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●摂津市(大阪府)、地盤沈下を怖れ、JR東海を訴える

 ちょっと古いニュースですが、大阪府の摂津市が昨年11月14日、JR東海を相手取り裁判を起こしました。初公判は今年の1月30日。
 
 摂津市の鳥飼地区にはJR東海の新幹線の車両基地があります。東西2キロ、南北に230メートル。面積は37ヘクタール。
 現在、JR東海が、神奈川県相模原市の鳥屋地区において計画しているリニア車両基地が約50ヘクタールなので、その8割弱の面積となります。

 ところが、1964年の新幹線開業後からJR東海は基地内に井戸を掘り、その水を車両の洗浄などに使っていました。その量、一日に2000トンから2500トン。すると、周辺地区で最大約50センチもの地盤沈下が起こり、家が傾くなどの被害が発生。
 これを機に、摂津市は、旧国鉄との間に「環境保全協定」を締結し(今はJR東海が引き継いでいる)、「地下水のくみ上げを行わない」ことを実現。
 それを旧国鉄だけに求めるのではなく、市内全域で井戸の掘削を禁止する「市環境の保全及び創造に関する条例」を制定します。

 そこで、旧国鉄、そしてJR東海は上水道を使って洗浄を行うことになるのですが、この水道代は一か月で約2000万円とも言われています。

 ところが、JR東海はこの協定の隙間を縫うように、再び井戸掘削を始めようとしています。

 鳥飼車両基地は、その面積の97%は摂津市ですが、じつは残る3%は隣接する茨木市に属します。その茨木市側でJR東海は掘削を始めようとしたのです。
 しかし、地下水に街境などあるはずはなく、「再び地盤沈下が起こるから、やめるように」と摂津市が何度JR東海に要請しても、JR東海は中止どころか着工に至り、やむなく提訴に至った・・というのが大雑把な経緯です。


●詳しい経緯を尋ねてみた

 以上のことは、ある程度はインターネットでも情報入手ができます。しかし、当事者が主張したいことのすべてがインターネットにあるわけではありません。
 私は摂津市に電話をしてみました。そして、教えていただいたのは以下のことです。
 電話で対応してくださったのは、摂津市・生活環境部の北野人志理事です。


ーー井戸の掘削については、JR東海からは事前に説明とかあったのでしょうか?
「いえ、ありません。2014年3月に、神奈川県の浄水機メーカーが来庁されて、鳥飼地区で井戸を掘りたいと言われたんです。そこで、私どもは、いや、当市では井戸掘削は禁止されていることを説明しました。そして、このとき、メーカー側はJR東海のことは一言も話さなかったので、私たちもどういう意図の計画かが判りませんでした」

ーーどうやってJR東海がからんでいると知ったのですか?
「水の事業は大阪府の認可が必要なので、メーカーは大阪府にも行ったのですね。その大阪府環境管理室から当市に電話があり、メーカーの背後にJR東海がいると聞かされたんです。慌ててJR東海に『どういうことですか?』と問いただしました。そこで初めて鳥飼基地の茨木市側で、JR東海が井戸を掘る計画があると知ったんですわ。じつは、私たちも初めて知ったことなんですが、それまで鳥飼基地というのは100%摂津市の土地だと思っていたんです。ところが飛び地的に3%だけ茨木市に属していることを知りました。摂津市との協定で井戸は掘れないから、抜け道的にその3%を狙いを定めたとしか受け取れません

ーーJR東海の職員とは直接会ったのでしょうか?
「電話のあと、JR東海の担当課長クラスが2人来庁されました。協定書の写しも渡し、過去の経緯も話し、『掘削をやめてください』と訴えました。当然、私たちは、そこは大企業ならでの良識で、すぐに掘削計画を中止すると思っていたんです」

ーーしかし、やめなかった。
「はい。だから市長も『やめるべきだ』との意見を表明しました。そして、市長がJR東海関西支社に直談判を要望しているとJR東海に伝えたんです。するとびっくりしましたねえ。電話で返事が来たんですが『(直接交渉の)システムがありません』って言うんですよ。市長が膝詰めで話したいと言っているのに「システムがない」との理由で断る企業なんてありませんよ」

ーーJR東海は、茨木市とは協定を結んだのでしょうか?
「いえ、結んでいません。茨木市はそういった条例もありません。でも、市は『納得のいく説明を』との要望書は出したようです」

ーーどんな説明ですか?
「伝え聞くところでは、JR東海は個別に自治会長に会ったということです」

ーーJR東海は行政が違うから、協定書は無効だと主張しているのですね。
「はい。確かに自治体は違います。でも地下水は下でつながっています。そして、摂津市との協定書は事業所全般に係るものなのに、掘削する場所が違うだけで無効というのは詭弁に過ぎません

ーー裁判に至るまでにどうやってJR東海と対峙したのでしょうか?
「要請書。着工をするのなら法的措置も辞さないとした事前通告。そして、昨年9月29日に出した大阪地裁への『工事等仮処分命令申し立て』です。でもJR東海は一向に態度を変えなかった。摂津市の人口は8万5000人ですが、工事中止を求める市民の書名だって3万3000筆も集まったのに。これはもう本訴しかないと、市議会でも全会一致で提訴の方向が決まりました」

ーー仮処分は出なかったのですか?
「井戸からの揚水は2016年1月からの予定です。つまり、まだ緊急性がないので、仮処分申し立てを取り下げて本訴に及んだということです」

ーー今年1月30日に初公判がありました。裁判が進行中の今、JR東海は井戸の掘削工事は中断しているのですか?
「していません。続行中です」

ーー裁判でのJR東海側の主張は?
「掘削は地下150から200メートルという深い場所なので、1日750トンの揚水ならば『環境に影響を及ぼす地盤沈下が発生するとは考えられない』と主張しました。この主張も京都大学の先生の土木工学的な知見によるものです」

ーー市はこれからどういう主張を展開しますか?
「地下水に自治体の境などありません。私たちは土木工学ではなく、地質学的に諸問題が出てくるんだとの主張をしていきたいです」

ーーJR東海という企業への印象はいかがですか?
まったく不誠実です


●JR東海のホームページ

 2014年11月25日、JR東海のホームページには「東海道新幹線鳥飼車両基地における井戸水活用の目的について」と題したコメントが掲載されています。

 「災害時に上水道が断水した場合においても、列車への給水や車内清掃ができず新幹線の運行に支障が出るということがないよう井戸水を安定的に活用する取り組みを進めています」
 「地盤沈下が起きるおそれはないと考えています」
 「この井戸を災害時に給水を受けられない基地近隣住民の皆様にご利用いただくことも考えていきます」

 そして、欄外にこう書かれています。

 「この計画は摂津市と結んでいる環境保全協定の適用は受けないと考えています


●ある見方

 なぜ井戸水が必要か? 関係者はこう見ています。

 現在の上水道代金が月に2000万円。ところが井戸水にすると年間約6000万円を節約できるから、と。

 JR東海は2012年10月11日、「効率的な業務運営体制の構築について」とする経営協議会を開催し、その中でこう表明しています(概略)。

「(リニア)中央新幹線計画は、当社の使命である。企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくために必要な計画である。現業部門、非現業部門を問わず、現行の業務運営体制における効率化の余地について全社を挙げて検証を行い、更なる効率的かつ筋肉質な業務運営体制の構築を推進する」

 そして、この直後から、JR東海はいくつものローカル駅の簡易委託や無人化を実施しているのです。無人化は冗談ではないと捉えた自治体のなかには、自治体自らが年数百万円の予算を組んで、駅員を配置するなどの措置に出たところもあります(詳しくは、拙著「悪夢の超特急 リニア中央新幹線」を参照)。

 だからといって、駅の無人化や井戸掘削がすべてリニアのための経費削減かは断定はできません。ただ一つの考える材料として捉えておく必要はあると思います。


●毅然たる態度
 今回の摂津市の提訴で感心したのは、住民の生活環境を悪化させてなるかと、本気でJR東海と対峙していたことです。間違っていることは間違っているとの姿勢で、遂に裁判闘争にまで持ち込みました。
 かたやリニアをめぐる自治体の動きは、幅はありますが、ややもどかしいものがあります。
 人間生活に必要な水がなくなるかもしれない、一日に1736台もの工事用車両が10年以上も村を走ることでの生活破壊。大切に守られてきた自然環境が取り返しのつかない姿になるかもしれない。
 その将来像がもう想像できるレベルにあるのに、「懸念」は表明すれど「反対」を表明する自治体はゼロ(その懸念のなかでももっとも反対に近いのは静岡市や南木曽町か)。本当に実現するかどうかが分からない「環境への影響が少ない工法」の実現を求めて協議するよりも、話し合いに応じなければ測量はさせないという毅然たる態度はもてないものか。
 
 JR東海の井戸掘削計画での主張は、簡単に言えば「井戸水がなければ新幹線の運行に支障がでますよ。いいんですか」ということです。
 北野さんはそれに対して、「そういう大きな事業を守ることを私たちは優先しない。守るべきは市民の生活です。そこから考えると、JR東海と闘うしかなかった」と述べています。

 極めてまっとうな意見だと思います。

 住民の生活から考えると、リニアにどう答えを出すのか。各自治体の今後の姿勢に期待します。


悪夢の超特急 リニア中央新幹線悪夢の超特急 リニア中央新幹線
(2014/09/17)
樫田 秀樹

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