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樫田秀樹

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●リニア。南アルプスの残土捨て場予定地
 
 5月14日と15日の1泊2日で、静岡県の南アルプスに行ってきました。
 4月に立ち上がったばかりの市民団体「リニア新幹線を考える静岡県民ネットワーク」の、「内輪で話し合うだけではなく、とにかく、リニア工事で発生する360万立米もの残土が捨てられる予定地を視察しよう」との共通の思いで実現となった現地調査。

 これを関係者から教えてもらった私は、すぐに、ネットワークに連絡してメンバーに入れてもらいました。
 というのは、この調査を一人でやろうと思えば、多大な経費もかかり、車両で移動しようにも、今回の調査地まで行くには静岡市からの車両通行許可証の取得が必要となり(道中、許可書がなければ通過できないチェックポイントがある)、それにも時間がかかり、かつ、それができたとしても初めての土地では地理もわからずという状況になるからです。
 
 ネットワークの現地調査に参加できたのは時間もお金も節約でき、さらに、ネットワークのメンバーからのいろいろな情報を共有できることで、ありがたいものでした。

今回、クリックしなくてもいいように写真を大きめに添付したのですが、編集時点では問題なかったのに、いざ公開してみると、ブログの幅が狭くて写真が切れてしまいます。あらためてクリックしてください。写真の全体像が見れます。


●残土処分の概要

 まず、残土処分の概要を。
 静岡県ではリニアは県最北部の南アルプスを約11キロだけ通過します。全線が山岳トンネル。
 トンネルを掘るための斜坑は2カ所。
 2カ所のうち、南側の斜坑から排出される建設発生土(残土)は大井川の河原の6カ所に積まれます。
 北側の斜坑から排出される残土は、残土を運ぶための専用の地下トンネルの中をベルトコンベヤーで500メートルも高い標高2000メートルの稜線である「白根南嶺」に積まれます。

 ここでは、河原での残土処理予定地を「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」「カ」
      稜線での残土捨て場を「キ」
      南側の斜坑を「非A」(JR東海は、立坑も斜坑も横坑も一括して「非常口」と表現する)
      北側の斜坑を「非B」
 と書き表します。
 
 加えて、非Bから排出される残土は、ダンプではなく、その場から建設される地下トンネルのなかに設置されるベルトコンベヤーに載って、500メートルも標高を上げた、標高2000メートルの稜線「白根南嶺」へと運ばれます。

 その搬入口となる作業用トンネルの入り口を「坑a」と書き表します。

 ところが、このベルトコンベヤーの地下トンネルは、いったん地上に出ます。

 その出口を「坑b」

 そしてすぐにまた地面に潜るのですが、その入り口を「坑c」

 そして、白根南嶺近くの出口を「坑d」

 と書き表します。

 静岡県の南アルプスの簡単な手書き地図を用意しました。見辛いのですが、ご参照ください。

静岡県南アルプス地図1size2
 

●「ア」から「カ」
 5月14日朝9時。今回の参加者10人が分乗した3台の車は南アルプスに向けて出発。
 正午頃、白樺荘という、温泉も食堂もあるロッジで、長野県大鹿村の「中央構造線博物館」の学芸員である河本和郎さんが合流。河本さんは地質のプロであり、常日頃から地質の脆い南アルプスにトンネルを空けることに懸念を示しています。 河本さんもまた「一人では来れない場所だから、樫田さんからの連絡を受けて参加した」のですが、専門家の参加はメンバーには大いに刺激になりました。

 白樺荘での昼食後、大井川を川沿いに走りながら、私たちは「ア」から「カ」までを視察しました。以下、ごく簡単に説明します。

★「ア」 生コンプラント跡地。広い。野球くらいならできるか。

残土処理地ア


★「イ」 骨材置き場跡地。外から見ただけ。


★「ウ」 宿舎跡地。川までけっこう距離もあり、道路から川までは3段くらいの階段状の地形。つまり、川は道路から20~30メートルくらい下にある。下に降りると、広くて、かつ、高い。上の写真の左側には大井川が見える。下の写真にはかつて人が住んでいた痕跡が写っている。

残土処理地ウ-1

残土処理地ウー2


★「エ」 既設の残土処理場。それほど広くはないが、既設の施設なので平坦にならされている。

残土処理地エ

★「オ」 宿舎跡地。狭い。

残土処理地オ


★「カ」 燕(つばくろ)沢。

 参加者がもっとも驚いたのが、この燕沢です。
 まず、とてつもなく広い。野球場の2つや3つは取れましょうか。写真左手にわずかにですが大井川の流れが見えます。つまり、隣接地であります。

燕沢1

 これを見たメンバーの一人が、

「これじゃあ、雨が降れば、残土が泥になって川に流れるぞ!」

 さらに、燕沢は土石流が多いことでも知られているのですが、それも「数十年前に…」といった近過去の話ではなく、「昨日は」「今日は」といった頻度で発生します。
 事実、私たちが訪れた時も、つい最近崩れてきたと思しき岩石があたりにゴロゴロ落ちていました。この写真は上の写真と同じ場所の道路の対岸からのもの。砂防ダムもなんのその。南アルプスは落石は日常茶飯です。

燕沢2

「本当にここに残土を積んで大丈夫なのか」

 といった懸念は当然です。そして、JR東海は、どうやって残土を置くのかという具体策を提示していないのことが、また、関係者の不安を大きくしています。

 ここは車道でもありますが、登山道の一部でもあります。将来、登山者は一日に数百台も走るダンプカーが巻き上げる土埃のなかを歩き、あちこちで残土の山を目にするという南アルプスらしからぬ光景を目にすることになります。

 これが南アルプスの一部の光景として根付くことを、私たちはもっと想像力を働かせて考えたいものです。


●非常口A

 私たちは、さらに北上し、リニア本線となるトンネル工事のための資材搬入口でもあり本線営業後の脱出口ともなる「斜坑」の一つを訪れました。地図では非Aとなっています。
 
 トンネル工事で排出される残土のうち、この非Aから出てくるものは、これまで見てきた「ア」~「カ」に積まれます。
 
 ここで覚えておきたい基礎知識は、静岡県の南アルプスは、一部の国定公園を除いては、すべて特種東海製紙という一民間企業の社有地です。その社有地を管理するのが㈱東海フォレストです。

 これまで走ってきた車道から右に入っていく林道には東海フォレストによる「一般車両進入禁止」の看板が立っていて、車が入れぬよう、施錠しているゲートがあります。このゲートのすぐ内側に斜坑が建設されます。測量したばかりの杭が打たれていました。

非常口Aの推測地点

東海フォレストの林道ゲート


●非常口B
 
 非常口予定地のAをほんの数キロ北上すると、南アルプス登山の拠点ともなる「二軒小屋ロッジ」に到着します。
 これも東海フォレストが運営していますが、小屋というよりは、実質は、相部屋のホテルです。
 きれいな水洗トイレに、毛布とふかふかの布団が用意されているベッド。しゃれた食堂にしゃれた食事。詳しくはここでは書きません。

 翌日の5月15日、私たちは、斜坑(非常口)「B」を目指しました。
 二軒小屋からも車道はあるのですが、そこから先は、東海フォレストの通行許可証が必要なので、静岡市の許可証しかない私たちは歩いていくことにしましたが、往復でも3~4時間たらずです。

 非常口Bから出た残土は、問題となっている標高2000メートルもの稜線「白根南嶺」に積まれます。これはダンプカーでの運搬ではなく、ほぼ100%が、斜坑から白根南嶺までの区間をつなぐ地下トンネルのなかをベルトコンベヤーで運ばれます。

 ここで「ほぼ100%」と書いたのは、この地下トンネルが、ほんの短距離だけ地表に顔を出す部分があるからです。
 地図で表した「坑b」です。

 二軒小屋から2,30分も歩けば、大井川は東から流れこむ「東俣」と、西から流れ込む「西俣」に分かれますが、この東俣沿いに「坑b」はあります。

坑b


 しかし、いったん地表に出てくる以上は、JR東海の非常口の規模に照らせば、そこには直径30メートル規模の穴が開くわけなのですが、本当にこんな川岸でいいのか・・といった場所でした。ここなら取り付け道路を付けようにも二車線は取れない。
 しかも、このベルトコンベヤーが再び地下に潜るのは、そのすぐ対岸だから数十メートルしかありません。つまり、ここは「橋」を作るということでしょうか?

 さて、私たちは再び、東俣と西俣の分岐点に戻り、今度は斜坑「ケ」を目指すべく、「西俣」に沿って歩き出しました。

 すると!

 西俣にはすでに川沿いに立派な工事用道路ができていました。もちろん、ここは特種東海製紙が所有し、東海フォレストが管理する土地だから、道があってもおかしくはありません。

新しい道路

 だが、私たちの歩いた道はJR東海が準備書などで示した非常口に向かっているもので、

「もし、非常口の位置でこの道路が終わっていたら、明らかにリニア工事のための道路ということですね」

 と河本さんが予測しましたが、まさしく、この真新しい道路は非常口Bの予定地でぴたりと終っていました。

 その手前には新しい橋があり、そこの看板にはこう書かれています。

西俣橋看板

 この新しい橋と道路は、特種東海製紙のものだということです。まあ、表向き、それは当然です。
 であるならば、なぜ、非常口予定地でぴたりと道路が終わっているのか?

 もちろん、まだ国交省はJR東海にリニア建設の認可を出していないので、その認可もないときに、工事をすることは許されません。だから、間違ってもJR東海の名前でこの道路工事もできるはずがありません。
 だが、JR東海の計画と同じルートで同じ終着点で終わっている道路…。

 ともあれ、実質的な工事はすでに始まっているのだということを印象付けてくれた道路でした。
 写真は、「西俣橋を渡り」(写真上)、「道の終着点は非常口の予定地だった」(写真下)

西俣橋を渡る

非常口B地点


●残土捨て場「キ」

 今回は、標高2000メートルにある残土処理地「キ」には行けませんでした。行こうと思えば、もう一泊が必要です。
 ただし、今回、参加した河本さんが、準備書が出たあとに一人でテントをかついでそこを訪れています。
 後日、河本さんは、地質の専門家である狩野謙一静岡大学教授が空撮された「キ」の写真をネットで公開しました。
 その写真を以下に置きます。

白根南嶺

 私は、この写真だけでも、この稜線に残土を置くのがいかに危険なのかがわかるような気がします。ここに残土を置くことについての有識者などのコメントは本ブログで過去に書いておりますので、そちらをご参照ください。

 なぜ、わざわざ500メートルも標高の高いこの稜線に残土を運び上げるのか?
 今回一つだけわかったのは、そこに残土を積むとすれば、残土が流出しないような堰堤の建設などが必要になるわけですが、つまり事前に工事用車両が行き来できる場所であることが必須となります。

 ところが、この標高2000メートルまで林道があるのです。

 それは、非Aも建設される、東海フォレストの林道です。まさに、非A地点から延びる林道が白根南嶺にまで達しているのです。


●総論

 今回の調査に同行して認識できたのは、

 そこが、残土処理にふさわしい最適地であるかどうかで、その土地を選んだ・・というよりも、ここで示したように

 残土処理地のほとんどは、かつて、宿舎、資材置き場、残土処理地などで使われていた場所であり、白根南嶺にしても、すでに資材を運び上げるための林道がある。

 すでにインフラがあることで場所を選定したのでは・・と現地調査に携わった人たちが思うのも無理はないと思います。

 もし、標高2000メートルの稜線にまで林道がなかったら、そこを残土処理地に選んだのだろうか? これは確認してみたい疑問です。
 
 いずれにせよ、工事は実質的には始まっている。
 それが、今回の現地調査で得た感触でした。


●田代ダム

 最後に田代ダムのことを書き留めます。
 これは、二軒小屋ロッヂのすぐ近くにあるダムです。

田代ダム


 大井川は、かつて東京電力と中部電力のダム乱立で水なし川となり「河原砂漠」と揶揄されるようになりました。
 詳しい経緯は省きますが、水を返してとの長年の住民運動の結果、田代ダムでは,本流に毎秒0.43トンが戻ることが実現したのです。

 ところが、今回、JR東海が明らかにしたのは、大井川からは毎秒最大2トンが失われるということです。
 
 この数字は、住民運動を無に帰するものととらえられても仕方のないものです。
 また、下流の7市63万人が有する水利権量もまさしく毎秒2トン。
 これが失われるとはどういうことなのか。

 残土問題と水問題は、真剣に考えなければならない問題です。

 以前も本ブログで書きましたが、静岡県では、関係者が一堂に会しての「静岡県中央新幹線環境保全連絡会議」が開催されています。JR東海も出席します。
 ここでどんな議論が行われ、どんな結論が出るのか、注視したいです。

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2019/08/18 02:05   [ 編集 ]















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