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 少し前に書いた、「突然の放映中止」ですが、やはりどう考えてもおかしい。
 長時間取材に応じた天野さんは、ただ時間を浪費しただけです。

 ただ、それでも、今の日本に大量の残土を適正に捨てる場所はほとんどないことは伝えてくれた番組でした。それは評価したいです。

 日本全国で発生する建設残土は年間約9000万㎥。ところが、リニア工事では、約10年間で5680万㎥もの残土が発生するので、年間にすると約600万㎥という、一企業が排出する残土としてはとてつもなく膨大であることがわかります。

 番組のコメンテーターを務めたのは桜美林大学の藤倉まなみ教授。
 藤倉教授は、JR東海が作成した「環境影響評価準備書」を審査した神奈川県環境影響評価審査会の委員を務めた人です。
 リニアについての審査会は5回行われ、私はその4回を傍聴しましたが、藤倉教授は残土問題についてはいつも真正面からJR東海に疑問をぶつけていました。

 たとえば、昨年12月25日の審査会においては、藤倉教授は、

「神奈川県相模原市鳥屋地区での車両基地の建設においては、約1,140万立米の建設発生土(残土)が発生するが、補足資料の回答で示されたのは『30%にあたる約360万立米を車両基地内で再利用することを想定しています』だけ。JR東海は、建設発生土の90%以上を処分できると主張しているのだから、その根拠を示してほしいとお願いしているのに、、出てきたのは30%の360万立米だけ。あとは『公共事業等で活用してほしい』などと非常に他人任せだ」

 と厳しく指摘。

 その次回の1月17日の審査会でも、JR東海からは、それに回答する具体的記述は一切なく、藤倉委員は

「相変わらず具体的根拠が全く示されていない。90%の再利用については県民に明らかにしてほしい」

 と訴え、さらには

「90%の再利用であっても、残る10%でも114万立米と膨大な発生土が排出される。これをどうするのか。次回まで回答を」

 と、常にJR東海と正面から対峙していました。

 今回、クローズアップ現代で藤倉教授が述べたことで関心を惹かれたのは次のことです。

国の公共事業ならば、国は建設残土の最終処分場所を指定するが、民間事業ではその限りではない。

 これは覚えておいてもいいことです。

 工事の事業者は、自ら、残土を処分場に持ち込むこともあるでしょうが、たいていの場合は、残土運搬業者に引き渡します。

 クローズアップ現代では、通常は残土10トン当たり8000円の処分料がかかるが(残土運送業者が処分場に払うお金)、5000円で請け負う場所もある。業者はそこに流れていくが、そこでは安かろう悪かろうの処分しかしない。そうして、残土が崩落を起こして一般家庭に住む住民が死亡した事例などを伝えていました。

 ですから、JR東海は「都県を窓口にして残土処分をする」と公言していますが、もし、残土をただ運搬業者に引き渡してしまえば、その運搬業者がどんな劣悪な処分場に残土を運ぼうと、後々の責任は問われることはないわけです。
 JR東海の言う「都県を窓口にする」だけでは、どの段階まで残土を、自分たちの責任として取り扱うのかが見えてきません。

 リニアは国家「的」事業ではあるが国家事業ではない。だからこそ、残土の処分場の指定を受けずに済む。結果として杜撰な残土管理も起こり得る。
 
 残土処理をあいまいにするために、民間事業として新幹線事業に乗り出してきた・・とは思いたくないけど(憶測はいけません)、もし、残土があらかた処分され、最後の最後で、リニア計画に国税投入(無利子融資)なんてことにはならなければいいのですが。
 
 JR東海の哲学を見せてほしい。まだ見えてこないから。

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