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 先日、環境省の役人と会談しました。
 リニアの「環境大臣意見」をまとめた部署の職員です。
 これは、まだ取材途中であることから、職員名や詳細な取材内容については公表できませんが、その概要だけかいつまんで整理しました。

 今回の「環境大臣意見」と「国交大臣意見」において、注目したのは、国交大臣意見は14ページのうち10ページが環境大臣意見を一字一句違うことなくコピペしたものです。
 つまり、現在、国交省がリニアに認可を与えるかどうかという段階に来ていますが、これは、換言すれば、国交省は、国交大臣意見=環境大臣意見をJR東海がきちんと反映しているかを審査している・・とも言えます。

 今回の取材時間は30分だけなので、聞きたいことの2割も聞けません。なので、これからもちびちびと取材を続けます。以下、そのやりとりです。


Q:国交大臣の意見は14ページ中10ページが環境大臣の意見のコピペです。これは環境アセス法上、環境大臣の意見は自動的に事業を管轄する省庁の大臣意見に踏襲されることになっているということですか? それとも、両省において、いろいろとやりとりがあったからですか?

A:環境大臣の意見は国交大臣意見にほぼ反映されたと思います。国交大臣意見は環境大臣意見を「勘案」したものです。

Q:「勘案」という言葉ですが、それはどういう意味なのでしょうか? 国交大臣は環境大臣の意見を、「参考意見」として受け取るということでしょうか。何かしらの強制力をもつものなのでしょうか?

A:参考意見ではありません。もっと重いメッセージです。環境大臣の意見を、十分に、慎重に受け止めよということです。その意見を可能な限り反映せよと。

Q:その環境大臣ですが、実際に意見を作成したのは大臣ではなく、環境省の職員です。環境大臣は意見作成にどのように関わったのですか?

A:大臣には、リニアに試乗してもらいました。そのとき、大臣は「自然豊かな土地を通るので、意見の作成は、厳しくしっかりやってほしい」と事務方に指示しました。作成のところどころで事務方から大臣にも連絡を入れて、最終的に、大臣の名前で出すことにも了承してもらいました。

Q:環境省の職員は、リニアの通過予定地はすべて視察されたのでしょうか?

A:はい。環境負荷があるであろう場所には赴きました。山梨県の実験線周辺も行きました。

Q:環境大臣意見は、具体的指示がないとの批判があります。

A:認可前では工事内容が具体的に決まっていないこともありますので。ただ、現時点では、環境への回避低減の抑えどころをすべて読めるように書いて提出しました。個別の事案には触れなくても、全体に網をかけることができたと思います。 ただ、猛禽類だけは、守るべき対象が決まっているので、そこだけは具体的に書きました。

Q:意見を作成するにあたり、国交省とのやりとりはあったのですか?

A:基本的に文書でやりとりします。環境大臣意見の提出から、45日以内に国交大臣意見を出さねばなりませんが、3回の文書でのやり取りをするというスケジュールを立てたのですが、結局、3回では終わらず、5回行いました。こちらからの質問は、きわめて具体的な質問を投げかけました。その質問数は1000以上もあります。しかし、5回の文書のやりとりでも調整がつかない点があり、最後は国交省職員と対面しました

Q:たとえば、大井川に残土を置くことについては、どのようなやりとりが?

A:具体的なやりとりはお示しできないのですが…、我々としては、残土をどこに持っていくのか、それをどう管理するのか、地域の生活環境に影響がないようにするにはどうするのかを尋ね、「これでいいんですか?」「具体的にもっと示しませんか?」といったやりとりを延々と続けていました。最終的には、我々の「こうやってください」との意見が国交大臣意見に反映されたと思います

Q:環境省にはリニア計画をいったん白紙に戻そうとの意思はあったのですか?

A:審査のなかで「いろいろな意見」があったのは事実です。最終的にはそうはならなかったとしかお伝えできないのですが、リニア計画は環境への影響はあまりにも甚大であるのに、もうルートが決まっているので、我々としては、最終的には今の計画のなかでできるだけ低減・回避ができるようにと努めました。

Q:環境大臣意見には「国土交通大臣におかれては、本事業者が十全な環境対策を講じることにより、本事業に係る環境の保全について適切な配慮がなされることが確保されるよう、本事業者に対して適切な指導を行うことを求める」との一文があります。
 これは環境アセス法においては、何らかの法的拘束力をもつものなのか、単なる希望的観測なのですか?

A:希望的観測ではありません。基本的に、我々からの意見については、事業者がそれを勘案しているとはいえ、「もう責任を負っている」と理解されてもいいと思います。

Q:もし補正評価書で不備な点が出た場合は、国交省はやり直しを命じられるのでしょうか?

A:私たちは、国交省には「環境保全措置をしてください」と言えることはすべて言い切っています。あとは国交省にしっかり審査してもらうだけです。

Q:もし、着工されて、その工事中に、川の汚濁や水位の低下などの環境問題が起こったら環境省としてどうするのですか?

A:事業の管轄官庁である国交省、そして当該地の自治体と話し合うことしかありません。


 さて、他にもいろいろなやりとりはありましたが、やはりそうかと思ったのが、静岡県の動きです。

 本ブログでも書きましたが、静岡県では、県知事の意見書を発端に、JR東海も協議に参加する「中央新幹線環境保全連絡会議」が今年4月22日に発足しました。

期限は2年。既に、現地視察も含めた3回の会合を行っています。ここでは、絶対に、標高2000メートルの稜線に残土を置くことや、大井川の流量減少があってはいけないという静岡県、静岡市、その他自治体の意思の表れています。
 そしてこの連絡会議には環境省や国交省の出先機関も出席しています。

 つまり、JR東海はオール静岡とオール国と対峙しているということになり、間違っても適当なやりとりは許されません。環境アセス手続きは終わりましたが、その後もJR東海と直接対峙を続ける静岡県は、ある意味、今後のカギを握っています。
 
 国交省もこの静岡での連絡会議を意識しているのでしょうか?

 私のこの質問に環境省職員は「ええ、それはもう。強く」と回答しました。もちろん、国交省職員からの回答ではないにせよ、もし、2年という期間をかけて話し合うこの連絡会議がきちんと機能すれば、リニア着工の認可も、今すぐではないのかもしれない・・との漠たる思いも抱きました。ただ、そればかりは何とも分かりませんが。

 ともあれ、環境省と国交省とが事前に幾度ものやり取りを行っていたことが、ほぼ全く同じ内容の大臣意見となったことは確認できました。もちろん、多くの人は、「それでも、もっと具体的に書いてほしかった」と思うことでしょう。そういう、減点主義での批判も必要ですが、一方において、評価すべき点はしっかりと評価していきたいと思います。


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1999年からリニアに関する住民の動きを広く浅く追ったルポ。実験線周辺では、JR東海が「枯れない工法を施工する」と表明しても枯れ続ける川や沢。一つの谷間を埋めても用途の決まらない残土置き場。今後も、電磁波、国税投入、原発再稼働、処理できない膨大な残土、水枯れ、朝から晩まで数百台も1,000台以上も走り続ける工事用大型車両、立ち退き問題等々が予測されているが、一番の問題は、賛成派や反対派、慎重派、有識者、自治体、JR東海などが一堂に会する徹底検証が一度も行われず、「環境への影響は小さい」だけが繰り返され、ほとんどのマスコミは報道を避けているという、原発推進とまったく同じ構図で推進されていることだ。いかに、JR東海が住民を軽視しているのかも描いている。リニア問題を知る入門書。

 
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