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樫田秀樹

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●神奈川県環境影響評価審査会、JR東海を批判

「あまりいいかげんなことを言うと、信頼を失いますよ」

 3時間近く続いた審査会。JR東海に向けられたこの言葉はこの日の審査会の委員たちの総意とも言える言葉でした。  
 
 リニア中央新幹線計画。

 現在、神奈川県では、JR東海が出した「環境影響評価準備書」について、県の常設機関である「神奈川県環境影響評価審査会」で3回の審査が行われていますが、3回目の審査は12月25日。

 じつは、2回目の11月25日の審査について、本ブログでは、相当にがっかりしたことを伝えました。1回目と違い、なぜあそこまでトーンダウンしてしまったのかと。

 だからこそ、3回目の審査会の傍聴は恐る恐るだったのですが、傍聴後、その不安は払拭されました。傍聴していた人は誰しも「いやあ、今日の審査は心で拍手したよ!」との感想を漏らしていました。

 テープ起こしする時間がないので、概要だけ書き留めます。

●審査会概要

★まずは、JR東海が、準備書に寄せられた意見の概要と、それに対する見解を述べました。
 意見のほとんどは不安を表すもの。
 「新幹線の3倍もの消費電力は原発を道元とするのではないのか」「地下水が枯渇する」「磁界からの影響が不安だ」「景観が損なわれる」「手続きに不備がある」「この地震国で断層を横切る路線の建設は犯罪的」…。

 これに対しJR東海は、「東電、中部電力、関西電力の全消費電力からすればリニアの消費電力はごく少ない」「水対策は地元に説明し、監視もし、対策も行う」「リニアの電磁波はペースメーカーでも安心」「景観への影響はない」「手続きは方法書のときよりもきめ細かくやった」「活断層はできるだけ短い距離で通過する」

 といった内容を超早口で説明しました。

 しかし、これに対し、

 山本委員が「意見のなかには、『意見を述べる機会が少ない』『質問回数が制限されている』といったネガティブな意見が多い。市民が意見を述べる場が少ないという意見もある。これにどう対応するのか?』

JR東海「環境保全事務所に電話か訪問してもらえれば不安を払拭したい」

宮沢委員「加えて、市民の声で『事業内容が具体的ではなく評価できない』との意見があるが、この審査会でもそう。ベースがそうであるなら、何回やっても同じこと。先ほどの説明だって、あれだけ早口で喋られては理解できない。みなさんはとにかく手続きを進めればいいとだけ思ってこの場にいるのか? との疑問もある」

JR東海「限られた時間なのでコンパクトに、スピーディーにやっている」

片谷委員「見解の内容は、一般論としてはアリだが、住民の意見に応えているレベルにはない」


 以下、以前から審査会が質問していた項目にJR東海の回答を載せた「補足資料」を基に議論が進められました。
 ★印の項目がそれです。


★大気質の予測における気象データについて

 過去2回の審査会で、「四季各2週間の気象データで通年の気象データを予測した場合と、通年の気象データを使った場合にどの程度の誤差があるのか」を審査会が質問してい件について、

片谷「回答には誤差の内容がない。これまで2回、この審査会で質問したのに答えていない。次回も回答しないと審査できない。ゆめゆめ、正月休みだったのでと言わないように


★車両基地からの排水について

益永委員長「水質について具体的に出していない。回答では『河川ではなく下水道も利用して排水する可能性も視野に入れた上で、引き続き関係機関と調整を行うこととしています』と書いているが、この『関係機関』とはどこのことですか?」

JR東海「行政機関になるとは思いますが…」

益永「(車両基地の管轄地である行政機関の)相模原市は現在も、将来的にも当該地に下水道を整備する計画はないと言っていますが」

JR東海「そのへんも調整を…」

益永「あまりいいかげんなことを言うと信頼を失いますよ

JR東海「(顔を赤くして下を向いているだけだった)」


★地下構造物の温泉への影響について

?委員「トンネルの南側に3つの鉱泉と2つの井戸がある。これについては、影響ある位置関係についてのシミュレーションのやり直しをしたほうがいい。醸造所の水も地下水を使っている。詳細なシミュレーションを。

JR東海「鉱泉への影響は、ない、と考えている。シミュレーションは必要ない」


★重要な群落の調査結果について

中村委員「群落組成表を提示してと頼んだが、ここにある回答は違う。これでは評価ができない」

(JR東海は、後ろに座っていた環境アセスを実施した「パシフィックコンサルタント社」の社員となにやら話し合っていたが、結局、回答しなかった)


★建設発生土等を抑える工法選定及びその経緯について

藤倉委員「(フローチャートを見て)初めから、こんな説明の提示をしてほしかった」(と、それなりに評価)

★建設発生土等の再利用等の目標について
 
 車両基地の建設においては、約1,140万立米の建設発生土(残土)が発生するが、補足資料の回答で示されたのは「30%にあたる約360万立米を車両基地内で再利用することを想定しています」。これについて

藤倉委員「発生土の90%以上を処分できるという根拠を示してほしいとお願いしております。出てきたのは30%の360万立米だけ。あとは『公共事業等で活用してほしい』などと非常に他人任せ。 残土のリサイクル云々で、JR東海内部での使途説明がないのが残念」


★掘削土に含まれる有害物質等の事前調査等について

藤倉委員「自然由来の砒素は出る。発生土全体のどれくらいで出るのか? その場合、単なる処分場での処理ではすまない。その記載が準備書にはない。その処分方法も別途いる」


★新たな発生土処分場の必要性等について

 この件は準備書に記載されていないので、明らかにするよう審査会は求めていたが、JR東海の補足資料での回答では

「建設発生土については、本事業内での再利用や他の公共事業等への有効利用を考えています」

「建設発生土を公共事業等で有効に活用していただくための情報提供や発生土の処分施設は、神奈川県を窓口として調整させていいただきたい」

「新たな発生土置き場等については、本準備書において具体的な位置・規模等の計画を明らかにすることが困難かつ環境への影響が大きい施設であることから、環境保全措置の効果を事後調査により確認します」

「発生土置き場等における事後調査の考え方については、国土交通賞から出された『評価書作成までの間に位置等を明らかにすることが困難な場合、必要な環境保全措置を評価書に位置づけた上で、その環境保全措置の効果を事後調査により確認する必要がある』との意見も踏まえて決定しております。

 と書かれています。

 簡単に言えば、「新しい処分場を作るかどうかは決まっていない」と言っているのです。そこで

藤倉委員「これは新たな処分場の必要性については(JR東海は)『判りません』と言っていること』


★一時的な発生土保管場について

藤倉委員「処分場や仮置き場について位置等がわからないのであれば、膨大な発生土を毎日ダンプで運ぶ場所が必要になると想定される。神奈川県のアセス条例では、残土処分場はアセスの対象になるので、もう一度アセスをするのかどうかも含め、これは大きな問題だと感じています

JR東海「(22秒間沈黙)。新たな発生土置き場については、環境保全措置としては、環境影響としては小さくなるように考えていきます」


★環境保全措置の具体的な記載について

 補足資料では、以前からの審査会からの「環境保全措置として『適切に処理する』という表現が全般的に出てくるが、具体性がなく審査できない。次回以降説明してほしい」との質問が記載され、

 それに対する回答が以下のように記載されていました。

「通常行うべき点検、整備をきちんと実施することで、機能維持等が図られることから、環境保全措置の効果を確実なものとすることができると考えております」

 これに対して

片谷委員「点検、整備をするというが、それがどの評価項目にあてはまるのかが理解できない。これで全部の評価項目が本当に網羅されていますか? どの項目が当てはまっているのか追記してください」


★発生土置き場の事後調査項目について

 審査会は「発生土置き場の事後調査項目として、動物、植物、生態系の3つだけを選定した理由の根拠を示してほしい。他の項目にも事後調査は必要」と求めていることに関して

藤倉「なぜ、その3つだけ? 他の項目はアセス不要? たとえば、『工事用車両の運行に伴う大気汚染に関しては、適切な点検、整備によって、車両を維持すれば、低減できるので、効果の不確実性はないから環境影響はないのでアセスはしない』と区分されているが、そんなことを言ったらすべてのアセスはいらなくなる。
もう少し、いろいろな項目を追加することをこの場でも議論してほしい」

JR東海「(無言)」


★具体的な情報の提示について

 審査会は質問として「事業者(JR東海)は、工事の認可前であることから具体的な情報を提示できないという説明をしているが、他の事業では許認可まえでもアセスは行われており、その説明は成り立たない。具体的なものを出せないという回答はアセスの精神に反している」と投げていますが、

 JR東海は「新幹線の建設においてはその技術的特性上、工事実施計画の認可時点でまず本線や駅、車両基地の計画が決定されます。その後、用地取得や設計等を行う中で、各施設の詳細な計画を決定することになります」との回答を載せています。
 これについて

片谷「認可前だから情報提供できない、はおかしい。認可前でも、準備はしているのだから、すべての情報を出すべき。これだけの事業規模は例がない。このアセスは今後10年というスパンで他の事業の見本になるべき。しかし、情報を出さないのなら、アセス法が後退する。このままでいけば、アセスの進歩をリニアが後退させてしまうことになりかねない。それを大企業がやってもいいのか? 今日の回答でも払拭されない。再度検討を求める」

有本「基本的には、アセスは事業内容と調査予測評価、環境保全措置を具体的に示して、それに基づき、さまざまな角度から意見をいただくのが主旨。それからすれば、とても見にくい。内容も、文章も、読むのに手間がかかる。いろいろな人から意見をいただくには問題があると思う。評価書できちっと意見を出してほしい。

JR東海「(下を向いたまま無言)」 



 欠席委員からの「これでは評価できない」といった厳しいメッセージが紹介され、おそらく、JR東海も「このままではやばい」と痛感していることと思われる今回の審査会でした。
 なによりも、委員たちからの批判に一切反論することなく、顔を赤くしてうつむいているだけのJR東海職員の態度が印象的でした。

 ただし、委員の一発言には「環境影響評価書ではきちんと書くこと」などの発言も見られたことから、準備書への批判はするけど、評価書での適切な記載を期待して、ここでの審査は通す…ことも予測の一部に入れておかねばなりません。

 そして、私の元に入っている情報では、各地の審査会でもおおむね、JR東海には厳しい意見が飛んでいるようです。このへんも機会があれば書いていきたいです。


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