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●千歳川放水路。残土1億2000万㎥!

 もう20年ほど前ですが、北海道に「千歳川放水路」という計画がありました。
 北海道南部にある支笏湖という雄大な湖から流れ出ている千歳川(地名からも分かるように千歳空港の近辺です)は日本海に流れ出るのですが、豪雨時に、洪水が起きないように、川を「逆流」させて太平洋に流す…という、半ばSFのような計画が本当に計画されていました。

 この計画は北海道開発局というお役所が推進していたのですが、結果としては、住民、漁協、自治体、日本野鳥の会などが、きちんとした調査を踏まえての大反対運動を起こした結果、中止となりました。

 なにせ、放水路のために幅400メートル、長さ40キロというおよそ現実感のない溝を掘削するのですが、そこで発生する建設残土は、リニア工事で排出される残土をはるかに超える1億2000万㎥。
 巨大な溝はやがて、地下水が集まって巨大なダム湖となり、日本初の登録となったバードサンクチュアリ(野鳥の聖域)である「ウトナイ湖」も壊滅させ、農地をつぶし、海を汚染するから農漁業も被害を受けることが予想されました。

 私は偶然ですが、その千歳川の逆流の出口である太平洋側の苫小牧市の出身でもあるため、強い関心をもち、これを取材しました。気づけば、親戚も反対署名運動をしていました。
 その時に書いた記事を下記に置きました。1996年9月の記事です。

 注目すべきは、この事業は1988年4月には事業着手されていたのに、賛成する自治体もある一方、粘り強い反対もあったことから、開発局は手続きを進めることができませんでした。
 そして、私が取材をした翌年の1997年には、北海道知事がこの膠着状態を脱却すべく、諮問機関「千歳川流域治水対策検討委員会」を設置。この委員会で本当に千歳川放水路が必要なのかを審議したわけです。
 そして2年後の1999年に事業の中止が決まります。

●リニアとの共通点となるか?

 ここで注視したいのは、住民や一部とはいえ自治体(苫小牧市など)や漁協の反対が根強かったため、事業者は着工への手順を踏めなかったといことです。また、単なる反対ではなく「理詰め」だったことも意味がありました。
 リニアでも、あちこちの市民団体が反対運動を展開しています。そして、特に静岡県の自治体が、反対ではないにせよ、反対に近い懸念を表明しています。
 また、放水路計画では「千歳川流域治水対策委員会」が設置されましたが、リニアでも静岡県が「中央新幹線環境保全連絡会議」を設置しました。今後の住民運動と静岡県の動きは注視したいです。

 ただし苫小牧市の場合は、市と漁協が反対し、全市的な署名運動にも発展したことが大きかった。リニアでは、まだそのような市町村はないかと思います。やはり住民の力だ…。


●放水路の時との違い

 もちろん、放水路計画とリニア計画とで、相違点も散見されます。

 たとえば、放水路計画ではウトナイ湖が枯渇する恐れから「日本野鳥の会」は、「放水路問題担当」を設置した。しかし、リニア計画では日本野鳥の会は、一度だけ「慎重な対応を」といった声明は出したことがあるかと記憶していますが、たとえば、院内集会やそのホームページなどではリニア問題には沈黙しています。

 同様に、河川部での漁協の反対運動や慎重意見もあまり聞かれない。

 放水路の事業者は北海道開発局という公的機関だったから、住民の要請に応じてシンポジウムに出席して、反対派組織と議論をした。だが、民間企業のJR東海は一方的な説明会だけを繰り返す。

 ともあれ、当局の「絶対にやるぞ!」と決めた大事業を止めた事実があったことは覚えておいてもいいかと思います。
 千歳川放水路計画の経緯は、その反対運動の中心にいた苫小牧市職員労働組合がまとめたレポートに詳しいです。

 では、以下、私が書いた記事です。コピーに一部不鮮明な箇所がありますが、ご勘弁を。

放水路1

放水路5

放水路4

放水路3

放水路2

放水路6

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