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 11月22日を日本を出て、12月3日までマレーシアのボルネオ島サラワク州に滞在していました。これで26回目。

 サラワク州は1980年代には主に日本向けの木材伐採のため熱帯林が荒らされ、森にすむ数十万人の先住民族のなかには、伐採用道路を道路封鎖して闘ったことで、1990年前後には、日本でも新聞、テレビ、雑誌などが連日報道するほどの「熱帯林破壊報道ブーム」が起こったほどです。
 しかし、報道のない現在、その伐採が終わったのかと言えばそうではなく、むしろ、現地では状況は悪化の一途を辿っています。

 原則的にマレーシアでの森林伐採は、ある程度の太い木だけを切る「択伐」方式ですが、その伐採が終わった土地は、政府にすれば「用済み」の土地となり、90年代になると、森を「皆伐」して、ただ一種類だけの木、油ヤシ、を広大な面積で植えるプランテーションが始まりました。これは一カ所、最低でも3000ヘクタール(東京のJR環状線、山手線の内側面積の約半分)を切り開き、先住民の土地を収奪しているのです。
 そうやって作られた油ヤシから搾油されるパーム油の一部は「地球にやさしい」とのキャッチフレーズで、植物性の洗剤や石鹸などに加工されています。また、加工食品、冷凍食品、菓子類、外食店の揚げ油にも。

 今回の訪問の目的はまた別途書きますが、森の中を移動中、ある先住民の一群に遭遇しました。

 伐採。プランテーション。それら二つと比べても最悪と言えるダム開発がサラワクで今進んでいます。バラム川というサラワク州で2番目に長い川に計画されているバラムダムはもし完成すると、20の村を沈めます。
 サラワクでは過去の大規模ダム開発でも、沈められた村の村人たちは一カ所に移住を強いられるのですが、土地も狭く、農業もできない。しかも、あてがわれた家屋は補償の一環ではなくローンで返済しなければならない。

 こういった前例を知っているからこそ、絶対に村を守るんだと、バラムダムの工事現場に至る工事用道路の2カ所で今、あちこちの村から先住民が交代交代で集結し、共同住居を作り、道路封鎖をして、なんと11月末時点で402日間も工事をストップさせていました。

ダムを止めるぞ 402日間 ← 一枚目が道路封鎖現場近くに集う先住民の人々。だれかれとなく、農作業の合間合間で泊まり込みで工事用車両の進入を監視している。2枚目が、今日で何日間工事を中止させたかのカウンター。撮影時点で402日間。

 私はこれを見て、日本で言えば、辺野古を思い浮かべました。自分たちの土地を海を守りたいと思うのは世界のどこでもいっしょです。そして辺野古と共通するのは徹底した非暴力の抵抗運動であること。
 もしかしたら、いつの日か、警察による催涙ガス攻撃もあるかもしれません。それでも、自分の村は絶対になくさない。その決意の闘いです。

●リニアではどう闘う?

 現在取材しているリニア中央新幹線ですが、予定通り、来年秋に着工(鍬入れ)となったとき、沿線住民はどう闘うのか? それも考えました。工事用道路において、このような皆が寝泊りする簡易な宿泊施設を建て、監視活動を行うのか?  いや、日本では、工事認可を受け、立ち退きも終わり、土地の買収も終われば、着工は何ら違法ではないので、やはり、立退きや買収に応じないというのが、(後日の行政代執行があるにしても)、必要ではないのかと感じています。
 少なくとも、サラワク先住民族のように『本気で』『しつこく』『明るく』運動をすることには見習うべきものがあります。
 

●何のためのダム?

  サラワクでは現在、12の巨大ダムが計画されています(3つほどが完成)。つまり、単純計算でも100や200の先住民の村が沈むわけで、先住民族にすれば冗談ではない話です。
 では、何のためのダムなのかを検証しなければなりません。

 サラワクのダムは治水目的ではなく、発電目的です。
 その電気は、今、サラワク海岸部の中心にあるビンツルー市の工業地帯に送られています。
 
 名付けて「SCORE」(スコア。The Sarawak Corridor of Renewable Energy=サラワク再生可能エネルギー回廊)は、ダム発電の電力を利用して、企業を誘致して一大工業地帯を作ろうとするマレーシア連邦政府の目的の一つです。
 ここに投資することで、土地代リースや電気量が廉価になるなどの優遇策も用意されています。

 じつは、ここに日本企業も何社か進出しています。
 その一つ、T社は、太陽光パネルの多結晶シリコンを製造しています。

●「地球にやさしい」「環境にやさしい」と軽々しく言うな

 私はここで改めて考えてしまいます。「地球にやさしい」とはどういうことなのか?

 確かに、私は、太陽光パネルの普及は進んでほしいと思う。

 だが、「地球にやさしい」というのは、『生産』『流通』『消費』『廃棄』などのすべての過程を見渡して初めて断定できるものではないのか。

 たとえば、前述のパーム油利用の洗剤にしても、消費する私たちには確かに「やさしい」。
 しかし、熱帯林を何千ヘクタールも切り開き、先住民族の土地を奪い、最低賃金以下で労働者を働かせ、危険な農薬も使用するなどの生産現場の現実を見ると、とてもではないが、地球にやさしいとは言えないのが現状です。

 同様に、数十の村を沈め、立ち退きを拒否する数万人を立ち退かせて建設されたダムからの電気を使って、太陽光パネルの材料を作って、「地球にやさしい」「再生可能エネルギー」はないでしょう。

 「地球にやさしい」という言葉に浮ついているうちに、私たちは見知らぬ誰かを傷つけていないか。
 何をもって「地球にやさしい」というべきか。

 今回の旅では、ダム反対の先住民族と遭遇したことでそんなことを痛感したしだいです。

 簡単に「地球にやさしい」と言ってはいけない。

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2014/12/10 22:41 抗う TB(0) コメント(0)
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