実施後ではなく実施前にこそ事業の検討を行うべきとの見解をアピールしていました。これを見ていた環境省の幹部職員がそれに同意し、今の方法書の実現につながるわけです。この実現には原科教授には自負があります。
 また、原科教授は、IAIAの会長を務めたことがあります。ところが、この世界組織の会長を務めた人が、なぜか日本国内の「環境アセスメント学会」では、立候補しても会長にはなれません。何かの力が働いていると推測するしかありません。
 原科教授が強調するのは、学者はたくさんいる。だが、根性のある学者は少ない。根性をもって学問を世の中に還元しなければ世の中は変わらないということでした。


環境アセスメントとは何か――対応から戦略へ (岩波新書)環境アセスメントとは何か――対応から戦略へ (岩波新書)
(2011/03/19)
原科 幸彦

商品詳細を見る
国際的なアセス学会の会長も務めたことのある著者は、豊富な経験とたくさんの事例を紹介し、いかに、日本のアセス制度が遅れているのかを説明する。日本では、大事業しか対象にしないため、国のアセスと自治体のアセスを足しても年間70件くらいしかならないが、アメリカは8万件、中国だって30万件。日本では、アセスメントではなく、出来レースのような「アワセメント」が横行することに怒り、どうすればまっとうなアセスが実現するのかの具体案を示している。アセスに関心のある人には必読の書。


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