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 11月9日に川崎市麻生区でリニアについての講演をしました。講師は私を含め3人。
 私の持ち時間は30分なので、JR東海がいかに情報を出さないかについて絞って話しました。その中で触れたのは、JR東海が私に取材拒否をした件です。

●ウラン採掘が招いた肺がん死

 リニアは岐阜県東濃地域を通りますが、ここには日本最大のウラン鉱床地帯があります。もし、リニアのトンネル工事がここにぶつかったら、当然ウラン残土が発生し、同時に肺癌を引き起こすラドンガスが放出されます。もちろん、JR東海はウラン鉱床にぶつかるのを避けるべく努めることでしょう。
 しかし、もしウラン鉱床にぶつかればどうなるのか?

 昭和30年代、鳥取県と岡山県とにまたがる人形峠周辺ではウランが採掘されていました。
 しかし当時は、ウラン鉱山労働者に保護マスクは支給されず、ウラン鉱脈の発破作業などでチリとなったウランや、ウラン鉱床から放出されるラドンガスを吸い込み、多くの労働者が肺がんで亡くなりました。

 小出裕章・京都大学原子炉実験所助教は、約1000人の鉱山労働者が働き、そのうちの65人が肺がん等で亡くなったと推計しています。

 そして労働者だけではありません。
 ウラン採掘の際に掘り出したウラン残土は長年放置され、気体のラドンは風下の集落に吹き寄せたのです。
 その一つ、鳥取県の方面(かたも)集落では、約150人の人口のうち、ウラン鉱山労働者も含め、10数人が肺がんなどで亡くなりました。

 今、人形峠周辺では、合計約49万立米ものウラン残土が覆土され、10数箇所でウラン残土の山となって残っています。
 採掘から50年たった今でも、その放射線量は年間1ミリシーベルトを超えているのです。
 つまり、ひとたびウラン残土を掘り出してしまえば、覆土してそのまま積んでおくしか方法がないということです。

●JR東海からの取材拒否

 その取材の経験があっただけに、私は、JR東海の環境保全事務所(岐阜県)に「もし、ウラン鉱床にぶつかりウラン残土が出てきたらどうするのですか?」と尋ねたわけです。
 その回答は「東日本大震災での放射能汚染がれきの処分方法も参考にしたい」というものでした。つまり、県外への搬出も視野に入れているということです。
 もっとも、その受け入れ先はどこにもないはずですが。

 つまり、なにがなんでもウラン鉱床をルートから外すことだけが唯一の道です。しかし、JR東海はリニア計画路線の東濃地区において、ただの一本もボーリング調査をしておりません。

 同社は準備書では「ウラン鉱床を避けている」と書いていますが、その根拠は、25年も前に出された文献である『日本のウラン資源』(昭和六三年、動力炉・核燃料開発事業団【現在の日本原子力研究開発機構】)に最新の知見が示されているから・・というものです。

 だが、その開発機構は、「東濃地域のウラン鉱床の散在する位置は把握されているのか」との私の質問に対して「おおよそはわかります。しかしながら、実際のところは、掘ってみなければ実際の地質はわかりません」と回答しているのです。

 驚いた私は、このことを週刊SPA!に書いたのですが、これに対して、JR東海は「取材窓口がJR東海の広報室であることを知りながら、ジャーナリストと名乗らずに環境保全事務所に連絡した。これでは信頼関係が築けない」と、そのとき私がJR東海に送った質問状に対して回答しないと告げてきました。

 しかし、私は、広報室が唯一の取材窓口と教えられたこともありません。
 取材者であると名乗らなかったかは記憶がありませんが、一般人であれ取材者に対してであれ、同じ回答があってしかるべきなのにと、その取材拒否を不思議に思ったものです。

●ウラン残土は半永久的に留まる

 さて、ここでは、ウラン鉱床の話が出たところで、過去から現在の人形峠の写真を何枚か公開します。クリックすれば拡大します。
 
 覚えておいていただきたいのは、ウランをひとたび掘り出せば、その土地に半永久的にウラン残土が残るということです。そして今の時代、県外はもちろん、地元ですら、その残土は決して歓迎されないということです。

ウラン開発とともに現れた奇形魚 ← 人形峠周辺ではウラン開発以降、ときおり奇形魚が釣れるようになった。

ウラン残土の山1 ← 人形峠周辺にはこんなウラン残土の山が20前後もある。

ウラン残土の山2 ← ウラン残土の山。覆土はしているが、50年たってもまだ放射線量は年間1ミリシーベルトを超えている。もう数十年間はこのままにするしかない。

厳重管理の放射性廃棄物 ← 日本原子力研究開発機構・人形峠事業で厳重保管されている低レベル放射性廃棄物。同じ年間1ミリシーベルト超の廃棄物なのに、なぜ、ウラン残土が野外で放置されているかというと、「原子炉等規正法」の対象外となっているからだ。

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