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樫田秀樹

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●延長無制限、録音OKの説明会

 11月10日。長野県大鹿村での、JR東海による「リニア・事業説明会」に参加しました。
 昨年の2013年10月の説明会があまりにも住民を軽視したもので、今回もその繰り返しかと非常に心配がされていました。
 だが結論から言えば、6時半開場、7時開始の説明会は予定終了時刻の9時を1時間半もオーバーした10時半まで続けられました。質問の手を挙げた全員が発言できました。
 そして昨年は禁止だった録音も今年はOK。

 ただ、それは昨年よりマシというだけの話であり、そもそも、そうするべきなのが当たり前だと思います。
 
 事前にそういう話があったのか、それとも、今回の説明会には大鹿村村長も参加したので(JR東海の目の前に座っていた)、露骨な住民軽視はできなかったこともあるかと思います。


●リニアは理に合わん

 説明会の開場は18時半。その20分ほど前から、大鹿村の有志が会場入り口前に、村の風景写真、村人の言葉を記したメッセージなどの展示を始めました。
 そのなかで「リニアは理に合わない」との看板をもっていたのは、村で畜産を営む青木清さんです。青木さんは35年前に東京から村に移住し、たった1頭の牛から始めた畜産は今、90頭にまで規模を拡大してきました。

リニアは理に合わない リニア通過予定画 ←写真左が、看板をもつ青木清さんと「NO! リニアネット」の山根沙姫さん。写真右が青木さんの息子の青木蓮さん。その日描きあげたという、村内でリニアが地上走行するであろう場所の絵を展示していた。絵の中の光の帯がリニアが通るルート。

 ところが、この牛たちの飲み水はすべて近くの沢からパイプで引いた水であり、青木さんのご家族の生活用水もまた近くの湧水をパイプで引いているものです。ところが、青木さんの自宅の割と近くをリニアは通ります。この際、そのトンネル工事で、牛たちの水や生活用水が枯渇しないのかを青木さんはもっとも怖れています。

 だが、JR東海からはまだ何も具体的な話はありません。
 それは青木さんに限らず、水のこと、騒音や渋滞のこと、何一つJR東海は村民に具体的説明をしてきませんでした。今回もその不安が噴出した説明会となりました。
 以下、その質問と回答です。
 質問は、いつものように一人3問までと限られ、同時に発言しなければならないのですが、ここでは、わかりやすいように、一問一答形式に書きなおしたことを事前に伝えておきます。

 ちなみに、人口1100人の村にあって、説明会に参加したのは300人弱。一世帯から一人が来たと思えば、村のほとんどの世帯が参加した・・とも言えるほどの盛況ぶりでした。

DSC02637_size.jpg


●住民は納得していません

質問者1(男性)
●質問1  山梨県早川町では、工事用車両が1分に1台通ると言われている。大鹿村では2台。その場合、松川線(大鹿村と中央高速道路松川インターチェンジを結ぶ道)の青写真は? ノロノロ運転では困る。
▲回答1  大鹿村では一日最大1736台の工事用車両が通過する。そのピークを下げる努力はする。工事用車両が加わっても、これまで通りの運転ができるよう道路改良をする。

質問者2(男性)
●質問2  JR東海が、工事に村の協力が不可欠というのなら「協定書」を結ぶべき。協定書を結ばないのなら、結んで何か困るのなら、たとえば裁判となったとき、どっちが不利になるか?
 説明会では私たちの意見は通らない。会社の下っ端の人たちがセレモニーでやっているだけ。私たちにちゃんと説明することが、株主よりももっと大切。株主より低く見られるのは不愉快だ。社長が出席すべきである。
▲回答2  環境保全に係る協定書は結ばないで事業を進める。
 協定は双方のお約束になるが、環境保全については、環境影響評価書で、これこれこういう環境保全をやると書いた。社長の名で書いた公文書であり、世間への約束です

 これは協定書を結ぶ結ばないではなく、環境保全はきちんとやります。
 本日は、10月17日に事業認可を受けて以来の初の説明会だが、今後も説明会は開催します。
 もし、何らかのトラブルや裁判になったらその窓口を設けます。
 工事になれば直接の窓口も設置します。
 訴訟がないとも限らないので、その場合は法に則ってやる。
 これまでの説明会でも、村民からいろいろな意見をもらい受け入れてきた。たとえば、工事用車両が通過する上蔵(わぞ)の渋滞を避けるため、河川部を通る道も考えたが「よくない」との意見を受け撤回した。
 皆様の意見を無視していることではない。社長がここにいても同じことを話す。私が今日話すことは、社長も知っている。私を社長と思って質問してください。

質問者3(下伊那漁業組合大鹿支部。男性)
●質問3  当漁業組合には工事についての話をしているのか?
 私たちはトンネル工事による汚濁水を懸念している。硫化水素が出る場所もある。具体的な対策を示してほしい。
▲回答3  下伊那漁業組合にはまだお話はしていません。工事の影響は丁寧に説明していきます。
 トンネル内の湧水には、ph、にごり、不純物が出る。南アルプスでも湧水が想定される。自然由来の重金属もあるだろうと想定し、残土を定期的に調べ、汚染が確認されたら、土壌汚染対策法に基づき、適正に処理する。

質問者4(大河原在住。男性。Hさん)
●質問4  私は赤石岳を眺めながら「日本一美しい村」を歌いながら暮らしている。残土を運ぶ1700台が通るということだが、現在も生活道路にダンプが走っているのに、さらに1700台ではどう生活していけばいいのか。隣の家に行くにも、あっという間に次のダンプが来るではないですか。その配慮はどう考えているのか。小さな村が犠牲になることはありません。(拍手)
▲回答4  1700台を減らす努力はします。
  皆様の生活には少なからず影響があります。振動や空気の汚れはあります。一方で、この事業は進めたい。それをどの程度ご理解いただけるかが、また考えながらその結果をお渡ししたい。1700台、もしくは1000台が簡単に村を通れるとは思っていない。別の道もないので、河川の中を通れるよう打ち合わせ中です。
 1700台を減らすための、残土のストックヤード≪仮置き場≫を設置するとか、道路改良や誘導員の配置などは今後の課題。

質問者5(大鹿村商工会。男性)
●質問5  商工会は経済団体。工事期間中の観光振興策に何ができるかで悩んでいる。JR東海に何ができるのか?
▲回答5  観光面に係る話は、正直、これができるというものは持ち合わせていない。
●質問6  工期10年のピーク時で作業予定人数は何人? どこに居住するのか?
▲回答6  私どもはトンネルを掘るとか橋梁をかける工事を発注する。その建設会社と、その下請けや孫請けで工事は成立するが、JR東海は「ここを使え」との下請けの指定はしない。人数は正確には把握していないが、山梨県では一現場で100人と聞いている。トンネルは専門技術なので、コアになる人は常駐することになるので、専用の宿泊施設を作るかは考える。

質問者6(男性。Nさん)
●質問7  JR東海の説明会は昨年10月にも聞いたが、「百害あって一利なし」と思う。(拍手)村へのメリットを教えてほしい。
 平成17年に「日本でもっとも美しい村連合」が北海道美瑛町で設立されたが、私はそれを立ち上げた人間の一人。これを壊すことへのJR東海の考えは?
▲回答7  目に見えたメリットは、正直、持ち合わせておりません。
 一方で、財産面では、固定資産税はあるが、そういうのを求めているのではないと思う。
 「日本でもっとも美しい村連合」のことは承知している。多くのダンプを使うが、村の自然を守りたい。どこまでご理解いただけるか、ご不安に一つ一つご説明する。

質問者7(若い男性。Nさん)
●質問8  「これから考える」「話し合う」と言っているが、前回の説明会から一年以上、いまだ同じことを言っている。「ご理解」を得られなければ工事を進めないということなのでしょうか?(拍手)
 何をもって地元のご理解というのでしょうか?(拍手)
▲回答8  地元の理解とはですが、地元の理解がえられなければ着工できません。これだけの事業なので、全員賛成は難しい。じゃ、そのなかで理解を得たというのは、まずは、役場のリニア対策協議会での議論をさせていただきたい。住民や商工会の代表の方とも話して理解を得たい。まずは対策協議会で話し合う。

質問者8(男性。大鹿村観光協会Hさん)
●質問9 先ほどの質問で「メリットは考えていない」は不親切。大変残念。59号線は今も渋滞していて、挟あい部ではどうしても車が止まる。1700台も走ったら観光客が入ってこれない。観光業は苦しくなる。渋滞を起こさないというが本当なのか?我々も営業成立しないといけない。どう対応するのか?
▲回答9 メリットがないというのは、リニア自体が観光にどんなメリットがあるかの答を持ち合わせていないということ。道路改良計画も考えている。渋滞がないといっても、説得力がないので具体的計画を出す。
  質問者 すみません。答になっていません。大橋のかけかえは考えているのか?
回答 かけかえは視野に入れていない。
質問者 返事がなっていないのは困る。私の生命線なんですよ。「これから、これから」と言われても不安になるだけです。(拍手)
回答 59号線については、中川村で測量と地質調査している。橋梁自体の改良は考えていないが、橋梁の前後の改良をする。拡幅のやり方は、道路管理者である県としっかり詰める。

質問者9(若い男性。Aさん)
●質問10 聞いていて面白くありません。一方的に聞いていると、端からは「なるほどな」だが、村民の声が入っていない。
説明会の資料はいただけるのか。一方的にコトが進んでいる。村民の意見をどう吸い上げて社内で話し合って、どう対策しようというのか?
▲回答10 今日の資料はいずれホームページにアップします。
●質問11 メリットない事業に村は賛成できない。誠心誠意説明すべきだ。JR東海はそれを怠っている。「村の理解」の規準が判らないが、どう理解を進めるのか?
▲回答11 村の意見の吸い上げは、協議会で吸い上げている。例えば、上蔵の工事用道路の設置もやめた。皆さんと一緒に頑張っていける部分もあるのではないか。それが100%全部は難しいが、役場を通じて意見を聞く。
 質問者   では委員会を通じてということ?個人の意見は?
  回答    環境保全事務所への意見は社内に伝える。
●質問12 土地収用法に基づく強制執行はあるのか?
▲回答12  県に委託する話は進めている。土地収用法はできるだけ使わず、地権者の理解を得てからする。
  質問者  メリットない事業への理解の方策は?
  回答   それはですね。考えてまいりますし、村でも考えてほしい。

質問者10(女性。Uさん)
●質問13  この事業が全幹法で行うのはおかしいのでは。山梨実験線では、その走行は急降下と急上昇でギューンと降りてギューンと登ると聞いている。危険ではないのか。
▲回答13  全幹法ではおかしいとのことだが、全幹法には走行基準は、超電導浮上形式でもOKとある。また、急降下と急上昇とのことですが、危険はない。
●質問14  トンネル工事で必ず出水がある。
▲回答14  トンネル内で水を出さない工法を採用します。

質問者11(男性。上蔵地区のMさん)
●質問15  私には子どもが4人います。小学生を代弁したい。
 保育園にも30人の児童がいます。そこに粉塵や騒音が基準値以下だからといって納得できない。既に喘息の子だっている。それが全く考慮されていない。僕個人なら、避難します。そういう意見が出たら、村と真摯に対応するのでしょうか?
▲回答15  上蔵で資材運搬の車を通らせてもらいます。基準値ではなく、現状への(騒音や粉じんなどの)寄与度も検討しています。ここは空気もきれいで音もない場なので、寄与度はあります。安全面にも取り組みます。村と真摯に取り組む予定はあります。

質問者12(男性。Iさん)
●質問16  生命の保証といえば大きく聞こえるが、緊急事態時は(救急車などの通行に)どう対応するのか?
▲回答16  たとえば緊急車両が来るときは、それを優先します。ダンプカーは無線を積んでいるので。また緊急車両が通れるような工事をします。JR東海、村、建設会社と取り決めたい。
●質問17  あってはならない火災や震災時への対応は?
▲回答17  1995年の阪神淡路大震災以降の耐震技術でしっかり作る。
●質問18  空気と水がうまい美しい村のすべての動植物への対応は? この計画はすべての動植物を破壊します。
▲回答18  自然破壊がないかと言えば難しい。今まで取り組んできたことで、動植物への影響を小さくします。
 質問者  もっと明解に!

質問者13(女性)
●質問19  気になるのは「これから努力してまいります」「これから吟味します」など「これから」ばかりであること。すべて着工しますよが前提になっている。どこが私たちの安心を保証してくれるのか?
 例えば、緊急車両が一台しか通れないとき、工事は中止になる? 騒音が69デシベルから70デシベルになったら中止になるのでしょうか? 親身な説明をしてください。着工はもう決まっているのですか?
 (JR東海「いや、決まっていないです」)
 村民投票で反対したら工事はどうなるのですか?
▲回答19  着工までにはステップがあります。測量させていただきたいが、地元のご理解を得られなければならない。測量をしてから、「この範囲を使わせてほしい」と判る。そして、さらに詳しく測量をして、改めて、用地を貸してほしい、売ってほしいが言える。
 道路改良でも、改めて工事説明会をする。
 最大1700台としているが、すでに残土の仮置き場の協議はしているので、どれくらい(通行台数を)減らせるかがわかる。そういうステップを踏んで、初めて着工できる。
 もちろん、2027年に開業したいが、着工はいつまでに、用地取得はいつまでには、理解無ければ、必ずしもそのスケジュールではいかない。ここはお約束したい。

質問者14(女性)
●質問20  国土交通大臣から「リニアの事業は素晴らしい」という言葉はあったのか?
▲回答20  大臣は3つ言われた。①地域への説明と理解を得ること、②環境保全を図ること、③工事の安全を。

質問者15(河本明代さん。大鹿村会議員)
●質問21  工事用車両は大鹿村が桁違いに多いのはなぜですか? 上蔵では非常口の工事で1日900台以上が走る。
▲回答21  なぜ上蔵の非常口からの台数が多いかは、他の二つの非常口は断面積が小さいことに加え、上蔵の非常口からは、非常口からの残土と、本線トンネルの残土も排出されるから。また、資材を運ぶのも上蔵だけになる。
●質問22  年ごとの台数を見ても、上蔵は他の非常口よりも多い。1736台の根拠は何ですか? その内訳をデータとして出してほしい。
▲回答22  年ごとの内訳は、今日は用意していない。1736台は80%以上が残土運搬。

質問者16(高校3年生の伊波瑠奈さん)
●質問23  ご理解と言うが、理解と同意は違います。同意を得てからやってほしいと思います。今日は村長もいるので、住民投票をしてほしいです。(拍手)村長さん、お願いします。
 ストックヤードを作る場所の目途はあるのですか? その大きさと場所はどこですか? いつまで残土を置くのですか。使った後はどうなるのですか?
▲回答23  ストックヤードについては村から提案のあったことです。で、上蔵の不安を取り除けるのならと考えます。
 場所は小渋川の上流になるかと。候補地が見えてきたら地権者と相談します。
 ストックヤードの残土は、あとで運び出しますが、地権者が「そのままでいい」と言ってくれたら、それでもいいかと。いつまで置くかですが、長く置くと、それだけ工事用車両の台数のピークも下げられます。

伊波瑠奈さん ← 高校3年生の伊波さん。将来は絶対に大好きな村に帰ってくると話した。


質問者17(畜産を営む青木清さん)
●質問24  村民が反対しているのを受け止めていると思います。今、高校3年生が「住民投票」という言葉を使ったが、それは村を失いたくないという気持ち。
 リニア対策委員会は、条件的なもので議論しているのではなく、元々、リニアは要らないという人が多い。私もそうです。
 村のいいのは、所得が低くても、この豊かな村で生きていきたいからです。(拍手)
 土砂運搬が一台いくらで(事業が推進されるのは)は失礼な話です。振出しに戻るべきです!(拍手)
 沿線住民の反対は分かっていると思います。このリニアをやめろと。
 経済的にはペイすると言うが、国鉄は国民に負担を強いています。皆さんがやっていることを認識して、振出しに戻すべきです。
▲回答24  ご意見、社内に持ち帰ります。ただ、私どもは事業説明会をやりたい。建設は、自己資金でやると目途を立てている。それをどこかに回すことは一切ありません。

質問者18(青木蓮さん。清さんの息子)
●質問25  やってみないとわからない、というのがわかった。だが、それでは困ります。
 今の水や川があって、今の生活があります。もし水がなくなったらどう直すのですか。ポンプアップでは水は別状態。農業や畜産への影響は変わります。今ある水のキープは考えているでしょうか?
▲回答25  先進ボーリングや薬液注入、防水シートなどを施し、万一、水枯れしたら、生活用水や農業用水には緊急手段で次の手を打ちます。
  質問者  今ある水はキープできないんですか? 水は減るんですか? 減ったりなくなったりは困ります。 
  回答    川が20%減るのは予測していない。対策はしっかり打つ。井戸の水の観測もする。今の水質を維持する方策を練ります。

質問者19(サイモン=ピゴットさん)
●質問26  私が入手した資料によると、小内沢の水が80%も減ることを知りました。小内沢は10数キロの長さをもちますが、そこには村内でも指折りの滝がいくつかあります。たぶん、私の質問にも同じ答えが繰り返されると思うが、住民と一緒に調査隊を組んでもらうと、少しの信頼につながると思います。
▲回答26  沢のどこを調査するかは、地元の方と協力してやります。協働で情報の開示も。

質問者20(男性)
●質問27 10月29日にJR東海が自治会長たちを集めての説明があった。村長と副村長もいた。そこでは、本日の説明会で村へのメリットを説明すると約束した。ところが、先ほど「メリットはない」と言った。嘘をついたことを謝ってほしい。村民の理解と同意というが、各地域での説明会をと何度も言っている。しかし、10月29日では、7自治会と4地域のみで、他の地域の人の参加は認めないと言った。村長も「その7自治会だけではない」と言った。ところが、翌30日、村の一斉放送で、「JR東海が7自治会で別個に説明会をすると言っている」と放送された。そうなんですか? これだけ各自治体で反対しながら、なぜあの放送があったのか?
▲回答27 10月29日に各自治会長に集まってもらい、(本日の説明会についての)回覧を回してとお願いした。村へのメリットを説明する場でもある、との主旨だった。だが、「これがメリットです」とは押し付けられない。例えば、「道路改良が通勤者にメリットです」とは押し付けられない。どの自治会で説明会をするかは調整中です。7自治会だけというのは初めて聞いた。
  質問者  じゃ、メリットは個々人で判断しろということなんですか?
  回答なし

 ここで、JR東海職員の真正面に座っていた大鹿村の柳島貞康村長が立ち上がって、発言を行いました。

村長 10月29日に私も出席しました。今日の説明会でメリットも聞けるとの話もあった。村にとって、考えるに、松川線の道路改良は過去数十年間、結果が出ていないが、改良はメリットだと思う。自治会への説明会も、大河原地区の会長からの「道路に関係あるところも説明会をやって」も汲み入れて放送した。上市場地区、下市場地区にも広げていきたい。

質問者21(男性。Tさん)
●質問28 掘削地から100メートルのところに住んでいる。とんでもない話です。去年から具体的なことが出てこないのは残念。 尋ねたいのは、リニアは永久的な機関なのでしょうか? というのは、山は、手を付け加えねば、水も枯れないからです。
▲回答28 リニアは維持していきたい。
質問者  リニアを100年、1000年と続ける? やめたらゴミしか残らない。
回答    1000年後には何があるか判らないが、100年後は考えている。
質問者  100年後以降は考えていない?
回答   そういうことじゃない。それぞれの条件で地域の方々の意向を受ける。

●質問29  理解するにも、このままじゃラチがあかない。JR東海は不安を煽っている。それはゆくゆくそちらが損をすることになる。山へのタタリじゃないけど、そういう気持ちを覚えてほしい。この事業は宇宙的善なのか?(拍手)
▲回答29  不安を煽るつもりはないが、具体的な話がなかったのは具体的な計画がなかったから。ラチがあかないと言うが、次は違う話をしたい。また、次の自治会説明会で終わりじゃない。事業自体が広い目で見て善かどうかだが、私どもの立場では必要な事業です。ただ、村の視点で言えば、メリットがないかもしれないし、東京・名古屋・大阪をつなげばいいわけでもない。その接点を探る。そのやりとりを今後も続ける。

質問者22(高森町の中川賢俊議員)
●質問30  新しいことが二つ分かりました。JR東海は「まだ着工していない」というが、この説明会が着工の入口と思っていた。
▲回答30  法的にはもう着工しています。ただ、村にとっての着工とは、重機を動かし、ダンプを走らせることになります。
●質問31  メリット、デメリットでいえば、みな流れに乗せられている。村の人たちはここで静かに生きていきたい。村の意思がリニアに反対であればリニアは作れないと言った。それでいい? 住民投票など、意思が総意としてはっきり反対となれば、計画を練り直すことになるのか?
▲回答31  私の言った通りで責任を持ちたい。たとえば、理解や合意を得た後で着工する。村の同意あっての着工はその通り。同意なければ着工はできない。

質問者23(男性。Sさん)
●質問32  環境保全協定は結ぶ必要がある。あまり考えたくないが、南アルプスのトンネル工事が難工事になることは認めている。災害も起きる。リニアは招かれざる客だ。もし事故が起きれば、村、消防団、宿泊施設から総動員されるんですよ。アセス法の欠陥は住民に対する評価が足りないこと。なぜ環境保全協定を結べないのか?
▲回答32  環境保全協定についてですが、評価書ですでに約束しています。新たには結びません。異常時の対応は、JR東海、施工会社、村と連絡体制や復旧体制の取り決めが必要。それは協定や覚書になる。
●質問33  大鹿村は全体がエコパークだ。それがリニア事業とどう整合性がとれるのか?
▲回答33  村とは情報交換をきちんとやって事業の整合性を取りたい。
●質問34  なぜ2027年の開業ありきなのか。合理的な説明をしてほしい。この全体があるからすべてのスケジュールが計算しつくされている。
▲回答34  もともと、名古屋開通は2025年だったのを、その後に見直して2027年にした。余裕のある期間ではないが、住民の方に聞く耳を持たないのではなく、理解なくして着工はあり得ません。

質問者24(女性)
●質問35  自治会で説明すると言うが、小中学生への説明会は約束できますか? これは子どもにも関係している。子供たちの意見も聞いてほしい。
▲回答35  小中学生への説明会はごもっともです。どんな説明ができるのを、役場といい方向で考えたい。
●質問36  トラックの通る場合の通学時間はどうなるのか。
▲回答36  基本的に今の移動時間を考えたい。大きく越さないようにする。


●感想

 大鹿村のほぼ全世帯が・・と言っては大袈裟かもしれませんが、それもあながち間違っていないような参加人数でした。
 それも、質問者でリニアに期待する声が出たのはゼロ。
 高校3年生の伊波さんが発言したように「住民投票」を行えば、リニア反対が村民の総意として示されるかもしれません。
 とはいえ、大鹿村は、かつて平成の大合併を受け入れるかどうかで、村の雰囲気が悪化した過去があります。それを覚えている人たちは、いやあ、住民投票は最後の最後の手段でいいよ、と思っているのも事実です。
 ただ、住民投票に限らず、住民の総意は何かしらの形で示す必要はあると思います。
 といぅのは「住民の」「理解」がなければ着工しないとJR東海は繰り返し説明しますが、今回の説明会でも、JR東海は、住民とは「リニア対策協議会」であるように発言しました。つまり、協議会の意見が尊重されるわけですが、それに頼らず、一般住民が「総意」を見せるための独自の活動を進めるのはもちろんいいわけです。

 また、「理解」とはなんでしょうか?
 私は、かつて住んでいた賃貸マンションの屋上に携帯電話基地局が建設されるのに驚いて地域の人と反対運動を展開しましたが、このとき、KDDIの下請け会社の社員が地域を回り玄関先で事業の説明を行いました。ほとんどの家は建設に反対。しかし、その社員は「地域から賛同は得られなかったが、説明を聞いていただいたので、計画を了承してもらった」とKDDIに報告したのです。
 屁理屈をつければ何でも「理解」になります。
 質問に出たように、必要なのは理解に加え「同意」です。
 同意があるならある、ないなら「ない」とはっきり主張することが必要です。それが、協議会からの発信になるのか、住民投票になるのか、すべては大鹿村の村民のみなさんの活動にかかっています。


●説明会のあと

 説明会終了後、印象的だったのは、いつもの説明会ではそそくさと退場するJR東海の社員たちがその場にとどまっていたことです。記者たちの質問にも回答していました。そのなかで特記すべきは、ある記者が「住民の理解が得られなければ本当に着工しないのか」と質問したときに、JR東海側は「住民の総意として『リニア反対』が突きつけられたからと言って、それではいそうですかと事業中止とはなりません。その場合は、ご理解をしていただくための新たな方策を考えます」と回答したことです。

澤田部長 ← インタビューを受けるJR職員。

 なんだ、結局は、何があってもやるということではないのか。
 JR東海のいう「着工しない」とは、実質的には「着工を先延ばす」といった意味なのかもしれません。
 それでも、大鹿村では、やはり簡単に着工とはいかないことは確かだと思いました。

 説明会の終了後に、やはり記者たちに囲まれたのは、「住民投票」を呼びかけた高校3年生の伊波瑠奈さんです。
 伊波さんはこう話しました。

「私の村を、自分の知らないオジサンたちに壊されたくありません。全然考えてくれていません。リニアが完成すると(JR東海の)あの人たちはおじいさんになっていますが、今の子どもたちの意見も聞いてほしいんです。私はこの村に育って本当によかったと思っています。暖かいんです。人の空気が。今日、発言した青木さんもよくしてくれるし。将来、村ではすぐには就職できませんが、いずれ帰ってきます。住民投票ですが、社会科の授業でそういう仕組みがあることを知り、これからは高校生など若い力で動いていきたいと思っています」


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1都6県にまたがるリニア問題を一人で取材することは自分で選んだ道でありますが、それも多くの方から取材費カンパというご支援をいただいたからです。とはいえ、2022年末にその資金プールがついに底をつき、東京都や神奈川県以外の遠方への取材を控えざるを得なくなってしまいました。今一度、ご支援を賜りたくここにそのお願いをする次第です。ご支援者には、今年には発行予定のリニア単行本を謹呈させていただきます。私の銀行口座は「みずほ銀行・虎ノ門支店・普通口座・1502881」です。また100円からのご寄付が可能なhttps://ofuse.me/koara89/letter もご利用ください。私と面識のない方は、お礼をしたいので、ご支援の際に、できればお名前を連絡先を教えていただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  樫田拝
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私が原発を止めた理由
3.11以後の原発裁判において、初めて運転差し止めを命じた判決を出した裁判長が、退官後の今、なぜあの判決を出したのか、なぜほかの裁判では住民は敗訴するのかを説明している。
超電導リニアの不都合な真実
リニア中央新幹線の問題点を『技術的』な側面から、極めて客観的に情報を分析しその発信に努め、リニアの実現性には課題ありと論じている。難しい専門用語を極力排し、読み易さにもこだわった良書。
リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」
リニア中央新幹線を巡る問題を語らせては、その理論に一部のすきも見せない橋山禮治郎氏の第2弾。このままでは,リニア計画とJR東海という会社は共倒れになることを、感情ではなく、豊富なデータを駆使して予測している。必読の書。
自爆営業
国会で問題にされても一向に改まらない郵便局の自爆営業。年賀状1万枚、かもめーる700枚、ふるさと小包便30個等々のノルマはほぼ達成不可能だから、ほとんどの職員が自腹で買い取る。昇進をちらつかせるパワハラや機能しない労組。いったい何がどうなっているのか?他業種の自腹買取も描いている。
アキモトのパンの缶詰12缶セット
スペースシャトルの宇宙食にもなった。保存期間は3年。しっとりおいしい奇跡の缶詰。24缶セットもある。
共通番号の危険な使われ方
今年10月に全国民に通知され、来年1月から運用が始まるマイナンバーという名の国民背番号制度。その危険性を日本一解かり易く解説した書。著者の一人の白石孝さんは全国での講演と国会議員へのアドバイスと飛び回っている。
マグネシウム文明論
日本にも100%自給できるエネルギー源がある。海に溶けているマグネシウムだ。海水からローテクでマグネシウムを取り出し、リチウムイオン電池の10倍ももつマグネシウム電池を使えば、スマホは一か月もつし、電気自動車も1000キロ走る。公害を起こさないリサイクルシステムも矢部氏は考えている。脱原発派は必見だ。