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●「準備書は評価書の下書きです」

 3月上旬に、リニアに関する私の著書「リニアに乗って日本を壊そう!」(東海教育研究所)が出版されます。
 同時に、その3月上旬までに、もう一つの著書(労働問題)についての下書きも出さねばなりません。

 そういうことで、すっかりブログから離れてしまいました。
 本日は、あと1か月でリニア計画に対する7都県の知事の意見書がでるということで、書き留めたいことがあります。

 1月21日、私は静岡県主催のリニア公聴会に行ってきました。13人の公述人は、やはり、南アルプスにトンネルを開けることで発生する360万立米という膨大な土砂を大井川源流部の河原や標高2000メートルの稜線に置くこと、そして、大井川の流量が毎秒最大で2トン減ることで、生活用水、農業用水、工業用水が危機に瀕することを深く不安視しておりました。

 特に、最後に登場した牧之原市の市長さんの話には引き込まれましたが、それは次回、書きます。

 今日、書きたいのは、その公聴会が終わったあとの、公聴会を主催した県の「くらし環境部」の職員とのやりとりです。

 2011年、JR東海が出した環境影響評価方法書について、あまりに計画が不透明だったのに、各都県の環境影響評価審査会はそれを批判しながらも、方法書の差し戻しを命じませんでした。

 と書いた通り、私は、今までてっきり、方法書や準備書は、内容が不備であるのなら「差し戻せる」と思っていました。しかし、

 私は「くらし環境部」の職員に尋ねました。

「準備書の内容はあまりにも粗雑であちこちで批判を受けています。そうであるなら、準備書を差し戻す、計画を見直す、アセスをやり直すなどの答申を知事に上げることも選択肢の一つになるのでしょうか?」

 というのは、3月25日に知事が提出する意見書は、知事一人が考えるのではなく、静岡県の場合は、「くらし環境部」がたたき台を作からです。
 
 これに対して、職員はこう回答しました。

「それは環境アセス法に従えば、難しい。というのは、準備書は、あくまでも評価書の下書きなんです。つまり、準備書の不備を補足したり、疑問点を補うのが審査会などの役目であり、そうした指摘を受けて評価書を完璧なものにするというのが環境アセス法の趣旨です。見直しや差し戻しを命じるのは、実際の管轄官庁である国交省でしかありません」

 そうだったのか。

 ということで、アセス法に詳しい人に尋ねたところ、以下の回答が。

「残念ながら、環境影響評価法の手続き上は、その職員の回答通り。本来、方法書や準備書で出された意見に対して、事業者は改善したものを次の段階で公表し、その過程で環境への影響回避が最大限になっていくというのが、この法律の趣旨。
 方法書で出された根本的な問題指摘にきちんと回答すれば、自ずと準備書は完成度が高くなる。しかし、リニアでは、準備書はご存知のとおりの粗末な内容です。
 手続き上は、評価書案で、さらに出された意見を反映させたものになり、それでも内容が不足していれば、評価書の補正書を作成となります。
 環境省は事業の所管官庁ではないので、事業の見直しや手続きのやり直しを求める権限はありません。
 国交省が、影響評価の手続きに問題があると認識した場合は、事業の認可をしないという権限を持っています。しかし、これは可能性としてはないでしょう」

●NOを言えるのは国交省だけ…

 うーんと考えてしまいます。
 というのは、ひとたび、評価書が作成されれば、それについては、縦覧はあるけど、住民説明会はないわけで、その時点で住民が評価書はおかしいと思ってもJR東海に訴える場をもてないのです。
 国交省だけが「妥当だ」「違う」と言えるのです。

 リニアに待ったをいうためには、どういう道が残されているのか。

「準備書に対しての意見の評価書での反映がないようなら、環境省として事実上の評価書の全改定を指示する意見を大臣意見としてだすという道しか法律上は手がありません。この場合、この大臣意見を国交省大臣は反映せず、独自の意見を出すでしょう。この両者の意見の違いから、この手続きの不備が明らかになりますので、このタイミングでマスコミや世の中へ発信し、社会運動としなければ、負けになります」

 そういえば、神奈川県の環境影響評価審査会もとても厳しい意見をJR東海に投げているのですが、「この点は評価書にはきちんと書き込んでくださいね!」と指摘もしています。つまり、評価書は作成するのが法律上の既定路線であり、環境アセス法では、方法書や準備書がどんなに不備なものであれ、やり直すことまでは規定していないのです。
 
 だからこそ、リニアに関する市民団体はこの1か月間、もっともっと社会への問題周知と世論形成に力を尽くすことになるのでしょう。

 おそらく、7都県の知事意見書は、審査会の答申を受けて相当厳しい内容になると思います。
 しかし、どんなに厳しい内容でも、JR東海は、結局は東京・名古屋間で286キロのうち246キロにトンネルを掘るという計画を変更するはずもなく、残土を稜線に積むことも変更せず、想定される環境破壊や公害や水枯れはやはり起こるのでは…。

 結局最後まで、JR東海は、住民とも有識者とも討論をしなかった。マスコミもほとんど報道をしなかった。
 そこが何とも残念です。
 しかし、知事が意見書出すまでにまだ一か月。国交省が認可を出す出さないを決定するにも時間がかかります。
 住民は諦めずに前に行くしかありません。

 とはいえ、やはり、準備書が住民が事業者に直接モノ申せる最後の機会である以上、その住民の意見を受けて、審査会が「差し戻し」の答申を出すのも私はアリだと思います。
 この点で、環境アセス法は改正が必要なのでは。


●お知らせ 2月26日は院内集会
 2月26日(水)13:30~16:00
 院内集会「南アルプスとリニア中央新幹線」が開催されます。
 講演:佐藤博明氏(静岡大学名誉教授)
 場所:参議院議員会館B109会議室
 集会の後、国交省・環境省交渉を予定



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(2013/07/13)
リニア・市民ネット

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2013年2月。リニア中央新幹線が走ると言われている計画沿線上の住民がネットワークを結成。本書はその住民、有識者、関係者により書かれた。リニアに関する本はこれまではほとんどが礼賛本だった。ようやく、住民自身による、リニアを正確に、かつ、専門的に分析した本が出た。電磁波の危険性、中央構造線(日本最大の断層)のトンネル貫通の危険性、地震時や緊急事態での避難体制の不備、膨大な電力消費、各地で起こす水枯れ、採算性の甘い予測等々。具体的問題を網羅している。



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