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●東京オリンピックで立ち退かされる人たちが数百人もいる

ここのところ、東京都にある「国立競技場」周辺に通い詰めていました。
 以前、少しだけ本ブログでも書きましたが、東京オリンピックでのメイン会場となる国立競技場の拡張工事において、立ち退かされる数百人もの住民がいるからです。

 新・国立競技場は大きすぎるのではないのか・・とは最近のメディアでよく報道されている通りです。
 国立競技場には「明治公園」という、市民団体などが野外集会でよく使う公園です。2011年9月19日には、ここに6万人が終結して、大江健三郎氏、落合恵子氏、鎌田慧氏、山本太郎氏などが力強く脱原発を訴えたのが昨日のことのようです。
 この公園が国立競技場の拡張に伴いなくなります。
 
 そして、明治公園から道路を一つ隔てて「都営・霞ヶ丘アパート」という築50年の10棟からなるアパートがあります。
 国立競技場からそこまではゆうに100メートル以上はある。
 ですが、あまりもの巨大な拡張工事で、明治公園がなくなる代わりに、そこを新しい公園とするために、今、アパート住民は2年後までに立ち退きを余儀なくされています。

 じつは、このことは、月刊「望星」(東海教育研究所)という月刊誌に、今月と来月の2回にわたり連載するので、ここでは、残念ながらその詳細を書くことは許されません。
 ですが、概要だけはお伝えしたいと思います。


●50年前のオリンピックで立ち退かされた人たち
 まさにオリンピックに翻弄された人たちです。
 国立競技場は1958年の建立ですが、その当時から、今の明治公園のあたりには、店や人家が並んでいました。
 しかし、1964年東京オリンピックのため、国立競技場周辺が区画整理・再開発されることになり、その人たちは立ち退くことになりました。
 その全員ではないにせよ、多くの人が、オリンピック前年に建立された霞ヶ丘アパートに入居。
 当時は、鉄筋コンクリートの風呂付きアパートはまさに時代の最先端をいくもので、誰もが「こんなにいいところに住めるとは」と喜んだそうです。

 私も今回の取材で初めて霞ヶ丘アパートに足を踏み入れましたが、まさか、国立競技場のすぐ近くに、あんなゆったりとした空間があるとは予想もしていませんでした。

 専用駐車場がなくても、ゆったりと車が駐車している。アパートの各棟の裏側では多くの住民が家庭菜園を楽しんでいる。
 柿の木もあって、実を収穫している人もいる。フキやミョウガも自生している。


●対策がとられなかったアパート
 ただ、築50年はさすがに古い。
 ここで問題になるのが、半世紀もここに住んでいるから、多くの住民が60代から90代になっているのに、アパートにエレベーターがないことです。

 アパート住民で構成する町内会は、10年も前から、老朽化もしていることから、エレベーター付きのアパートへの建て替えを東京都に要請していました。
 ところが、建て替えへのはっきりした回答は寄せられず、それどころか、ここ10年で東京都は霞ヶ丘アパートへの新規入居募集を停止しています。


●突然の退去通知
 新聞やテレビで報道されていますが、国立競技場を運営する「独立行政法人・日本スポーツ振興センター」が文科省の意向を受けて、国際スポーツイベントができるような国立競技場のデザインを募集したのが、2012年7月。
 確かに、このときの予定図を見ると、既に、霞ヶ丘アパートは開発地域に含まれています。
 ところが、その事実を知っていたアパート住民はほとんど誰もいませんでした。

 そして、翌8月26日。アパート住民は、東京都都市整備局が「建替え」に関する説明会を開催するというので、近くの「日本青年館」の会議室に集まります。
 そのとき、都から伝えられたのは

「建替えはいたしません。2019年にラグビー・ワールドカップが開催されるので、それに間に合うように国立競技場を拡張することから、霞ヶ丘アパートは取り壊します。2年後までに立ち退いてください。このような合同説明会は今後はありません」

 もっともショックを受けたのは、高齢者。特に一人暮らしの人たちです。

 若い世代なら、50年前がそうだったように、新しい土地でも対処はできる。高齢者でもご夫婦なら互いに支えあうこともできる。しかし、地域の人たちと濃い関係を作り上げてきた一人暮らしの高齢者に突きつけられた「立ち退き命令」。

 説明会では、何人かが「ふざけるな!」「どこに行けというんだ!」との怒号をあげたそうです。

 おそらく、このとき東京都は、ラグビーだけではなく、もしかしたら誘致に成功するオリンピックのスタジアムに…と考えていたはずです。
 果たして、この説明会の1年後の2013年9月、東京でのオリンピック開催が決まりました。


●減り続ける住民
 この時点で霞ヶ丘アパートには約240世帯が住んでいました。
 そして、この都の説明のあと、「絶対に撤回させよう」と少なからぬ人が気持ちを一つにしたのですが、東京都にそのつもりはまったくなく、アパート住民には「移転のための案内」のような書類を送ってきます。
 そして、現時点で、既に、世帯数は約200くらいまでに減っています。

 一つは、数少ないけれど、子どものいる家庭が今のうちに学区の変わらないアパートへと決めたこと。
 一つが、やはり足の弱い高齢者が見切りをつけてしまったことです。

 どちらの場合も、都が転居先を仲介します。引越料も含めて17万1000円が支払われます。

 なかには、迷った末の「引越し」という結論に満足をする人もいます。だが、やはり、引っ越していった多くの高齢者は寂しさを感じているようです。
 一歩外に出れば必ず誰か知り合いと合える霞ヶ丘アパート。若い頃、ここで、互いの赤ちゃんを世話してもらったり世話したりも当たり前だったコミュニティ。
 
 しかし、引っ越した都営高層アパートでは、周りは知らない人ばかり。鉄の扉の内側に閉じこもる人もいて、霞ヶ丘アパートのある女性は、時間があればその人たちを訪ねていくのですが、そのたびに「話す人がいない。さびしいよ」と訴えられるそうです。

 私も、ご夫婦で引っ越していったある男性(84歳)に尋ねてみました。
「私は足が悪くてね。だから、ずっと霞ヶ丘の建て替えを待ち望んでいたんだ。だって、あそこは私の故郷。でも東京都にその気はない。だったら、少しでも足の動く今のうちにと引越しを決めたんです。でも、ここは寂しい。先日も、ここの老人会に顔を出したんです。でもほとんど女性ばかりで…。ちょっと落ち着いたら、霞ヶ丘には遊びに行きます」


●最後まで残る人たち

 そして、「最後までここに残る」と決めている人たちも少なくありません。
 足の丈夫な人はもちろん、足の弱い人でも「外出はどのみち週一度くらいだから、引っ越す理由がない」。
 ここには老人会がありますが、その会長さんが11月中旬に、老人会の集まりで「何か困ったことはないですか?」と尋ねると、

「どこに行ったらいいんですか!?」「引っ越しても何をすればいいんですか!」

 との悲痛な声が続出しました。特に一人暮らしの高齢女性からです。

 誰しもが、夫に先立たれ、今は、アパートの住民たちとの日々の交流だけを頼りに生きている人たちです。

 東京都は、一応は、3ヶ所の移転先を用意していますが、一つのコミュニティが3つに分かれることは分断そのものだし、また、同じアパートに引っ越せたとしても、隣の部屋に知人が住むとは限りません。あくまでも空き部屋にしか入れません。
 3箇所のうち、2箇所は、現在建て替え中のアパート。特に、その一つが霞ヶ丘アパートから歩いても行ける場所なので、できれば、そこに、それこそフロア単位を霞ヶ丘の住民に割り当てるくらいのことをしなければ、心身が悲鳴をあげる人たちが続出すると私は予測します。

 というのは、10数万人もが福島県から避難していますが、このなかには、高齢であれ、福島県にいたときはシャキシャキしていたのに、避難生活に入って数ヶ月もすれば、見知らぬ土地、見知らぬ隣人、見知らぬヘルパーなどの変化になじめず、軽い痴呆を発祥した事例を伝え聞いているからです。

 霞ヶ丘の88歳の一人暮らしの男性はとにかく憤っていました。

「僕はここを出ませんよ。妻や子どもたちの思い出が詰まった、ここは僕の故郷。終の棲家と決めているんです。僕はおもしろくない。こういうことは行政と住民とが、事前に徹底して話し合うのが筋ではないですか。それなのに、いきなり、退去という「結論」だけもってきて、もう話し合いをしないというのが気に入らない。これは僕が起こした問題じゃない以上、僕に出て行く理由はないんです」

 霞ヶ丘アパートの中には食料品店もありますが、住民の買い物の場でもあり、自由な会話のできる場でもあります。
 ここは、毎日、特に外出が困難な高齢者宅に電話をして、一人分のオカズの配達も手がけています。そのオカズもオカミさんの手作り。
 東京都は、この店にも「新しいアパートでも店を出せるスペースを確保する」と話していますが、店の主人は「そうは言われても、新しい土地でなじみの客がつくのかは分からない。そして、ここのように住民と濃い付き合いのできる店ができるのかもわからないですね」と、その話を前向きに捉えることができずにいます。
 ちなみに、店のご夫婦もアパートの住民です。


●誰も理不尽さを覚えなかったのか?

 私がこの取材を通じて、痛感したのが、国も、振興センターも、東京都も、高齢者が、特に足の悪い高齢者が、終の棲家から誰も知人がいない場所へと立ち退かされるという、その理不尽な扱いを疑問に思わなかったのかということです。

 振興センターがデザインを公募するにあたり、その下に設置されていた「有識者会議」がいろいろと話し合っていたのですが、その議事録は一切非公開です。
 そして、その有識者会議の14人のメンバーで、建築家は著名な安藤忠雄氏だけ。なかには戸倉俊一という作曲家もいる。建築家でもない人たちがいったい何を話し合い、デザイン公募に至ったのか? さらにメンバーの一人は石原慎太郎・東京都知事(当時)。

 つまり、オリンピックを誘致していた中心人物が有識者会議にも入り、議事は非公開で、霞ヶ丘アパートも開発の対象地域に決め、事前に何も伝えてこなかった。

 私はオリンピックを見るのは嫌いではありません。むしろ、極限まで鍛え上げた人間の能力の闘いを見るのは好きなほうです。
 しかし、オリンピックに限らず、何かをするときは、そこに人権蹂躙や生活の剥奪や環境破壊があってはいけない。
 残念ながら、今回はそういうオリンピックになってしまうのです。

 私自身は、気持ちよくオリンピックを見ることはできそうにありません。
 とりあえず、2年後のアパート取り壊しまで、通い続けます。

 
 本当はもう少し詳細を書くべきですが、掲載が近いため、ネタバレは書けません。それでも、随時情報を提供したいと思います。ご理解をお願いいたします。

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