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●リニア、国費投入は可能か?

 リニア中央新幹線。

 東京から名古屋までの第一期工事に約5兆5000億円。
 名古屋から大阪までの第二期工事に約3兆6000億円。

 この巨額の建設費を、JR東海は、あくまでも自費でまかなうと主張しています。

 しかし、この世紀の大事業に果たして国費が投入されるのか? という疑問は関係者の間では、半ば確信に変わりつつあります。

 このブログでも書いてきたように、リニアに関わる市民団体は幾度と国土交通省と折衝していますが、いつも出されるのは「JR東海が途中で資金切れとなったら国費投入をするのか?」という質問です。
 これに対して、国土交通省は一度も「絶対に国費投入はない」と明言したことがありません。国交省は「あり得るともあり得ないとも言えない」、「現時点では回答できない」などの回答に終始しています。


●自民党の動き

 背景の一つに自民党の動きがあります。
 自民党は 2014年4月24日に開催された「超電導リニア鉄道に関する特別委員会」(委員長;竹本直一衆院議員。近畿比例ブロック)において、「超電導リニア新幹線(東京~名古屋~大阪)全線の建設・同時開業に関する決議」が提案され、即日、「東京・名古屋・大阪間で同時開業させるのに必要な財源を国が負担する」ことを決議しました。

 同時開業といっても、JR東海は、大阪まで一気に建設できる金がないから、2段階方式で建設を計画しているわけです。そこでこの「委員会」が打ち出した案というのが、簡単に書けば、以下のものです。

 名古屋・大阪間の建設費3兆6000億円を

▲国が無利子融資する。
▲併せて、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が財投機関債を発行して資金を調達する。国は利子補給をする。
▲同機構が名古屋・大阪間の建設をする。
▲完成後、機構がその路線をJR東海に引き渡す。
▲JR東海が資金の元本部分のみを分割で返済する。返済方法は15年据え置きの20年払い。



●基本知識

 ただ、これを理解するには、ある程度の基本知識が必要です。以下、列記します。

 ▲鉄道建設・運輸施設整備支援機構が財投機関債を発行して資金を調達する。

 ここで出てくる「財投機関債」とは何かです。

 公共事業などは、国家予算で成立する・・と誰もが思いますが、じつは、「第二の国家予算」と呼ばれる「財政投融資」
は国家予算を凌いでいます

 たとえば、その残高、2012年度で176兆円兆円。

 財政投融資とは簡単に言えば、公共事業のために、国または特殊法人が債権を発行して金を集める仕組みです。

 財政投融資を知るには、大雑把には以下の2つを抑える必要があります。

1.財投債
2.財投機関債

 

■財投債

 西暦2000年までは、私たちの郵便貯金、国民年金や厚生年金、簡保は大蔵省資金運用部に預託されることが義務付けられていました。
 大蔵省は、この巨額の資金から、毎年数十兆円ものお金を「特殊法人」に融資していました。特殊法人はそのお金で事業を行い、利益が出たら、利子をつけて、大蔵省資金運用部へ、そして、資金運用部から郵便貯金へと返還されました。つまり、私たちの郵便貯金の利子の一部は、年金の一部は、特殊法人の事業からのものでした。

 特殊法人とは、たとえば、国民的議論を呼んだ「長良川河口堰」をつくった「水資源機構」、高い高速料金のままの旧「日本道路公団」、赤字が最初から予測されていた「本州四国連絡橋公団」、ナトリウム漏れを起こした「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」など、大きな社会問題となった組織が少なくなく、学生支援機構もその一つです。

 特殊法人は何十もありますが、では、その事業が赤字になったらどうなるのか?
 答えは簡単でありまして、税金で補填して返還する
のです。
 財投で東北・上越新幹線を作ったために、旧・国鉄はその債務を28兆円まで膨らませ、そのツケは私たちの税金で返しているのは周知の事実です。

 特殊法人の一覧は、ここ、 で閲覧できます。
 
 ここには、上記「独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構」も名を連ねています。


 さて、この財政投融資にメスを入れたのが、橋本龍太郎内閣の「財投改革」。
 2001年から、郵便貯金や簡保を資金運用部に預託する制度が廃止されました。つまり、大蔵省は独自に、特殊法人に融資するための資金を調達しなければならなくなりました。

 そこで出てきたのが「財投債」という公債です。政府保証がついています。これを買ってもらうことで、資金を集めることになりました。そのお金を集める部署が「資金運用部」から「財政融資資金」へと替わりました。

 ただし、いきなりでは、買い手もいないだろうとの予測から、2007年度までは経過措置として、やはり郵貯などに「財投債」を買ってもらっていました。今では郵貯や国民年金からの購入は相当少ないはずです。
 

■財投機関債

 そして、国が財投債を発行するだけではなく、今では、特殊法人(財投機関)自身が債権を発行できます。それが「財投機関債」です。今回の場合は、これを使って、「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が自前で金を集めるということです。

 もちろん、品川・名古屋間では、国土交通省により「建設主体」と指名されているのは「JR東海」なので、財投機関ではないJR東海が財投機関債を発行することはできません。そこで、名古屋・大阪間では建設主体を、従来の新幹線建設どおりに「機構」にするということです。


 ただし、まだ、3兆6000億円のうち、いくらが「無利子融資」で、いくらが「財投機関債」によるものかはわかりません。

 ちなみに、2014年度の国土交通省で使われた財政投融資は2兆9,914億円。もちろん、これはいくつもの特殊法人に使われたお金です。
 ちなみに、「機構」が財投機関債で集めたお金は2013年度なら1805億円。なので、「機構」だけで、いきなり1兆円単位の「財投機関債」は出すのは難しいかもと思います。
 やはり国費投入(無利子融資)がメインかと。


●無利子融資と財投機関債

 さて、無利子融資といっても、建設に必要な金に血税を投入し、JR東海からそのお金が回収されたとしても、そのお金は国民の懐に戻ってくるわけではありません。純粋に国庫に入るだけです。

 また、税金ではない「財投機関債」を使うとしても、前述のように、

・自民党は、無利子補給する(機構が支払うべき利子を、国が税金で肩代わりする)
・JR東海が仮に返済できなくなっても、旧国鉄の事例でみたとおり、税金で補てんする。

 というように、いずれにせよ、最後は税金頼みの状況が待っているだけです。これがJR東海へのセーフティネットになるのはなかなか納得しがたいものがあります。

 とはいえ、自民党特別部会の案を実現するには立法措置が必要になるため、今こそ、リニア問題に関心を寄せる国会議員には尽力してほしいと考えます。


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