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●細胞シート治療!
 
 本日のテレビで、大阪大病院が、重い心臓病の女の子に対し、ふくらはぎから筋肉のもとになる細胞を採取してシート状に培養し、心臓に移植して機能改善させる手術に成功したとのニュースを見ました。

 私は、細胞シートのことを昨年2月に取材していて、そのとき、これは「もしかしたらノーベル賞ものではないのか」と個人的に思ったものです。


●週刊誌に書いた記事

 その時に書いた記事(週刊SPA)を以下、公開します。

 先端生命医科学研究所(東京都)は今、「細胞シート」という革新的な再生医療の研究を行なっている。細胞シートとは、自分の体の細胞を培養し、直径数センチ、厚さ0.1ミリ以下の薄いシート状のパッチを患部に貼って、患部の再生を手助けする技術だ。

細胞シート1
 ← 細胞シート


 臨床研究では既に、従来は心臓移植でしか治らなかった「拡張型心筋症」の男性の心臓に細胞シートを貼ったところ、3ヵ月後には健康な心筋を取り戻している。他にも角膜の再生、食道がん切除後の食道組織の再生にも成功している。自身の細胞を使うため拒絶反応はゼロ。21世紀半ばには、臓器再生も可能になると目されている。
 これをいよいよ治験をやろうかというときに関係者が考えたのが「この技術を国がいったいいつ承認するか」ということだった。研究所の大和雅之教授はこう振り返る。

「医薬品医療機器総合機構(PMDA)という独立行政法人が新薬の承認を行なうのですが、外国で既に使われている薬や機械なら、実績があるということで、承認は遅いですがゆるゆると進みます。それでも世界の医薬品売り上げランキングトップ100で日本で承認されないのはまだ40もあるという嘆かわしい状況です。ところが国産となると、前例がないだけにさらに厳しい。たとえば、ある会社のバイオ皮膚は治験だけで10年、別会社の膝関節軟骨だって治験に5年もかかりました。治験の前に、膨大な資料を提出するだけでも膨大な時間と金がかかる。多くの医療ベンチャーが潰れたのはこれが原因です。なかには『塩漬け』のままほっとかれる新薬もあります。ところが、海外では『クロック』と呼びますが、いついつまでに認証の可否を出すとの制度があるんです。それがない日本はダラダラと治験が続きます」

 幸いだったのが、そんなときにフランスのリヨン市から「あなた方の医療は『人類の宝』。是非、リヨンで治験をして欲しい」との声がけがあったのだ。治験前の事前調査だって、論文を見ただけ。二〇〇七年、すぐにリヨンで角膜への治験が始まった。多くの患者が治験に協力してくれたお陰でデータが揃い、早ければ今年度中には、フランスで細胞シート工場の建設が始まり、一般病院での細胞シート治療が始まるかもしれないという。早い。

「フランスでやる利点はまだあって、再生医療はEUとして審査されるから、承認されたらEUで一気に利用されることです。私たちはこれをアメリカでもやりたい。それから日本です」

 前述の理由で、海外での実績があれば日本国内の承認は得られやすいからだ。
 また、先端生命医科学研究所は、東京女子医科大学の医学と早稲田大学の工学とが連携しての運営という、大学と異分野の垣根を越えた先駆的な事例なのだが、「じつは医工の連携は欧米では当たり前。日本がそうではなかった」(大和教授)

「僕は、医療は産業として栄えるべきだと思います。今、日本で使われる薬や医療機器はほとんどが高い輸入モノですよ。つまり患者さんへの経済的負担になっている。日本は技術は世界トップ。人材も優秀。なのに国産の薬も医療機器が少ないという奇妙な状態にある。かつて、世界の薬の25%を作っていた日本が今ではたったの9%。心臓ペースメーカーだって国産はゼロ。最近、中国が独自のペースメーカーを作ってしまった。そのうち、それを日本人が使うということも出てきます」

 原因の一つが、国の認証制度に加え、医学をやる人は工学を知らず、工学をやる人は医学を知らないからだ。「頭脳の連携」が存在しない。これで、日本は今世界に置いていかれている。

 「頭脳はどこに向かうのか」(日本経済新聞出版社)にも以下のことが書かれている(要約)。

 アメリカでは、性別や年齢に関係なく、ときには専門の壁を取り払い、研究者が活発に議論を重ねアイデアを生み出す。これに対し、日本では、若者の自立的研究や自由な議論ができにくい年功序列、同じ大学出身者で構成されるため、豊かな発想や新しい着眼点が得られないという研究室の閉鎖性や多様性の欠如など構造的問題が指摘されている。
 大和教授は、医工が連携して医療の産業化を図ることで、安価な国産医薬品が提供でき、日本の経済活性にも寄与するはずと主張する。

「日本の工場オートメーションは世界一ですよ。これを使わない手はない。僕たちは、その技術を利用してこれから細胞シートの製造の全自動装置を日本で作ります」



「細胞シート」の奇跡「細胞シート」の奇跡
(2012/02/02)
岡野 光夫

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自分自身の細胞を使うので副作用なし。自分の細胞を培養して増やし、患部に移植するために厚さ0.1ミリ以下のシート状のパッチに育ったら、それを幹部に移植する。角膜、皮膚、もしかしたら心臓までもが再生する。これは世界中で「医療革命」と絶賛されている。だが、日本では、新薬の承認にとてつもない時間がかかるため、長者らのチームは今、「是非、わが国で」の誘いにイタリアで治験を行っている。そんな日本の医療体制の批判も込められた本。ノーベル賞も夢ではないと私は思っている。


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2014/07/23 15:58 医療 TB(0) コメント(0)
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