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●食糧援助は要りません!
 
 ルークに戻った私は、マグドールの今後に一抹の不安を抱きつつ、再び、援助慣れした難民との定住プロジェクトの話し合いに気分が腐っていた。

 ルークのハルバ地区に住む難民の人たちがJVCを訪ねてきたのはそんなときだった。JVCの農業プロジェクトの噂を聞いてやってきたのだ。またおねだりか、と初めは思った。だが、私は彼らの言葉に心底打たれた。

「私たちは、ハルバ地区で農業をやろうと思っています。そのために、難民キャンプを出ようとも思っています。そうなると、UNHCRからの食糧援助が打ち切られるかもしれませんがかまいません。JVCは揚水ポンプをもっていると聞きました。どうか、そのポンプを私たちに譲っていただけないでしょうか? もちろん、その代金は何年かけてもお返しします。していただくことは、それだけで充分です。農地の造成は自分たちの力で行うつもりです」

 食糧援助が打ち切られてもいいだって? 揚水ポンプだけでいいだって? 政情も治安も気候も尋常ではないこの土地において、賭けとも言える発言だ。なぜそこまで言い切れるのか。

 ハルバ地区の難民は、ソマリアのなかでは被差別氏族に属していた。これは私たちも噂ではよく耳にしていたことであるが、同じ難民とはいえ、氏族社会のソマリアでは、優位に位置する氏族と劣位の氏族とでは扱われ方が違う。その典型が、命の綱の食糧配給での配給量の操作だ。大統領(当時)のシアド=バレと同じ氏族の難民は通常以上の量をもらい、被差別氏族は必要最低限ももらえない。

 虐げられことへの憤りと、食糧をもらうだけで生きる人生への疑問。自由と尊厳を求めて、彼らは決めたのだ。「難民キャンプを出る」と。

 定住だ。これこそが定住だ。自分の意思で難民キャンプを出て、食糧配給を断り、作物を育て、村を形成する・・。
 
 マガネイでは違った。実は、途中で発覚して私も失望したことだが、私が担当する以前に、某スタッフがこの計画を農民にもちかけたとき、農民から寄せられた質問は「定住したら食糧配給を打ち切られるのではないか」というものだった。だが、そのスタッフはこう答えた――「その心配はない」
 
 これが、裏を取った話なのか、希望的観測なのかは、そのスタッフがJVCを去ってしまった以上はわからなかったが、こう答えた時点で私たちはもう農民になめられていたのだろう。なぜなら、他者から食糧をもらいながらの定住などありえないからだ。

 定住は「目的」ではなく、あくまでも「結果」にすぎない。農業の熟成とともに、農民が自然と農場近くに住みつき、いろいろな生産活動と人との交流を幾度も繰り返すうちに姿を現す結果、それが定住なのだ。その過程でいろいろと問題が起これば、その調整に当たり、軌道修正や修復を担当するのが私たちの出番だっあったはずだ。だが、私たちは定住をお膳立てし作ろうとした。その結果、火に油を注ぐがごとく、難民の依存心を大いに煽ることになった。

 このハルバ難民との出会いも、マガネイでの定住プロジェクトをそろそろ終了させようと思うきっかけの一つになったのだが、私はいつか高橋さんが話してくれた言葉を思い出していた――「あんたは腕だけ組んでじっと見とりゃいい」

 マグドールのプロジェクトが始まった直後、私は我ながら頑張っていた。事務処理、他団体との折衝、難民キャンプでの話し合い、現場での指示・・。当初は一日16時間働いていた。いつだったか給食センターで、私が、その膨大な数の人間を登録するのを見ていた高橋さんは感心する一方で、その言葉を口にした。

「樫田君、今は頑張ってもいいけど、いつまでもそれではいけん。いつの日か、あんたは何もせず、難民の人たちだけで業務が回るのを腕だけ組んでじっと見とりゃいい」

●いかに「助けない」かこそを考えよう

 なぜ頑張ってはいけないのだろうか? 当時はそう思った。だが、これほど援助の本質をついた言葉はない。定住プロジェクトの「失敗」を経て再認識したが、難民救援活動においての主人公は難民自身に他ならないからである。
「どんな人が援助活動に求められるんでしょうか」とはよく聞かれる質問だが、人により答は様々だ。語学、技術、交渉力、やる気・・のある人。私ならこう答える。

 どんなに悲惨な境遇にあっても、人間はそこから立ち上がる力をもっている。人間のこの真理を信じられる人。

 なぜなら、それを信じられない人は相手を「可愛そう」「不遇」「力をなくした」と思いこみ、「助けてしまう」からだ。自分の足で立ち上がろうとする人たちを「善意」でおんぶしてしまうからだ。私たちがすべきは、立ち上がろうとする人間が人間の尊厳をもって生きられるよう、そういう場や機会の提供・調整を最小限するだけでいい。

 前述の通り、JVCがルークに来る前から、JVCの第2農場、第3三農場の農民となった人たちは、自分たちで地主と交渉をもち土地を耕し、揚水ポンプなどないから、バケツなど人力で川から水を汲み上げていた。JVCと関わりをもっても、この自主性が失われることはなく、農民登録された以外の難民も入れ替わり作業に従事し農場は活況を呈していた。

 この自主性から、私は当初、彼らがこの定住プロジェクトに乗ってきてもおかしくはないと予想した。だが、乗ってこなかった。後日、第2農場のリーダーはこう言ったものだ。

「これはJVCのプロジェクトであり、私らのプロジェクトではないからね」

 NGOがいるから難民が集まるのは、ソマリアにおいては事実の一つの側面だった。だからといって、援助機関がすべて去ればいいとは言えない。

 私は、援助とは何かと問われれば、端的にこう答える――「助けないこと」

 もう少し丁寧に説明するならば、立ち上がろうとしている相手が人間の尊厳を賭けて今何を望んでいるのか、相手がどこまで自分で出来るのかを見極め、相手の力及ばない部分だけを支援すればいい。

 どんな人間も立ち上がる。助けなくていい。
 マグドール、マガネイ、ジャボレ、そしてハルバの難民を通して、私は初めて自分なりの答を強くもつことができたと思う。
 さて、このハルバ地区の難民だが、彼らはこの後、本当に揚水ポンプをローンで返し、JVCの協力のもと造成工事を行い、難民キャンプを出たのである。

 本連載「ソマリアは乾いていた」は、次回で最終話となります。


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