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●JR東日本の自爆営業

 5月に拙著「自爆営業」を出しました。
 爆発的に売れてはいませんが、自爆営業の当事者たちからは「リアルで胃が痛い」との感想をいただいています。
 この本では、3分の2ほどが郵便労働者に焦点を当てました。やはり、社員数40数万人という超巨大会社で、たとえば年賀状であれば、11月1日を皮切りに数万人、もしかしたら数十万人(?)の社員がいっせいに自爆営業をするのは異様であるからです。

 7月上旬、JR東日本労働組合を取材しました。
 JR東日本も巨大会社ですが、ここでも自爆営業と疑わしきものがあったのです。

●びゅープラザ職員の「旅行参加」

 正確にはJR東日本の駅内に設置されている「びゅープラザ」での自爆営業(と疑われる実態)。

 びゅープラザは元々、JR東日本の旅行業営業所で、駅とは独立した事業所でした。
 ところが、2007年度からの組織改編で駅と一体化。事業所も駅の中に入り、駅長の管理下に置かれたということです。

 すると、旅行商品の販売に「目標」が設定され、それをクリアするために、社員やグリーンスタッフ(非正規社員)を旅行に「参加してもらう」ことが常態化しているというのです。

 たとえば、山形方面のキャンペーン旅行があるとします。
 これは、駅ごとの目標値が定められていて、川崎駅なら、2013年実績の315人に対して今年の目標は349人。
 他の駅でも昨年よりも目標値が増えています。そして、その理由は明示されないとのこと。

 下の表は、JR東日本が作成した「2014年夏期間びゅう商品重点販売地域送客目標について(案)」と題した、「目標」を定めた表のなかで、山形方面のキャンペーン旅行の「目標案」」を抜き出したものです。確かに、ほとんどの駅で昨年より目標が多くなっています。

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 組合の大会で、このことを「おかしい」と訴えた女性がいます。関東の某びゅープラザで主務を務めるベテラン社員です。
「グリーンスタッフがかわいそうです。私たち社員と比べたら給与も低いのに、そこから、社員価格とはいえ、行きたくもない旅行に自腹を切って行くわけですから。会社は『行け』と命令はしない。『休みの日に、この旅行に行ってみてはどうかな』とそれとなく尋ねます。実は、私もそれを言う立場。グリーンスタッフは正社員への登用も用意されているので、上司の申し出を断ったら正社員になれないのではとの思いが働くようで、多くのグリーンスタッフが参加しています」

 旅行に自腹参加しても正社員への道が開くわけではないのに、弱い立場の職員は上司の言葉には従うのだと。

 そして、その上司もまた自爆営業の当事者です。目標に達しないと、上の立場の現場長(駅長など)から「どうなっているの?」と追及されるからです。 そこで、キャンペーン旅行の目標が達成できそうもないと、急きょ、社員コースの日帰り旅行が組まれ、上司こそが、積極的に参加するのです。

「ある上司は、それこそ毎週末に同じ日帰り旅行に参加します。早朝に東京を出る青森日帰り旅行もあります。青森駅に着いたら、ホームはあちこちのびゅープラザの顔見知りばかりという笑えない話もありますから」(女性社員)

 この問題は、他のJRグループでは起きていないのだろうか? 

●日本郵便との共通点

 つくづく、郵便局の自爆営業と似ています。
 もっとも弱い立場の職員がノルマ達成に駆り出されること。そして、その職員にハッパをかける上司もまた、もっと上の部署から監督されるために、自らノルマ達成のために自腹を切ること。

 この悪循環を断ち切るには、まず、「間違っている」と正面から声を上げるしかないと思います。
 じつは、日本郵便では、わずか2000人の労働組合「郵政産業労働者ユニオン」の組合員たちのほとんどが自爆営業をしていません。
 常日頃、組合員が何らかの不利益をこうむれば、会社と対峙するのを厭わない組合だから、日本郵便は組合員の自爆営業拒否には口を出さないのです。
 つまり、自爆営業で問題にされるのは、労働組合の力も試されているということです。

 JR東日本の話はもっと詳しく調べたいし、他のJRグループのことも知りたいと思っています。


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(2014/05/31)
樫田 秀樹

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自爆営業を軸にした初の著書。日本郵便社員の年賀状の自爆営業は少しずつ知られているが、本書では、売れ残り商品を社員に強制的に買い取らせていた引き売り業者、配達に必要なガソリン代・車両リース代などを社員の給与から差っ引いている牛乳配達会社の実態も描く。
 日本郵便では毎年数十人が自殺し、精神疾患による休職者数は1000人に届きそうだ。なぜ彼らは自殺するのか。自爆営業と関係しているのか?
 同時に、そういうことに頼らないでも、リストラもせず、下請けいじめもあせず、労災事故も起こさず、黒字経営を続けている「まっとうな企業」も紹介する。



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2014/09/04 23:55 労働問題 TB(0) コメント(0)
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