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●地域分断

リニアの車両基地ができる神奈川県相模原市の鳥谷(とや)。その面積は50ヘクタールと巨大。鳥谷には11 の集落がありますが、そのうちの谷戸地区(約50世帯)はほとんどの世帯が車両基地建設で立ち退きの対象となります。つまり、わずか数世帯は立ち退かずに今の土地に留まることになります。ここには実に悩ましい問題が横たわります。立ち退く人たちは一体どこに行くのか。残される人たちは高さ30メートルもの壁に威圧され、近所付き合いもなく幸せに生きていけるのか

●鳥の合唱が消える

先日、鳥谷で二人の住民に会いました。どちらもギリギリで立ち退かずに済む人です。
Mさんは移住者。仕事で鳥谷に通ううちに、蛍が乱舞し鳥たちが合唱する森の豊かさに惹かれ14年前に移住しました。田舎では、移住者は自治会に入るのを敬遠しがちですが、Mさんは地域に溶け込もうと自治会に入り、近所付き合い、特に高齢者との触れ合いを大切にしてきました。
「ここは夜明けになると、まず決まって一羽の鳥が鳴くんです。すると、それに呼応するように数羽が一緒に鳴く。そのうちに無数の鳥の大合唱です。僕はいつもそれで目を覚ます。夏になると蛍も乱舞します。僕は海よりも山が好きで、この土地を選んだんですが、山に抱かれるこの生活は大好きです」
 ところが。
 2012年になってからとMさんは記憶していますが、鳥谷の森の上空を、パイロットの顔が見えるほどの低さで、ヘリコプターが何度も飛来するようになり、さらに何かの腕章をした人や役所の人間ぽい人が頻繁に森に出入りするようになりました。
 Mさんの家は森の入り口に位置しているため、その人たちは必ずMさんの家の前を通ることになります。
「おじさん、何をやってんの?」
「生物調査です」「がけ崩れの調査です」 
 といった回答が返ってきたそうですが、おそらくそれがリニア車両基地のための調査だったとはMさんには知る由もありませんでした。


●僕はここを離れます

 鳥屋にリニア車両基地が建設される予定だと住民が知ったのは昨年9月。JR東海が発表した環境影響評価準備書でです。まさに青天の霹靂。
 当初は、地図上では車両基地は真四角の黒い枠線で描かれていたため、Mさん宅も対象地と思われましたが、その後、車両基地はMさんの借家をギリギリでかわすことがわかりました。下の地図の四角い黒枠線のなかにある赤い枠線が実際の工事区域とされています。

車両基地1

 しかし、それは、鳥の合唱や蛍の乱舞を生んできた山の代わりに、高さ30メートルという擁壁のすぐそばで暮らすことを意味します。だからMさんは決めたのです。
「山がなくなり、家のすぐ前が擁壁になる。立ち退かなくて済むとはいえ、そんな生活を続ける意味はありません。やがて、僕はここを離れます…

●なんで俺がここを出ていくのか!

 Mさんの家の周りには約10世帯が住んでいますが、このうち立退き対象になるのは6軒。
 そのうちに一軒に、「鬼瓦権蔵」(ビートたけしが扮したキャラクター)によく似た大工のおじいさんがいたそうです。その人は福島県飯舘村が出身で、「ここの森は故郷の飯舘に似ている」と数十年前にこの土地に移り住んだのです。

「おじいさんは、本当に山が好きで、毎日、この山を元気に歩くことが日課でした。でも、その山が車両基地に変わり、自分も追い出されると知ったときに、『なんで俺がここを出ていくんだ!』と悔し涙を流していました。おじいさんは2年前にグラインダーの作業中に破片が目に入り両目を失明し、その後、脳出血で倒れて今年亡くなったんですが、もし今も元気だったらどうしていたでしょうね。徹底して立ち退きを拒否したのか、違う土地に移ると決めるのか。いずれにせよ、不本意な人生が待っていたと思います」
 
●地域分断

 今、谷戸自治会館の前には、リニア計画「絶対反対」との看板が立てられています。
絶対反対

 その最大の理由は、もし車両基地ができてしまったら、これまで何十年と続いてきた地域の近所付き合いが、立ち退く人と立ち退かない人とで分断されることです。

 おそらく、立ち退く人でも、たまたま家の建て替えを考えていた人や、この際、息子や娘の近くに行きたいという人などで、鳥屋を去る人もけっこうの数になるはずです。
 ただし「絶対反対」といっても、住民一人一人によって、そこには温度差があるようで、なかには、鳥屋のなかでの「集団移転」を妥協案として考えている住民も少なくないと聞いています。
 ただし、もし自治会が最後の策として「集団移転」を希望したとしても、相模原市かJR東海が、「一緒に行きたい」という立退き対象外の人の移転費用を面倒見てくれるかはなんとも不透明です。

 立ち退かなくて済む住民の一人、Yさんは、どうすべきかの判断ができずにいます。
 Yさんの自宅は、Mさん宅から100メートル以上離れていて、ご近所はほんの数軒。
「立ち退いたらたいへんですよ。農家は家が広くて、農機具や道具も多いからその引っ越しだけでもうんざりします。またここに残ったとしても、この地区で残るのは私を入れて2,3世帯で、しかも、今まで山と空を見て暮らしていたのが、毎日壁を見上げて生活しなければならない。集団移転があるにしても、そこに私も加えてもらえるのかも分からない」

 Yさんは、車両基地建設での最大の課題は「住民が車両基地建設後の風景をイメージできていないこと」だと語ります。
 JR東海が環境影響評価書で示した黒い四角の枠の地図(その後、やや詳細な枠線が提示された)だけでは、自分の生活がいったいどうなるのかの想像がまったくできないというのです。確かにその通りです。

 そこで、Mさんは今、「生活をかけて」車両基地ができる前とできた後の景色の変化をビフォー、アフターで表す3D地図を作成しています。
 この予想地図はYさんの自宅前に張り出されていますが、地図が独り歩きしてはいけないからと、無断撮影や無断転載は禁止されています(だから、このブログでも当面は掲載しません)。とはいえ、住民にビフォー、アフターを知ってもらうため、Yさんは今年11月1日と2日に開催された鳥屋文化祭にもこの地図を出品しました。

 ところが、1日の夕刻、Yさんは文化祭の実行委員長から呼び出されます。
「この地図に対して、えらい剣幕で怒っている人がいる。文化祭にふさわしくないと。撤去してほしい」との内容でした。
 それが誰かは後日知ることになるのですが、Yさんは「住民に生活環境がこんなに変わるんだぞということを知ってほしかった。それなのに撤去要請とは本当に驚いた」と振り返ります。
 このようにリニアについての住民への周知活動に眉をひそめる人もいるのです。

 じつは、Mさんも同じような体験をしています。
 昨年、JR東海だったか相模原市だったが鳥屋の地区センターで説明会をしたときに、その一方的な司会にMさんは「それでは理解できない」と異を唱えました。ところが、その発言中に「うるせえ。黙って聞いていろ!」との怒鳴り声が響いた。
 なぜ怒鳴られなければならないのか。
 後で知ったのは、怒鳴った男性は、鳥屋である商売を営む店の息子だったということです。
 リニア工事が来ることで、それを歓迎する人は必ずいる。だが、そこで、リニア計画に疑問を呈する人と話し合うかと言えばそうではなく、邪魔者扱いする。悲しくも、これは日本の田舎での一般的な傾向です。
 Mさんは、こういった現実にも悲しさを覚えて、鳥屋を離れていくのです。

 JR東海は、リニア工事やリニア走行が引き起こすであろう水資源の枯渇、振動、騒音については、「影響は小さいと予測する」と評価していますが、この「地域分断」については評価書では以下のように書かれています。
「予測項目は、車両基地の存在に係る交通経路に対する分断とした」
 つまり、集落が二分される、あるいは消滅するかもしれないことは対象項目ではないということです。実際、地域分断は社会問題であり、「環境」問題ではないから、「環境」影響評価書に記載されない理屈は通ります。しかし、ではいったい誰が地域分断という社会問題を考慮するのか。
 評価書はこう結論付けているだけですーー「本事業では、地域分断に係る環境影響は低減されると評価する」

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2014/11/15 20:40 未分類 TB(0) コメント(0)
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