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●環境省からの電話

 12月上旬、環境省の環境アセスを担当する部署から電話がありました。
 10月に、環境省の職員と出会って取材したことは、このブログでも書いた通りです。

http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/blog-entry-343.html

 しかし、そのときのやりとりを読み返すと、どうしても以下の追加質問をしたくなり、担当の職員に再取材を依頼していました。

1.環境省と国交省とで、大臣意見を出す前に1000を超える具体的なやりとりがあったとのことでした。JR東海は、そのやりとりの内容を伝えられているのでしょうか。つまり、両省で交わした「これについては、この線で、こう方策で環境を守ろう」とのやりとりを認識したうえで「評価書」を書いたということでしょうか?

2.1000を超える具体的なやり取りの、すべてとは言いません。二つほど具体的に教えていただけないでしょうか。
 たとえば、膨大な建設発生土(残土)の8割がたが処分方法が決まっておらず、「都県を窓口にする」というのが評価書での記載です。両省のやりとりでは、残土の処分方法はどう話し合われたのでしょうか?
 また、関係者のほぼ全員が「回避せよ」と意見した、静岡県での残土を標高2000mの稜線に置くことについては、どういうやりとりがあったのでしょうか?

3.環境省が今回の大臣意見を書くにあたって、JR東海から直接の聞き取りをしたことはあったのでしょうか。差し支えなければ、どういう項目について、どういうやりとりがあったのかを教えてください。

 
 ただ、おりしも国会開幕中で、しかも総選挙が決まったことで省内がバタバタしているため、先方の都合で電話取材でということになりました。

 以下、そのやりとりを簡潔に整理しました。

環境省「環境省と国交省との具体的なやり取りは、国交省を通じて、JR東海に文書で届けています。評価書の中身について、ここはどうですか? なんとかなりませんか? と具体的に質問しています。JR東海は『環境を守れる』というが、私たちは『これでは不十分』とやりとりすることを繰り返しました。たとえば、『残土が影響ないようにできるのか?』との質問への回答内容が不十分だから、『こういうことをやらねばならないのでは』と書いたのが環境大臣の意見です』

ーー具体的にどんなやりとりなのですか?

「具体的内容を伝えるのは差し控えさせてください。ただ、残土に関しては、JR東海が評価書で具体的な処分場所を示したのは、山梨県の2カ所と静岡県の7ヶ所だけです。この場所を私の前任者が見に行きました。そして、その場所が一度改変された場所であり、貴重な動植物がいないので、こちらとしては『注意してやってくれ』としか言えませんでした。ただし、リニア工事で出る残土の8割以上が処分先が未定です。ですので、こちらとしては新たに処分先となる場所については、たとえば『自然度の高い場所を選ばないように』などと網を張りました」

ーーその静岡の残土置き場の『扇沢』と『燕(つばくろ)沢』については、静岡県知事も静岡市長も残土を置くのを回避するように要請しています。

「それも、文書でJR東海には質問しました。私たちは、標高2000メートに残土を置くとどういう影響が出るかを見ます。そこに、動植物がいるかどうか、人家があるかどうか、川に残土が流入するかどうかなどです。静岡の懸念が強いのは承知しています。通常なら、そこに希少動植物がいればそこで行われる事業は直ちに中止と言えるのですが、私たちは、環境保全の立場からでしか意見を言えません。残土の崩落などの問題は、やはり、社会資本整備を行う立場の国交省だけが言えるんです」

ーーしかし、このままJR東海が着工してしまっては環境大臣の意見でも歯止めが効かないのでは?

「環境大臣意見の総論に、状況が変わったら、もう一度評価書を作れと言うプロセスを盛り込んでいます」

●評価書を作り直す?

ーーどういうことでしょうか?

「環境大臣が国交省に出した意見の、1.総論の(2)に「追加的な調査、予測及び評価の実施」という項目があります。

 本事業は工事期間が長期にわたるものであることから、事業実施区域の社会環境、生活環境又は自然環境の変化があり、予測し得なかった変化が見込まれる場合は、その変化の状況を踏まえ、工事中及び供用後における評価項目を再検討した上で、改めて環境影響について、調査、予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。また、新たに自然環境の改変を行う場合、工事実施中に新たに環境影響に係る知見が判明した場合等、本評価書における予測の前提条件が変化した場合についても、同様の取扱いをすること。

 簡単に言うなら、評価書の前提が崩れることがあったら、評価書を作り直せ。そのための調査をせよという内容です。たとえば、工事期間中にクマタカが見つかるとか、いたはずのクマタカがいなくなるといった「大きな変化」がある場合が想定されます。

ーーそれは、準備書の作成からやり直すことですか?

「ケースバイケースになりますが、たとえば、クマタカの営巣地がずれたなど、評価書の前提条件が変わったときはそうあるべきです。だが、それを大きな変化と見るかどうかはJR東海しだいなんです。一概に言えませんが、大きな変化があった場合には、改めて法アセスが適用されるべきです。ただし、着工されてしまった場合、たとえば品川駅と名古屋駅では12月17日に着工ですが、土地が改変されてしまったら再度の法アセスは適用されません。自主アセスとなります。事業者の責任においてやってほしいということです」

ーーということは、リニア工事において評価書の前提が崩れた場合でも、環境省は口出しできないということですか?

「私たち、アセスに係る部署は、法アセスが終わってしまった以上は口は出せません。個人的には、本当は、このリニアにはずっと関わりたいです。でも、私たちが関われなくても、たとえば、クマタカなど猛禽類への重大な懸念が発生した場合は、いつもの日常業務として自然環境局が前面に出ますし、水問題や騒音問題が起これば、水・大気部局が物申します。あとは、世論が『約束が違う!』と声を出せば、評価書の再提出もありえると思います

●直接会わなければ
 
 じつは、このやりとりは本ブログにアップするかどうかをやや迷いました。
 読んでわかるように、具体的答弁ではないこともありますが、もどかしさが伝わってくるからです。リニアに限らず、どの取材でも、電話取材だけではもどかしさはつきまといます。
 直接会って顔を見て話していれば、自然と、新しい情報も教えてくれて、頼んでもいないのに資料を出してくれたりとかがあるのですが、電話取材はどうしても用意されている回答を得るのみです。環境省の担当者が丁寧な方だけに、また、扱う問題が大きいだけに、そこらへんにもどかしさを覚えました。

 ただし、環境省自体は、このリニア計画に相当の懸念をもっているであろうことはうかがい知れました。また、世論が高まれば、この計画にブレーキをかけることができるとの思いを行間に垣間見たように思いました。
 もっとも力のあるあなたたち環境省が頑張ってよと言いたい気持ちはありますが、確かに、世論の高まりを作ることは、リニア問題と対峙する市民団体の課題であるのは間違いありません。

 いずれにせよ、次回は再度直接お会いしての取材をしたいと思いました。


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1999年からリニアに関する住民の動きを広く浅く追ったルポ。実験線周辺では、JR東海が「枯れない工法を施工する」と表明しても枯れ続ける川や沢。一つの谷間を埋めても用途の決まらない残土置き場。今後も、電磁波、国税投入、原発再稼働、処理できない膨大な残土、水枯れ、朝から晩まで数百台も1,000台以上も走り続ける工事用大型車両、立ち退き問題等々が予測されているが、一番の問題は、賛成派や反対派、慎重派、有識者、自治体、JR東海などが一堂に会する徹底検証が一度も行われず、「環境への影響は小さい」だけが繰り返され、ほとんどのマスコミは報道を避けているという、原発推進とまったく同じ構図で推進されていることだ。いかに、JR東海が住民を軽視しているのかも描いている。リニア問題を知る入門書。


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