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●エベレスト登頂の断念。それでいいのだ。

 タレントのイモトアヤコさんのエベレスト登頂計画が中止となりました。

 その発端は、4月18日にエベレストで雪崩が発生し、16人のシェルパが死亡。これは過去最大の遭難死です。
 ところが、その死に対して、ネパール政府が示した補償金はわずかに遺族一人当たりで4万ネパールルピー(約4万2千円)。
 外国の1パーティがその登頂に何百万円、何千万円もの登山料をネパール政府に払うのに、補償金のあまりもの少なさに、ネパール山岳ガイド協会は「このままでは今シーズンの登山取りやめも辞さない」と強弁。政府に入る登山料の一部で補償の基金設立も求めています。

 私はこの報道を知り、意外と思ったのは、未だに、シェルパには補償制度がないということでした。

 私が、外国人のエベレスト登頂をいつも冷めた目で見ているのは、感動しないのは、それが自らの足で登った(事実ではありますが)というよりも、頂上直下までシェルパの人たちのサポート(荷運び、ルート作り、調理等々)を受けているという「シェルパに登らせていただいた」登山なのに、登頂後はほとんど誰もそのことを口にしないことです。

 もちろん、一緒に活動してくれたシェルパには、親しみも湧くだろうし、それなりのお金も落としてはいるはずです。
 だが、登山隊の多くは、行動を共にしてくれたシェルパに対しては親愛の情を向けるものの、常に死と隣り合わせの登山という仕事に従事する彼らの生活全般にまで思いをはせる人はとても少ないと思います。

 登頂後、誰も「シェルパに登らせていただいた」ことを口にすることがないのは、シェルパを登頂に必要な一労働者としてしか見ていないのではと思っています。


●三浦雄一郎氏を許さない人もいる

 私は以前、本ブログで「三浦雄一郎氏のエベレスト登頂に複雑な気分」と題した一文を書きました。

http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/blog-entry-241.html

 それは、1970年の三浦氏のエベレスト登山中に、氷塊の陥落でシェルパが6人亡くなるという、当時、史上最大のシェルパ遭難事件が起きたのですが、三浦氏はそこで登山を中止することなく、エベレストの頂上直下からスキー滑降するという冒険を実現したのです。
 しかし、1991年ころか、私がネパールでトレッキングをしていたときに出会ったシェルパは、このことを強く怒っていました。

「ミウラはなぜ遭難死のあとに登山を中止しなかったのか」と。

 もちろん、三浦氏もチームで来ていた以上、いろいろなしがらみもあり、自分の思いもありで、それらを総合判断しての登山続行だったのでしょう。

 だが、シェルパの人たちから見れば、人が死んだ以上は、辞めてほしかった行動だったのです。

 今回、イモトさんの行動でも、途中で「雪崩はあったけど、同行してくれるシェルパは確保した」のような報道もありましたが、私は、正直「いやだな」と思いました。

 人が死に、その遺族が補償金のあまりもの少なさに泣いているときに、「日本人・女性・最年少」での登頂というタイトルにこだわり登頂を目指していたとすれば、登頂していたとしても、イモトさんはあとあと後悔に苛まれます。
 おそらく、今回は、イモトさんの意思がどうあれ、日本テレビという巨大組織の意思が幅を利かせているはずだから、もしかしたら、イモトさんは登頂に向かっていたのかもしれない。

 だから、日テレが今回の登頂を断念したことは妥当だと私は考えています。


●野口健さんの行動

 そして、この雪崩での遭難事件を知って現地にかけつけ、約1000万円を遺族に寄付することを表明したのが野口健さんです。
 野口さんの行動は、「三浦雄一郎氏のエベレスト登頂に複雑な気分」のなかでも「シェルパ基金」を設立したことでも触れていますが、シェルパの生活全般を考えています。一つの民族の誇りを尊敬しています。

 イモトさん。今回の登頂断念は残念ではあろうけど、エベレストは逃げない。また挑戦してほしい。
 そして望むらくは、シェルパに登らせていただくことこそを伝えてほしい。
 そして、日テレに望むのは「愛は地球を救う24時間テレビ」をやっているくらいなのだから、シェルパ基金のようなものを是非とも設立してほしいことです。


テンジン―エベレスト登頂とシェルパ英雄伝テンジン―エベレスト登頂とシェルパ英雄伝
(2003/04/25)
タシ テンジン、ジュディ テンジン 他

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 エベレストを登頂した登山家たちは「栄光」に包まれる。だがその多くは、ヒマラヤの山岳民族シェルパの献身的協力なしには実現しない。シェルパこそ、外国人より高い登山能力でもって、頂上直前まで率先して荷運びとルート開拓を行うのだ。
 今までないがしろにされてきた「シェルパの名誉を讃える」ために本書は書かれた。著者の一人は、1953年にヒラリーとともにエベレストを初登頂した伝説のシェルパ、テンジンの孫だ。
 テンジンの初登頂以来、それまでの「危険な臨時仕事」から「正式な仕事」へと登山への意識は変わり、近年では、自ら遠征隊を組み登頂するなど、積極的にエベレストを狙うシェルパは珍しくない。
 ともあれ、今まで外国人に伝えられた記録をシェルパの視点で描き直しているのは一見の価値がある。猛吹雪のなか、死をも賭して外国人を救出しながら自ら頂上を目指す。本書では多くのシェルパが実名で登場し、そんな偉業が披露される。
 著者は外国人登山家だけではなく、山に根ざした、祖父をはじめとしたシェルパ一族にも、同族の一員として光を当てたいと願ったのだ。



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2014/05/07 03:10 未分類 TB(0) コメント(0)
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