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 昨日の話に関連しますが、またも阪神大震災のことで。

 阪神大震災は1月17日に発生。ただちに日本全国から多くのボランティア、特に若者が神戸周辺に入りました。その数延べ100万人とも言われます。

 若者の多くは高校生や大学生、そして社会人。
 非常に献身的でした。
 だが彼らの多くが3月で、波がサーと引くように神戸を去りました。

 一つには、大学にもよりますが、1月下旬から4月上旬は春休みのためボランティアをできたが、4月以降は学業に戻らざるを得なかったこと。
 また、3月にオウム真理教の地下鉄サリン事件が起こり、マスコミ報道が、神戸を忘れたかのようにいっせいにオウムに染まってしまい、神戸の状況が伝わりにくくなっていたことも、新たな関心を呼ばなくなった一因であったと推測します。

 震災のあった1995年を、マスコミは「ボランティア元年」と呼びますが、私は今もそうは思えない気持ちを抱いています。

 学生たちは、これからというときに神戸を去ってしまったからです。

 今の東北地方のように、緊急状態にある人を支援するのは、たいへんですが、やりがいもあり、自分が働いただけの手ごたえも返ってきます。
 しかし、緊急状態はいつまでも続きません。せいぜい2、3ヶ月です。
 そのあとは、心のケア、生活の復興、街の復興といった、国や自治体、ときに住民自身と対峙しながらの、よりその存在を求められる活動へと移ります。
 その活動を経験することなく、若者たちは神戸を去りました。

 もちろん、私は、若者たちがずっと神戸にい続けるべきだったとは主張しません。それぞれの生活や学業がある限り、いつかは去る。それは仕方のないことです。

 しかし、多くの若者が気づいたはずなのです。

 昨日のブログにも書いたように、生活の場を奪われたどり着いた避難所でこそ「今が一番幸せだ」と言い切ったおばあさんがいました。おばあさんは、地震になる前から孤独を感じ、ボランティアの若者たちと出会えたことで久しぶりに人とのぬくもりに出会いました。

 そして、同じ被災者でも障害者や在日外国人がより多くの苦難を強いられている。つまり、地震になる前から、社会には、苦難を強いられている人たちがいる。このことを多くの若者が気づいたはずなのです。

 ですから私が1995年に期待したのは、この若者たちが、自分の街に戻ったときに何をするかでした。

 しかし、ほとんど何も起こりませんでした。翌年の日本海重油流出事故では、またも多くの若者が「よし行くぞ!」と重油除去のボランティアに向かいました。素晴らしいことです。中越地震でもそうです。若者が駆けつけました。素晴らしいことです。

 でも、遠い地で起こった緊急状態に手を差し伸べても、自分の住む半径100メートルのなかに住む高齢者や障害者のために何かをしようと始めた若者はどれほどいたのか。

 阪神大震災のあと、「あの経験を地元でこそ活かそう」と動いた若者たちは私の知る限りはごくわずかでした。
 そのときに書いた記事は、 http://homepage2.nifty.com/kasida/social-matter/frame-vgannen.htm をご覧になってください。

 じつはそれは神戸のなかでも同じでした。

 神戸の知人はこうぼやいたものです。
「震災直後は、誰もが分け隔てなく助け合っていたのに。今はもう……元に戻ってしまいました。死んだ人々に申し訳がない」
 その知人は震災直後は、「これで神戸が変わるかもしれません。高齢者も障害者も在日外国人も、こうやって皆の力で社会を動かすことで、より住みやすい街になるかもしれません」と、活き活きと働くボランティアや地元住民を見て強く期待していたのです。

 しかし緊急状態が過ぎて、櫛の歯が抜けるようにボランティアが去り、地元の人ですら自分の生活再建が達成されたら震災前の日常に戻り、周囲の高齢者や障害者に目を向けることは少なくなりました。

 それでも、高齢者、障害者、ホームレス、在日外国人など、震災前からいた社会的弱者の存在に気づき、なんとかしようと動く神戸のNPOや若者は数少ないけどいます。詳しくは書きませんが「神戸YWCA」などは今もそういった人たちの活動を続けています。彼らはあの震災から得た教訓を次の活動へと引きついだのです。

 今の東日本大震災では、あの頃のようなボランティアの熱気は今ひとつ伝わってきませんが、それでも、1995年と違うのは、被災者の多くが各都道府県に疎開したことです。つまり、私たちの身近に被災者がいることです。

 被災地に行くだけがボランティアではありません。

 自分の身の回りに、今、手を差し伸べられる人たちがいる(ただし差し伸べすぎてはいけません)。

 しかし、その人たちもいつかは去る。

 そのあとは?

 自分の住む半径100メートルに目を向けてくれることを私は強く祈ります。

 足元を大切にしてこそ、そこで初めて、その人にとっての「ボランティア元年」が始まるのだと思います。

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2011/03/29 02:05 東日本大震災 TB(0) コメント(0)
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