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核融合発電をどう考える その2の続きです。

 まず、話の前提として、このブログにおいては、私は、核融合に賛成するのでもなく反対するのでもなく、何があったか、誰がどう話していたかの事実だけを書いていこうと思います。というのは、いろいろな材料を読者からも提供してもらい、共に核融合の是非、是であるならどうあるべきか、非であるのなら、どういうエネルギー源を考えるべきかを共に考えていきたいからです。


●ITER

 はじめに、ITER(イータ。国際熱核融合実験炉)という言葉を覚えてください。

 これは、現時点では、一つの国だけでは技術的にも予算的にも実現しない核融合発電を実験しようとする施設です。
 現在、フランスに建設中で、日本もこの計画に参加しています。発電実験は2030年代とも言われています。

 ここでは、実際に重水素(D)とトリチウム(T)とを衝突させての発電実験を行ないます。

 現在、いくつかの国が、それぞれの国の核融合関連の施設でさまざまな実験を行い、そのデータの蓄積もITERに役立たれているとも聞いています。

 ともあれ、世界でのDT発電はこれからの話ということです。

 しかし、発電まではしなくても、DT反応実験を行なった施設はあります。


●JET

 一つが、イギリスのJET。
 1991年に、世界で初めてトリチウムを重水素に約10%まぜるDT実験を開始。
 ここもITERへの物理データーベース整備のため、実験を継続している。

●TFTR

 もう一つが、アメリカのTFTR。
 1993年から、重水素とトリチウムを1:1の混合比率でのDT放電を行った。翌年には、プラズマ温度5億度を達成。

 しかし、このTFTRは廃炉となります。

 なぜか?

 この背景をよく知るのが、現・大阪大学名誉教授の長谷川晃さんです。
 長谷川さんは、1989年にアメリカの物理学会プラズマ部会の部会長に選任された人。
 その長谷川さんが、1990年、アメリカ・エネルギー省長官が編さんする「国家エネルギー戦略」という教書に、

「一科学者の良心に基づき、核融合推進に危険なDT反応は推奨できない」

 との答申を提出するのです。

 長谷川教授が私にくれたメールによると、

 アメリカのプリンストン大学の実験で、TFTRは、ITERの100分の1程度のDT燃焼実験をほんの100回程度しただけです。その程度のもので、装置はボロボロになり、中性子汚染された装置と周りのコンクリート遮蔽壁を除去するのに50億円もかかった。これは、中性子汚染の恐ろしさを物語っています。また、この程度の装置で除去費用が50億円かかるとは、DTベースの核融合に現実性がないことを肌で知った。私が、エネルギー省長官にDTベースの核融合を止めるよう提言した背景にはこうした現状を知っていたことも大きな要因です。


 また、現在フランスに建設中のITERですが、2000年前後は、日本もその誘致活動を展開していました。その候補地の一つの北海道苫小牧市での公開討論会で、長谷川教授は、

「何かの事故で炉壁が溶解して、500グラムのトリチウムが出てくれば、チェルノブイリ級の放射線事故が起きます」

 との見解を示しています。

 だが、同討論会のもう一人のパネリストで推進派の田中裕二・日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)特別研究員は

 「トリチウムは、事故でも高さ100メートルの煙突からなら全量出ても大丈夫です」

 と発言しています。実際、開発機構の核融合実験施設「JET60」では、岐阜県の核融合科学研究所と同じように、既に重水素実験を行なったことがあるのですが、このとき発生したトリチウムは、全量、希釈して煙突の排気口から放出していました。

 なぜ、長谷川教授がこう発言したのか? 教授は、メールでこう教えてくれました。

「ITERの場合に怖いのは、トリチウムが極めて多量に燃料として存在し、これが酸素と結合して(水素爆発して)『トリチウム水』となると致死量1mgの猛毒の水になるからです」

 そして、長谷川教授は「日本にITERを誘致しないでください」と時の総理大臣、小泉純一郎首相に嘆願書を出しています。
 このとき、一緒に嘆願書を出したのが、ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊博士です。

嘆願書

 私たちは原発事故の二の舞を繰り返してはなりません。
 原発政策で徹底的に足りなかったのは議論です。また、計画に異を唱える人たちを排除してきた政策です。
 重水素実験の開始まであと3年。
 確かに、重水素実験で排出されるとリチウムはごくごく微量です。
 これが安全か危険かの意見も交え、将来の核融合発電、そして、トリチウムを心配するのであれば、原発や六ヶ所村の再処理施設から排出されるトリチウムのことまでも含めた総合的な検証が必要に思われてなりません。

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2013/05/07 15:31 福島原発 TB(0) コメント(0)
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